2020/07/21 のログ
■持流 童男 > 瞬間、涙があふれる。
「あぁーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
「恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!!!!」
「結局はモテたいだけのキモオタクかよ!!!なんで某は、某は、後も醜いのでござるか、なんで某は、弱いのでござるか!!!!」
「某は結局誰かといちゃつきたいだけ、本当に度し難い糞でエセヒーローで、ヒーローの資格なんかなんんじゃないでござるか・・!!!!!」
「なんでーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
「なんで、某は、誰かに覚えてほしいのでござるか・・!!」
「あぁ畜生怖いでござるな・・!!友達に忘れられのも、推しに忘れられるのも怖いでござる・・!!」
「でも・・それでも、やらなきゃ・・・某がやらなきゃ・・!!」
誰もいなそうな路地裏で一人の英雄が、苦悩し泣きつつも。
■持流 童男 > 「推しに忘れられるのが・・・怖い・・!!」
「本当に情けねぇ・・・!!!!情けねぇ・・・っ!!!!!!!」
壁を震える手でたたきつつも、
「あの時、覚悟が決まったんじゃねぇでござるか・・!!くそったれ・・!!」
誰も居なさそうな路地裏で、一人の大男の泣き声が響く。
涙を拭いつつも涙が止まらない。
■持流 童男 > 「大丈夫・・・某は、大丈夫・・・!!!」
「イカンでござるな。こんな所、誰にも見せられないでござるよ」
言いつつ涙を拭いつつ、。
「某も、甘くなったものでござるな。友達も、推しも助けて忘れられるのに慣れてきたのに、なんでこうも、怖いって思うんでござるかな」
一人こぼしつつ、壁にもたれかかる。
■持流 童男 > 義手を見つつ、自分を奮い立たせ。
「・・・帰っていかがわしいゲームでもするでござるか」
「まァ・・大丈夫。某はまだ、体が残ってて守るべきものもあるでござる」
おぼつかない足取りで、歓楽街の路地裏から、出ていこうとする。
■持流 童男 > 「 それでも、 守るべきもののために」
言いつつ歓楽街から自分のアパートに帰る。
ご案内:「歓楽街」から持流 童男さんが去りました。
ご案内:「歓楽街」に雨夜 賢瀬さんが現れました。
■雨夜 賢瀬 > 交差点の角に佇む、白いバイクと風紀委員制服の男。
缶コーヒーを片手に夜の街を眺めている。
制服を着ているので、非番というわけではない。
今日の俺の仕事は、「ここに居ること」だ。
夏休みに入り、開始された歓楽街健全化運動の一環……ということにしておこう。
ここにこうして風紀委員が立っているというだけで、それは意味のあるものになる。
パトカーの見ている前で速度違反をするか?答えはノーだ。
単純かつ効果的な、"注意勧告"。
■雨夜 賢瀬 > とカッコつけたはいいが、実質のところはただのパトロールのサボりだ。
初日からぶっ飛ばすやつはそうそう居ないだろ。
居たら暇がなくなって助かるってもんだが。……この缶コーヒーあんま旨くないな。
夏休みの休暇を取る予定は今の所ない。
俺が働くことで皆が休める。良いじゃないか。なんてね。
刑事部やら他の応援にも回ったことがあるから、割と適任だと自負している。
乗り物の都合、落第街ではあんまり出番はないが、行ったことがないわけでもない。
■雨夜 賢瀬 > 「まぁ、仕事がないのは良いことかね」
バイクに体重を預けあくびをする。
ここでタバコでもありゃよかったんだが、あいにく休煙中だ。
このバイクは特注品で、ある秘密がある。まぁあんまり出番はないがな。
必要になる前に、強い異能持ちの皆さんがやってくれるし、
破損したら修理が面倒だからあまり気乗りもしないし。
と、ヘルメットからアラームが鳴る。定期報告の時間だ。
ヘルメットのバイザーを降ろして、メッセージを送信する。
前回送信をコピーして、作成。歓楽区○○の○番○号、異常なし。
