2021/01/12 のログ
天野創一 > 「天野神剣流の継承者だから英雄の家の生まれじゃなくて武家の生まれだね。」


終始取り乱す彼女とは裏腹に落ち着いた態度でマジレスを返す。
どう、どう、と取り乱す彼女をなだめようとするもどうも自分の発言が良くはないらしい。かといって嘘を吐くわけにもいかない。


「かぴばら…?うーんどんな生物のこと言ってるのか分からないけど。都会の人たちはああいうものが好きなんだね。俺、覚えたよ。」


モチーフになった動物が日本生まれでないので奇妙な生物としか認識できていないものの現代文化に馴染もうと見て覚え学習する。

落ちてきた黒いコーヒーを彼女に笑顔で渡し、笑顔が引き攣っているので何か間違えたかな?と首を傾げ、今度は紅茶を選んでみる。


「学生通り?うん、分かった。でもここの方が刺激的で楽しいってクラスメイトが言ってたから」
好奇心が抑えきれなかったのだろう。


「ああ、これね。別に大したものでもないよ。大きいから作るのが大変だけど俺の家に何本もあるから。…触ってみたいの?」

背負っている野太刀を鞘に納めたまま手に取って相手に見せる。
刃渡りは150cmはくだらない、全長を測るのならば尚更。
納められている鞘は黒一色で飾り気も無い、"魅せる"という概念すらない刀。

高坂 綾 >  
「天野神剣流…………」

今の時代に武家の生まれと言い切る。
そう、彼は田舎育ちなのだ。私と同じ。

「まぁ、都会でも流行ってはいるけど」

なんと伝えて良いのかわからない。
まずインフルエンサー・マーケティングから説明するべきだろうか。
バカな考えも思考を落ち着けるのには役立つ。

風呂場の栓のように黒いコーヒー缶を受け取って口に運ぶ。

「にが……」

温かい。けど。苦い。
春夏向けコーデの読モ撮影に木っ端モデルとして参加した帰り。
ちょっと寒い格好だしありがたいけど。苦い。

「え、えっと……それじゃ遠慮なく?」

触ってみると、無骨で硬質な手触りがした。
本来、棒というのは当てて引くだけでモノが傷つくようにできている。
刃であれば尚更。

この刀は、彼そのものなのかもしれない。
飾らない、シンプルな一本の白刃。

「ありがとう、私の家では忍刀以外はあんまりなかったから」

天野創一 > 「あんまり有名じゃない家だけどね」

彼女が聞いたことも無いのも無理はない。
山奥にひっそりと佇んでいるちょっと大きなだけの家だから。


「都会の流行りってよく分からないね。…雲の流れを見て明日の天気を当てるよりも難しいよ」

山奥で育てられた人間ならではの感想を漏らす。
自然の流れは読み取れても人の流行りは読み取れないのだ。


「苦いのダメ?…じゃあ、俺のこの紅茶…って奴と交換する?」

交換を提案する創一。
まだ開けていない紅茶の缶を手にしている創一は気に入らないならこっちにする?と言ってみる。
交換するという事は珈琲を代わりに飲むという事なのだが…間接キスになるという事に創一は全く意識しない。むしろ気にしてるのは飲む量。色気より食い気


「いやいや、どういたしましてだよ。
 やっぱり忍びの人間だったかぁ~。さっきの身のこなしとかすごかったもん。」


忍刀を使う手合いは忍以外にない。先ほどの身のこなしといい判断といい忍びだろうと薄々気づいていた。
忍びというのは本来諜報のスペシャリストであることから危険を前にした時、先ずは撤退を選択する傾向がある。
そして、彼らは良い意味で"臆病"だ。臆病というのは危険を察知できる能力でもあり、些細な事でも彼らは感知する。対して武家はその危機感を持っておらずあったとしても真っ向からぶつかるしか能がないのだから彼女は相当優秀な忍びだろうと見ていた。

高坂 綾 >  
「ふーん? 私と同じね」

高坂なんてありふれた名字。
高坂忍者村と結びつく人のほうが少ないハズ。

「雲を見て天気予報はそれはそれでレアスキルよ……?」

弥生時代の巫女か!!

「ああ、いや、その………」

さすがに見知ったばかりの人と間接キスはまずい。
そもそもファーストキスがまだなのでその辺のカウントは誤魔化したい。
ぐいっとブラックなコーヒーを飲み干して。

「大丈夫、ごちそうさまでした」

ふぃー、と顔を歪めて空き缶を捨てる。

「みんなには内緒ね」

ひょっとしたらバレバレかもしれないけど。
みんなには忍者であることを隠したい。
忍びたいお年頃なのです。

「それじゃ、私は帰るから。コーヒーごちそうさま。またね、天野くん」

手を振って去っていった。

良いことした……のか!?

ご案内:「歓楽街」から高坂 綾さんが去りました。
天野創一 > 「一緒じゃ駄目でしょ。忍者なんだから」

忍ぶ者だから目だったり有名じゃだめでしょ、と苦笑いをしながらツッコミを入れる。
史実にも有名な忍者はいるがそれは例外。

「…毎日見れば法則とか分かるよ。それに俺の的中率も100パーセントじゃないし。
 この街の人間もそうだけど、もっと外出て空を見た方がいいんじゃないかな。」

この街はそもそもからしてコンクリートという人工物が多すぎて息が詰まる。都会というのはそういう物だがどうにもなれない。


「…お粗末様でした。なんかゴメンね無理をさせたみたいで」


いらないのなら交換しても良かったのに、気を遣わせちゃったかなと内心気にしてる。
彼女が全く別の事に気にしているのには全く気付いた素振りも無い。

「秘密って…あの身のこなしで秘密は無理があるでしょ。…ああ、あんまりお礼をしてなかった。…今度ちゃんとお礼をしよう」

見送りながら珈琲だけではなくもっと正式に御礼をするべきだが、それはまた追々に。だって彼女は同じ学園に通い、同じ一年なのだから通ってればまたきっと顔を合わせるだろう。

ご案内:「歓楽街」から天野創一さんが去りました。