2021/02/02 のログ
ご案内:「落第街大通り」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
落第街に、何時もの様に――それでいて、久し振りに――砲火の轟音が轟いた夜。
住民達の安らかな眠りを妨げ、違反部活の拠点を一つ焼き払った異形の群れが、大通りを闊歩する。
つい先程迄、砲弾の雨霰を吐き出していた異形達。背中から針鼠の様に砲身を生やした多脚の異形と、両腕が巨大な盾へと変化した大楯の異形。
それらの群れを率いるのは――暴力の化身達を率いるには、些か頼りない程小柄な少年。

「……思ったより抵抗されなかったな。手ごたえの無さを嘆くべきか、仕事が速やかに完了した事を喜ぶべきか」

まあ、後者だろうなと苦笑いを浮かべつつ、煙草を燻らせる。
今回は己一人での任務ではあったが、予想以上にスムーズに事は為った。
部下達はチームを組んで団体行動を取らせつつ、自らはその異能を活かして単独行動。そういう流れでも良いのかな、なんて思案しながら。

ご案内:「落第街大通り」にマディファ=オルナさんが現れました。
マディファ=オルナ > 落第街のとあるバーから出てきた、落第街に似つかわしくない少女がいた。

「はー、なかなかうまくは行かぬのう」

こちらの世界に来て行き当たった情報屋。
彼のもとに来てみたが、真新しい情報がなく肩を落として……
建物を出る前に絡んできたチンピラ数名を軽くのして出てきた所だ。

「……む?」

そうして、マディファは。
『鉄火の支配者』の行進に遭遇した。

「なるほど、錚々たる陣容じゃな。
 儂がやるにしては……突破力が足りん。
 砲弾は問題ないとしても、千日手かジリ貧で儂の不利かのう」

そう、独りごちる。

神代理央 >  
正しく、異形の凱旋。或いは、此の世ならざる化け物の行進(パレード)。
群れが歩みを進める度に、地響きの様に周囲を揺らしていく。
見つめる住民達の感情は大体が負の側面を持ち合わせているが――最近は、住民を巻き込む様な行動が少ない事から、嵐が通り過ぎるのを待っているかの様な態度の者が多いだろうか。

そんな視線を浴びながら、飄々…というよりも無関心な様子で物思いに耽りながら群れの中心で歩みを進める少年は、向けられた視線の色が負の側面では無い事に気付けば――おや、と言う様に視線の主に顔を向ける。

「………はて、何か用でもあるのかな。それとも、コイツ等がそんなに珍しいかね?」

視線の先には、獣耳を生やした少女――というよりも、幼女と呼称した方が相応しい女の子。
異邦人街からの流れ者だろうか、と首を傾げながら声をかけるだろうか。

マディファ=オルナ > 独り言に気づかれたか、と思ったが。
どうやらそうではないらしい。
ふと周囲を見れば、自分が向けていた視線が毛色が違うので気づかれたようだ。
だが、それらと同じ視線を向けろというのはマディファには無理な話。

「うむ……?
 用はなければ珍しくも無いがのう。
 じゃが、万一おぬしを相手にすればこの姿では良くて膠着じゃろうなと考えておっただけじゃ」

肩をすくめてそう言い放つ。
見た目だけではそう渡り合えるとも思えないが、見た目が当てにならないのはよくある話だ。

神代理央 >  
少女の言葉に、僅かに瞳を細める。
己を相手にすれば――というのは、明確な敵対行動の現れである。
しかし眼前の少女からは敵意は感じられない。今のところは、ではあるが。

「…腕試しとか、その辺りの類かね?であれば、私相手はお勧めしない。勝てる勝てない云々ではなく、風紀委員を敵に回すのは面倒な事になるからな」

少女の見た目と釣り合わない言葉を、気にしたり馬鹿にしたりする様子は無い。実際、見た目からは思いもよらない強さを持った者と多く渡り合ってきたのだ。
だから、少女の言葉は所謂バトルジャンキーに近いものなのだろうか、と思案しながら此方も僅かに肩を竦める。
会話によって停止した行軍に、住民達はそわそわと距離を置き始めるだろうか。

マディファ=オルナ > 「いや、人の子の強さを確かめたいと思うことはあるがの。
 じゃが今のところ、個人的にはお主ら風紀委員を敵に回す気はない。
 儂とて善良な一般学生として学園に通うておるからな。

 ……じゃが、仕事柄敵対せねばならなくなったときを考えて、の」

元の姿に戻ったところで、相性としては不利。
少なからず消耗はするだろうし、このクラスの強者が彼以外にいないと楽観できるような経験の浅さはない。

「……足を止めさせるのはここの住民たちには迷惑な話であったかな。
 話の続きは歩きながらでよいかの?
 敵対せずに済むよう、売り込みもしてみようかのう」

そわそわしだした住民たちの様子を察し、そう提案する。

神代理央 >  
「賢明な判断ではあるが、なるべく敵対する事の無いようにして欲しいものだな。面倒な仕事が増えるのは本意ではない故」

風紀委員会の戦力不足が叫ばれる昨今。
特務広報部も順調に隊員の育成が進んでいるとはいえ、未だ十全とは言い難い。
それ故に、仕事柄敵対する可能性を告げる少女には、小さく首を振って見せるだろうか。

「…別に構わないが、私と一緒にいる姿を見られるのは『仕事』とやらに差し支えないのかね。それに…売り込み?」

風紀委員会に売り込み、とは。
少女の目的を探る様な視線を向けながらも、提案には了承するだろう。
少女がついて来られる様にゆっくりとした足取りで歩きだせば、再び異形の群れは地響きと共に行進を再開するだろうか。

