2020/07/10 のログ
ご案内:「落第街 地下ライブハウス」にエコーさんが現れました。
エコー > 「やっほー! みんな盛りアガってる~?
 次はこの曲! 『クライム・ウォー』! みんなもっともーっと頑張ってね!」

 ライブハウス会場に投影された幻想のアイドルが人々を盛り上げる。異常なほどに焚かれたスモークやアルコールの噎せ返りそうな臭いもバーチャルであれば気にするものでもなく、人々の熱気でハリケーンを巻き起こさんとする勢いでサイリウムは振られる。

 この姿(アバター)を得てからというもの、ひとつの挑戦・探求欲が出るようになってきた。この姿の己は学園で授業を教える自分と果たして同じ存在なのかと。
回線が変われば何かが切り替わるのかもしれないし、ログとしては残ってもイマイチそこに『自分がいる』感覚がしないのかもしれないと。
教師としてあるまじき行為だが、好奇心が勝ってしまった。
こうして落第街地下アイドル新生の星として生まれたエコーは視えそうで視えないスカートをひらひらと揺らしながら歌とパフォーマンスを披露していた。

エコー > アングラな場所で違法性ギリギリの活動を行うことに後ろめたさはなかった。
こうして娯楽を提供し、人々の癒しとなることこそが己ら創造されたものにとっての本懐である。
己の目の前にいるアングラの住人は虚構とはいえ未熟な自分の為に一生懸命応援してくれているのだ。それに答えないAIがいようものか。
「HEY! もっと! HEY! HEY!
 うんうん、良い声出てるねー、エコーが伝わるよぉ。
 ここでエネルギーをぜぇ~んぶ使い切る心算で、フルスロットルで行こうね~! じゃあ次は『ラブコール』!クラップと掛け声とジャンピングよっろしく~☆」

エコー > 「みんな~今日は応援してくれてありがと~。
 私、握手は出来ないけど、みんなの心の中に居続けるからね~!」

ほどなくして投影が終了し、期待の新人アイドルのライブは終了した。
エコーのログからは公的な記録として残らないよう削除したものの、グッズ販売や劣化版モデリングの改変によってまたひと悶着起こったかもしれないが、それはまた別のお話である。

ご案内:「落第街 地下ライブハウス」からエコーさんが去りました。