■雨夜 賢瀬 > バイザーを上げると、変わらぬ夜の景色。
"まだ"何も動き出す気配はない。夏休みが始まった夜。
あ……コーヒーが空になってしまった。
交代の時間まではまだしばらくあるな……。
男はまた大きなあくびをした。
ご案内:「歓楽街」から雨夜 賢瀬さんが去りました。
ご案内:「歓楽街」に日ノ岡 あかねさんが現れました。
■日ノ岡 あかね > 入り組んだ通りの中、立体的かつ乱雑に通された歩道橋。
増築に増築を重ねた結果出来上がったと思われるデタラメな違法建築物の上で、あかねはポラロイドカメラを構える。
まるで幾何学模様のように入り組んだ複数の歩道橋。
そこに行きかう人々ごと、シャッターで景色を切り取る。
「いつ来ても、此処は賑やかね」
違法建築の歩道橋の上、売り切れ表示ばかりが並んでいる自販機の隣で、あかねは笑う。
ご案内:「歓楽街」にヨキさんが現れました。
■ヨキ > 紫煙が尾を引く。
教師らしからぬ――否、歓楽街らしい歩き煙草で、長身の美術教師が教え子の姿に目を留めた。
「やあ、日ノ岡君」
自販機、あかね、ヨキの順に並び立って。
「最近、順調なようではないか……『トゥルーバイツ』。
そこここで君と同じ腕章を見かけるようになった。
城戸君にはなかなか会えずじまいだがね」
己の二の腕をなぞり、腕章を模したジェスチャ。
「君自身の調子はどうだい。
今日は『楽しいこと』の前に記念撮影かね?」
■日ノ岡 あかね > 「あら、こんばんは、ヨキセンセ」
にっこり笑って、紫煙を引き連れた既知の教師に軽く片手を振る。
自販機の隣で並び立つ二人。
人並みの流れは相変わらず、目前で川のように流れ続ける。
「ま、私も含めてそこそこ順調よ、みんなのお陰……ヨキセンセも居てくれるお陰ですよ? センセが共通の知人だったから仲良くなったって例も一杯あるんだから」
同一の知人同士の話題で盛り上がるというのは、よくある事。
ヨキはその「同一の知人」として良く話題に上がる人物の一人だった。
『トゥルーバイツ』も、そういう縁で知り合った隊員も何人かいる。
「先生も記念撮影する? 『楽しいこと』の前には大事でしょ?」
両手で構えたカメラを持ち上げて、ニコニコ笑う。
とても、楽しそうに。
■ヨキ > 「ああ。腕章を着けてから、顔が生き生きとしてきた教え子も見かけてな。
生徒同士だからこそ芽生えてくれた縁が有難い。
君には礼を言わなくてはね」
笑って頷く。見守る者の、穏やかな表情で。
カメラを手に楽しげなあかねの様子には、吸殻を携帯灰皿へ押し込めて。
「それでは、一枚撮ってもらおうかな。
代わりに、ヨキのスマートフォンでも撮らせておくれよ。
互いに一枚ずつ持っておけば、思い出にもなろう」
ピースサインを作る。
この男、写真を撮られ慣れているし、また撮ることも好いている。
「『真理に噛み付きに行く』そうだな。
何を仕出かすか知らないが、己の道を進む教え子を晴れやかに送り出してやらなくてはね」
■日ノ岡 あかね > 「勿論よ! それじゃ、遠慮なく……えいっ!」
互いに身を寄せて、自撮り風の写真を撮る。
ヨキのスマートフォンで一枚、あかねのポラロイドカメラで一枚。
だが、ポラロイドカメラの一枚もヨキに手渡す。
「私もスマホあるから、センセが撮った奴後で送って。その写真は……持っててくれると嬉しいわ」
にこりと笑う。
夜の歓楽街、文字通りの遊蛾の舞う街灯の下。
色取り取りのネオンの光は、ヨキとあかねの相貌に複雑な陰影を象る。
「まぁ、『真理に噛み付く』っていっても……前と同じことするだけよ。勿論、前より成功率は上げて挑むけど……何せ相手が相手だからね。多分焼け石に水。それでも、やらない理由にはならないから出来ることは全部するけどね」
前。『トゥルーサイト』の頃にやったこと。
『真理』と呼ばれる異界の『何か』と接触し、『願い』をかなえる方法を教えてもらう。
無論、実現不可能な事を言われることもあるかもしれない。
敢え無く『解なし』とだけ言われて終わるかもしれない。
それでも。
「まぁ、『見て見ぬ振り』は出来ないし、自分の運命を塗り替えようと思ったら……他に手がないからね」
