2021/10/30 のログ
■メア > 「そうでもないわよ?懇意にしてる人が多くいる、っていうのは…意外と役に立つものなんだから。」
事実、ヤリ捨てされることはあっても、囲われるということは一度もなかった。
囲ってしまって噂になってしまえば、懇意にしている人が探しに来かねないからだ。最も…組織ぐるみとなってしまえば、無力なのだが。
「仕入れに関しては私が教えてあげたんだけどね―…確かに最近の物流でちょっと可笑しいのは頷けるかも」
「そうそう、あのお店、お気に入りなのよ。香りもいいし、マッサージも良い腕してるし…♪
貴方の香りも、素敵ね?」
■黛 薫 >
「そりゃまあ、役に立たねーとは言わねーですし?
あーたみたいなのはコッチの街でコネ作んのにも
向ぃてんでしょーけぉ。ヤな思いするコトだって
あるだろーよ。歓楽街の方が安全だし、金払いも
イィとあーしは思……いぁ、それも勝手か」
黛薫は貴女のスタンスに共感していないようだ。
というのも黛薫は貴女と違って『懇意にする』と
呼べるような関係を滅多に結べなかったから。
常に相手より下の立場で『裏切らない』という
信頼だけを担保にお溢れに与る最底辺の立場。
おまけに個人より中小規模の組織相手がメインで
ヤリ捨ても暴力も当たり前。違う意味で囲われる
頻度も高かった。酷いときは食事より両方の口に
注がれた欲の方が多かったくらい。そんな生活を
脱してからまだ半年も経っていない。
「ああ、だから余計に調子乗ってんのか……。
本人が楽しそーだからイィのか、アレでも」
「お気に入り、なぁ。通えばスタンプカードも
溜まるかんな。まあ、イィ店なのは認めます。
あーしもつぃ、香りに惹かれて通っちまって。
この香りも店の人にとっても新しい試みだった
らしくて、気に入ってずっとつけてるのよな。
それにマッサージ……うん、マッサージ、な」
僅かにフードを下げるような、逃げるような仕草。
まさか安らげる時間に縁がなさすぎてマッサージで
ボロ泣きした、なんて醜態を話せるはずがないので。
■メア > 「んー…別に嫌な思いはしたことはないけどね?その人の為にあれるのなら、本望だし」
そもそも、価値観が違ってしまっている。
メアは根底に『人の為に在ること』がある。
人間関係や、自分の感情は、二の次なのだ。
そういった意味では、あの『調香師』と似ているかもしれない。
それに、彼女が慰安するのは個人であり、組織に属する者と接触するのは稀である。
群れる者は大抵の場合捕食者であり…被食者となった場合は大抵の場合散り散りになる。そうして生活するのにも困り果て、そうしたところをメアが声を掛ける。そういう構図が多い。
傷んだ心を癒やすために、閨を共にすることも珍しくはなかった。
「やっぱりね、こんなところでも楽しくやれるのが一番だから。彼、半年前ぐらいは路地裏で転がってたのよ?」
それを立ち直らせ、店を構えるまでになったのは、メアのお陰だろう。彼がメアに入れ込むのも、それが理由だ。
「そうそう、スタンプカードで悩んでるのよね―。お願いは決めたんだけど、そのお願いの『形』をどうしようかなー、って」
■黛 薫 >
「……そーーいぅ考え方ならそりゃあの店とも
相性良ぃでしょーよ。だって店主がアレだし。
もぅ何?なんっっで人の為ならイィみたいな?
そーゆーのが集まるんすかねーー……」
(顔と名前は知っていたといえど)初対面の相手に
危険を知らせる黛薫もあまり人のことは言えない。
ただ本人が意地でもそれを認めたがらないだけだ。
手を差し伸べられるほどの余裕はなく、それ故に
見捨てることを余儀なくされ、その所為で誰かを
助けても助けられなかった後悔ばかりがチラつく。
もしも、黛薫が道を踏み外していなかったら。
貴女たちのように『人の為』にいられたろうか。
そんな仮定は、誰も知り得ないのだけれど。
「人はパンのみにて生くるに非ず、だっけか?