マディファ=オルナ > 歩き出した彼に並んで歩く。
速度を加減されているのはこの姿だし仕方ない。

「分かっておる、儂とてお主に相当消耗させられそうじゃ。
 じゃが、それは生半ではない労力がかかるじゃろうしな」

彼単体でそうなるだろう予想で、風紀と敵対して切り抜ける予想はつかない。
ならば、先に風紀に飼われる身になれば、風紀に敵対せねばならぬ依頼を蹴る正当性を確保できる。

「なに、別に落第街の物だけが儂の仕事相手ではない。
 傭兵として、裏渋谷に潜ったりもするからのう。
 と、いうことで……雇ってみる気はないかの?」

そう言いつつも、二つ返事で了承されるとは思っていない。
生半可な実力では彼の、と言うか異形の足手纏になり、砲撃に巻き込まれてお終いなのは予想がつく。
実力を見せろと予想し、その準備をしている。

神代理央 >  
「私自身、風紀委員の中で特段強力な異能だ、とか戦闘能力に秀でた委員だという驕りも無い。
その点では、そう言った判断と評価をして貰えるのは此方としても有難いやら、助かるやら、といったところだがね」

対軍戦に特化した己の異能は、対個人相手では分が悪い。
また、一撃の破壊力で己より遥かに秀でた異能や魔術を持つ風紀委員も大勢いる。そう言った点では、倒す倒さないではなく『消耗』を最初に上げた少女の見方は正しい。
少女の観察眼に僅かに感嘆の声を上げつつ、自分など風紀委員の中では大した事は無い、と肩を竦める。

「…ふむ?風紀委員に入るのではなく、傭兵として雇って欲しい…ということかな。
そうであるなら、色々と条件をクリアしなければならないだろうが、先ずは……いや、言わずとも分かるだろう?」

少女の予想通り、暗に実力を示してみせろと言外に示しつつ。
場所を変えた方が良いのか、それとも此処で少女はその実力を見せてくれるのだろうか、と。瞳を細めて少女を見下ろすだろうか。

マディファ=オルナ > 「それはそれは。
 異能自体は強力ではなくとも、数は力じゃ。
 そして、お主の経歴を見れば経験豊富。
 甘く見積もれば、足元を掬われるからのう」

魔術も異能も電撃も使わずに、負けを認めた少女を思い出す。
単なる手合わせではあったが、仮に本気で彼女と戦えば無傷では済むまい。

「無論、実力も示さず二つ返事で事が運ぶとは思っておらんよ」

そして、予想通りの話の展開に、待ってましたとタブレット端末を出して。
主観視点で、朧車の最高速度の突進を、撮影者が大剣を盾に微動だにせず受け止める動画を見せる。
動画は、その後朧車を大剣で縦に叩き切るまでが映っている。

「儂の目に仕込んだカメラで撮影したものじゃ。
 如何かの?」

神代理央 >  
「……私の経歴まで調査済みか、入念な事だな。
であれば、私を『鉄火の支配者』と分かった上で売り込みをかけてきたその豪胆さは認めよう。後は――」

後は、少女の実力が伴っているかどうか。
そう続けようとして、取り出されたタブレット端末に視線を向ける。
映し出されたのは、秋頃島を賑わせた朧車。
その交戦映像と思わしきものの映像を、静かに視聴した後――。

「……重ねて問うが、風紀委員会に入りたい…という訳では無いのだな?あくまで、部外者として雇って欲しいということか。
それとも、風紀委員会入りする希望もあるのかね」

映像への感想も、如何かな、との言葉には敢えて答えを返さず。
少女の希望がどの様なものであるのか、確認する様にもう一度問い掛けるだろうか。

マディファ=オルナ > 「うむ、安くはなかったがな。
 おかげで物理的な蓄えはあまり貯まらなかったがの」

しかし、今贔屓にしている情報屋でなければこれだけの情報は手にできなかっただろう。
情報料が高いだけはある、と思いつつ。

「うむ、風紀委員ではなく、部外者として雇ってほしい。
 風紀委員入りするには気が乗らんでな」

この再確認には、手応えありと見て。

「お主には、うってつけの人材じゃとは思うがのう」

彼の異能なら、砲撃に安心して巻き込める、もしくは散布界から即座に離脱できる前衛が欲しくなるだろうと当たりをつけて。
無論、マディファは前者だ。

神代理央 >  
ぴたり、と足を止める。
うってつけの人材だろう、と胸を張る少女を立ち止まってじっと見下ろすのだろう。その瞳には、感情の色は宿っていない。
まるで、商品を観察する商人の様な――

「………名前を、聞いていなかったな。
私の名は…まあ、とうに知っているだろうが、神代理央。
風紀委員会に所属する二年生。現在は、特務広報部という下部組織を率いている」

不意に少女の名を尋ねつつ、此方も自身の名を告げる。
まあ、少女はとっくに己の名を知っているだろうとは思っていたが。

「何せ"契約関係"になるのなら互いの名くらいは知っておかねばならないだろう?細かな条件面等は後日相談するとして。
その映像通りの働きが出来るなら、精々私の盾として振る舞ってみせるが良いさ」

ぽん、と少女の頭に手を乗せると。穏やかな笑みで、少女の売り込みに乗ってみせるのだろうか。

マディファ=オルナ > 値踏みされる視線。
傭兵として、己の身を売り込んでいるのだから至極当然のことだ。

「うむ、名乗っておらなんだな。
 マディファ=オルナ……一年生じゃ」

契約成立。
名を知っているが、改めて名乗られたというのはそういうことだろう。
彼の言葉が続く前にそのくらいの予想はつく。

「うむ、全くじゃな。
 いい買い物であったと思わせるよう、尽力しよう」

頭に手を乗せられているのは、意にも介さず──むしろ、目的通り効果を発揮していると満足して。
そして明白に契約が成立したことに、こちらも微笑みで返す。