2020/09/24 のログ
■クロロ >
「……話になンねェなァ……そうじゃねェだろ。
"秩序を保つ側"だからこそ、テメェ等がやンなきゃならねェ事じゃねェのか?」
「────お前に、人様の心はねェのかよ?おい」
勿論それだけじゃ統治がままならない事は知っている。
非情になる事も必要だ。だからと言って
此処にあるものは決して少なくはない。
それを塵箱等と、宣わるなどと、言語道断。
余りにも傲慢な、圧制者の物言いだ。
これ以上、取り付く島もないというのであれば、やる事は一つ。
平行線を辿る最中、回る魔法陣の一つに────。
「 」
「 」
■クロロ >
何かを囁いた。鉄器兵たちの軋みに消えてしまうほど、小さな声。
同時に、クロロの正面に交える二つの軌道。
赤と緑の、光の奇跡。鉄の異形は目前。
『名状しがたき者<The Unspeakable>』
『心の触媒毒<Emerald Lama>!』
不意に、突風が落第街を吹き抜ける。
緑の風。周囲の建物を、人々を包み込み艶やかな緑。
"弾避けの加護"を持った防護の壁だ。まずは周囲の被害を抑えるための風の魔術。
鉄の異形は、その真横。そして……。
『火種のベール<Fire Up Veil>』
『炎を燃え立たせる者<Vorvadoss>』
クロロの詠唱に合わせて、異形の周囲を淡い光が包み込む。
神秘に光り輝く白のベール。それは死の輝き。
異形が踏み込む直前、異形が赤く輝けば、轟音と共に大爆発を起こした。
火種のベール。包み込むものを熱し、焼き尽くすものの力。
クロロの魔術は、詠唱と共に"知識"と"力"を借りるもの。
燃え盛る炎に巻かれて燃える鉄くずはまさに、"篝火"となってそこに立ち尽くすのみ。
■クロロ >
「──────言ッたはずだ。此処から先は、一歩も通さねェよ」
■クロロ >
焚きつける炎が、落第街を照らす。
明確に喧嘩状を叩きつけた"狼煙"となった。
■神代理央 >
「……ほう、一撃か。何かしらの対処を行ってくるとは思っていたが、実力も相応という訳か」
燃え上がる異形。
囂々と燃え上がる異形の残骸が、落第街を照らす。
その熱風に僅かに顔を顰めつつ、自然唇は歪んでいく。
「――敵対行動を確認した。対象に対して、自衛の為の行動を開始する」
パチリ、と小さく指を鳴らせば、背後に控えていた残りの異形達が砲身を軋ませ――轟音と共に、砲弾を発射する。
その砲声と衝撃波たるや、半分瓦礫で構成されている様なバラックを揺らがせ、様子を伺っていた哀れな住民の鼓膜にそれなりのダメージを与える程。
とはいえ、そんなものは些細な事。
放たれた無数の砲弾は、狙い違わず魔術を放ったばかりの男へと。
大小様々。徹甲弾から榴弾まで。種類も弾頭もちぐはぐな砲弾の雨が、青年へと降り注ぐ。
その砲撃と同時に、先ずは身を守る為の術を。
大楯の異形を二体召喚し、己の盾として配置しつつ、肉体強化の魔術の詠唱準備。
炎の魔術は確認したが、それだけが青年の能力とは限らない。
手数の多さで圧倒する動きを見せながら、青年の次なる一手へと対応する為の準備を整えて行く。
■クロロ >
「────────」
飛び込んでくるのは砲弾の雨霰。
鉄の死がわかりやすく、目前へと飛んでくる。
成る程、実に分かりやすい物量作戦だ。
避ける隙間もありはしない。"弾避けの加護"は複数を対象に出来はしない。
あっという間に体は呑まれ、爆炎の中に消え失せた。
……爆炎の中に僅かに光る、黒の軌跡。
『黒への祈り<Black Prayer>』
────だが、クロロの"呼び声"は────
『逆巻く渦巻の黒き支配者<Sathog>』
────消えていない────
不意に、異形達の周りが"歪む"。
異形達の足元が、溢れる黒の水。
それは酷く粘っこく、嫌な音を響かせる。
溢れる黒の汚水は、あっという間に異形達の足元を
神代 理央の足元を満たしていき……──────。
"悪意"を以て、襲い掛かった。
粘性を持った水が渦巻き始め、それは濁流となり
"底無し"の黒となり、異形を、神代理央を吸い込まんとする。
その"黒"事態が強い意志を持っているかのように
蠢き、波となり、全てを呑み込まんと襲い掛かる。
呑まれれば最期、ただでは済むまい。
……もし、理央自身が人間的理性を持っているのであれば
その"黒"には本能的な嫌悪感を感じるだろう。
精神力次第では在るが、物によっては足を竦ませる恐怖を感じさせる。
当のクロロはと言えば、気づけば燃え盛る鉄火の紅蓮が静かに消え失せ
"何事も無かったかのようにそこにいる"。
異能により、生ける炎であるクロロにとって
鉄火の支配者の作り出す爆炎など、体のいい餌にしか過ぎない。
「…………」
"何かしたか?"