楽しみがあって心が満たされて、それでやっと
前を向ける。あーたもご苦労なこったよ」
皮肉るような内容に反して、寂しそうな声音。
「……ってコトは、3回分溜めたんすね、あーた。
いぁ、3回通うのが苦にならなぃ良ぃ店だって
知っちゃいますけぉ。何かあーたのスタイルを
聞ぃてっと、そのお願ぃも『誰か』のために
使ぃそーに思えますね……」
■メア > 「似た者同士、っていうのは否定しないわ」
根底にあるものに加え、素性も似通っているのだ。
手法は違えど、起源は違えど。
機械であり、『人の為』を願うのは、同じだった。
「娯楽がないと、人間って死んじゃいますからね。絶望だけじゃ生きていけないのよ。でも、そうして救ってきたから…少なくとも、表の活気はあるのよ?」
比較的治安が良いのも、『誰かに救われた経験』があるが故、とメアは語る。
事実無法地帯に近くはあるが、大手を振るって犯罪行為に走る者は少ない。
最近であったことと言えば厄災の襲来ぐらいだろうか。
「んー、まぁ、自分の為でもあり…その人の為でもあるかな?ほら、何時まで経っても『調香師』さんじゃ味気ないじゃない?」
■黛 薫 >
「……いっそ否定してくれたら良かったのに。
人の為を食ぃ物にするヤツもいんだからな」
羨ましいと思った。顔に、声音に出ていたかも。
あの店の調香師も貴女も、人ならざる者で。
しかし『人の為』というアイデンティティ故に
深く人に交わる。感情の差か、価値観の差か。
些細なようで大きい断絶は翻って自己存在証明を
守ることにも繋がっている。
黛薫には、それを守る術がなかった。
異能の所為か感受性の高さの所為か、ともすれば
普通の人より敏感で傷付きやすく、在りたかった
自分は崩れて砕けて、指の隙間から溢れて落ちた。
だから『人の為』からブレないヒトガタたちに、
胸が締め付けられるような感情を抱いてしまう。
「そーやって、救われてちゃんと前向けるヒトを
助けんのは学園の仕事のハズなんだけぉな……。
なんだってあーたにまで負担が回って……あぁ、
いぁ。あーたが自分で動ぃてんのに文句付けた
つもりではねーです、ごめんなさぃ」
「……ああ。『調香師』としか言わねーのよな。
味気なぃって言い方も、まあ共感はすっけぉ。
役割とか理想じゃなくて、アイツはアイツで
いて欲しぃ、とは……あーしも思ぅ、かも。
『調香師』じゃなぃ個人……とか言い出したら
そこまで含めて自分だとか言ぃそうで、それが
何か……モヤっとすんのよな」
■メア > 「食い物にされたら食い物にされたで、食い物にした人の為になるから、それでも良いんだけどね」
達観した物の考え方。自らを厭わぬ考え方。
その考え方に、自らの得が、入っていない。
自らの損が、入っていない。
人にあるまじき思考回路。
「無理じゃないかなぁ、学園はここの存在を認めてないんでしょう?それでも潰れず残ってる、ってことは…その方が『学園にとって都合が良い』んじゃないかしら?学園って、あれでしょう?異能とか魔術とかを内包した秩序を作るための研究してるって。
だから、こういう無法地帯のモデルケースも必要なんでしょう。」
そう、常世学園はモデルケースなのだ。学園としての体裁はしているが、異能や魔術を内包する社会を実現する為の、いわば『実験都市』。怪異が暴れることも、人が死ぬことも。死ぬよりも残酷な事になることも、『実験の範疇』でしかないのだ。
「そうそう、だから名前、あげようかなー、って。お願いを使うことにしたのよ。勿論、名乗るかどうかは、調香師さん次第だけど。名前もまだ決めれてないしね」
■黛 薫 >
「あーたが自分を考慮に入れてねーのは何となく
想像出来ましたけぉ。そーゆーヤツに踏み台を
与えたら次の人が食われんだわ」
ヒトならざる思考、揺らぐことのない判断基準。
もし自分も揺れずにいられたらと夢想するのに、
感情を挟む余地がないその言葉が恐ろしい。
だから、黛薫は勝手な意見ばかりを口にする。
「それは学園の運営レベルのマクロ視点の話だろ。
もうちょぃ身近な……風紀とか、公安への不満。
個人の行いで救われる人への扶助が、人を守る
組織より先に個人によって為されてる現状への
愚痴っすよ。ま、組織はそう身軽じゃねーし?
