2021/10/19 のログ
ご案内:「落第街大通り」に雪景勇成さんが現れました。
■雪景勇成 > 「――で、偶々手が空いていた俺と他数人も一緒に後始末…と。」
小さく呟きながら、うちのボスが何時ものように派手にやった痕を少し離れた場所から眺めつつ。
他の同僚達があれこれテキパキと動いているので、正直自分がやる事は何も無いのけども。
「あーー…取り敢えず、一段落したらボスに報告で。俺はもうちょい周り見てくるわ…。」
と、近くの同僚の一人に声を掛けつつ気だるそうにその場から離れる。
肩に担いだ布包みを一度担ぎ直しつつ、懐から煙草の箱を取り出す――が。
「…チッ、そういや切らしてたの忘れてた。」
緩く舌打ちを一つ零せば、大通りを一人歩く。今回の自分に与えられた任務は既に終えている。
面倒臭い事はさっさと終わらせるに限る、というスタンスだ。
ご案内:「落第街大通り」に謎の男さんが現れました。
■雪景勇成 > 改めて落第街をこうして見ると…まぁ、相変わらずだなと思う。
所々この街を出てあっち側に渡った時に比べて建物や地形が変わっているが、まぁそれも無理は無いか。
(…実際、うちのボスが毎回派手にやってるからな…。)
とはいえ、この男も多少なり広範囲攻撃で派手にやらかしたりしているのだが。
広域破壊、もとい範囲攻撃を出来るメンバーは頭数が流石に少ない。
正直、ちまちまやるより思い切り派手に一発かます方が自身の性根には多分合っているとは思う。
「…つーか、俺は何時まで出向してりゃいいんだろうな…。」
今の所は無期限となっているが。立場的には臨時隊員みたいなものだ。
いずれは特別攻撃課に戻る事にはなるのだろうが。…場合によってはこちらに完全な移籍も有り得るだろう。
「…そういや、前にボスが俺に1部隊預けたいとか言ってた気もするが…。」
いや、俺が部隊を率いるとかどんな無理ゲーなんだろうか、と思わなくも無いのが正直な所。
そういうのは副部長のハバキリとか池垣辺りの方がまだ全然向いているような気がするのだが。
■謎の男 > 落第街大通り。
島の薄汚れた場所でも「比較的」マシな部類の場所であり
違法な品の販売や怪しいキャッチ、喧嘩などで
裏世界特有の活気に溢れる。
裏の人間は決して豊かでないながらも
欲に対して必死に生きている様が活気を生んでいた。
そんな人々の中に、異質な男が一人。
この地域の人間にしては、妙に小綺麗なスーツを身に纏い
その瞳は虚ろで、正に生気が感じられないという表現が正しい。
周りの人間達は己を取り巻く喧噪で気にも留めていないが。
その男は一切姿勢を乱すことなく全く同じ歩幅で歩き続ける。
そしてその反対側から思案を巡らせている銀髪の青年とすれ違ったときに
男は足を止める。
<その紋章・・・。>
そう呟いて振り返ると、虚ろな瞳が青年を捉えていた。
ご案内:「落第街大通り」に雪景勇成さんが現れました。
■雪景勇成 > 「…そろそろ後始末とか報告も終わってる頃か…なら、引き上げ時か。」
呟きながら大通りを歩いていたが、ふと視線を向けた先に奇妙な男を見掛けた。
小綺麗できっちりとしたスーツ姿に何処か空虚な瞳。…格好は兎も角まるで死人みたいだ。
ゾンビの類では無いだろうが、仮に幽霊と言われてもまぁ納得しそうな程度には生きている気配が無い。
(――…まぁ、変わり者が多いのはここじゃ常だしな。)
そのまま、視線を外せば男とすれ違う。男が足を止めたのを感じ取るが、こちらは特にリアクションは取らぬままゆるりと歩き続けるが――…
…背後から視線を感じる。先ほどの生気の無い目をしたスーツの男だろう。
…これは面倒臭いが、そういう事も想定しておいた方がいいか…と、歩調はそのままに静かに一息。
■謎の男 > <そこの人間。>
男が声を掛けたのは瞳に捉えた銀髪の青年。
ある程度距離が開いているはずだが
その何処かノイズ混じりの声は
距離の開きを感じさせず、まるで直接響くように。
<その紋章にはどのような意味がある?>
男が銀髪の青年に尋ねる。