そう言いたげに、涼しい顔のまま、理央を見据えていた。
■神代理央 >
砲弾に対処される事までは、或る程度予想出来ていた。
しかし、次いで放たれた青年の魔術――溢れ出る黒い汚水が、異形と己を襲い掛かる。
多脚の異形は、飲み込まれまいと不格好に伸びた脚で大地を穿ち、態勢を崩し、地面を抉りながらも徐々に吸い込まれていく。
その過程で、態勢を崩した儘放たれた砲弾が、落第街の其処かしこに放たれる事になるのだが。
一方、彼等の主である己と言えば。
「……奇怪な魔術を使う物だ。汚らわしい、と評するに値するものだろう。しかし――」
発動する『肉体強化』。
本来は防御面に特化した魔術ではあるが――その名の通り、単純な肉体能力を強化する為にも、勿論活用出来る。
その魔力で以て脚力を強化すれば、兎の様に飛び上がって二階建てのバラックの上部へと。
「……だが、所詮は汚らわしいだけの事。
精神に感応する魔術であるのだろうが――私がどれ程の狂気と、触れ合ってきたのかと思っているのかね」
恐怖。精神の不安定。狂気。
そんなもの、飽き飽きしてしまった。
幼少時に連れられた戦場で。
嘗て廃教会で出会った少女によって。
そして、かの『領域』によって。
己の精神を惑わす様な狂気は『食べ飽きて』しまった。
濁流となって襲い掛かる黒い汚水。
それは結局己にとって、魔力によって稼働する汚水、でしかない。
精神面への感応があれば別ではあったのだが――今の己に、最早それは通用しない。
「――Gutsherrschaft、起動。
収奪対象、視界内にて発動する魔術。
――圧政とは、こういうものだ。覚えておくと良い」
手を翳せば、直ちに発動する魔術。
千年以上脈々と魔術を継承し続けた母方の実家が造り上げた、貴族主義極まれりというべきモノ。
それは、エネルギーを奪い、己の魔力へと変換する魔術。
未だ未熟な己では"魔術師"から直接魔力を収奪する事は出来ない。
しかし、発動した魔術ならば。魔力を以て、己に襲い掛かる魔術であれば。
"奪い取る"事など、造作もない。
汚水を構成していた魔力は、たちまちのうちにその力の根源を失い、落第街を穢す唯の泥濘と化すだろう。
半端に飲み込まれた異形達は全て戦闘能力を失ってしまっているが――異形等、何度でも召喚出来る。
「……肉弾戦は、少々苦手なのだがな」
異能の発動準備を整えながら、収奪した魔力を全て『肉体強化』へと回す。
己の魔力と相まって膨大な魔力を得た少年の躰は、可視化可能な程の魔力の膜に包まれて――
砲弾の様な勢いで、青年へと突っ込んでいく。
戦術も武術も無い。その魔力膜と肉体能力で単純に押し切ろうとするだけの動き。
■クロロ >
「あ」
思わず素っ頓狂な声が漏れた。
溢れ出る汚水が変換されていく。
魔力を媒体にし、力をと知識を借りる魔術だが
魔術である以上、魔力の塊であることに違いない。
勿論、あんな異形だけとは思っていない。
"力を振りかざす"と言う事は、それだけの力に自信を持っていることに他ならない。
しかし、クロロは訝しげに眉を顰めた。
「……アレ、大丈夫かァ?」
ボソリ、とぼやいた言葉は文字通りの心配だ。
クロロの魔術は、普通の魔術とは違う。
これは、人ならざる者の力を借りているに過ぎない。
精霊魔術よりはもっと不浄で、深淵の力を借りている。
それは、淀みだ。それを行使し、正気でいられるのは
狂気に呑まれたか、或いは"普通じゃない"かのどちらかだ。
あの少年は、どうなってしまうのだろうか。
だが、心配している場合はいまではない。
「 」
「 」
再び、小さな声を魔法陣に囁いた。
瞬間、それこそ砲弾の様に飛んでくる理央の姿。
「上等ッ!!」
その動きに合わせて、喧嘩慣れした廻し蹴りを繰り出した。
重い蹴りだ。骨の髄までダメージを与えるのも造作は無いが
避ければ隙だらけ。如何様な攻撃でもあたる、直線的でわかりやすい、"喧嘩の域"を出ない技だ。
■神代理央 >
青年から繰り出された回し蹴りは、己の目から見ても『喧嘩技』であった。
嘗て対峙した公安の剣客とは、何もかも比較にならない。紫電の様な彼に比べれば、そよ風に揺らぐ柳の様なもの。
普段の己であれば兎も角、今は肉体強化と収奪の魔術によって膨大な魔力を得ている。
というよりも、収奪して変換した魔力がやけに膨大だ。今の己なら、拳を振るうだけできっと青年を打ち倒せる。
受けても良し、避けても良し。次の手を打つ方法は幾らでも――
「――………っ…!?」
弾丸の様に青年に向かっていた少年が、突然驚愕の表情を浮かべる。それは青年にも容易に視認出来る程のもの、だっただろうか。
青年とぶつかり合う寸前で、強引に大地を蹴り上げて急停止。
其の侭、正しく脱兎の勢いで跳ね上がる様に青年と距離を取る。
■神代理央 >
「此れは…これ、は…?
