2020/11/10 のログ
ご案内:「常世渋谷 風紀委員会常世渋谷分署」に角鹿建悟さんが現れました。
■角鹿建悟 > 常世渋谷にある、風紀委員会の常世渋谷分署――本来、生活委員会の一般委員でしかない己にはほぼ無縁の場所…だったのだが。
「……よし、ここはこんな所か……次は――。」
分署内の見取り図を手にあちこち歩き回る。勿論正式な許可は得ている。
…と、いうより向こう側からの”ご指名”だ。風紀から生活委員会、そして自分へと話が来た。
とはいえ、別段大した事じゃない。幾つか老朽化した箇所、及び故障した備品や機械の修理修繕の仕事だ。
(…確かに適任といえば適任なんだが…俺は能力を制限されてるんだがな…。)
左手首にある黒いリストバンドを一瞥して一息。普段は能力を最小限まで抑制されている。
本来のレベルで能力を使う場合、生活委員会の上司などに申請する必要がある。
勿論、現在も仕事とはいえ抑制は継続中だがそれでも力の利便性から適役、と思われたのだろう。
「――…まぁ、俺に出来る事をやるだけだが。」
分署内を歩きながら呟く。途中、すれ違う風紀委員や、こちらに分室がある祭祀局らしき人と会釈を交わしつつ。
■分署の人達 > 「へぇ、君があの『直し屋』か。悪いねぇ、わざわざあちこち直して貰っちゃって。」
「お疲れ様です。一人で直して回るのは大変でしょう?お手伝いが入用ならお声掛け下さいね?」
「おぅ、お前か!特別攻撃課に混じって朧車をぶちのめした馬鹿っていうのは!!」
最後のは大声で言われると困るのだが、何人かに気軽に声を掛けられる。
意外とこちらの顔などは知られているらしい。いや、やっぱり最後のは勘弁願いたいが。
■角鹿建悟 > 「…いえ、まぁこれが俺の仕事なので…。あー手伝いは必要な場合はこちらからお願いするかもしれません。
…あと、それは結構なやらかしなのでそっとしておいて貰えると有り難いんですが…。」
と、今までだったら、素っ気無い淡々とした態度で受け流していたかもしれない。
実際の所、今も極端に変化したとは言い難い…けれど。
一人ひとり、相手の目を見てちゃんと言葉を交わす…それが今までとの一番の違いといえば違いかもしれない。
自分にはコミュニケーション能力に問題がある、というのはもうとっくに自覚も理解もある。
少しは自分もマシになって来ただろうか…?いや、まだまだ序の口だろう。これを積み重ねていかなければ。
(誰かと向き合うっていうのは、こういう事の積み重ねなんだろうな…。)
片手に持った工具箱の重みを感じながら一息。能力が最小限しか使えないので、今は工具も必要なら使っている。
一通り、工具の扱いは前に所属していた修繕部隊の親方や先輩に叩き込まれた。
「……お陰で最大限活用させて貰っているが…と。」
立ち止まる。ここは通路だがその壁のあちこちに傷みが垣間見える。
それをザッと銀色の双眸で確認。傷みの具合を確かめる…まぁ、何とかなりそうだ。
■角鹿建悟 > (…このくらいだったら、何とか能力で行けるか。)
ザッと傷み具合を一通り観察してから結論付ける。時々、通路を誰か通るが気にせず仕事に集中する。
まずは壁の一箇所…傷んだ箇所に右手を触れて能力を発動。すると巻き戻すように傷みが短時間で消えていく。
とはいえ、矢張り本来の出力では無いので復元速度は遅いし規模も全然小さい。
だが、”今はこれで良い”。むしろ能力を制限されている方が色々模索出来る。
そうして、何箇所かの傷みを同じ要領でコツコツ一つずつ修復していく。
――で、気が付けば…。
「………む。」
やり過ぎた、というか通路の端から端まで徹底的に修復をしていた。
集中していたのもあるが完全に無意識だったらしい。職業病みたいなものだろうか。
■角鹿建悟 > …と、まぁそんな調子でついついやり過ぎてしまう事もあれど、依頼された箇所はきっちり直しておく。
後は、幾つかの備品やら機械やらを修理すれば本日の依頼は終了だ。
「……肩の力が抜けた分、少しは楽になったかもしれないな。」
今思えば、矢張り圧し折られたのは正解だったのだろう。まぁ、まだ完全に立ち上がれた訳ではないが。
少なくとも、こうして制限ありきとはいえ直す仕事もまたこなせるようになっている。
挫折も成長の糧となるならば、あの先輩にも感謝せねばならないのだろう。
まぁ、それでもトラウマもきっちり刻まれてしまったので、正直複雑な気分ではあるが。
「…さて。と。備品より先に機械の方を直すか。確かコピー機が一つとエアコンが二つ、後は――…。」
パラパラと修理リストを捲って確かめる。数はそれなりにあるが一つ一つはそんなに修理は難しくない。
■角鹿建悟 > 「……いや、祭祀局の備品もあるな、ああいうのは俺が直してもいいんだろうか…。」
少し首を傾げる。少なくとも自分に霊的あれこれの類はよく分からないのだけど。
とはいえ、”生物ではないのなら”直せる能力なので可能と言えば可能であろうか。
どのみち、リストに載っているという事は直してくれ、という事なのだし仕事は仕事だ。
「…俺が直して変な事にならなければいいんだけどな…。」
そう考えると、矢張り能力の弱体化はむしろ良いストッパーなのかもしれない。
最悪、必要とあらば上司に無断で出力を解放する事も考えてはいるが。
少なくとも、相応に危急の事態でもない限りは自ら墓穴を掘る事をするつもりもない。
■角鹿建悟 > 「――よし、どのみちリストに載っているのは全部直さないと仕事完遂にはならないしな…。」
軽くパンッ、と頬を叩いて気合を入れる。そんなこんなで、リストに載っている全ての備品や機械を一つ残らず直していくだろう。
流石に、終わった時は少し疲れていたが顔には出さずに報告などもきっちり済ませたとか。
ご案内:「常世渋谷 風紀委員会常世渋谷分署」から角鹿建悟さんが去りました。