2019/04/07 のログ
ご案内:「落第街大通り」にルギウスさんが現れました。
ルギウス > 「さぁ始まるぜふふふふ~ん♪」

適当な鼻歌を歌いながら、ご機嫌な様子で色々なモノを買い叩いたのだろう。
紙袋を抱えて楽しそうな様子で街を散策している。
なお、紙袋の中身はご禁制ギリギリの品である。
あと、なんか鈍の剣がフランスパンの変わりに紙袋から顔を出している。
なんで破れてないのだろうか、世界は不思議に満ちている。

ご案内:「落第街大通り」に史乃上咬八さんが現れました。
史乃上咬八 > 「……」


街を行く人足。ここに集まる、陰を濃く歩む人々の間。
険しい顔つきをした、褐色の肌の青年が歩く。
黒いファー付のフードを被り、ジャケットの右袖を揺らして歩む足は、鼻歌を歌う、前方の男から一定の距離を置いて歩いていた。


――――くしゃりとゆがんだ目に、威圧を奥に孕んだ赤瞳が、その背中を見据えて。

「…………ッ」

吐息を一つ。緊張の合間の、一息。 左手がポケットの中に入ったまま、
その背中を、「尾行」していた。

彼の嗅覚が、その背中への「なにか」を捉えたからだ。

ルギウス > あらかた買い物を終えたのか、鼻歌交じりにクルリと振り向く。

「さて、少年。
 ずっと私の後ろをついてきているようですが、何か用事があったりしますか?
 私の講義に出た生徒ではないようなので内申点などはどうしようもないですよ?」

見覚えのない顔ですねぇ と言ってから、いつの間にやら加えていた細葉巻にゆっくりと火をつける。

史乃上咬八 > ――――その背中を、追いかけ続け。

あらかたの用事を終えた気配を得る間もなく。

「ッ」



気づかれていた。この状況において、それは当然の帰結、結果だ。
振り返ったその黒鏡の向こう側を探り得ることはできないと、
その葉巻に火がつけられるのを見つめたまま。


「……生憎、そンな平和な理由で追っていたら、剣なンてものを買っている時点で切り上げてンだろ。そうじゃねェ事くらい、面見て分からねェか」

――威嚇。本能が、ただ目の前にいる男への口調を荒げさせる。
この雰囲気に呑まれる前に、自らを鼓舞するような変容をし、
犬歯を見せてうなるような声で告げる。

「……講義っつゥのは、そンなブツで黒板をたたくようなものじゃねェだろ。要件はひとつ。"講義に生徒を持った教師が、こんなところで何してやがる"、だ」

ルギウス > 「でしたら、答えは簡単ですよ。
 こんな鈍で人が斬れるわけないでしょう?
 訓練用ですよ、これは。頑丈なだけで、剣と言うよりも鈍器です」

くつくつと笑って。

「初対面の人に、そんな怯えた犬のように険しい顔をして。
 ダメですよぉ……初対面から威嚇するなんてねぇ。
 相手に無駄に警戒されるか、自分の底をさらけ出しているようなものです。
 平常心で挑まないと、思わぬ足を掬われますよ?」

さぁ、覚えておけ と言わんばかりに紫煙と共に言葉を繰り出す。

「私としては、貴方と遊んであげてもいいんですがねぇ。
 貴方は場所を考えて行動した方がいい。
 『いったい、何人が戦闘の巻き添えになる』んでしょうねぇ?
 私は良心が一切傷みませんから、周囲ごと薙ぎ払いますよ?」

史乃上咬八 > 「……人間相手に振るうことを躊躇しねェのかよ。教師失格だな」

こんな細身の体で、あれをどう扱えるような存在か。
だが、振るうと言っているのだ。そう使うと言っている。
訓練?嘘だ。
"教師なら、もっと適切な教材を使う"。
なら何故そんなものを訓練だと言う。
"訓練ではない事に使うためだ"。

「……それを搔き乱す、手前のハラは何だ」

得体が知れない。知れないことは、自分の能力不足だけではない。
決定的に、『計り知れない』。
見えるはずの目盛が、黒塗りされたように伺えないのだ。


「……こンなところでおっぱじめるつもりで追うかよ。"つけられていた"って事実のほうを、ちったァ考えたほうがいいンじゃねェか」

「――追われるって事ァ、ハラの片鱗を、外部の誰かが知ってるっつゥことだ。企みがあるか、既に始まっているか。
それが何処か別の誰かに認知されていることを、焦ったほうが賢いンじゃねェかよ」

ルギウス > 「いやいや、私も本当は振るいたくないんですよ?
 “実に悲しい事故”になるでしょうねぇ。
 過程はともかく、結果は実に悲しいですとも」

それを笑顔で、出会った時から動かない笑顔のままで告げる。
実際、舞台に出番の無いモブと認識している人物への対応はそんなものだ。
気が向いたら、そのモブにスポットを当てた人生を楽しむくらいの価値しか見出していない。

「なにぶん、私のファンが多いようでしてねぇ?
 後をつけられるのは日常茶飯事なんで一々気にしていられないんですよ」

一度、紫煙で口を満たしてから吐き出す。
煙で輪を作ったりして遊んでいる。

「おや、綺麗にできましたねぇ。
 ……それで、つけられているから焦ったほうがいいでしたか?
 いいじゃないですか、私に悪事の証拠を突きつけて見せて欲しいものですねぇ。
 その時が、今の舞台のクライマックスになるでしょう。
 慣れれば私の行動予測は簡単ですよ、是非ともがんばってみてくださいねぇ」