貴様、何をした。何を、した!!
これは――これ、は……っ…!」
■神代理央 >
飲み込んだ魔力は、膨大なものであった。
深く、深く、淀んで濁った様な力を魔力に変換して取り込んだ。
その結果、その魔力は――己の精神を、内面から狂わせ始める。
……正しくは、狂っていたモノが呼び起こされる、というべきだろうか。
内面から膨れ上がる強大なナニかを、まるで吐き気を堪えるかの様に必死に押しとどめている様が、青年の目に映るだろうか。
その堪える精神すら蝕む様に、己の内面に吹き上がるのは『恐怖』――
■神代理央 >
「あー―ああああああああああぁぁああぁああぁアアァアァアアッァァアアァァ!!!!!!」
■神代理央 >
異能と魔術が、吐瀉物の様に吐き出される。
異形は、正しく『異形』であった。
背中から脚が生え、苦悶に歪む人の顔が脚となって無数に生え、その口から巨大な砲身がはみ出している。
吐き出された魔力の塊は、蠢く泥の様に周囲に撒き散らされ、軟体生物の様に蠢き始める。
地獄、というよりも唯々精神を蝕む様なモノばかりが、少年が悲鳴の様な嗚咽を上げる度に、周囲から湧き上がる。
「違う…違う違うちがうチガウ!!!!
私は私だ!
私なんだ!私は、神代理央だ!
私が…私は…俺は……!」
もう少年には、青年の姿は見えていない。
呪詛の様に言葉を吐き出し、頭を掻き毟るばかり。
「………違う…俺は…おれ、は…!」
漸く、僅かな落ち着きを取り戻した少年は幽鬼の様な表情で男を睨み付けた儘、息を荒げて首を振る。
そして、強化された儘の肉体を以て、飛び上がる様に凄まじい勢いでその場を離れていくだろう。
後に残ったのは、蠢く魔力の泥。奇怪な姿の異形達。
主を失った儘、動き始めたソレらは、周囲の生物へ明確な敵意を持って、動き始めた――
■クロロ >
「……ア?」
まさに喧嘩が始まる直前、理央の姿が飛び退いた。
先程迄の敵意とは違う。そこに浮かび上がるものは……。
「……お前……」
如何やら、と言うか、やはり、と言うべきか。
"食当たり"だ。取り込んだそれは魔力の塊では在るが
不浄なる、別次元なる存在。人の本能から呼び起こされる恐怖そのもの。
狂気に蝕まれていたのならまだしも、まだ真っ当な彼の精神には十分な劇薬だったらしい。
落第街の民衆の前で、"『鉄火の支配者』が、落第街で『恐怖の悲鳴』を上げた事"だ。
クロロは、彼の知名度をそこまで知っているわけではないが
恐らく、あの高圧的な態度で示してきたものが、此処で一部崩れ去る事になった。
「バカ野郎が、下手にチョーシこくならそうなンだよ」
舌打ち交じりに、吐き捨てた。
哀れ過ぎて何も言えない。
その深淵に呑まれたように、呼び出された異形もまさしく"異形"となり果てた。
一方で、此方の恨むように睨み上げたまま、理央は走り去ってしまった。
追いかける気は無いが、暫くあれは"後を引きそう"だ。
「さァて……」
なんであれ、こうなったのは己の責任。
ならば、尻拭いをするのが"スジ"と言うものだ。
気だるそうに首筋を撫でれば、異形達を見上げる金。
「────化け物退治とシャレこむか」
青と黒の軌跡が、クロロの周囲に光る。
『極地の極光<The Light from the Pole>』
『冷たき炎<Aphoom=Zhah>─────!』
凍てつく青い炎が、クロロの目前へと噴き出した。
落第街を照らす青き光、緑の風。異形の咆哮。
それらにつられて出てくる者もいただろうが
共に異形を狩るものであれば、クロロは認知しない。
この化け物退治は、程なくして何事も無かったかのように
風の消失と共に、幕を閉じるだろう─────。
ご案内:「落第街大通り」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」からクロロさんが去りました。
