2019/04/28 のログ
ご案内:「歓楽街」に暁 名無さんが現れました。
■暁 名無 > GWの夜更けにあっても、歓楽街の灯りは消えることは無く。
それでも幾分かひと気の無くなった通りを、乾いた血の色のような髪をした男が一人、歩いている。
常世学園幻想生物学科教諭、暁名無そのひとだ。
「ふむ、異常らしい異常は無し、か。」
既に時刻は夜半時を周り、あと小一時間もすれば深夜から早朝へと移る時間。
そんな時間にも関わらず、普段学校でもしないようなスーツ姿で名無はネオンの下をひとり歩いていた。
■暁 名無 > 流石にこの時間ともなると客引きや呼び込みの姿も無く、時折酔っ払いとすれ違う程度。
そんな通りを店を物色するでもなく、雑居ビルとビルの合間へと視線を向けながら歩く姿は多少浮いて見えるだろうか。
服装に輪をかけて珍しく眉間に一本の皺を刻んだまま注意深く歩を進める姿は、
校内での彼の姿を知る者ほど同一人物である事を一瞬疑うほどである。
「……ん、異常なし。」
路地から視線を外す際に呟く声が、雑踏が消えている通りに小さく響く。
休校期間中の見回り、にしては些か剣呑な雰囲気のままに名無は一度足を止めた。
■暁 名無 > スーツの胸ポケットから煙草を取り出し、おもむろに銜えて火を点ける。
そうしてまたぶらぶらと、紫煙の尾を靡かせながら歩き出す。
気儘な足取りだがしかしその表情は硬いままで、僅かな苛立ちすら滲んでいた。
「………。」
煙草の先から零れ落ちた灰がスーツに落ち、それを手で払い落とす。
路上喫煙が禁止されていないエリアとはいえ、他に通行人が居れば眉を顰められそうなものだが、幸いにもほとんど人通りは無い。
小さな溜息と共に煙を吐き出して、名無は再び足を止める。
視線の先はまたも路地。道というには細過ぎるうえに、ゴミ箱などが置かれ人が通れそうにない。
■暁 名無 > 「……どうだ?」
半ば睨む様に路地を睨んでいた名無が呟く。
そして僅かに目を細めた後、小さく肩を竦める。
「……異常なし、か。
やれやれ、こんな夜中にただ歩きまわるだけっつーのは、どうもなあ。」
吐き捨てるように呟き、それきり興味を失ったように路地から目を背けて歩き出す。
苛立ちを紫煙に乗せ、特に目的がある様には見えない足取りで歓楽街を進んでいく。
■暁 名無 > 「こりゃ今夜の成果は期待できそうにないな。
完全に骨折り損だ……ま、平和なのは良い事だけどさ。」
ほぼフィルターだけを残した煙草を口から離し、忌々しげに呟くと同時に手の内で燃やし尽くす。
手に残った灰を払い落としてから、大きく伸びをして、
「よーーーっし、今日はここまで。
まったく教師なんて性に合わない仕事をしてる上にこんな警邏なんてやってらんないよな。かーえろ。」
くるりと踵を返すと、それまでと打って変わって足取り軽く歩き出す。
名無が寝床にしているアパートはここから歩いてもそう掛からずに辿りつける距離だ。
欠伸を噛み殺しながら、名無は歓楽街を後にしたのだった。
ご案内:「歓楽街」から暁 名無さんが去りました。