その言葉が指すのは青年の所属を表す紋章の事だ。
この街の人間にとっての当り前は男の当り前ではない。
表情などなく瞳は虚ろなまま。
■雪景勇成 > 「……あ?」
何となく声を掛けられるとは思っていたが。ゆっくりと足を止めて顔だけをそちらへと向ければ。
…矢張り、先ほどすれ違ったスーツ姿の生気の無い目の男で。
「………?」
相手の質問の意図に一瞬眉を潜めて。いや、その内容より…ノイズが混じったような声が気になる。
言葉で話し掛けられた、というより…直接頭に響くようなそれは少々不快だが。
「――風紀委員会のだが、それがどうかしたか?」
端的に答えを返すが、風紀委員会を知らないという事は…まぁ、幾つか推測は出来るがあくまで推測だ。
そもそも、別に頭が回る訳でもないのであれこれ推測してもしょうがない、面倒臭いし。
■謎の男 > 声を掛けられた青年は男に対して振り返る。
その目は少なからず色々推察しているものと取れる。
中々の場数を踏んでいる人物に間違いないようだ。
<風紀委員会。委員会。
君はその名称の組織に所属しているのか。>
男の姿は人間そのものなれど
動きの癖のような物や仕草を一切見せない辺りに
人間味を感じさせない。
彼の言った「風紀委員会」というものに心当たりは無いようだが
言葉の意味から何らかの組織の名であると推測した。
<その組織の役割は何だろうか?>
その組織がどういった行動をしているのかという所に
男は興味があるようだ。
この落第街には同じ紋章を付けた者たちが多く活動している。
それゆえ目に触れる機会も多い。
■雪景勇成 > 実際の所、馬鹿なりに推測はしてはいるが、この場合考えてもしょうがない気はする。
別に考えを放棄している訳ではなく…まぁ、単純に面倒臭いのだ。
「……そうだが。それがどうかしたか?」
そう答えながら、改めて男の姿を眺める――スーツ姿の男…には見える。
だが、矢張り違和感が拭えない。人間味…言い換えれば”温度”が無い。
まるで、機械か何かのようだ。…サイボーグ、とかには少なくとも見えないが。
「――役割?まぁ、一言でいやぁ…”警察機構”みたいなもんだな。他の国とかに照らし合わせりゃ。」
詳細を語るのではなく、簡潔に端的に答える。と、いうか得体の知れない相手にぺらぺら喋る気も無い。
そもそも、それを知ってどうするのだろうか?単に知識欲が旺盛なのか?
(風紀委員会を知らない、得体が知れない、さてこういう手合いは取り敢えず慎重に対処するか)
この男の場合、慎重といっても正直何時もとあまり変わりはないのだけれども。
取り敢えず、男の出方を窺いつつ会話を続けるのが無難だろうか。
■謎の男 > 青年が男を観察しているように男もまた青年を観察していた。
目立って武器のようなものは所持しておらず
その風貌はやけに落ち着いているに見える。
落ち着いているという事は精神的に安定しているという事。
精神が安定している人間は何か優れたものを持っている。
<なるほど。治安維持が君達の役割か。>
まるで合点がいったと言わんばかりの口調で一言。
この紋章を付けている者が優れた力を持って
この落第街で活動しているのは誰もが知っている。
そんな当たり前の風景を男もまた見ていたという事だ。
<その紋章を持つ人間は、強力な力を持っている傾向があるようだ。
君もその一人だろうか?>
その目は虚ろなまま、しかし詩的な表現で雰囲気が変わった。
まるで目の前の青年を品定めするように。
この男には、打算や高度な思惑など何一つない。
強いて言うならば青年が冗談のように考えた「知識欲が旺盛」、
たったこれだけの一つに過ぎない。
■雪景勇成 > 武器は確かに表向きは所持していない。ナイフも拳銃も所持していない。
強いて言うなら、先ほどから肩に担いでいる全長1・5メートル程度の細長い布包み。
精神は安定している、というより…まぁ常にこんな感じというだけだが、まぁつまりそれが安定しているという事なのだろう。
「――まぁ、色々細かい所は端折ってるがそう認識してくれていいんじゃねーかな…。」
