2020/10/03 のログ
マディファ=オルナ > 「何、気分の問題じゃ。
 確かに証拠は残らんじゃろうな、映像を記録せん限りは」

そういって、目元を指で軽く叩くように。
マディファは機械竜であるため、そういった映像記録を取るのは朝飯前だ。
そう答えながらも、黒い靄となって刀に吸い込まれていくのを。
そして少女がそれに目を見開いたのも目聡く見ていたが、特になにも言わない。

「一日にイ号……今戦ったやつじゃな、三体潰しておる。
 今は雇われて動いておってな、対価に見合った働きをしておるんじゃ」

現状、イ号は今回のように楽に討伐できる。
この戦いに参加したのも、その三体目を討伐した時に音が聞こえたからやってきたようなもの。

「儂から見れば、な。
 軽装前衛の肉付きでも動きでもなかったからのう」

何を考えて魔術を得意とする彼女が白兵戦に走ったのかは知る由もない。
色々予想はできるが、予想の範疇を出ないことだし、こちらからは言及しないでおこう。

セレネ > 「…気分。
えぇ、そう。その通り映像でもない限りは――…え?」

彼女が目元を指で軽く叩いた。
先程の機械の翼や人ではない膂力を見るに。彼女は機械で出来た生命体…とでも言うのだろうか。
であれば確かに映像を取るのは極初歩的であろう。
己は手柄の為怪異を討ち取った訳ではないけれど、彼女ならば何かしらに悪用するようにも思えなくて。

無事全て怪異を吸い込んだ刀を鞘に収めては、一息吐き。

「あれを一日に三体も。
雇われて、ということは…風紀委員会にということでしょうか。」

風紀以外に誰かしらを雇って怪異を討伐している組織は己は知らないが。
現在表立って動いているのは風紀だろうから。

相手が今回助太刀してくれたのも、偏に偶々運が良かっただけなのだろう。

「――ですよねぇ。
やっぱり、きちんとした動きは教わるべきなのでしょうか。」

我流で戦い方を確立するというのも悪くはないだろうが、素人がやるには時間がかかり過ぎる。
彼女の言葉に頷いては、どうすれば良いのかと悩む表情。

マディファ=オルナ > 「……おお、そういえば言っておらんかったの。
 儂はこんななりじゃが機械竜でな、人化の術でこの姿をとっておる。
 形式番号MDP-07、をもじってマディファ=オルナと名乗っておるよ」

驚く少女に、そういえば忘れていたと言わんばかりに今更明かす。
映像記録を悪用するつもりかと問われれば、そのつもりはないとは答えるのは間違いない。
そもそも、この程度の手柄ではマディファにとっては自慢にはならない。

「風紀ではないが、守秘義務が有るのでこれ以上は答えられん、すまぬな」

自分に答えられるのはここまで。
まあ、討伐を続ければ表立って動いている組織は風紀に限らないことは分かるだろうが。

「そのほうが良いかも知れんな。
 あ、儂は無理じゃぞ、見ての通り受け止める重装前衛じゃからな。
 あとは、朧車を練習台に使うにしても、情報を把握しておくべきじゃったろうな。
 訓練施設を使えば適度な強さの怪異とも、シミュレーションでは有るが戦えるじゃろうし」

始見で近接戦闘の練習台にするには、朧車は厳しい相手だ。
高速接近・突撃への対策を立てるにはいい相手では有るが、それも基礎ができてからのこと。
初心者が軽く手を出すような怪異ではないのは間違いない。

セレネ > 「機械竜。…マディファさんですね。
私はセレネと申します。宜しくお願い致します。」

名を明かしてくれる彼女に軽く会釈をしては己も名を名乗る。
彼女の見た目と名前を忘れないよう記憶しつつ。

「…成程。いいえ、お気になさらず。
守秘義務ならば仕方ないですもの。」

守秘義務については己も元の職務上あったので理解が出来る。なのでそれ以上聞く事はせず。

「刀の正しい扱い方、誰か心得ている方が居れば良いのですけど…。
情報についてはそう、ですね。私は組織に属していないとはいえ、もう少し情報は得ておくべきでした。
…シミュレーションは大事ですしもっと練習する事にします。」

元より己は戦闘が得意ではない。
だから彼女の指摘は尤もだと、心に刻む。
今回は本当に、彼女のお陰で助かったのだ。

「本当に、有難う御座いました。」

マディファ=オルナ > 「うむ、こちらこそ宜しくじゃ、セレネ殿」

会釈をされればこちらも会釈で返す。
マディファも、彼女の容姿と名前をきちんと記憶領域に書き込んで。
守秘義務について納得されれば、こちらも頷いて。
刀の扱いは、残念ながら宛てがない。

「まあ終わったことを気にしても仕方がない。
 今回の失敗を振り返り、それを次に活かすことを考えたほうがよかろう。
 どういたしまして、じゃ」

機械油の付いた顔でセレネを諭し。
礼の言葉には、笑顔で返す。

セレネ > お互い挨拶と自己紹介が出来れば、己は少しばかり血に塗れたままニコニコと微笑むだけ。
刀の扱い方は今後自身で探すとして、そこまで彼女に世話になるのも申し訳ないし。

「…そうですね。
失敗してこそ学ぶこともありますから。」

なるべくなら失敗しない道を探してはいるものの、それが必ずしも成功するとは限らない。
何事も経験、情報が大事だというのは父からも学んだ事だ。

「…良ければもう少しだけ、貴女の怪異討伐についていきたいなぁ…なんて思っているのですが…。
どう、でしょうか?」

己が足手纏いでなければ、是非とも同行したいのだが。
己の情報、経験を積むのも兼ねてそんな提案をしてみよう。

マディファ=オルナ > 「うむ、失敗は成功の母じゃ。
 無論、失敗を活かしてこそ言えることでは有るがの」

失敗を恐れる必要はない。
それが取り返しのつかないものならば兎も角、多少の損害くらいは取り返せるだろうし。
これで相手が人の子ならば、そうやって成長するものだろうと言えるのだがとは思ったりもして。

「む、儂の討伐に?
 ふむ……」

今日の討伐は終わったが。
しかしこうも頼られるのならもう少し討伐してもいいだろう。
果たして頑強さ任せの自分の討伐が参考になるかはわからないが。

「良いじゃろう、儂のやり方は雑派じゃがな」

そうして、提案を受けいれてもう少し朧車を討伐するのであった。

セレネ > 「失敗を活かさず同じ事を繰り返す愚行は犯したくはないですもの。」

相手の言う通り、失敗を恐れては何も出来まい。
己は人の子ではないにしろ、伸び代はまだあるから大丈夫…なはず。

己の無茶ぶりともいえる提案に、悩む彼女。
どうだろうかと少し緊張しながらも反応を待っていれば。

「本当ですか?!
有難う御座います!」

雑でも何でも、今は情報、経験が欲しい。
精査はその後でどうとでも出来るのだ。

そうして機械竜の彼女と共、もう暫しの朧車討伐へと同行するのだ――。

ご案内:「裏常世渋谷」からマディファ=オルナさんが去りました。
ご案内:「裏常世渋谷」からセレネさんが去りました。