2020/07/13 のログ
ご案内:「落第街大通り」に羽月 柊さんが現れました。
■羽月 柊 >
薄暗い落第街。
昼間のギラつく太陽も、ここではどこかその全てを照らしきれない。
夏の暑さに煽られるのか、喧嘩やらなんやらも増えているような気がする。
そんな中を、涼しい顔で黒スーツに竜の仮面の男が進む。
傍らに、小さな竜を2匹従えて。
■羽月 柊 >
ちょっかいを出してきた二級学生を凍らせて以来というもの、
若干諍い事から自分が遠のいた気がしなくもない。
いや多分気のせいだろう。
使い魔を連れている怪しい男が歩いているというだけだ。
この裏の街では何が起きても不思議ではない。
油断をすることなど、出来はしないのだ。今も昔も。
■羽月 柊 >
一つ道を脇に入り、埃っぽい壁にもたれ掛かる。
雑踏の音が遠のくと、胸元のポケットから煙草と思わしき箱を出してくる。
目を伏せてそれを口にし、指をパチンと鳴らせば火がついて、
煙をふぅと吐き出した。
それを小竜たちは嫌がるそぶりはない。
片手で煙草を支えながら、
もう片方の手で壁を軽く小突く。
煙は偽物。
近くに寄ればそれは分かるだろう、だが、
雑踏は彼に興味を持つこともなく過ぎていく。
じっとりと湿気を含む影の中、小竜達の眼が煌めく。
■羽月 柊 >
男のもたれ掛かる道の奥から、一人、歩いてくる。
それが柊とすれ違う時、煙草を吸い込み、
ふぅっと煙を吐き出すと…。
煙が路地の一画を這い、その場所を隠し、
柊が壁を小突いて確かめれば、音が内側に籠るように響いた。
『マダそんなオモチャみたいなモノを持ち歩いてンのカ、羽月。』
すれ違おうとしたそれは帽子を目深にかぶり、
閉じた場所に響く声はしわがれて、男とも女とも知れない。
「ほんの一般人の目を逸らすには十分だ。」
そう言って柊は唇から煙草を離す。
勘が良ければ気付いてしまう。
魔法を看破出来るなら分かってしまう。
本当に些細な人避けの魔法。
■羽月 柊 >
『マァイイ。渡すモノがアルだけだからナ。』
そう言ってそれは、ぐぱりと口を開ける。
ヒトが開けられるはずのない所まで。
そうして喉奥から、ミミズのような細い触手がズルルルと這い出てきて、
それと共に、小さな小さな宝石のようなモノが一つ。
ポーンと柊の方へ吐き出されれば、それは空中でふわりと浮き、
柊の煙草を持っていない方の手の平の上におさまる。
「………、…毎度思うんだが、もう少し良い収納の仕方は無いのか?」
手の平の上でくるりと回転させ、濡れを払い、
改めてそれをキャッチする。
『大事ナモノを隠すなら、ナカより安全なコトは無いダロウ?
本を隠すなラ、本棚の……。』
「生き物の中、ねぇ……。」
手の平の上で、それを転がす。
■羽月 柊 >
『《大変容》の時、七つ目の喇叭(ラッパ)ガ吹かれ、
天での戦いニ加担した天使の輪の欠片ダト言われてイル』
口を閉じれば、目深にかぶった帽子で口があった場所は分からなくなってしまった。
それの言葉を聞きながら、手に持っていた宝石をしまう。
「……君にしては随分と曖昧だな。」
柊は既知のようにそれに対して振舞う。
ヨキに言っていた古い知り合い。
きっと、目の前のこれがそうなのだろう。
『真偽なんテ言うのは、さして重要じゃナイ。
口伝ト謂れが、それにチカラを与えるンだからナ。
ダカラそれには魔力がアル。』
話を聞きながら時折煙草を吸い、煙を補充する。
「……まぁ、そうだな。今の世界は思うよりも曖昧だ。
これは報酬だ。しばらくは持つんじゃないか。」
代わりに柊は、鞄から試験管に入った赤黒い液体をそれに渡す。
『あァ、ありがとウ。
オマエのおかげで、"ヒトを喰わずに済む"。』
物騒な会話は、雑踏へは届かない。
■羽月 柊 >
「こちらこそ。いつも魔石の類を卸してくれて助かるとも。」
もたれ掛かっていた壁から離れ、煙草を最後の一吸いし、吐き出す。
吸い終わるとそれは星屑のように空へと消えゆき、
柊は再び大通りへと戻ろうとする。
「アーカムの彼女にもよろしく言っておいてくれ。」
去り際にそう呟き、パチンと指を鳴らした。
ガシャン
ガラスが割れるような音が内側に響き、
柊の後ろには、もう誰も居なかった。
――大人の全てが綺麗なままではいられない。
そうして男は再び、雑踏の中へと消えていくのだ。
ご案内:「落第街大通り」から羽月 柊さんが去りました。
ご案内:「落第街 裏路地」にレナードさんが現れました。
■レナード > 「――――――」
薄闇に紛れて雨が降っている中を、独りの男が歩いている。
衣服は泥に汚れ、更に所々焦げたように穴が空き煤けていて。
見てくれもまた、雨を避けるものもなく、すっかり濡れ鼠になっていた。
惨め。
そういう言葉が、最も似合う状況だろう。
その黒い眼からも、心なしか光が失せているようにすら思える。
「……かえら、なきゃ………」
びちゃ、びちゃ…水たまりを避ける気力もない。引き摺る様に路地裏を進んでいた。
自由の効きにくい体を無理矢理動かして何とか進むさまは、まるで生ける屍のよう。
空腹で、疲労で、…何より精神的に衰弱しきった様子の彼からは、いつもの雰囲気が見て取れない。
ご案内:「落第街 裏路地」に持流 童男(さんが現れました。
■持流 童男( > 「おーい!!!そこのお方ー!!!大丈夫でござるかー!!!」
パトロールの一環で、裏路地に突撃したら普通に知り合った顔がいて
憔悴仕切った顔を見つつも