こういう解説をするのは、うちの上司とかの方がきっちりしてくれそうなのだが。
まぁ、一応相手が納得してくれたならそれでいいのだけれども。
少なくとも、風紀の紋章に見覚えがありこうして役割を尋ねてくるという事は関心があるという事か。
――と、空気が変わった気がする。僅かに赤い瞳を細めて相手を見据えて。
「あー…強力かどうかは何とも。正直やべーくらい強いのなんてここじゃ結構居るだろうからな。」
自分がどの程度強いかなんて、そこまで意識した事がないからなんとも言えない。
そもそも、戦いは戦術や相性、武器や能力、魔術や技巧など色々な要素がある。
どちらか上だとか下だとか、やってみなけりゃ分からない。
「…んで?風紀委員…つーか、仮に俺が強力な力を持っていると仮定して、アンタは何がしたいんだ?」
■謎の男 > <この場所には強力な存在が数多く居る。
その事実は、喜ばしい事だ。>
先程まで姿勢に変化を見せなかった男だが
右手で拳を握ってその腕を少し上げる。
男の口からは淡々と息継ぎすらもせず
ただ等間隔で言葉が連ねられる。それは機械のように。
<僕の目的は進化する事。
強力な力に触れ、比較することは経験を蓄積させ
次の世代へと生かし、新たな機能を生み出す。>
男の言葉は止まらない。
それと同時に先程少し上げた男の右腕が漆黒に染まってゆく。
やがてそれは粘土細工のように形を変え厚みを増していき
最終的に鋭利なブレード状へと変化する。
<例えばこの機能は、人間を容易に切断できる。
君の持つ力ならばどう対応するだろうか?>
目の前の青年へ問う。
男の右足が動く。
戦いに長けた者ならば何か仕掛けてくると感じるほどに。
■雪景勇成 > 「――あー…つまり、アレか?アンタの目的は常世島の強力な連中の戦闘能力を経験、学習してそれを生かして”次”に進むって事で間違いねーか?」
彼の語り口から矢張り人間ではないのは分かった。そもそも”新たな機能を生み出す”という時点で普通ではない。
まぁ、普通のヤツなんてむしろそちらの方が案外稀少なのかもしれないが。
と、そんな考えを巡らせた所で目線は男の右腕…それが漆黒に染まっていくのを見遣る。
まぁ、こうなる予感は先ほどからしてはいたのだ。緩い溜息と共に「面倒臭ぇ」と独り言を漏らし。
「――人体を軽々と切断、か。じゃあ、そうだな…俺はこうするわ。」
無造作に軽くそちらに右手を向ける。その手には何も握られてはいない、が――
次の瞬間、虚空が一瞬裂けたかと思えば男の目の前の空間から歪な形状をした巨大な大剣が切っ先から姿を現し。
「――”切られる前に潰す”。」
そして、躊躇無く男のどてっ腹目掛けてその大剣を超高速で”射出”する。
自身が握るのではなく、呼びだした異形の剣を銃弾…否、砲弾のように撃ち出す一撃。
■謎の男 > <僕は力、未知を学び、進化し適応する。>
青年の憶測に一切の間違いはない。
力を学ぶ上で、一番手っ取り早いのはぶつけ合う事。
強力な戦闘能力を持つ存在と相対することで
力という面では無限の成長を図ろうとしている。
彼は人間ではない。人間が作り出した機械。
この島では進化する怪異と言うのが合っているだろうか。
<何も存在しない地点から物体が出現。興味深い。>
男が右足を踏み込んで変化して右腕を振り下ろそうとする前に
青年の行動の方が一つ早かった。
戦い慣れていると思える判断と行動の速さ。
空間を裂いて放たれた大剣は男の腹部を撃ち抜き
大きい質量の弾丸ともいえるそれは男を吹き飛ばしながら腹部に大穴を開ける。
<これは、異能。物質生成・・・。>
開いた大穴から大量の黒い粉末のようなものをばら撒きながら
ボロ雑巾のように地面へと転がり落ちる。
普通の人間であれば即死は免れない損傷。
<的確な判断だ。>
しかし、地面に突っ伏している男は次の瞬間左腕で地面を付き立ち上がる。
その腹部に大穴を開け反対側の景色が丸見えの状態で。
■雪景勇成 > 「…俺は馬鹿だから、正直進化だの適応だのピンと来ねーが…。」