あーしの愚痴よりかタメになる行動してますが」
「名前なぁ。何だろ、名前つけて良いか聞ぃたら
『貴女の前でだけその私になるよ』くらぃのコト
言いそうなのがな……。あーたなら変な名前も
付けねーだろし向こうも受け入れんだろーけぉ。
折角なら受け入れるより喜んで欲しくねぇ?」
■メア > 「まぁ、そうなったらその人が不運だった、ってコト。私は人の行動をとやかく言える立場じゃないし…その人が何をしようが自由だし。
それに、私は私の手の届くところしか助けられないからね。そうならないように、対話とかは試みはするけど」
自分が救った結果、誰かが犠牲になる、というのはよくある話だ。実際、厄災にもメアの手は入っている。それでも彼女が心を傷めないのは…彼女が『隣人』であるが故だ。
隣人は他人に過干渉しない。死んだ人間を想うより、生きている人間を助けることを優先する。
「だから、その風紀や公安が、学園から許可が下りないんでしょう。だから風紀や公安でも、『個人』で助けるしか無い。だから遅々として進まないんでしょう?」
つまり、秩序の手が入ることは、学園としては…実験としては不適であるから、命令が出ない。許可が出ない。
あまつさえ放置する。だから個人の力に頼らざるを得ないのだろう。
「そうそう、それじゃあお願いの意味がないし…それに、そんな事言われたらさ。自分で名乗りたくなるような名前にしようと思ってね。」
■黛 薫 >
「ドライだな。落第街に関わんなら正解だけぉ。
あーしもホントは見習わなきゃなんねーくらぃ。
見ての通りあーしは言うコトから成すコトまで
あーたみたぃに芯通ってねーかんな」
肩を竦める。彼女は気にしない。自分は気にする。
気にして手を伸ばせないくらいなら割り切る方が
『人の為』になる。寄り添えるほど近くないなら
なおさらなのに、自分には出来ていないこと。
「命令しなきゃ動けない組織に命令しねーのは
『何もするな』って命令すんのと同じコトだし。
だから風紀も公安も、上からの指示が無きゃ
動けねー構造にはなってねーと思ぅのよな。
命令がなきゃ動けない組織が実験に不適なのと
理屈としちゃ一緒だろ?
っても責任押し付けたいがための妄想だって
言われりゃ反論のしようもありませんが」
「……っつーコトはマジで言われたのか、はぁ。
それを聞くとちょっと……意地んなるってか、
あーしがお願ぃしようとしてたわけでもねー
ハズなのに、こんにゃろうって思ぅな……。
ちょっとあーたのコト応援したくなったわ。
協力出来るコトあったら言ってくれてイィ。
あんのすまし顔、嬉し泣きさせてやりてぇ」
■メア > 「それが人間ってものですよ」
人は一面だけではない。普通行動はブレるのが人間なのだ。相手によって、時によって、感情によって。
人間は感情の生き物だ。それに揺れることは、人としては正しい。
「えぇ、命令がなきゃ動けないわけじゃない。でも、命令がなければ『組織』としては動けない。だから、風紀も公安も、『個人』として落第街にテコ入れしなきゃいけないの。一人一人、公的な予算もなく、給与もなく。
つまり、通常の公安や風紀の仕事の傍ら、ボランティアのようにやってるんですよ。落第街やスラムの支援活動って。それじゃあ…全面的な解決に至るわけがない。まぁ、その辺りの動きも含めて、『実験』なんでしょうね」
「そうですねぇ…名前、まだ思いついてないんですよね。香りに関する名前にしてあげたいんですけど」
■黛 薫 >
「人間らしくねー思考のあーたに言われてもなぁ」
「要は、実験を行う者の恣意的な干渉があると
実験の意味がなくなる。命令すんのは当然だが
命令しない=動けねーのもダメ。だから組織は
実験を行い監視する組織……この場合生徒会?
