2020/07/06 のログ
ご案内:「歓楽街」にNullsectorさんが現れました。
Nullsector >  
人の群れが跋扈する歓楽街。
建物の多さ故に、入り組み具合はまぁまぁ迷うのはわかる。
レナードがうろついてる最中、白い煙と煙草特有の悪臭が漂ってきた。

「……おい。」

それは、何時からいたのか。
背後から聞こえた女性の声。
振り返れば、そこにいるのは白衣を着こんだ女性だった。
眼鏡のレンズの奥に気だるそうな常盤色の瞳。
咥えた煙草から白い煙が立ち上る。

「あんまりフラフラ歩いてると、変なキャッチに捕まっちまうよ。
 未成年でも、時間を見なきゃねぇ。……あたいはキャッチじゃないよ?ただの、お節介。」

レナード > 「………ん。」

背後から、声をかけられる。
周りには自分を除いて誰もいない。自分を指しているのだろうか。
僅か振り返る様にして背後を見やれば、見知らぬ女性が立っていた。
…聊かここの雰囲気にそぐわない、白衣を身に纏った。

「…ごちゅーこく、どーも。
 やっぱ若く見えるわけ? なら、来たかいがあったってもんだし。」

わざわざ自分に声をかけたのだ。無視せず言葉を返すのが義理だろう。

「で、おめーはそんなお節介をかけに……ここまで来たってわけ?
 僕の動機は単純な興味好奇心だけど、そっちの都合がちょっと気になるし。」

振り向き、改めてその恰好を眺める。
ここで働いているようないで立ちでもなさそうだ。
これも、興味の範疇で、聞いてみることにした。

Nullsector >  
「……そうだな、"ガキっぽい"。」

無遠慮に言葉を煙と共に吐き捨てた。
胡乱な常盤色はじっ、とレナードを見据えている。

「まぁね。あたいの貴重な時間を割いてきたってわけさ。"レナード・ウォーダン・テスラ"。」

「都合?ふらふらと繁華街を歩いてるお前が"目"ついた……それ以上に何か欲しい?」

あたかもそれは、相手の事を知っているような物言いだった。
その証左と言わんばかりに、抑揚のない声音はフルネームを述べた。
両腕を組んでは、トントン、と自身の肘を叩く。

「"好奇心は猫をも殺す"……場所を選んで、程々にしておくことだね。」

レナード > 「………へえ。」

眼を細めた。
正式な手続き以外では漏らすことのほとんどない、"本名"を、この女は知っている。
それだけで、只者でないことを察するに易かった。

「そんな"物知りさん"が、こんなとこに紛れ込んだ哀れな子猫ちゃんを見つけて……
 わざわざごちゅーこくってわけ。」

眼はまだ使わない、彼女の出方を伺うまでは。
両手は空いている。通常の視界に収まる範囲でそれを確認できる。

「一体どこまで知ってるわけ?
 僕、ちょっと気になっちゃうし。」

学園にだけ明かしていることは手続き上、色々ある。
その内の一つでもある"本名を知っている"だけで、この女は油断ならない。
自分のどこまでを把握しているのか…素直に答えるとも思えないが、まずは口にしてみることにした。

Nullsector >  
「……睨むんじゃないよ。あたいにかみついたって、良い事は無いよ?」

さながらそれは、獲物を見据える獣のようだ。
挑発したのは此方だが、そこまでこらえ性が無いとは思っていない。
ふぅ、と呆れ気味に溜息を吐きながら、煙草を二本指で掴んだ。

「そう言う事になるねぇ。ついでに、どんな奴は確認しに来た……って、所かね?」

事実、嘘は言ってない。
嘘を吐く理由も無い。
何処まで知っているのか、と言われると左目が赤く染まる。
充血するように赤く染まり、その目前にホログラムのバイザーが覆いかぶさった。

「"見える範囲"だけ。世の中、アンタが知らないだけで、幾らでも情報なんて転がってるのさ。
 ……で、あたいが色々知ってるとして、"口封じ"でもしてみるのかい?」

此の島中いたるところにばらまいた目、それと連結している左目。
言葉通り、見える範囲だ。現実世界、電脳世界。
全て、この"目"で見える範囲で。
臆することなくつらつらと言葉を並べる。