一つだけ確かな事は、潰しにくるなら逆にこちらから潰すまでの事。…正直面倒臭いが。
一方的に嬲られる趣味は無いし、強さに興味は無いがそこまで弱いとは思わない。
目の前の正体不明の男の目的も正直知った事ではないが――力をぶつけてくるなら力で返すまで。
(――とはいえ、コイツの正体…せめて片鱗くらいは確認しておきてぇもんだが。)
これでも、それなりに修羅場は潜っているので、戦闘態勢でも冷静に思考は出来る。
彼の目的は本人が今しがた口にしたが、それはそれとして具体的に相手の特性などはまだ分からぬまま。
即断即決、彼が切り掛かってくるより僅かに早くこちらの射出した異形の大剣が男の腹部を貫き、そのまま遠くの壁へと突き刺さる――が。
「……腹に風穴開けられた程度じゃ大したダメージにもならねぇか。ついでに言やぁ、物質生成つーか武装召喚な。」
と、自ら口にするがこれはブラフだ。いや、武装の召喚も間違いでは無い。
ただ、他にも幾つか特性を持つ”複合系能力”というのが正確な所で。
あくまで、今この男が口にした武装召喚、というのは表向きのものに過ぎない。
常に手札を隠し持つのが男の常套手段であり、得体の知れ無い相手でもいきなり手札をフルオープンする愚は犯さない。
倒れながらも、腹に風穴を開けたまま――そこから、血の代わりとでもいうべき黒い粉末状のものを見て僅かに怪訝そうになるも。
平然と立ち上がる様子の相手に、やっぱり大したダメージにはなってないか、と一息。
腹は風穴が開いたままで向こう側がよく見える。
「魔術…の類じゃ無さそうだな。かといって異能…も、何かちげぇ気がする。
…さっき機能がどうのと言ってたが、機械の類か?アンタは。」
ただ、機械じみたパーツやら何やらは見えない。先ほどの腕のブレード変化も妙だった。
少なくとも、仮に機械だとしてもただの機械ではないのは間違い無さそうだ。
■謎の男 > <武装召喚。
虚空から武装を出現させる、実に汎用性が高い能力だ。>
腹部に開いた大穴のせいなのかバランスを崩しながら
フラフラとその場に立っている男。
その様子とは裏腹に喋る声には乱れや焦燥などは見受けられない。
普段は収納し、何もない所から攻撃手段を出現させる青年の力は
携行性や隠密性においても非常に重要な意味を持つ。
男は新たな知見を得た。
<君の推察は正しい。僕は君達人間が作り出した機械だ。>
男の腹に開いた穴からは今にもおびただしい量の黒い粉が漏れ出ている。
何時しかそれは青年と男の間の地面を黒く染め上げるほどに。
ただそれは染め上げるだけでは終わらない、
漆黒の砂場は意思を持っているかの如く異様な速度で青年の周囲を取り囲もうと
脈動するように移動する。
<次だ。>
黒い砂から数本の無機的な触手と思しき物体が音もなく出現する。
青年を囲むように位置取るソレの先端から鋭利なナイフのようなものが
次々と射出される。
ご案内:「落第街大通り」に雪景勇成さんが現れました。
■雪景勇成 > 武装召喚――表向きはそういう事にしているし、所属している部署にも能力内容はそう通している。
実際、何も無い空間から無数の異形の武装を召喚し、それを射出、ないし直接手に持って戦うのが基本スタイルだ。
厳密には複合系能力ではあるものの、武装召喚がベース…と、いうかメインなのは間違いなく。
「お褒めの言葉どーも…汎用性の高さを生かせてるかどうかはわかんねーけどな…。」
声の乱れは無し。
表情に変化は無し。
見た目だけなら即死級のダメージでも平然としている。
それを改めて確認すれば、今度は左手にこれまた異形のシルエットを持つ斧槍…ハルバードを虚空から忽然と出現させつつ。
「――あ?俺らが作り出した機械?…その割には機械っぽさが薄い気がすんだが。」
彼の自己申告が正しいなら機械で間違いは無いようだが、機械じみたものは何処にも見当たらない。
サイボーグとかも想像したが、そもそも風穴が開いた腹からも機械らしきパーツは覗いてない。
(…そうなると、あの黒い粉っぽいのが気になるな…ありゃあ何だ?)