他の手は概ね試した。
試した末に此処にいる。
だから本当に……これは最後の手段。
「『私』が『私』だから『私』を行う話をしてくるだけ……センセ、助けてくれてありがとね」
既にヨキは『助けて』くれた、そう、あかねは思っている。
ヨキの名のお陰で……落第街での『トゥルーバイツ』の活動が楽になった事例は少なくない。
恐らく、動いてくれていたのだろう。
そう、あかねは好意的に解釈していた。
「お陰で何とか……今回も博打を打ちにいけそうだわ」
■ヨキ > ポラロイド写真を受け取って、徐々に鮮明になる画像と正面のあかねの顔とを見比べながら。
「なら有難く、この写真はいただいておこう。
判った。綺麗に撮れておるから、安心したまえ。送っておくよ」
もらった写真を、丁重に鞄の中へ仕舞い込む。
「ほう、前と同じことか――ふ、はは。君は本当に博打打ちだな」
『トゥルーサイト』の顛末は、ヨキも無論知っている。
彼女――日ノ岡あかねが、最後の生き残りであることも。
「ヨキの手助けなど、微々たるものだ。
君と『トゥルーバイツ』の面々が駆け回ったからこその成果だと……ヨキはそう思っておる。
『君』が『君』だから『君』を行う話なのだろ。
教師が出来ることは――君を支え、隣に並び立ち、その背を押してやること。それだけだ」
にっこりと。
気さくに笑う。
「博打も博打、大博打だな。
勝負に挑む前に、憂いや悩みなどはなかろうな?
思考が鈍っては、君の頑張りも水の泡だ」
■日ノ岡 あかね > 「ふふ、センセも相変わらずの御謙遜ね……まぁ、本当は博打なんて打ちたくないんだけど……他に手がないから仕方ないわ。他の手が『諦める』しかないなら……『諦められない』なら『博打を打つ』しかない……それだけだからね」
ヨキとあわせて、気さくにあかねも笑う。
先日の天気の話でもするかのように気楽に、気安く。
実際、ヨキからすれば……その程度の時間間隔なのかもしれない。
彼の教師とあかねが生きる時間は……どうしても感じ方が違う。
「憂いも悩みも一杯あるけど、まぁ、それも含めて大丈夫。準備は全部したから……あとは計画通りに進めるだけ。それでダメなら私の負けよ。元々、勝ち目の薄い勝負。覚悟はしてるわ」
元より、既に一度負けている勝負。
しかも、相手が相手だ。
芳しい結果だけを期待するのは余りに向こう見ず。
失敗したときのことは当然考え……覚悟している。
「むしろ、私は運がいいわ。二回も勝負できるんだから。『トゥルーサイト』は私以外は一回しかできなかったのにね」
■ヨキ > 「君は全く、よく出来た生徒だとも。
君ほどの優等生なら、堅実な道を歩んでもらいたいくらいだが……君だからこそ出来る勝負というものもある。
勝負と聞いては、さぞ引き止められたり、妨害の手も多かろうな?」
腕を組む。
思慮深くも大胆な少女の横顔を、見下ろす。
焼き付けるように、見つめる。
「……ふふ、そうだな。二回目の勝負だ。
捲土重来。再び立ち上がる君を、ヨキは応援するよ。
だから、……そうだな」
少し考えてから。
「たとえ成功したとしても、『補習』は免れられぬだろうから。
その後のことを、約束しようか。
扶桑百貨店の『エンピレオ』を、フルコースで……それとも、『崑崙』で美味しいお酒がいいかな。
『橘』のデザートを、有りっ丈シェアするのも悪くないね。
ヨキはそうやって、君の『帰り着く場所』のひとつで在り続けよう」
鞄から、スマートフォンを取り出してみせて。
「……だが、危なくなったときは。助けを呼ぶことも臆するな。
無言でもいい。本当に困ったときには、とにかくヨキの電話を鳴らせ」
■日ノ岡 あかね > 「ヨキセンセは本当に優しいんだから……そういうところ、大好きですよ。『補習』も安心していける」
ヨキの提案は、どれもこれも……心から喜ばしいもの。
あかねは頬を軽く朱に染めながら、じんわりと笑う。
あかねの帰る場所。居場所。それを提供してくれるという教師。
……そこにあかねも辿り着きたい。
だから……引けない。諦められない。
