2019/02/27 のログ
ご案内:「歓楽街」に桜庭 美月さんが現れました。
■桜庭 美月 > この島の夜に咲く花といえば、この歓楽街が最初に上がる。
とはいえ、彼女の知るどの都会とも違う、それこそ文化が混ぜこぜになったかのような、そんな夜の街。
具体的に言えば、漂う匂いの種類の幅が違う。懐かしい気持ちにさせたり、異国情緒を感じさせたり、場合によっては吐き気を催したり、様々だ。
そんなところでパトロールはまあ、割と度胸がいることではあるけれど。
デスクワークよりは向いている、とばかりにポニーテールを揺らして歩く女が一人。
「ちょっといいかナー、お話聞かせてくれる?」
なんて、たむろしている集団に片手をやっほい、と上げて声をかけ、学生? お名前は? 何しにきてんの? と、軽く聞き取りをしていく。
じろりと睨まれることもあれば、身体をまじまじと舐め回されるように見つめられることもある。
まあ、どことは言わぬが目は引くし、慣れたものだ。
■桜庭 美月 > 「なるほどねー、今日は友達グループの歓迎会の帰り、と。
あ? 私? お仕事中だっつの。 狙いのセンスはいいんだけどねー」
一緒に遊ぼうよ、という誘いにからからと笑いながら、片目でウィンクしてさらりと断る。
目くじらを立てて激怒するほど、根っからの教育者では無い。
むしろ、ふふーん、と得意げですらある。
「ま、女の子捕まえんのもいーけど、暗くならないうちには無理としても、早いうちに帰りなよ。
女の子じゃない奴捕まえちゃうかもしんないからね。」
と、ぴ、っと指を立ててかるーくお説教。
名前と学年、クラスはしっかりメモを取って、んじゃね、と手を振って男の子グループを見送る女。
■桜庭 美月 > 見送ったら次は、道端で座り込んでいる女の子の前で膝を折って。
「今日は寒いよー、どうしたのさ。」
なんて、ほれほれ、と両手を目の前で振って声をかける。
無視された上にあっちに行って、とにべもなく吐き捨てられて、頬をぽりぽりとかきながら立ち上がり。
「うーん、………私ガッコのセンセだからさ、困ったことあったらおいでよ。直接部屋に来ても話は聞くから。」
ね、と、声をかけてその子の前から離れる。
自分の力が無限でないことも、何でも解決できるわけでもないことも、一人にそこまで時間をかけていられないこともよく分かっている。
短い時間で精いっぱい声はかけて、広く浅く見回る。
それが仕事だ。
「………さて、次は、っと。」
くるりと見回して、はて、と首をかしげる女。
あまり見たことが無い通りにまで来てしまった。
■桜庭 美月 > 「まいっか。」
クッソ軽い調子で歩みを進める。
酔っ払いに肩を組まれても、はいはい分かったからお父さんちょっと仕事中だからね、と振りほどき。
手慣れた様子で華やかな街を歩いて、メモを増やしていく。
店の人へ、最近困ったことがあったかの聞き取りも欠かさない。
「あ、でも私もその肉の串一本とお茶一杯ね。」
ついでに注文もして腹も満たす。
食べたことがあまりない味の肉串をもりもりと口に入れて、もにゅもにゅと顎を動かして食べ歩き。
マナーがあまりよろしくないのは承知の上だが、………まあ、うん!
汁のついた指をぺろん、と舐めて、通りを見回す。
見知った顔や、見知った通りがあればいいナー、くらいの感覚。
まあ、こういう時に困ったことに巻き込まれるのもよくある話だが。
ご案内:「歓楽街」にツェツィーリアさんが現れました。
■ツェツィーリア >
飲み屋が増えてくる区画になれば
店は大通りからも離れて分散し始める。
隠れ家的な雰囲気の演出であったり、
若い学生の目につきにくいようにという配慮であったりと
様々な理由で大通りから僅かに見えるような場所に軒を構える店は珍しくない。
とはいえ大通りから一本離れればほの暗い路地は多く、
そんな場所は非行少年少女のたまり場になっている事も珍しくないが
……そんな一画に今日は女が行き倒れていた。
死亡事件の被害者もかくやと言った格好で地面に倒れたソレは
ピクリとも動かず地面に横たわっている。
が、近づけば地獄の底から漏れ聞こえる様なうめき声が聞こえる事から
それが生きている事には気が付くことができるだろう。
■桜庭 美月 > 「おわっ!?」
普通に路地を歩いて、横道にふらりと目を移せば。
その前に死体としても出来過ぎな行き倒れがあって思わず声が漏れる。
とはいえ、そうなればそうなったで、悲鳴を上げたり困惑したり、ではなく、すぐに近寄って……隣に膝をついて座り込み、怪我があるかもしれないから、すぐに抱き起したり揺すったりはせずに息を確かめ。