レナード > 「……そりゃごくろーなこったし。」

自分を猫と言ったが、その鋭い眼は、蛇に近い。
自分の間合いに近づいてくる相手を、鎌首擡げてとぐろを巻いたように、じっと見据えて構えている…そんな雰囲気だろうか。
相手にそのつもりはなさそうだが、こちらは安心できない…それを言外に示している。

「ま、"物知りさん"のおめーなら僕の素性を知ってるんだろーけど……
 新参者には、まだまだ情報が不足してるわけ。
 こういう場所も、掘り返せば思わぬ宝もあったりなんてして。」

口封じなんて、するつもりはない。
相手を始末しても、立場が悪くなる一方でメリットがない。
それに、始末できる相手なのかも、分からないのだ。迂闊に仕掛けるような真似はしない。

「…それに、口封じをされると分かってるならのこのこ出て来たりしねーだろうし?」

…相手の素性は、まだわからない。その眼が何を捉え、知っているのかも。
相手は学院の内部か、その類か…その程度しか今は推測のしようがないのだ。
今優先すべきは、話を合わせながら、相手の素性を割り出すこと。そう考えた。

「口封じなんてするくらいなら、多少情報を引き出した方が得だし。
 僕の知らないことを知っているというのなら、だけど。
 てゆーか……そんなに詳しいってことは、学院の中の人なわけ?」

Nullsector >  
「宝さがしに躍起になるのは良いけど、下手打って罠にかかっても知らないよ?」

はぁ、と溜息を吐いて煙草を咥え直した。
こういうのを蛇睨みとでもいうのだろうか。
心臓を撫でられるような嫌な感覚。厄介な奴に声をかけたな
と、自分の性分を今更嘆いた。別に後悔はしていない。

「別に、アンタ程度に出来るとは思ってないからね。」

自信か、ブラフか。
どちらともとれる。
文字通り、吐き出される煙と共に消えていく。

「あたいかい?生憎、誰でもないよ。」

自らのこめかみをトントン、と叩くとホログラムのバイザーが消える。
代わりに、彼女の真正面に現れるホログラムモニター。
其処に映る映像は様々な景色が無数に区分けされており
まさに、島中の光景が一望できる彼女の視界の一つ。

「誰でもない情報屋。誰かの代わりに、代理人として情報を拾ってくる……で、あたいはそれを売りつける。『Nullsector』……。」

ヌルセクター。
其処には何もなく、参照すれば必ず何かしらのバグが起こる、虚数の使者。

「例えアンタでもなんで、欲しい情報は幾らでも上げるよ?まぁ、対価次第。だけどね?」

レナード > 「………へえ……」

眼を僅か見開く。驚きの感情は、なんとか抑えた。
何もないところに消え、何もないところから現れた、それら。
まともな説明なんかできやしない、権能に近い現象…異能のそれだろう。

「……つまるところ、虚数領域に住まう情報屋、ってわけ。」

ヌルセクター。
その言葉と彼女の発言を統合するなら、こう説明ができるだろうか。
ただ、彼女の異能が、その現れたものの真髄が、理解しようがない。
しかしそれで以て情報収集に明け暮れているというのだとするならば、どのような手を打てばよいものか…
そんな情報屋が目の前に居て、そして事実そこまで知っているということに、警戒せざるを得ない。

「……情報、か………」

とはいえ、彼女は顧客を選ばないらしい。
彼女自身の危険性はまず脇に置く。少なくとも、今は対策のしようがなさそうなので。
顎に手をあてて、少し思案した。

「……対価ってのが気になるけど、一体何と引き換えにしてるわけ?」

Nullsector >  
「理解が早くて助かるよ。」

つまり、今回の顔合わせも売り込みの一つに過ぎない。
推察通り、女は客を選ばない。
いや、多少選びはするが対価さえあれば基本あらゆる情報を売り出す。
裏を返せば、レナード含めてあらゆる知り合いの情報も売っている可能性もあり得るのだが
底まで疑い始めればきりがない。