『願い』を手にしなければ、そこには行けない。
本当の意味で其処に行くためには……『願い』を手にするほかない。
それを、日ノ岡あかねは……身をもって知っている。
「センセの提案は全部嬉しいんだけど……思ったより邪魔はなさそうみたい」
軽く肩を竦めて、あかねは笑う。
どこか、申し訳なさそうに。
「一人だけね、トカ君って子だけが真正面から『そんなことさせない』っていってくれたんだけど……他の人達はそうでもないみたい。だから、博打自体はあっさり出来そうよ」
それ自体は良い事。
あかねとしても好都合。
だが、同時に……少しだけ、あかねは苦笑を漏らした。
「『悪』が『悪』だから『悪』を行う話は、どうやら私の話とは交わらないみたい」
素直に言えば、それは残念だったから。
計画の一環でしかなかったとはいえ、『楽しみ』は『楽しみ』だった。
『トゥルーサイト』も届かなかった『願い』を、ある意味違う方法で叶えようとしている集団ではないかと、あかねは少しだけ期待していた。
だが、どうもそれも……あかねの想像とは大分違う目的を持っていたようで。
「対面は今回居そうにないわ。刺激はなさそうね。あっさり終わりそうよ」
思ったより、この島は『平和』だということだ。
誰もに敵は居らず、誰もに障害はない。
日常が横たわっている。
それが分かったのは良くもあり、残念でもあった。
■ヨキ > 「だって、そうでなくては。
……死んだ君の仲間も。『ヨキの教え子』も。浮かばれぬよ」
『トゥルーサイト』時代。
命を落としたあかねの仲間の中には、ヨキが知った顔もあった。
だから。だからこそ。
ヨキは迷わずあかねを送り出し、また帰る場所ともなる。
どこか残念そうなあかねの苦笑いに、ヨキもまたふっと吹き出す。
「――そうか。それは良かったというべきか、残念がるべきか。
みながみな、己の生に懸命なのだよ。
今回はそれがたまたま、君とは衝突しなかったというだけ。
人と人とがぶつかり合う機会など、生きて居ればいくらでもあるのだから」
手を伸べる。
あかねの背中に、ぽんと手を置く。
「ヨキはいつでも、教え子を送り出す側だ。
送り出してそのまま袂を分かった者も在れば、命を落とした者も在る。
……それでも、君には。
『ただいま』と、言って欲しいから。
ずっと地下に居た君には。
常世島の夏を、久々に味わってもらいたいからな」
それは『トゥルーバイツ』が成し遂げようとしている大願よりも、ずっとずっとささやかな願い。
あかねの背に、手を宛がったまま。
そこに日ノ岡あかねが在ることを、刻み込む。
■日ノ岡 あかね > 「確かに、今回は水着を着る暇もなかったしね」
冗談めかして笑う。背中に置かれた大きな手も心地良い。
あかねは、ヨキという教師のこういうところがとても好きだった。
彼は何も変わらなかった。いつでも彼のままだった。
この島に来た時も。
暴走事故を起こした時も。
『トゥルーサイト』に居た時も。
『トゥルーサイト』が……あかね以外皆死んだ時も。
『補習』から戻った時も。
『トゥルーバイツ』が出来た時も。
……二度目の博打を内に行く今この時も。
ヨキはヨキという存在のままでいてくれた。
きっと、また次……いつ出てくることになっても。
ヨキはヨキとして、日ノ岡あかねと接してくれる。
そう、信じられる。信頼できる。
だから……あかねにとって、ヨキという教師は……ありがたい存在だった。
自分が居ても居なくても……きっと、そのままで居てくれるだろうから。
「ふふ、私の『願い』だってささやかなモノよ? まぁ、でも……きっとみんな、そうなんでしょうね。願っている事はきっとささやかで……そのささやかな『願い』のために懸命に生きている。今回、見たい話が途中までしか見れそうにないのは残念だけど……それも『今回たまたま見れなかった』ってだけね。あとでセンセ、教えてね? 今度の『補習』多分長いだろうから」
出てきた頃にはきっともう、合法的に酒も煙草もできるだろう。
それは覚悟している。織り込み済み。
だが、それは少しだけ……あかねにとっても楽しみでもあった。