そして実に楽しそうに笑った。
愉快で愉快で堪らないといった感じに。

「ああ、楽しみですねぇ……今回の主役はダレになるんでしょうか。
 私に証拠をつきつけ、悪の魔法使いだと断罪し、私を倒そうとする勇者。
 貴方か、別の誰かか。
 でも、一つだけアドバイスです。たった一人では、私に届かないと知りなさい。
 荒事になっても負けない自信があるからこそ、焦る必要がないのですからねぇ」
ランダム指名 > ルギウス
史乃上咬八 > 「――手前ェ」

脳裏で火花が散った、と表現するしかない。
目の前の男の、ドス黒さが垣間見えたからだ。こいつは間違いなく、口にする結果を、今か後かでの判断でなく、『実行は確定している』ことを感じたからだ。

「はッ、御愁傷様だ。日常茶飯事なくらい、何時だって平和に済むか、"処理"してきたか。何にしろ、既に異物として見られてるのは間違い無ェンだな」

ブラフ、ではないだろう。追跡に気づくというのは、追跡をされなければ出来ることではない。
よっぽど下手な奴の尾行でもなければ、素人でとらえられたものではない。

自分が、その下手な奴のカテゴライズから外れていることは、自分がよく知っている。

「……笑ってそのクライマックスを迎えられる、なンざ思って無ェだろうな」

――こいつは、今自分のこれからを確定させた。だからこそ、自分がこの男へとするべきことも確定させた。
ポケットの中の手が動き、ゆっくりと手を引き抜いて。

「――――簡単な、シンプルな答えを今言ってやる」


その手で銃を象るように、人差し指を向ける。
そして、それを上に向けた。

「……一人でカタがつかねェなンてこたとっくに知っている。だから、お前を止めるそン時が来たら、"集まるように出来ている"。
オレが、お前の喉笛を噛み千切るとき、逃げられねェように、手足を食いちぎる牙が、集まるようにだ」

ルギウス > 「私はどこに居ても異物なんですよ。
 『そういう存在』なんですから仕方がない。
 神がそうしろと言うのなら、従うしかないのが人間でしょう?」

ああ、面倒だと口にして。

「笑って自身の死を迎える。これも悪役の資質でしょう?」

そして天に向けた動作を見て。

「嗚呼、嗚呼……それはとても甘美で楽しみな脚本ですねぇ。
 是非とも、私の手足を噛み千切って喉笛にたどり着いていただきたいものですねぇ」

堪えきれないとばかりに、肩を震わせる。

「本当に、それを真実にしていただきものです。
 期待していますよ、狼君。
 そして、その動きを私に悟られないように気をつけてくださいねぇ?
 ……貴方の大切な誰かが、心無い暴漢に狙われるかもしれないんですから」

史乃上咬八 > 「……神がそうしろっつったことを認識して行動するなら、その思考は人間じゃねェ。神に呪われた、人の形をした別の何かだ」


そうでなくては、今自分へとそんな顔も態度も、言葉さえもしないだろう。
肩が震え、悍ましく告げる言葉と、脅しのように向けられた不幸な事実を、


「……悪ィが、"真に大切だと思っている誰か"は、居ねェよ。それを考えることさえ、烏滸がましいことを、オレ自身が、よォく知ってンだからな」

――瞳の奥の光が薄れるような感覚と、吐き出した言葉の抑揚の無さ。

「……どう脅されたところで、足を止めることだけは、無ェだろうよ。だから楽しみにしておけ、そのくだらねェ脚本は、絶対に、ブッ潰れる、いいや」


「"絶対にブッ潰す"」

ルギウス > 「そうですねぇ、魔人とでも名乗りましょうか?
 意外としっくり来るカテゴライズになりそうですよ」

くつくつと笑いだし。

「真に大事な誰かが居なくても、貴方が近づいたというだけで被害を受ける方が出るかもしれない。
 それだけは、努々忘れないようにしてくださいねぇ?
 悪役に啖呵を切るという事は、そういう事です」

ふふふ と 開いている手で腹を押さえて、「く」の字になり笑い出す。

「くふっ……あははははははは!!
 私にそこまでの啖呵を切る方は実に久しぶりです。
 いやぁ、最近退屈していたんですよ! 是非ともお願いしますねぇ。
 私もおもてなしする方法を考えておきますので」

期待に満ちた声で、心の底から楽しそうな言葉を紡ぐ。

「挑戦状は確かに受け取りました。
 ……それでは、また別の演目でお会いしましょう。
 御安心ください、学園そのものには手出ししませんよ。
 舞台を壊すつもりは、毛頭ないんですから」

話は終わった とばかりに背を向けて歩き出す。

史乃上咬八 > けたたましい笑い声に、眉間の皺を深める。
その笑い声は、臓腑に響くような重々しさを抱く、軽々しい声だ。

「……せいぜい首を洗ってろ、噛みつく場所に、サインでも入れておくんだな」


――犬歯がぎしりと音を鳴らし、瞳の奥で、獣のような動意が滲む。
左手はポケットに再びしまわれ、開幕までその手が使われることはないだろうと示す。

ゆっくりとその背中から視線を外すと、別の道へと入っていく。


「……この牙が、いつか突き立てられるとき、必ずお前の顔から、その笑みを消してやる。
――狼は、牙を最初から殺すつもりで立てることは、無ェンだからな」



――その背中を、万が一に追いかけても。
道に入ったのを追ったところで、背中はない。
この落第の街の夜闇へと消え入ることができるのは、そこに元よりある者ばかりではなく。

夜闇への消え方を知る者もまた、使える手段なのだから。

ご案内:「落第街大通り」から史乃上咬八さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」からルギウスさんが去りました。