2020/11/08 のログ
ご案内:「裏常世渋谷」に赤羽 華楠さんが現れました。
赤羽 華楠 >  
「妙な魔力の歪みがあったから立ち寄ってみたけど…」

奇妙に歪んだ世界に、女性が一人。
赤みがかった長髪に赤い瞳、赤いジャケットに赤いタイツの、赤が印象的なその女性は、その頂上ならざる街に物怖じするでもなく周囲を見回す。

「成程…ここが地図にあった常世渋谷ね。

 ……なんか、全体的に歪んでる気がするけど。
 この島じゃこれが普通なのかしら」

ここは”裏”常世渋谷。
常世渋谷の”裏側”に存在する異界に相当する街なのだが、彼女はまだ、それを知らない。

赤羽 華楠 >  
「それにしても、繁華街って聞いたのに全然人いないじゃない。
 常世学園はこんなもので繁華街を名乗ってる訳?
 なんだかがっかりね…」

期待して損しちゃったわ、とばかりに肩をすくめてやれやれとすれば、そのままコツコツと歩き始める。
実際の所、ここは繁華街である常世渋谷の裏側であり、人が来ないのは異界故なのだが……
そんな事は知った事じゃないとばかりに進み…

「ま、いいわ。
 それより………」

歩を、止める。




「そろそろ出てらっしゃいな。
 匂いがキツくて鼻が曲がりそうなのよ、アナタたち。
 隠れるのもロクにできない訳?」

ふん、といった様子で誰もいない場所を睨めば……

その地面から、骸、骸、骸。
コンクリートの地面を砕きながら現れる、数多の骸、悪鬼……怪異。
百鬼夜行、と形容して差し支えないであろうそれが、溢れ出てくる。

赤羽 華楠 >  
はぁ、とため息をしながら、その亡者共を見据える。
怯えも感じない。
数だけが多い、有象無象。
全くもって嘆かわしい。

”こんなものの為”に派遣されたとしたら、随分と甘くみられたものだわ。

「まぁ、いいわ」

ふぅ、と諦めたような顔をし、自身を囲む亡者たちを眺める。
100…くらい?
数えるのも面倒くさいし、どうでもいいかしら。

「こんなのでも無辜の民からしたら十分な脅威でしょうし……
 軽い掃除くらいのサービスはしてやらなくちゃ、赤羽の名折れよね」

そう独り言をつぶやきながら、距離を縮めてくる亡者の一体に、指を向ける。
指で銃の形を作り、照準を合わせるかのように構え……

「”赫”の魔術師の力を甘く見るんじゃないわよ、雑魚共。



 ――――祖なる赤き主の御霊。
 我は星辰より去りし御身を刻みし末の裔。
 今世は永劫に等しき眠り給おうとも。
 御身が成した偉業。
 御身が課した試練。
 御身が咎めた罪はこの身に在り。
 
 さすれば御身を貶めし無知たる彼らに、彼の”色”を以て知らしめし役儀を承ん」

瞬間、地に、空に、空間に現れる無数の”色”
光を伴うそれは線となり、文字となり、円を象り、陣を組む。
巨大無数の光の、魔法陣が空間を埋め尽くさんとばかりに、刻まれてゆく。

赤羽 華楠 >  
 
 
 
 
 
 
「”一重式<ソロ>――――ガーネット”」 
 
 
 
 

 
 
 

赤羽 華楠 >  
周囲に落ちていた無数の瓦礫、石、礫が浮かび上がり、輝きを放ち始める。
それと共に女性は”敵”へと向けた指先を――――

「―――ばんっ」

銃を撃ったように、弾く。

瞬間、礫たちが一斉に、弾丸のように斉射される。
亡者の肉を抉り、骨を砕き、頭蓋を潰し、大地を割り…
割れた大地から更に”弾丸《宝石》"が形成され、更に煌びやかな宝石の嵐を作りあげる。

有象無象を貫き、それら亡者をあるべき姿―――――――動かぬ死体へと変えてゆく。





「おっと―――――
 言っとくけど、形を”残してもらえる”なんて贅沢思ってる訳ないわよね」

不敵に笑い、既に皆戦闘不能の無惨なガラクタになり下がったであろうそれらに、言葉を向ける。

「感謝しなさい。
 アンタたちの醜い肉片、見るに堪えないから―――――――
 
 ちゃんと一瞬だけでも、綺麗な私の術の糧にしてあげるって言ってんのよ」
 

赤羽 華楠 >  
「”一重式<ソロ>――――ファイア”」

それは、純粋な炎の色。
言葉と同時に宝石と化した礫たちに極小の魔法陣が形成され、それら一つ一つが”炎”へと転化されてゆく。

当然”礫を身に受けた者共”もすべからく”炎”へと転化してゆく。



「私は優しいから、綺麗な花火にしてあげるわね?」


ばんっ

再度、指を弾く動作。
それと共に美しく煌々と燃えさかる者共が空へと舞い上がり、まるで色とりどりの花火のように…”爆ぜる”

裏常世渋谷を、大量の美しい花火が咲き誇る。

轟音に次ぐ轟音。
その下でそれを眺めるのは、女性一人だ。

「まっ
 多少は見るに堪える見た目になったんじゃない?
 最後だけ」

花火を眺めながら、まるで何事も無かったかのように――――女性は、去ってゆく。

赤羽 華楠 >  
――――2時間後。

裏常世渋谷をぶらついていた彼女は、内部へと入り怪異との戦闘を行っていた風紀委員数名の戦闘に乱入して事態を鎮圧し…

その後、保護されたという。

ご案内:「裏常世渋谷」から赤羽 華楠さんが去りました。