「だから……次の『ただいま』の時は、それも一緒に楽しめるわね?」
煙草を吸うジェスチャーをして、いつもヨキが楽しんでいるそれを揶揄しながら、あかねは笑った。
とても、嬉しそうに。
「じゃあ、こんなところで」
そういうと、あかねは改めて制服の皺を少し伸ばし、スカートを直してから……ヨキの目前にまで移動し。
■日ノ岡 あかね >
「ヨキ先生、いつも本当に……ありがとうございました。行ってきます」
■日ノ岡 あかね > かしこまって、そう頭を下げる。
しっかりと、背筋を伸ばしてそういってから……元の姿勢に戻って、いつも通りに笑った。
嬉しそうに、楽しそうに。
いつもの、日ノ岡あかねの笑みを漏らして。
「『また』ね、センセ」
そのまま、雑踏に消えていく。
相変わらず足音もさせず、野良猫のように。
その少女の姿は、歓楽街の人並みに消え……あっと言う間に見えなくなった。
まるで、夏の陽炎のように。
ご案内:「歓楽街」から日ノ岡 あかねさんが去りました。
■ヨキ > あかねの冗句に、明るく笑う。
異能者の島の教師は、とりわけタフな存在でなくては務まらない。
だからヨキは、異能を制御出来ない生徒たちをも見ているし、こうして歓楽街や落第街も気に掛けている。
日ノ岡あかねは、そんな風にして出会った生徒のひとりだった。
だからこそ、彼女がこうして自分の道を選択することを、ヨキは阻まない。
「ああ。君の代わりに見守っておくよ。
ヨキは独りしか居らぬゆえ……多少の取りこぼしは容赦してくれ」
冗談めかして笑う。
「積もる話を、たくさんたくさん交換しよう。
ヨキと君とは、ずっとそうやって永くやってゆける」
付かず離れず――教師と生徒にしては近しくて。そんな、心地よい距離感。
「ふふ。酒も煙草も、大いに満喫しよう。
君はきっといい女になると、ヨキが保証するから」
――やがて、あかねと向かい合う。
畏まった距離。視線が交わる。
■ヨキ >
「こちらこそ、どうもありがとう――日ノ岡あかね君。君のおかげで、ヨキも教師として成長できた。
気を付けて、行ってらっしゃい」
■ヨキ > こちらもまた、頭を下げ返す。まるで卒業式の予行演習みたいに。
再び顔を見合わせれば、ヨキもまたいつも通りの笑顔で。
「ああ、『また』会おう。日ノ岡君」
見送って、独り。
そのまま路上に立つ。
――手の中の、スマートフォンを操作して。
二人で撮った写真を、あかねの宛先へと送信する。
かわいらしいペンギンのキャラクタが“がんばれ!”と旗を振る――
そんな何気ないスタンプと共に。
間もなく、ヨキもまた歩き出す。
いつも通りの歩調で、ヒールの靴音と共に。
小洒落た様相に。あえかな香水の匂いに。規則正しい足音に。大きな手の体温に。
何もかもの余韻を残すようにして。
ここにヨキは在ると、示すかのように。
ご案内:「歓楽街」からヨキさんが去りました。
ご案内:「歓楽街」に柏木凛さんが現れました。
■柏木凛 > 「はーい、安いよ。見てってもいいんだよ」
歓楽街の賑やかな騒動に負けない声で客引きを行う姿。
手には割引と書かれた看板を持ち、兎も角目立つという姿で如何にも怪しい店の前で声を上げる。
「って、こんな怪しい店。普通はこねーか」
大きな声を上げて客を引くも全く客が来るわけでもなく。
来るのは逆に怪しい客引きやナンパというありさま。
そのつどに追い払いはするがしつこい連中も多く、そう言った連中は今は傍の路地に転がっていたりするが…。
「ま、後少しの辛抱だ。安いよー、見て行ってッて言うか見てけよな!」
元々荒い言葉使いを更に荒くし、逆に人が離れていても気にしないで声を上げて。
ご案内:「歓楽街」に金剛 経太郎さんが現れました。
■金剛 経太郎 > (……いかん、また迷った……)
世間はすっかり夏休みムードに席巻され、人で賑わう歓楽街。
行き交う人々に揉みくちゃにされながら金剛 経太郎は渋面を作っていた。
小さな体は周囲の人間からは気付かれ難く、ぶつかられたりなどしょっちゅうで。
「……あいたっ!」