「……お姉さーん、お姉さーん、大丈夫ー?」
息はあることに少しだけ胸をなでおろして、軽く抱き起そうとしてみよう。
酔っているならば酒の匂いで、怪我があるならば血の匂いでわかるだろう、という判断のまま、よいしょ、と抱き起し。
黒髪ポニーテールの快活そうな女の顔が、おーい、なんて声をかけながら顔を覗き込んでくるのが見えるだろうか。
■ツェツィーリア >
力なく抱き上げられる女は
冬にしては薄着で、加えてその服はぐっしょりと濡れ
体の線が露になるほどべったりと張り付いている。
「a--…….」
同時に悲しいかな。
吐き出した呼気に混ざるのは酒気。
地の底から響くような声と共にうっすらと瞳を開くと
自身を抱えあげる女を認め
「Принесите……пожалуйста, воды.」
(ごめんちょっとマジやばいから水くれ)
凄く切実に駄目な人そのままな言葉を北の言葉で吐いた。
■桜庭 美月 > うわぉ、と小さく声を漏らして。
状況に事件性をちょびっとだけ感じるも、次にやってくる匂いに目をぱちぱちとさせて、あー、とわずかに声が漏れる。
「何言ってんだかわかんないけど、ちょっと待っててね。」
相手の目と状況で、なんとなくわかる。
とりあえず、と自分のスーツの上を脱いで相手に被せながらその場にもう一度寝かせて、薄手にワイシャツ一枚のまま鞄を片手に路地を引き返して。
しばらくすれば、ミネラルウォーターを手に駆け戻ってくるだろう。
ひとまず、とばかりに蓋を開けて渡しながら、膝に手を当ててふー、っと吐息。
久々に全力で走った。
■ツェツィーリア > 一先ず路地の壁に上半身を預ける
耳元で下手な楽団員に演奏されているような気分だ
抱き上げていた女は何か得心したように頷くと
服をかけて走り去っていく。
「ぁー……」
随分綺麗なフォームだなーと
凄くどうでも良い事に意識を向けて眺める。
正確にはどうでも良い事に意識を向けていないと
虹を生成しそうだったというのもある。口から。
「ぅっ……」
意識すると一段と辛い。
どうしてこんな目に会ってるんだろうと思う。
確かグラス二杯くらいしか飲んでないはず……
ああそういえば私下戸だったよ畜生。
そんな現実逃避を繰り返し必死にこらえていると
先程はしって行った女が水を片手に帰ってきた。
どうやら生の願望は伝わったようだ。
「……感謝」
一先ず必死に言葉を思い出すと
渡された水に手を伸ばして
浴びるもかくやと喉に通す。
口の端から零れていく水の感触がなんだか酷く心地良い。
■桜庭 美月 > 「いいって。」
ふー、っと手で汗を拭うようにしつつも隣にしゃがみ込んで。
水を威勢よく干していく姿を見つめる。
酔っ払いのお相手は現役時代も今もお手の物というか、仕事の範囲内である。
会話もままならない状態ではないかな、と当たりをつければ、特に急かすこともなく、水を飲み終わるまでその場で待っていて。
しばらく、飲み終わって一息つくまで待つ。
「………気分は落ち着いたかい、お姉さん。
私は桜庭美月(みつき)、そこのガッコのセンセ。
派手に酔ってたねぇ。」
と、こてん、と首をかしげて見つめたまま、まずはそこを確認し。
その上で隠すものでもない。自分の身分を明かす。
ついでに相手ににひひ、とゆるい笑顔で笑いかけ。
■ツェツィーリア > こんなにお酒は愛しているのにお酒を受けれられない体質とは
まるで叶わぬ恋を宿命付けられているかのようではないかと内心憤慨する。
因みに酔ったら大体いつもこれで怒っている。平和。
「あー……少し落ち着いたよ……」
僅かにはっきりしてきた意識を向け、
随分と酔っぱらい慣れしているなぁという感想を抱く。
流石に暦上は春が近いとはいえ、汗をかくほど走るというのも
ある程度年を取ると出来なくなるものだという。
なんというか、眩しいまでの健康体だ。
「酒は好きなんだけどねぇ……
酒の方が私に愛想振りまいてくれないのさ。
……ぅぷ……なんてこった」
借りていてすまんねとコートを軽く掲げるも
再びやってきた吐き気に顔を背ける。
こっちも訳あってこの寒空の下、インナーもなしに薄着の上
びっしゃびしゃなのだから上着を借りれるのはありがたいが……
「人のこと言えたもんじゃないが……
あんたけしからん容姿してるのに大丈夫か……」
なんというか、ワイシャツ一枚で
健康的な色気をこうも振りまいてると
酔っぱらいに絡まれても可笑しくない。
……絡んでるという意味では自分がまさにそれだろうという自覚はない。