と独立じゃなきゃいけねーワケで。
てコトは組織の意思決定は組織内で行われる。
当然独立である以上組織のトップが実験者の
顔色を窺うのもダメだ。それを踏まえた上で
組織の動きが個人に劣る場合があるってのが
あーしの愚痴。無責任な立場じゃねーと口に
出来ねー理想論だし、そもそこまでが観察の
対象で、未だ実験途上だからいずれ落第街の
皆も救済される秩序に収斂すんのかもだけぉ」
『実験』を目的にするなら手出しは出来ない。
逆に『実験』の内側にいるなら慮ってはいけない。
或いはそれさえも落第街から出られないがための
僻みなのかもしれないが。
「香りに関する名前……ねぇ」
乗り気ではあるが、その構想には深く立ち入らない。
というのも、まず彼女の名前が『薫/かおる』だから。
客観的判断が出来る自信がない。
■メア > 「そりゃごもっとも。私、人間じゃないんで♪」
さらっと言ってのける。但し怪異のように力があるわけでもなく。
異能を持つわけでもなく。
魔術を行使できるわけでもない。
力関係のヒエラルキーで言えば、最下位に位置するだろう。
「まぁ、組織は組織で動かすには理由が要りますから。ただ…救済は無いんじゃないかなぁ。一応、不法滞在も多いし…確か、『二級学生』だっけ?そういうのも黙認されてるって聞くよ?
ちゃんとした手続きが出来ない人間を、公的な機関が助けるとは思えないけど。書類上、いないことになっちゃうんだし」
そも、救済するつもりなら、人死にを黙認するはずがないのだ。死んでしまっては救うことなど出来はしないのだから。
「洋名にするか、和名にするかも決めてないのよね…っと、そろそろ行かなきゃ。」
気付けば長く話し込んでしまっていた。ステップを踏んで、薫から離れていく。
「お話、楽しかったわ。また、会いましょう?」
そうして、くるりと踊りながら、薫の前から姿を消すだろう。
ご案内:「落第街大通り」からメアさんが去りました。
■黛 薫 >
「人間でその思考だったら、あーし泣くぞ。
いぁ、その言い方は語弊があるか……んん。
人間じゃなくても価値観近しい種もいるし。
合理極まった考え方も大事だし……」
『人の為』を導とするなら、その明かりを頼りに
していたのに迷い惑って未だ暗闇にいるのが黛薫。
真っ直ぐ歩く貴女に思うところは多い。
「まあ、全員はな……んなコト言い出したら表の
街だって誰も彼も不自由なくとはいかねーし。
話の最初に立ち返るなら、救われた後自力で
前を向ける人だけでもってのが落とし所か」
「あー、うん。なんかめっちゃ引き止めちまった。
時間取らせちまって申し訳なぃす。こーやって
話し出すと広げちまぅのが『合理的じゃなぃ』
人間のダメなトコなんだよな……」
「最終的にはあーたの『お願い』なワケですし。
あーしがどうこう言える立場でもねーですが
……イィ名前、付けたってくださぃね」
ややバツの悪そうな表情で頬をかきながら見送る。
ご案内:「落第街大通り」から黛 薫さんが去りました。
ご案内:「落第街」にリスティさんが現れました。
■リスティ >
目覚めて数日。
小さな吸血鬼は……道に迷っていた。
適当に進んでいれば人の気配が集まっていたので、街でもあるのだろうと読んで進んできた。
たどり着いたのは街といえば街だが……
「……これは酷い有様……」
舗装の傷んだ道、ボロボロの建物。街灯も機能していない場所があり、全体的に暗い。
別に暗くても"視える"ので支障はないが、治安の指標としてはわかりやすい。
これなら遠方に見えた時計塔を目指したほうがよかったかもしれない。
早めに立ち去ったほうがよさそうだ……
そんなことを思いながら、浮遊しながらゆっくりと道を進む。
