2020/12/14 のログ
ご案内:「裏常世渋谷」にアーテルさんが現れました。
アーテル > 異界の街の大通りにて、一匹の獣が我が物顔で闊歩している。

どうやらここは都市伝説として語られている地、らしい。
曰く、長い滞在は精神を蝕む……とか。
曰く、自分の醜い部分が形を成して現れる……とか。
いずれも、この世界に足を踏み入れてから、改めて表の世界で調べたことだ。

だが、それはどれも人間であえばこその事象。
表の世界では人の姿をしているが、元より人ならざるものなれば。
ここは自分の思うままの姿で"伸びをする"には、丁度いい塩梅の混沌に塗れた地だった。
木を隠すなら、森の中。人を隠すなら、人の中。…なら、人ならざるものを隠すには?
この姿は、人の営みの中では目立ちすぎる。

「あんまり来たいとは思えねぇ場所だがー。
 ……まぁ、なんだ。
 俺ってばそもそもがニンゲンじゃあないんだと、思い返させてくれるのはありがたいもんだなぁ。」

退廃とした街並みの隙間を、ゆるゆると散歩がてら踏みしめる。
この場所、この状況なら、人から外れている者として振る舞ってもいいだろうかと、そんなことを考えながら。

ご案内:「裏常世渋谷」にユラさんが現れました。
ユラ > 抱えたピーナツの袋をもりもり食べながら練り歩く少年。
珍しいものを見るように、周囲をきょろきょろ見渡しながら。
そしてでっかい狐?に気付いた。

「何してんの?」

指についた塩を舐めながら訪ねる。
迷うことなく近付くあたり、多分怖いもの知らず。

アーテル > 「ほお。」

話しかけられるまで、気づかなかった。
というより、周りに気をかける理由がなかったから、気を配らなかった。
声のした方向へと、ゆっくり顔を向ける。

「なんだい、お前さん。
 俺ってば見ての通りのお散歩さ。
 お前さんこそ、こんなところでのんびり見物ってわけかい?」

こちらはこんなナリでも人は話しかけてくるんだな、とちょっぴり感心しつつ。
その大きな獣は人として話しかけるときと変わらない砕けた口調で、彼の境遇を聞いてみる。

ユラ > 「……食べる?」

手に乗せたピーナツを見せながら訪ねた。
唐突な接触の仕方である。

「ふーん、散歩。オレも散歩……兼、見物。
 こういう場所の探検は楽しいしね」

他人から楽しげに見えるかどうかはさておき、興味深い様子で周囲を見ている。
目の前の獣にはさほども意識を払わず、あくまで周りが見たいらしい。

アーテル > 「いーや、そりゃお前さんが食え。
 この姿じゃ焼け石に水だしな。」

くすりと笑む。
餌付けのような光景になるだろうか、なんて思いながら。
流石にこの体躯と比較しては量が量なので、厚意だけ受け取っておくことにして。

「聞いた話じゃあ、ニンゲンがここに居続けると気が狂うそうな。
 いいのかい?そんなあぶねぇ場所に散歩なんか来ちまって。」

口を開けば中々饒舌に、ころころと表情を変えながら、彼の話に合わせて言葉を繋ぐ。

「まぁ、冒険ってのは得てしてそういうもんか。」

そんな自分と打って変わって、辺りをキョロキョロと見渡す彼を見やりながら目を細める。
別段、襲って取って食おうなどとは思わないわけで。とはいえ、意に介さない辺りは豪胆だなあと思うくらい。

「俺ってばまぁ、観ての通りニンゲンじゃあねぇからな。
 元よりこことは相性が悪かないらしいがー……
 そんなお前さんはどうだい、ニンゲンならざるものが跳梁跋扈する場所に来たご感想は?」