2020/09/07 のログ
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」にエコーさんが現れました。
エコー > ルーチンで流れるCMが終了したタイミングだった。夜〇時30分とキリの良い時間に、キューブとラインが浮かび上がる背景をバックに浮かび上がるキャラクターの姿。
センター・ストリートの街灯スクリーンに、二つに流した髪を揺らし、アニメーション的演出を引っ提げてやってきたそれは、魔法少女か何かの変身バンクのようだった。
地面らしき透明なフィールドに着地すると、眼の近くでピースサインをしてウインク。テヘペロと効果音が鳴り響きそうなあざとく可愛いサインを振って登場した。

「時刻は〇時30分丁度! みんな元気にしてる~? 非実在性バーチャルフレンドティーチャー・エコーだよ!
 最近あついあつい~ってなったりじめじめどんより~でナイーヴになってない? 大丈夫? そういう気持ちを吹き飛ばす為に私と一緒に乗り切ろう~」

 巨大な液晶に映し出されたそれは人懐っこい笑みを浮かべながら手を振っていた。

エコー > 「この放送枠は、例によって放送枠を借りてライブ配信をしていま~す。
 へいへいそこいくお兄さんはお帰り~?御夕飯はコロッケだ!
 渋谷コロッケ美味しいよね~、分かる。さっくさくのほっくほくで、異能犬のロクも主人を待つ傍ら好んで食べたんだって。恵んで貰ったのが観光帰りの人だったとか見世物的ニュアンスだとか、ステマだったのではとか言われてるけど。」

 顎に手を当てながらほんのりと眉をしかめ上目遣いのポーズを取る。

「これもステマじゃあないかって? あっはは~。この放送の提供は常世精肉店でお送りしているけど~すっごい偶然だね~。
 だからみんなもコロッケ買おうね☆」

包み紙の中から零れんばかりのマッシュしたじゃがいもを使ったコロッケをもしゃもしゃ食べている。バーチャルのくせに食べる効果音をストリートいっぱいに広げて食べていた。新手のメシテロである。

エコー > 暫しコロッケのさくさく音がストリートに響いてからというものの、やっと食べ終えた時には行き交う人々の一部は肉屋に直行している姿が見受けられた。
丁度仕事がひと段落し、小腹も減る頃合いである。食欲旺盛な学生はワンコインを握りしめて大判のコロッケを買って食べていた。周囲は次第にコロッケの匂いで包まれていく。

「疲れている時も気候で怠さを感じている時も、まずは体力を付ければ大丈夫!体は資本で体力は有限。だから明日も元気でいられるようにご飯は食べようね! ねぇねぇ今私ティーチャーっぽいこと言えてない? 言えてるよね?
 良い事をしたって気分~。だから明日も明後日も、くじけずがんばろ~。おー!」

エコー > 「……今日私コロッケしか食べてないかも! でもみんなが美味しいご飯を食べてる様子を見られたら良いかなっ☆

 それじゃあ今日の放送はここまで~みんな明日も元気にいようね~」

ぱたぱたと慌しく放送が終わり、ストリートのスクリーンには再度売れ筋商品の広告が再生されるのだった。

ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」からエコーさんが去りました。