訝しげに血液のように垂れ流すそれを眺めていたが…ふと気付いた。
こちらと男の間の地面を黒く染め上げるそれ――不意に、それがまるで意思を持つかの如く動き始める。
「……おいおい、これの何処が機械なんだよ…。」
異様な速度でこちらの周囲を取り囲む漆黒の砂群。それを一瞥してから男へと視線を戻しつつ肩を竦めてみせて。
そして、周囲かの砂群が作り出したナイフが全方位からこちらを狙って射出させる。
左手の斧槍を無造作に振って幾つかは弾き飛ばそうとしつつ、それでも捌き切れないものは――…
「……ったく、面倒臭い…。」
悪態を零しながら、これまた忽然と出現したナイフの群れが残りのナイフを迎撃する。
切っ先同士を正確に撃ち当てて軌道を逸らし、あるいは弾こうとする。
何本かはそれも突破するが、コートや制服を掠めはするが直撃だけは綺麗に避けてみせて。
ご案内:「落第街大通り」に雪景勇成さんが現れました。
■謎の男 > <微小な存在が集合となり物を形作る。
これは万物に適応される本質だ。>
この怪異の不可解さを目の当たりにし
青年の独り言のような言葉を受けて男は発言する。
この怪異は機械なれど勿論既存の枠組みに入るものではない。
<君は自分の持つ能力を応用できている。>
強力な力はただ持っているだけでは意味が無い。
正しい使用方法と効果を上げる応用を行うことで
初めて強い存在として影響を及ぼす。
つまり力を得るだけでは足りない、知識を併せて得る必要があると
両方を以て進化であると怪異は理解している。
<試行する。>
青年がナイフの横雨を迎撃した直後には、
フラついていただけであった男が
右腕のブレードで青年に切りかかろうと勢いよく飛びあがる。
振り下ろされる先こそ致命傷を与え得る部位ではないが
その動きは最初に切りかかろうとして時よりも明らかに速くなっている。
ご案内:「落第街大通り」に雪景勇成さんが現れました。
ご案内:「落第街大通り」に雪景勇成さんが現れました。
■雪景勇成 > 「…よく分からんが、取り敢えず――…。」
彼の言葉からはまだ正確にその正体を読み取る事が出来ない。
それでも、一つだけ確かな事は単体ではなくまるで群れ…微笑存在の集まりが形作るという事。
「…そりゃどーも。」
応用出来ているかどうかは兎も角、この相手が思ったより厄介なのは初手から何となく分かった。
全方位からのナイフの射出を、左手の斧槍の一撃と対応するように出現させたナイフをぶつけるようにして軌道を逸らし、あるいは打ち落とし。
「――あぁ、”読んでたよ”。こうやっている隙を逃す筈がねぇってな。」
直後、飛び掛かってきた男のブレードの一撃を、先ほどから担いでいた布包みを右手に持ちながらしっかりと受け止める。
更に、左手に持っていた斧槍が忽然と消えたかと思えば、今度は至近距離から先程よりも細身の複数の刀剣を生み出して、彼の肩や足を狙い放たんと。
狙いは肉体へのダメージではなく、衝撃で吹き飛ばして距離を取るためのもので。
ご案内:「落第街大通り」に雪景勇成さんが現れました。
■謎の男 > 攻撃の速度は先程より速くなったがそれだけでは足りない。
青年は冷静に怪異の一撃を受け止める。
ブレードと布包みがかち合って甲高い金属音のような物を響かせる。
<・・・!>
それに、この場において戦いを知っていたのは青年の方だった。
ブレードを受け止められ隙だらけになっている男へ
青年は無数の刀剣を能力で生み出し放つ。
機関銃のように繰り出される刃物の弾幕が
男をめった刺しにした上で空中へと放り出す。
<素晴らしい。>
一度吹き飛ばされたときは無様に地面へ転がっていた男は
今度は受け身を取り地面へと着地し、変わらず虚ろな瞳で青年を捉える。
腹の大穴に加えて、足や肩を筆頭に様々な部分に穴が開いてしまっている。
