2023/07/11 のログ
ご案内:「カジノ「蓬莱」-屋上-」にホロウさんが現れました。
■ホロウ > 日が落ちた歓楽街はより賑わいを増してゆく。
名の知れたカジノの前ともなればその度合いは頭一つ抜けており…
そんな中赫耀を伴う飛翔体が落第街を訪れたことに気づけるのは警戒心の強いものか、聡きものか。
音もなく飛来したそれは大衆には悟られることなく夜のカジノの屋上へと着陸した。
「歓楽街の観測報告の試み及び、大衆の観測を行います。」
腰のジェット機を折りたたみ着地し、屋上の縁の柵へと手をかける。
過剰なイルミネーションの装飾が至近距離で派手に輝く。
人であれば思わず目を閉じてしまうほどの光に当てられながら大衆を見下す。
少女の片目が閉じられ、もう片方の目の中の十字が騒がしく蠢く。
情報の処理と観測に集中しているようだ。
■ホロウ > (通信準備…完了…接続を開始…)
視覚情報を保存しながら得た記録を送るべきアドレスへの接続を開始する。
接続に伴う厳密に定められたプロトコル、何重にも定められたパス、万が一情報を盗まれても解読不能にする暗号化、そして反撃マルウェア…様々な手順も、情報も、処理も…
「…接続に失敗」
接続できなければそもそも意味がない。
左目の十字が一瞬動きを止めると同時に落胆交じり、不安交じりの吐息が零れた。
(何度目でしょうか…)
接続に失敗したのは今日が初ではない。既に時を超えたと思われるときから何度も失敗している。
接続先が変更されたか、無くなったか…
確認する手段がない以上、接続の試みを繰り返す他ない少女の不安は胸中で膨らみ続けていた。
■ホロウ > 電波が悪いのかもしれない。規格が変わったのかもしれない。
そんな僅かな可能性を考慮して通信を試みる。
プロトコルを破らないギリギリを攻めるその試みはもし接続に成功したとしても何かしら問題が起きかねないものではあるが、何もないよりはまし…そんな観測機として異端な考え。
それを自覚しつつも仕方ないと言い聞かせながら少女の奮闘は続く。
(100年以上進んでいる以上、むしろ規格が変わっていないと考える方が…)
自身の規格がとうに捨てられた規格である可能性は、考えたくないが十分考えられるだろう。
とはいえ、行方不明の観測機の情報はあちらも把握している筈だし、不明な接続の試みがあるのに無視するなんて無警戒な事はない筈…
こちらの世界では最新規格…というより主流ではないマジカロイドである彼女の通信は様々な機関の通信履歴に存在のみを記していた。
しかし、それが何かまでは知れないうえ、試みで遮断される為被害も何もないのだ。
その為、少女の存在はこちらの形式ではまだ主だって知覚されていないのだ。
ご案内:「カジノ「蓬莱」-屋上-」にエボルバーさんが現れました。
■エボルバー > ネオンが彩る歓楽街。
賭博場に渦巻く人間達の欲望。
その頂点に降り立っている馴染みの無い存在。
未知の存在に対して、ソレは誘われる。
欲望の熱気を見下ろす賭博場のその屋上。
見慣れないモノの元にソレは現れる。
暖かい風が不意に止んだ時、
耳鳴りのような甲高い音が屋上の空間へ微かに響き始めた。
>対象ロック
>分析開始
>分析中...
少女らしき者の背後には黒いスーツ姿の男が音もなく
まるでその場で出来上がったかのようなそんな様相で佇んでいた。
■ホロウ > 少女は観測機故、観測に特化した機能を様々持っている。
勿論それだけではないが、自身に忍び寄る存在に気づかぬほど低能ではない。
当然、観測記録の送信などという重要事項の実施中にそれを怠るほど無能でもない。
しかしながら、アリのような気配が群がり、一個体のような群れを成す過程は中々観測されるものでもなく、ヒトに近い情緒を持つ少女は内心強い驚きを覚えていた。
人ではないことを確信しつつ接続の試みを終了し、記録の格納及びロックを行う。
「…私は公的機関の観測機、コードネーム『ホロウ』と申します。分析行為などはお控え頂けると幸いに存じます」
少女は分析能力こそ高けれど、対分析能力はそう高くなかった。
しかしながら、記録を抜き取られる事だけはそうそうないように作られている。
その為、分析の中断を勧告しこそしているが、そう強い態度ではなかった。
読み取られて困るものは観測記録ぐらいで、他は問題ない為である。
逆に、少女の開かれた右目と左目の瞳の十字がスーツ姿の男をじっと捉えていた。
分析するななどと言いつつ、こちらも観測を開始していた。
■エボルバー > >分析中断
「こんばんは、お嬢さん。失礼した。」
声は掛けていない。
ソレは、電磁波を用いたスキャンを行っていただけ。
基本的に生物には電磁波を受け取る受容体は無い。
つまるところ目の前の少女は生物ではない?
「見慣れない、姿だ。
何故、僕が分析をしていると、分かった?」
電磁波を感じ取れる種族なのか、それとも何らかの異能者か。
それとも機械的な存在か。
興味深い存在が現れた時、ソレは純粋な疑問を持つ。
■ホロウ > 「感謝します」
分析中断した男に対して軽く会釈する。
公的な存在である以上礼儀はわきまえるべき身であるのだ。
不審者に対しても忠告を聞いてくれた以上礼儀は尽くすべきだろう。
「あなた様と同族ですから」
鎌をかけてみる。
少女にとって自身が人工生命体-マジカロイド-であることは、隠す事でもない。
相手は隠しているかもしれないが、急に分析という形で接触を図ってきた以上発覚は覚悟の上だろう。
そんな事を考えながら分析を続ける。
概ね、機械かそれに準じた存在であることは観測できた。
後はこの男がどこの存在であるかなどを観測したい。
不審者である以上、この存在は観測及び報告してしかるべし存在である筈だ。
「ところで、どういったご用件でしょうか?
私に何か御用でも?」
個人的にも気になる。時間を超えてから初の接触相手だ。様々な事を聞いてみたいものだ。
■エボルバー > >単語抽出:同族
>意味:同じ家族、種族に属すること
>会話内容と照合...
「つまり君は、機械ということか?」
彼女が言うには自身が造られた存在であるらしい。
もし、本当に造られた存在ならばなんて革新的なのだろう。
鎌をかけるというのは機械には難しい。
少なくとも男の姿をしたソレはかけられた鎌に気付く様子はない。
「君が、興味深い。故に君を、知りたい。」
答えになっているのか、なっていないのか。
光が灯らない虚ろなソレの瞳が貴方の十字をまっすぐ見つめている。