ご案内:「落第街のどこか」に燈上 蛍さんが現れました。
■燈上 蛍 >
夜に繁茂する数多の闇の中でも──今日は、別の賑やかさを。
彷徨う異形。
主亡くして這うままに、動くモノに蠢いて行く。
それはまるで"フィクション"のように。
それはまるで"御伽噺"の世界のように。
「……そこは行き止まり、ですよ。」
落第街に産声を上げた"混ざりモノ"の成れの果て。
この世のモノとすら思えない異形のそれに、静かな声がかかる。
歓楽街へ繋がる道のひとつへ異形は入り込もうとする。
ソレの足元に広がるは"赤い彼岸花"。
まさに今ここは、常世なりや。
白い彼岸花を頭に差し、手に赤い装丁の本を開いて。
声をかけた青年は、この声でソレが止まるなら、それでよしとするつもりだった。
■燈上 蛍 >
異形は声に反応を示したか、青年の方へ振り返る。
炎の瞳が嫌悪感を示す。
なんだこれは。
見慣れてはいない。見慣れてはいけない。
それについている顔は、自分を見ているようで、見てはいない。
あらぬ方向を見ている癖に、自分へと蠢いて向かってくる。
この"捨て子"たちは、いったいどこから来たのだろう。
まるで禁書本の挿絵のようではないか。
これは、この本は、表に出してはいけないのだろう。
「焚書……ですかね。」
……普通の人間ならば、これを見れば、壊れてしまうモノかもしれない。
けれど、それに対峙するは、死人の花を抱く青年。
"死"を司るように、"生"きて来た子供。
焚書された本の内容は、燈上蛍の本に…記された。
──赤い花が咲く。
──赤い本の頁が捲られる。
もしかすれば、これから上がる炎は、
化け物退治を行う彼には…見たことのあるモノかもしれない。
ご案内:「落第街のどこか」から燈上 蛍さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」にフローレンス・フォーさんが現れました。
■フローレンス・フォー > 「これで何組目だったかしら?」
突然に送られてきた指令、薬物を集めるという命令に従い落第街に繰り出しての不良狩り。
何人を殴り倒したかは忘れたがその努力もあって数個の薬物っぽいものの入った袋などを見つけることができている。
今も気絶をした男の懐を漁り小袋を見つけると適当に確認をしてポケットに押し込む。
「届け先は…メンテナンスの時でいいわね」
整備が必要と思えば気が付けばそこに到着している施設、そこで渡せばいいと考え。
もう何個か集めておきたいと殴り倒した男から離れ…その男の身包みを剥ぐために群がる住人を無視して適当に歩いて。
■フローレンス・フォー > そうしてふらふらと獲物を探して歩くのだが一時期に少々やりすぎたこともあり目を合わせれば逃げる不良もちらほら。
逃げるなら追いかける必要はないかと見送り大通りを歩き。
「ちゃんと覚えてるのね。今日は財布なんて狙わないのに…」
この辺りに来たことは体の調整と小銭稼ぎに行っていた不良狩り。
どちらも必要がなくなり来なくなってそれなりになっていたが未だに覚えられている事に関心し。
同時に目的を果たすには追いかけないといけないという面倒さもあり。
そこだけが不服そうにしてしまい。
「次はあっちかしらね」
とりあえず絡まれればいいという考えで歩くが釣れない。
ならばと来た道を戻ってまた歩いて。
■フローレンス・フォー > 「あらあら。いたいた」
来た道を戻ればちょうど見た覚えのない不良の一団。
それなりに人数もいるだけにもしかすれば持っているかもしれない。
早速狩らなければと楽し気に笑みを浮かべてはその一団がいる路地へと足を踏み込んでいって…。
ご案内:「落第街大通り」からフローレンス・フォーさんが去りました。