その傷は人間の姿であると認識するには痛々しいほど。
<・・・なるほど、構造を保つには不十分のようだ。>
そしてそれは唐突であった。身体のあちこちに穴を開けられ
形を維持するのが不可能になったのか急激に男の身体が歪みだし直後に破裂する。
地面を覆ているものと同じ、男を形作っていると思われていた
黒い砂が大量に勢いよく飛び散り宙を舞い地面へと落ちる。
ご案内:「落第街大通り」に雪景勇成さんが現れました。
■雪景勇成 > 流石に片手だけで受け止めるのは少々きつかったが、柔な鍛え方はしていない。
仮に彼が超重量級の一撃を繰り出してきたら、少なくとも受け止めても体勢が崩れてカウンターが間に合わなかったかもしれないが…。
「――機械っつぅなら大なり小なり”合理的判断で動く”もんだろ。
…なら、ナイフの全包囲攻撃は本命、じゃなくて牽制。それで仕留められれば良し。
――そうでなくても、そっちに意識と手を集中させてその隙に不意の一撃で仕留める…ってな。」
機械としてのあちらの判断と、なまじ人型をしているからこその知性の高さを利用させて貰ったようなもの。
二度同じ手を食う相手でもないだろうから、今回のパターンはもう使えないが。
「……別に素晴らしくも何ともねぇっての…。」
呟くように口にすれば、衝撃で吹き飛んだ後に地面へと転がる男から視線を外さずにゆっくりと身を起こす。
刀剣の群れは忽然と斧槍と同じく綺麗っぱり消えている。
どうやら、出し入れは本当に自由自在のようであり…また、複数同時にも出せるようで。
「――微小な存在の集まり…黒い粉っぽいもの…構造を保つ……まさかとは思うが。」
名前は一応聞いた事があるが、実際にそれを見た事は無い。そもそも合っているかも分からない。
ともあれ、男のボロボロの肉体が”破裂”し、黒いソレが飛び散って地面に広がるのを眺めつつ。
「……死んだ…いや、この場合機能停止か?……んなあっさりくたばる相手でもねぇよな。」
今この時は動けなくても、時間経過で復活するだろう。長年の戦闘経験からそう判断する。
本当なら、その黒い砂の一部は回収しておきたいが…勝手に動き出されて攻撃されたら笑い話にもならない。
(きっちり”トドメ”を刺したい所だが、あの状態から不意打ちの可能性もある以上は迂闊には出来ねぇか)
黒い砂の山を眺めながら小さく嘆息を一つ。今の内にさっさと離脱するのが理想だろう。
そのまま、無造作に右手を一振りすれば再び空間が避けて人一人が通れるくらいの空間の裂け目が出現。
そこに身を飛び込ませつつ、その場を離脱して今頃引き上げているだろう同僚と合流しようと。
(…俺の勘や推測が間違いじゃなけりゃ、微小機械…ナノマシン、だっけか?そういうやつだとは思うが)
心中で呟きながら、やがて裂け目が閉じれば後に残るのは黒い砂の山と化した謎の男の残骸、だけだろうか――
ご案内:「落第街大通り」から雪景勇成さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」から謎の男さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」にエボルバーさんが現れました。
■エボルバー > 青年が去ってしばらくした後に黒い砂場が脈動する。
それは集まり、何かの形を形成してゆく。
それはやがて人のような形を成し
男の姿を取る。
<・・・風紀委員会には強力な力を持つ者が居る。
・・・この場所には強力な力を持つ者が居る。>
黒い砂が男の足元へ集まっていき、
大通りを覆ていた砂場はいつしか姿を消す。
<進化だ。>
機械は一片の痕跡など残さずこの場所から消えている事だろう。
ご案内:「落第街大通り」からエボルバーさんが去りました。
ご案内:「落第街-施療院」にマルレーネさんが現れました。