ぽーんとはじき出されるように突き飛ばされた末に、人混みから飛び出した先には何やら怪しげな店と、
(な、なんだ……胡散くさ……)
やたら派手な服装の客引きの女だった。
■柏木凛 > 「やっぱり来ねーよな」
絶対にこの店は悪評があるだろうと変に怪しい店を見る。
仕事でも無ければ自分でも好き好んで近寄らない分類の店。
もう良いか、終わって帰ろうかと看板を下ろして黍を返そうとし。
「お、もしかして見ていくのか?それなら大歓迎だぞ」
丁度人込みから現れた小学生ぐらいの少年。
はじき出されたとは思わず、この辺りにいる益せたもの好きと思えば笑みを浮かべて近づき。
早速客引きにと声をかけていく。
■金剛 経太郎 > 「えっと……ここ、お姉さんのお店?」
こんな時どんな表情をすれば良いのか分からないの。
声を掛けられると口元を若干引き攣らせながらも笑みを浮かべて。
真っ直ぐに怪しい店へと指をさしながら、女を見上げる。
「たまたま通りがかっただけなんだけど、何か面白いものでも売ってるの?」
正直、店の外観からも客引きの女の服装からもどんな店なのか皆目見当もつかない。
そもそも小学生(見た目だけ)が入っても問題無い店なのだろうか、という疑問が先に立つ。
■柏木凛 > 「ここが?冗談でもよしてくれって。俺の店じゃないよ。
仕事で頼まれて客引きをしてるだけだよ」
口元を引きつらせた笑みに緊張をしているのか嫌々なのかが今一に判断できず。
怪しい店を指さし見上げる少年と視線を合わせるように身を屈めて。
「なんだ、そう言う事かよ。面白いもん……って言うか変なもんだな。
少なくともお前みたいな子供が見るもんじゃないと思うな」
少年の問いには眉間に皴を寄せて碌でもないと言うように首を振り。
商店街などならば少年が入ろうとすれば先ず止められる類の店。
歓楽街だからこそ良いんじゃないかと入るのを止めずに流していて。
■金剛 経太郎 > 「そ、そうなんだ……」
なるほど納得である。
ということは奇抜な服装も貸与された制服なのだろうか、と訝しむ。
……やっぱりどういう店なのか分からない。
「えー……変な物のうえに子供が見る様なものじゃないって……」
幾ら仕事でもそんな店の入店を歓迎するのは如何なものか。
喉まで出掛った言葉を飲み込みつつ、辺りを見回す。
この店の異様さと客引きの女の異様さ、その相乗効果か店の前は自然と人払いがされていた。
新手の魔術かと錯覚するほどには。
「お仕事……ってことは、お姉さん、このお店でアルバイトとかしてるの?」
よし、人混みに戻るタイミングを探ろう。
戦略的撤退を決め込み、まずは人混みを店前まで戻そう。
異様な客引きが納まれば多少は人も避けなくなるだろうと踏んで、雑談を仕掛けていく。
■柏木凛 > 「俺は何でも屋なんだよな。それでな……」
こんな仕事もやってると面倒そうに肩を落として見せ。
ただ奇抜と言える服装は自前、制服でも何でもなく。
「女の俺には説明しにくい店って事だよ。こっちの世界じゃ大人が来る店らしいな。
俺のいた世界じゃお前ぐらいの子供でも使ってたらしいんだよな」
元の世界なら問題はない、しかしこの世界では問題だから面倒だという顔。
少年が何を考えているかなど知りもしないで言葉を続けて。
少年とは言え一人でも客と思われる人がいれば多少は宣伝効果になるのか足を止める人も出始め。
「客引きのバイトだな。中に店主はちゃんといるぞってか……中で働きたくねーって」
それはどんな拷問だよと嫌そうな顔。
看板を地面に立てては少年の思惑に乗り話をはじめ。
客引きよりもこうしている方が楽しいと楽しそうな笑みを浮かべて。
■金剛 経太郎 > 「ふーん、何でも屋さん……」
何でも屋さんって大変なんだな、と少しばかり女に同情する。
そして奇抜な服装がまさか自前の物だとは夢にも思わない。
「じゃあ、僕入っちゃダメじゃん!」
いや、その説明でもいまいちピンと来ないが。とにかくお子様お断りな店なのだろうという想像はついた。
というかそれ以上の想像はしたくなかったとも言える。
「何でも屋さんが他所のお店の客引きのアルバイトなの……?
