2020/10/02 のログ
ご案内:「裏常世渋谷」にセレネさんが現れました。
■セレネ > どこかで大きな戦闘音。
ネットでまことしやかに囁かれている怪異を風紀委員が討伐しているのだろう。
異常な程に切れ味の良い刀――調べれば妖刀の類で恐ろしい程切れると噂の刀があるのだとか――を手に、
己も一目その怪異を見れやしないかと蒼を見回す。
「……何してるんだか。」
怪異を狩りたければそういう組織に入れば良い。
情報を得るだけならばわざわざ武装せずとも良い。
どっちつかずだなと自嘲の笑み。
■セレネ > ネットに出ている噂話によれば、その怪異は電車の車体の前面に大きな顔があるという。
そして猛スピードで爆走、暴走しており炎を纏っていたり武器を出して攻撃したりするのだとか。
己が小説家志望であるのなら、それは良い題材にでもなりそうな気もするけれど。
「気になるなら直接見に行けば良い…ってね。」
行ける距離ならば行くのが己だ。
人の話より実物を見た方が余程信用出来る。
そんな中、此方に向かってくる奇妙な音を拾った。
レールのない道を走る車輪のような。
――まさか。
【ぶつかる:回避】 [1d2→2=2]
■セレネ > ”その音”の正体が何なのか理解した直後、歩みを止めて後ろに跳んだ。
瞬間、撥ねられれば五体がバラバラになるくらいの猛スピードで先程己が居た場所を駆け抜けていく長い物体。
己を轢き殺せなかった事に気付いたか、それとも人とは違う気配に興味が湧いたのか。
車輪から火花を散らしドリフトしながら急ブレーキをかけて目標を己へと向けた”それ”は。
――噂に聞く『朧車』だった。
ご案内:「裏常世渋谷」にマディファ=オルナさんが現れました。
■セレネ > 電車の車体、前面に大きな顔。
日本の怪異で車輪に顔がついたもの…輪入道だったか。
それは文献で見た事があるが乗り物そのものに乗り移るというのは見たことがない。
それに怪異とはいえ、相手は電車。
物理攻撃を軽減させる魔術を使ったとて無事では済まないだろうなと思う。
先程は己でもよく躱せたな、なんて内心で自画自賛しつつ。
刀の鯉口を切り鞘から抜くは光源が無くとも妖しく輝く刀身。
臨戦態勢を取った事で怪異の車輪が回り始める。
己を撥ね飛ばすか、喰らう為か、分からないが明確な敵意、殺意を感じる。
討伐しようとは思わない。
生きて帰るのが最優先だからだ。
刀を両手で構えず片手で持ち、充分に速度を持った状態で突っ込んでくる朧車。
【回避しつつ攻撃:間に合わずとも一太刀浴びせられる】 [1d2→2=2]
■セレネ > 「――ぐっ…!」
回避が間に合わず後方に撥ね飛ばされた。
幸い服に事前に掛けておいた物理攻撃軽減魔術により五体満足だ。
だが、撥ねられた勢いまでは殺せない。
ビルの壁に激突し、受けた事のない衝撃に思わず吐血する。
だがそれでも攻撃が当たったか、悲鳴を上げる怪異に小さくガッツポーズをした。
■マディファ=オルナ > 「ふむ、もう一匹こうも近くにおったか」
そう言いながら、この戦場には場違いな少女が現れる。
その頬や衣服は機械油で汚れている。
口ぶりとその姿からすれば、すでに一体仕留めた直後のようだ。
「む、すでに誰かが戦っておるのか」
声の主である少女……マディファが、朧車の前にいる少女の姿を視認したとほぼ同時。
朧車の突進で少女が撥ね飛ばされた。
悲鳴を上げる朧車は、お返しに一撃でももらったのだろうか。
「いやいや無謀じゃろ。
何故生身でぶつかってくる列車と張り合うんじゃ人の子……」
あのダメージでは次の突進は躱せまい。
そう考え、人化魔術の部分解除を行い機械の翼を露出させる。
そこから、ブースターを噴射させて朧車と少女の中間点へと向かう。
■セレネ > 呼吸をする度に肺が痛む。
肋に罅か折れているか肺に刺さりでもしたか。
何れにしてもこれは魔術を使うしかあるまい。
自身に対し回復魔術を掛け、動けるまで回復すれば
ゆるゆると立ち上がりもう一度攻撃を仕掛ける為に刀を握り直した。
――すると己と朧車の間に立つようにして立ち塞がった一人の少女。
その背には機械で出来た双翼が見える。
ロボットか、アンドロイドか。分からないが、とりあえずは加勢してくれると見て良いだろう。
一頻り悲鳴を上げていた怪異は己にいっそうの怒りを向け、
目の前に立つ少女に向かって怨嗟とも咆哮ともつかぬ叫び声を上げるのだった。
そうし、火花を散らしながら少女に向かって突進をかけてくるだろう。
■マディファ=オルナ > 突進を喰らった少女が立ち上がり、構え直したのが見えた。
着地し、朧車に向き直り。
「人の子……人の子?