■リスティ >
なお、引き返すつもりはない。
異邦人街という場所は、どうも合わなかった。
違う世界の人間というのは本当らしく、血が欲しいとも思えなかったのだ。
飲んで見ればまた話は変わってくるかもしれないが……。
このぼろぼろの街にはどんな人間が居るのか。
治安の悪い場所なら、返り討ちにして血を拝借するのも悪くない。
人の気配に意識を向けながら、さらに進んでいく。
ご案内:「落第街」にフィーナさんが現れました。
■フィーナ > 「うーん…やっぱりここの情報屋じゃ島の外のことはわからないよねぇ…」
情報屋を伝いながら、落第街を歩く、大きな杖を持った少女。
まず目につくのは大きな杖、そして全身に至る刺青だ。服で隠れているところもあるが、顔にまでそれがあるのは、特異であると言えるだろう。
また、服装も落第街の住人にしては上等なものだ。
そんな少女が、ふらりと路地の方へ、向かうだろう。
■リスティ >
「……んー」
警戒されているのだろうか。誰にも出会わない。
別に取って食うつもりはないのだが……。
と、思考を巡らせていると近くを通る者を見かける。
「これは驚いたな……」
魔術師然とした杖だ。それに補正されて、入れ墨も魔術的なものだと推測される。
自分が眠る前はそんな者が堂々と歩いているのは想像出来なかった。
声をかけてみるか……進路上の傍らにある塀に座って待ち構える。
赤く光る双眸が、少女の姿をじっと捉えてる。
■フィーナ > 「んー…これ、クロに聞きに行った方が…いやでもあいつと合うの嫌だしなぁ…」
思案しながら、路地を歩く。一応、こっちの道をいけば情報屋がまたあるのだが…それもあまり期待は出来ない。クロを探したほうが良いような気がしたところで…顔を上げ、リスティの姿を捉える。
治安の悪い落第街、それも路地で、進路上で待つ影。
「…………なにか、用かしら?」
警戒して、然るべきだろう。
■リスティ >
待ち構えていた影は小柄だが、この落第街にしては小綺麗で。
異質な存在だと思い当たるのはそう難しくないだろう。
「ん?たまたま貴方が通っただけだよ」
実際は待ち構えていたのだが、そういうふうに装う。
「でも、そうだね……少しお話しない?
"此処"のこと、なんにもわかんなくてね」
赤く光る目は、変わらず少女をじいっと見たままだ。
■フィーナ > 「なら情報屋へどうぞ。私なんかよりよっぽど情報は蓄えてると思うけど?そこの角行って右手にあるからさ」
小綺麗な姿から、多少の金は持っていると判断。なら、情報屋を当たるのが上等だろう。
自分にも言えたことだが、落第街で『目立つ』者とは関わり合わないほうが良い。
目立ちながらも落第街に居るということは、相応の実力者であるという証左なのだから。
■リスティ >
「情報屋から買うほどの話でもないよ。
此処が何処なのかとか、今がいつなのかとか、
活気がある場所への行き方とか」
込み入った話を聞きたいわけではなく……こちらにはなにも情報がないのだ。
通りがかったのが風紀委員であっても、おそらく知らずに声をかけている。
「ああでも、情報屋の情報もありがたいね」
ポケットからコインを一枚取り出し、放り投げた。
通貨としての価値はないが純金製で、然る場所で換金は出来るだろう。
■フィーナ > 「っと」
投げられたコインを受け取り、確認する。
「……見ないコインだね」
これだけで、素性がいくつか割れるというものだ。
恐らくは、最近此処に来たもの…どこから来たかは知らないが、少なくとも『この世界』の者ではないだろう。
「活気があるところならこんな落第街じゃなくて歓楽街とか、渋谷街とか。それぐらいなら表の人間でも教えてくれるはずよ、『新入り』さん?」