「金。或いはそれに近い何か、行動くらいかねぇ。」

シンプルな答えだ。
吸い終えた煙草を足元に捨て、踏みつぶす。
結構マナーは悪い。

「ま、飽く迄顔見せ程度さ。欲しい情報が無ければ、それでいい。」

「……アンタに欲しいものはあるかい?」

レナード > 「…………。」

恐らく、他人にもこうして顔を売っているのだろう。
新参者の自分にさえ、接触するまでこんなに間がなかったのだから。
きっと何らかの手で、情報を集めているに違いない。
それが人づてか、あるいは異能によるものか…そこまで断定はできないが。

「ま、その辺が明朗な方が助かるって感じだし。
 実際使うかは別として。」

ともかく、今回は本当に顔見せ程度の接触だったと思うことにする。
であれば、これ以上彼女から情報を引き出すのは、それこそ対価がないと駄目だろう。
この類の手合いは、そういうことにきっちりしていそうだから。

「……欲しいもの………」

そう問われると、思い浮かぶものは、ある。
自分の身体に流れる血の呪い、それを完全に解く方法。
自分の代で、後にこの流れを残したくないと思う気持ちは、何十年も変わっていない。
……だからこそ。

「ある。
 でもそれは、おめーの手を借りて、どうにかしたんじゃ意味がない。
 僕は僕の手で、自分の背負った運命を捻じ曲げる。
 …他の願い事なら、欲しいと思った時に依頼してやるし。」

Nullsector >  
「一番信用出来るじゃないか。他人の言葉より、金と言うのは明確だからね。」

人が決めた取り決め約束、その物的ものこそ金。
信用できる明確なもの。
特にこういう商売では最も信用出来るものだ。

「…………。」

「……そうかい。」

素気ない返事だ。
だが、口元は小さく笑みを浮かべている。

「いいんじゃないか?そう言うのは男の子っぽくてかっこいいよ。」

女はそう言う人間が大変好きであり、気に掛ける節がある。
要は、本当にお節介なのだ。
そのままゆったりとした足取りで相手へと近づけば、とん、と肩に触れようとした。

「……欲しいものがあれば、あたいを呼びな。格安にしてやるからさ。」

自らの宿命に抗う男への、せめてもの手助け。
女はそのまま軽く手を上げて、繁華街の灯りへと消えていくだろう……。

ご案内:「歓楽街」からNullsectorさんが去りました。
レナード > 「……うるせーし、子供扱いすんなし。」

きっと、そのことも知っているのだろうから、反発するように言葉を返した。
眼差しだけは反抗的なまま、傍に近寄る彼女を視線で追う。
傍を抜けていく際に、肩に触れられる。それさえも、甘んじて受けてやる。
避けようとは、しなかった。

「……ふんっ。
 使ってなんか、やんねーっ!し!」

軽く手を上げて、繁華街の雑踏に消えていく彼女。
振り返るなりその姿に対して、口に指を入れ横に引っ張るような、そんな子供のような反応で以て見送ったのだった。

「………。
 帰るし。」

その姿が見えなくなった。後に残るのは、静寂だけ。
ここに抱いていた興味は、もう今日は持てそうにないから。
さっさと帰ろう。そう呟くなり、足早に立ち去って行った。

ご案内:「歓楽街」からレナードさんが去りました。
ご案内:「歓楽街 裏路地」に織機 雪兎さんが現れました。
織機 雪兎 >  
「ちょ!? ちょっと!? ふざ、ふざけんな!?!?」

歓楽街の路地に悲鳴が響く。
路地裏の水道管に手錠で繋がれた風紀委員の女子生徒がそれをガチャガチャ鳴らしながら叫ぶ悲鳴である。
視線の先にはギャハハと笑いながら背を向ける男たち。

「お前マジふざけんなよ!!! 鍵返せ!!! また始末書書かされるだろうが!!!」

マジの顔をしながらガチャガチャ鳴らし、また叫ぶ。
その叫びを聞いた男の一人は、弄んでいた鍵をその辺の地面に放る。

「おま――ふざっけ、おい!!」

ガチャガチャガチャ。
犯罪者を拘束するための手錠は非力な女子生徒の力ではビクともしないし、鉄製の水道管もまた同じ。
その状態で数メートル先に落ちている鍵には手が届くはずもなく。
男たちは楽しそうに笑いながらその場から立ち去ってしまった。