まあ良い、此奴の突進は引き受ける。
その隙きに仕留めると良い」
その姿からは逃げる気は感じられないし、先に戦っていたのだから仕留める手伝いに留めようと結論。
内蔵されている大剣を取り出すのは傍から見れば何処からともなく取り出したように見えるだろう。
人間体では身に余る長さのそれを構えて。
「むぅん!!」
朧車の、速度が十分に乗った突撃を。
数cmほど押し出されはしたが、受け止めた。
■セレネ > 「その疑問、ご明察です。
私は少なくとも人ではないのですよー。
――助太刀感謝致します。」
人の子?と疑問符をつけられた。
が、明確な種は口にせずとも人では無いとだけ伝えておこう。
そしてどこからか取り出した少女の手に握られている大剣。
機械の翼を持っているから、その大きすぎる剣も軽々と震えるのだろうと思うも、
怪異の巨体を受け止め切ったその怪力に蒼を瞬かせた。
が、この好機を見逃すわけにはいくまい。
しっかりと地に足をつけ、雷属性の魔術で身体能力を上げ、地面を駆ける。
一歩大きく踏み込み、跳び上がると朧車の額に刀を突き刺し、
そのまま真っ二つに切り裂こうと車体の上を駆けていく。
普通の刀ならこの時点で折れているだろうが、この刀は折れもせず欠けもせず
するりと金属の車体を貫通し、斬って行くだろう。
一番最後の車両まで切断して地面に降りれば、
怪異は先程より大きな悲鳴と車内をオープンにさせるも。
それは徐々に元通り、繋がろうとしていて。
「…斬ったのに効いてない…?!」
コアか何かがあるのだろうか。
これだけでは不十分なようだ。
■マディファ=オルナ > 「なるほどのう。
しかしながら、無茶は駄目じゃろ」
少女の回答には、そう感想を言いつつ。
見事に天井部分を真っ二つにしていくのを見るが。
「此奴を倒すには、機関部の破壊、もしくは運転手の撃破じゃ。
完膚なきまでに破壊し尽くすのもいいが、今のお主には難しかろう」
よっこいせ、と軽々と朧車を……彼女が下敷きにならない位置にいるのを確認してひっくり返し、
大剣を力任せに突き刺して地面に縫い付けた。
「さ、仕留めるが良い。
はようせんと、無理に復帰しよるじゃろうな」
あくまでサポートに徹し、彼女に手柄を持たせる気のようだ
■セレネ > 少女の言う通り、人であってもそうでなくとも無茶をするのは宜しくない。
ド正論を言われてしまえば己からはそれ以上の反論も出来ず。
彼女からこの怪異を消滅させる弱点を教えられ、何処にあるかと探す。
するとくるりとその怪力を用いて車両をひっくり返し大剣で縫い留めたではないか。
「……い、良いのですか?」
己は怪異に撥ね飛ばされた上天井部分を切り裂いただけだというのに。
にも拘わらず手柄を己のものとさせようとする彼女に躊躇いが生じ、
ひっくり返った怪異の上に跳び乗って機関部を探しながら問いかけた。
しかしこのままどうするかを決めあぐねていたらそれこそ好機を見失う。
悩むより行動だ。視線を動かして少しすれば機関部を見つけ、あそこかと小走りで駆けて行き
片手に持った刀をくるりと反転させ逆手に持ち変えると
深々と刃先を突き刺した。
突如、バチバチと火花が散り、引き抜いて飛び降りれば
断末魔を上げながら消えていくのが視界に映る。
「――これで、一体討伐完了…でしょうか。」
殆ど相手の手柄のようなものだが、とりあえずは一体仕留める事が出来たようだ。
■マディファ=オルナ > 「構わんよ、横から入って手柄を横取りするのは性に合わん。
逃げたなら兎も角のう」
遠慮する少女にそう答える。
怪異の上に少女が飛び乗れば、復帰してこないよう警戒をしつつ。
朧車が復帰し切る前に無事、機関部を破壊できたようで消えていった。
「うむ、そうなるのう。
儂には相性のいい相手で楽じゃよ」
この程度なら、自分の分の手柄は楽に稼げる。
だから気にするものじゃない、と言わんばかりに。
「しかしお主、見るに魔術のほうが得手ではないのかの?
拘りがある、ならば兎も角」
■セレネ > 「殆ど貴女のお陰と言っても良いですのに。
それにこの手の手柄は証拠も殆どないですし、誰がどう討伐しても変わらないのでは…?」
彼女が助太刀してくれなければ相当苦労していたに違いない。
だからこそ、これは己だけの手柄にはしたくない。
それに怪異というのは生き物と違って証拠も残りづらいのではと思い、首を傾げて問いかけた。
黒い靄となって消えていく怪異は、己の持つ刀に吸い込まれるよう消えていく。
その光景に蒼を見開くも他者がいる手前すぐに平静を繕って。
「相性…ですか。
となると、貴女は今までも怪異を相手にしたことが?」
改めて見れば彼女の服や頬には機械の油のようなものが飛び散っている。
もしかすればこういったものを相手にするのは慣れているのかもしれないと問いを投げて。
気にするなと言うような雰囲気には、目を細めて礼を言おう。
「――よく見ていらっしゃる。
というか、案外バレバレだったりするのですかね。
貴女の仰る通り、私は魔術を得意としております。」
今回、魔術を使わず討伐しようと思ったのはそっちのやり方も覚えておいた方が良いと思ったからで。
相手の言葉に苦笑を浮かべるしかなかった。