2020/07/26 のログ
持流 童男 > 「うっし!!今日はここまでにするでござるか!!」
・・・言いつつ今までのことを振り返る。

「色々とあったでござるが、某は、伽藍堂ではなかったのでござるな」
「某は、色んな人に生かされて生きてるでござる。だから」

「胸をはれて守れるヒーローになるでござる。褒められるヒーローに」

笑いながらも、そういって歓楽街の空を見上げつつ。
アパートに帰った

ご案内:「歓楽街」から持流 童男さんが去りました。
ご案内:「歓楽街 再開発区域」に角鹿建悟さんが現れました。
角鹿建悟 > 『角鹿――こっちはほぼ終わりだ。そっちに手伝いに回るか?』

片耳に付けた小型無線機からの言葉に作業の手を一度止める。一息零してから小型無線機のスイッチを押しつつ報告を返す。

「こっちも順調なので他の方のフォローをお願いします、空木先輩。――確か、韮崎先輩の方が梃子摺ってた記憶があるので、そっち回った方がいいかと」

『あーーそういや、アイツの担当は一番ごちゃごちゃした所だったわな。りょーかい、そっち回るわ。
もし手が必要なら遠慮なく言えよー”直し屋”さんよ!』

そんな軽口と共に先輩の通信が途切れれば、溜息を一つ…チーム内でもすっかり”直し屋”の通称が定着している。
そもそも、直し屋というならば自分だけでなく、修繕に関わるチーム全体が当て嵌まるだろうに。

(――特定個人だけをそう呼ぶのは意味が分からんな)

と、自分の功績や働きぶりに特に無関心な男はそう淡々と割り切り、作業を続ける。
とはいえ、やっている事は何時もの修復作業の延長だ。一応工具などもしっかり用意してきているが。

角鹿建悟 > 古い建造物をまずは壊す――そして、新しい建造物を立てる。当たり前の事で何時もの作業の一環だ。
とはいえ、”直す”を絶対の信条とする男にとって、必要とはいえ”壊す”という行為は複雑な気持ちもある。

――が、それを気にしていたら仕事にならない。だから個人の感情は押し込めて作業に従事する。
とはいえ、それでも”壊す”のには矢張り抵抗があるのは否めないのだが。

「――だから、再開発の仕事はあまりやりたくないんだけどな。」

黙々と文句も不平不満も無く仕事をする彼には少々珍しい愚痴を零しつつ。
目の前にあるのは2階建ての古い建物。その周囲を歩き回り、なにやら壁をぺたぺたと触り確認。
そして、ちょっとその建物から離れてから銀色の双眸を細めて建物全体を俯瞰するように見る。

「―3…いや、4箇所か…まぁ、これならいけるか」

呟いてから無造作に壁へとまた近寄れば、軽く無造作に壁へと拳を叩き込む。

――瞬間、建物の一角が一気にガラガラと呆気なく”崩壊”した。特に強打したようには見えない。
――建物の老朽化?それもあるが、これが男が日頃は使うのを嫌がっている”技能”である。

角鹿建悟 > 男の銀色の双眸は少々特殊だ――物体の”脆い箇所”を見極める事に優れている。
あとは、そこに最小限の衝撃を加えてやれば今のように”崩壊”現象を引き起こす事が可能だ。

――だが、やっぱり必要とはいえ壊すのは気分が良くない。この辺りはもう性分か。

「―――はぁ」

気が滅入るが仕事は仕事。そのまま、他の箇所――見極めた特定の3箇所のポイントに、それこそ軽く拳をぶつけただけで――2階立ての建物は呆気なく完全に瓦礫の山と化した。

(直す者どころか”崩す者”だな、これじゃあ――)

直せるならば崩す事も出来る。能力と或る意味で対をなす技巧だが、男にとっては嬉しくも何ともない。

角鹿建悟 > 崩して直す、直して崩す――思えばそんな事の繰り返しだ。
――島に来る前もそうだった。自分だけが能力を持っていて――自分だけが奇怪な目を持っていた。
”忌み子””鬼子”などとよく陰口を叩かれていたのも記憶に残っている。

(―――……)

”余計な事”を思い出した。僅かに目を閉じて頭を振る。仕事に集中しないと。
それから、もう2,3件ほど”崩し”て瓦礫の山に変えれば、そこからは別の担当にバトンタッチだ。
そちらは物体の組成を変化させる力を持っており、それを利用して新しい建物を建造する、という仕組みだ。
勿論、並行してちゃんとした建造技術で建物の開発なども進められている。

――こういう時、崩すのが主な仕事になるのが本当に微妙な気分になる。
と、気が付けば休憩時間だ。親方やチームの皆、現場の人たちに挨拶をして一度その場を離れる。

「―――はぁ」

再開発区域の外れ、小さな広場じみた所にあるベンチに腰を下ろして一息。

角鹿建悟 > 肉体的には然程疲れは無いのだが、精神的にこういう作業は疲れる。
途中の自販機で買い込んだお茶のペットボトルを片手にぼんやりとベンチに座り込む。
流石に蒸し暑いので作業着の前は開けてやや寛げながら、蓋を開けて中身のお茶を一口。

「ふぅ――そういえば…慰霊祭、か」

もうそんな時期なのか――もっとも、慰霊する相手は己には居ないのだけど。
そもそも、慰霊どころか――帰る場所すら自分には無いのだが。

「――まぁ、帰りたいとも思わないけどな」

目を閉じて呟く。自分はこの島で生きて、そして死んでいく――そう決めた筈だ。
だから、角鹿建悟に家族なんて”居ない”し、故郷なんて”存在しない”。

――そんなモノはもう要らない。俺にはもう不要だから。そもそも――島に来た時に、そんなモノはとうに捨てている。
だから――慰霊する気持ちが俺には分からない。誰を偲べばいい?誰に祈ればいい?誰を――弔えばいいんだ?

角鹿建悟 > 「―――と、いかんな…。」

”捨てたモノ”を思い出すなんて馬鹿げている。精神的に疲れるとロクな事にならないな、と一息。
再びお茶を口に運んで喉を潤しつつ、遠間から作業の進捗風景を眺める――そんな大規模でもないので至って順調だ。

こうやって街は移り変わっていく。街だけではない…人も、文化も、流行も、何もかも。

角鹿建悟 > 「――と、そろそろ休憩終わりか」

ぼんやりと作業風景を眺めていたが、ふと携帯の震動音で我に返る。
休憩時間に入るときにアラームセットをしておいたのだが、どうやら休憩終了時間になったらしい。
残りのお茶を飲み干せば、近くのペットボトル専用のゴミ箱にダストシュート。

軽く首や肩を鳴らして立ち上がれば、そのまま現場へと戻っていこうか。

ご案内:「歓楽街 再開発区域」から角鹿建悟さんが去りました。