「……マジかよ……」

絶望。

織機 雪兎 >  
「どうしてこんなことに……」

平和に歓楽街を見回っていただけのはずだ。
そこで気弱そうな男子生徒をカツアゲしている不良を見付けて、いやだなぁと思いながら低い腰で注意したら、そのまま路地裏に連れ込まれた。
ああ僕の人生ここで終わりか、なんて思っていたら手錠を取り上げられて、こうなった。
おいどういうことだ普通こういうのって犯されるのがお約束じゃないのかよ。
いや犯されたくないけど水道管に繋がれて放置ってお前。

「どうすんだよ、どうすんだよこれ……!!」

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ。
激しく引っ張ったり揺らしたりするけど手錠も水道管もビクともしない。
いやほんとこれどうすんだよどうすればいいんだよ。

ご案内:「歓楽街 裏路地」に因幡幸子さんが現れました。
ご案内:「歓楽街 裏路地」に妃淵さんが現れました。
ご案内:「歓楽街 裏路地」に黒江 美景さんが現れました。
ご案内:「歓楽街 裏路地」から黒江 美景さんが去りました。
ご案内:「歓楽街 裏路地」から因幡幸子さんが去りました。
妃淵 > 路地へと訪れる人の気配が複数
けれどそれらは路地裏へは到達せず、気配を遠ざけてしまった

残る気配、と
小さなブーツの足音が聞こえて、しばらくすると

「あれ?」

少女雪兎が頑張って脱出しようとする音に感づいて、近寄ってきたのはスラムから足を伸ばしていた二級学生の少女
懐が温まったので歓楽街でたまには高い飯でも食うか…と訪れただけだった
あとついでに金になりそうなトラブル探し

「何ソレ、歓楽街じゃ最近そんなアソビが流行ってんノ?」

ぷふーっと噴き出しつつ、煽るような言葉を投げかける

織機 雪兎 >  
「ウヒィェアッ!!」

足音。
なっさけない悲鳴を上げてそちらを見れば、女の子が一人。
あっかわいい助けてくれるかな、と思ったら、

「遊びじゃねぇよチンピラにここに手錠で繋がれてんだよ助けて!!!!!」

煽られて若干ブチギレながら助けを求める。

妃淵 >  
「なんだー知らないアソビかと思ったのに」

当然そんなわけはない、軽口

「此処らのチンピラが女拘束するだけしてどっか行くとかネーと思うんだけど…。
 あれ、その手錠なかなかイイやつじゃん。路地裏で売ってるパチモンじゃないネ」

雪兎の前に屈み込んで、へ~っと楽しげに手錠をぺたぺた

「カギ、ないと無理じゃね?」

くすくす笑いながら、顔を覗き込んでいる

織機 雪兎 >  
「しらないよそんなん!実際こうして拘束するだけしてどっか行ってんじゃん!!」

うがあと叫ぶ。
実際落第街の連中ではないのだろう。
おそらく人を馬鹿にして楽しむ類の表の住人なのかもしれない。
正直そのまま放置されてるのはちょっと悔しい。

「風紀の手錠だよ!! 取られたの!! くそ!! ほらあれ! 鍵!」

目の前で煽る様に顔を覗き込んでくる美少女を追い払うようにしっしっと手を動かしながら。
見せもんじゃねーぞ。
あれ、と指差す先を見れば、鍵がその辺の地面に転がっているのが見えるだろう。

妃淵 >  
「アレ、お前風紀委員?マジで?」

風紀委員が、チンピラの玩具にされてる…?
それはちょっとおもしろすぎんぞ、と思う

「ふー…ン」

手錠されながら器用に指差した先を見れば確かに、カギらしきモノが落ちている
ポケットからフーセンガムを取り出して口に放り込みつつ、歩いていってカギを疲労

「コレ?」

薄暗い路地にわずかに差し込む陽光に鍵を光らせ、再び歩み寄って来る
にやっとした笑みを満面に浮かべて…

「助けてやったら何くれる?風紀のねーちゃん」