「おお!!レナード殿ではないでござるか!!」
「大丈夫でござるか!!」
言いつつもレナードさんに近づく
■レナード > 「…………」
ちらり、瞳がそちらに動いたような気がする。
が、それもすぐに…どちらともなく前に向き直る。
「……放っといて、くれし………」
掠れた声でそう告げるなり、
そのまま、歩いていこうとしている。
■持流 童男( > 「嫌でござる。知り合いがそんな状態で、道を歩いてたら普通にほっとけるかでござるよ!」
言いつつもかすれた声を聞きつつも
「あーもう!びちょびちょじゃないかでござる」
言いつつ傘を取り出して、レナードさんに被せようとする。
■レナード > 「……うるさいな……
もう、こんなもの……今更なんだよ……!」
掠れた声を続けながら、その傘を払おうとする。
その間も、彼を視ようとはしなかった。
■持流 童男( > 「いーや!いい男が台無しでござる」
払おうとされた傘を、それでも入れようとする。
「こっちを見るでござる。レナード殿」
しっかりとレナードさんに言いつつも。
目を見ようとする。
顔中びっしり呪紋だらけだ。その状態で・・・変顔をする。
■レナード > 何やら前に回られると、眼を見られる。
流石にそれから顔を逸らす余裕はないらしく、不本意そうに睨んでいると…
突然、彼がおかしな顔をしたものだから。
「………はっ…」
笑った、鼻で。
「…なんなわけ、おめー……。
そんな上っ面の、見せかけの、下らないことで……
僕をどうしようってわけ………?」
掠れている声の中に、怒気が混じっている。
■持流 童男( > 「どうしようもしないでござるよ。お主を笑顔にしようとしたかったんでござるが」
うおおおとショックを受けた状態をしつつも
「思いっきり滑ったでござる・・・」
きりっと目を見ながらもレナードさんに対して
目を見つつ。
「レナード殿、何が起こったか聞いてみていいでござるか?」
しっかりと今度は真面目にレナードさんに対して真摯に言った。
■レナード > 「……要らないし、そんなの……
こんな状態でも笑えるはずだと思われてるなんて…僕、そんなに惨めに見えるわけ……?」
冷めた目で、彼を見やる。
無視こそしない辺り、どうやら今の彼に対して思うところがあるようにも見える。
「……さあ…?
野良犬に噛まれただけなんじゃない………?」
対してこちらは、なんと投げやりな返事をするのだろうか。
真摯な目に対して、視線を向けることさえもしない。
「………何も知らない癖に。
そんなに僕の傷を抉りたいんだ……
口にしたくもないことかもしれないって、思わないわけ……?」
■持流 童男( > 「おう!!!何も知らぬでござる。ただ、お主が、口にしたくもないことならば、言いたくなったらいうでござる。お主の心が一番大事でござる・・・などと甘いことを言うと思ったか!」
優しさだけでは、何も助けられないそれは5回目の世界で知った。
だから叱咤する。
目線を合わせる。視線の先に入り込む
「うじうじうじうじ!!あの時の意地っ張りの姿はどこ言ったでござるか!!この意地っ張り!!」
「お主に何があったかわからないでござる!ただ相当な事が起こったことは確かでござろうが!!」
「だったらお主に踏み込むでござるのが知り合いでござろうが。レナード殿!!」
「言っとくが今のお主めっっちゃくちゃ惨めに見えるでござるよ!!」
はっきりいいきった
■レナード > 「ああ、惨めだよ。」
あっさりと認めてみせる。
薄く笑ってさえも、見えるかもしれない。
「惨めすぎて惨めすぎて……死にたくなるくらい、惨めだし。」
はあ、と大きなため息を一つ、吐く。
「知らない方がいいことだって、あるわけ。
なんでもかんでも人の事情に首突っ込むと…おめー、その内抱えきれずに死ぬし?」
■持流 童男( > にっと笑いそして快活に
抱えきれずに死ぬしというのに対して
「知り合いが苦しんでるのに何もしないほうが、死ぬほど後悔するでござる!!!!」
ニット笑いつつ
真摯にレナードさんを見つつも、本心で言う
「それに、某はしぶといでござるからな!!!」
「生きるでござる!!!」
レナードさんに視線をあわせて言う、ニット笑いながらも
■レナード > 「………そっか、生き汚いことだし。」
彼と同じように、にっと笑ってみせた。
どこか力が入っていないようにも見える。
「そんなに僕を救いたいんだったら……
今すぐ僕を殺せ。」
彼に視線をあわせて言う、二っと笑いながら。
■持流 童男( > 「って言うとどういうことでござるか?」
まず事情を聞く。
「理由を教えてもらってもいいでござるか?」
レナードさんを見ながらも
■レナード > 「死にたがりなんだってさ、僕は。
…………知ってたけど。」
核心には、触れない。
面倒そうな口調で、ぽつぽつと話してみる。
「ああ、知ってたし。
したいことをした先が、まったく見えないことも。
きっとその隣には、誰もいないことも。
…僕は自分の時計を動かした瞬間に、全てに満足して死ぬことも。」
そこまで一息に話してしまうと、大きく息を吐いて。
「……でも、僕は止まれない……
自分を殺していく方向へ進めることが、止められない。
もう、それ以外を考えてこなかったから。」
光の見えない瞳が、彼を捉え続けている。
「……図書館に通った、禁書庫にだって忍び込んだ。
色んな書籍を漁った、情報を見つけようと努力した。
………すべては、自分が死ぬために。」