えっと、その……大変、だね。」
中で働きたくない、と言われたところで経太郎なら外でも働きたくは無いと思う。
まあでもきっと色々なしがらみやらがあるのだろう。仕事ならそういうこともある。
経太郎は見た目小学生だし、中身も高校生なので大人の事情はよく分からないけれど。
■柏木凛 > 「そうそう、だから何か頼みたいがあったら言ってみな。
値段相応で聞いてやるからさ」
見た目で子供と信じこんな仕事よりは良いだろうと自分の売り込み。
元の世界では比較的普通な服装なので変だとは思っていなく。
「どうせいつかは興味持つんだし遅いか早いかだって」
細かい事は気にするなと少年に手を伸ばして乱雑に頭を撫でていこうとし。
動けば胸元が揺れ動いたりとして。
「そう言う事だな。今日は客引きの仕事を頼まれったって訳だ。
まあ……そう思うなら見て行けって」
少年と話していれば興味を持った様子の数人が中にと入り、女性は赤い顔で出てくるが男は入ったままで。
こういう客引きよりもどちらかと言えば荒事を得意としているので苦手な仕事程面倒。
それよりも見て行けと立ち上がっては手を掴んで店内に連れて行こうとして。
■金剛 経太郎 > 「誰からの依頼でも受けるんだ……
えっと、まあ……お金が出来たら、ね!」
流石に子供のお願い事よりいかがわしい店の客引きの方が実入りは良いと思うぞ、と思っても言えず。
ますますどんな顔をすれば良いのか分からなくなっていく。
「いや、そういうことじゃなくて……!」
興味の有無と店に入って良いか悪いかというのは別問題。
それを主張しようとするも乱雑に頭を撫でられ、首を竦めて視線を下げれば揺れ動く膨らみが視界に入り赤面する。
「いやいやいや、だから待ってって。入れないから!
入れた方も怒られるしお店も怒られるから!今風紀委員の見回り厳しくなってるし!」
見つかれば大惨事不可避といったところなので無理矢理は良くないぞと止めに掛かる。
それでなくても通行人が興味本位で入って行ってるのだから、自分が行く必要はないだろう、と。
■柏木凛 > 「こっちの世界はモンスター討伐なんてないだろ?
だから選り好みできないんだよな。見てくだけならタダだって」
金は必要だが気が乗らないよりは少額でも気が乗る仕事。
少なくとも今の仕事よりは気分が良いという適当な基準で仕事を考えていて。
「そう言う事じゃないならどういう事なんだ?お前も男なら女の子は好きだろ?」
少年が細かいのか自分が大雑把なのか、おそらくは後者だろうとなんとなくわかり。
急に顔が赤くなればなんだと首を傾げればまた揺れて。
「別に良いと思うけどな、店主は誰でもいいって言ってたし……昨日はお前ぐらいのが3人入ってんだぞ?
風紀委員な…あの連中はうるさいよな…」
少年が自分あらはいるのならばいいが連れ込むのを見付かれば面倒だと強引に行くのは断念。
年下に諭されたのは癪だが間違ってなのでぐうの音も出ずに。