2021/12/08 のログ
飛鷹与一 > 「――ごもっとも。でも俺は風紀に入って後悔はしてないよ。」

頼りになる先輩方や同僚、後輩たちが居る。
直接面識がある人達はあまり多くは無いけれど…。
成り行きで入った委員会だが、それでも後悔だけはしていないししたくはない。

それに、風紀委員会を気に入らない、という彼の言葉も一理あるのだから露骨に否定をしたくもない。

(…派閥やら何やら、組織のしがらみで歯痒くなる事も実際多いからなぁ…。)

それでも、ただの風紀委員の一人として自分に出来る事を自分なりにやる。
今も昔もそうしてきたし、これからもきっとそうだろう。
何時か――本当に誰かを救えるように。

「…そっか。それが君の選んだ道なら、俺からはあまりどうこう言うつもりもないけど。」

孤高のヒーローも居る。けど、彼らは彼らなりの苦労や葛藤を重ねてその道を選んだ。
――なら、彼は?彼もそんな苦悩や挫折を味わいながらも、それでもその道を選んだのか?

「悪は許せない、ぶっ潰す――か。」

裏も余計な打算も無い、きっとシンプルな彼の信念なのだろう。
人の信念を馬鹿にする悪趣味は無いし、その真っ直ぐさはむしろ羨ましいくらいで。

…だからこそ彼は危うい。遠からず民間人を巻き込んでも悪を潰す事を優先しかねない。

「――じゃあ、一つだけ質問。
君のその信念だと悪を潰すためなら周囲がどうなろうが知ったこっちゃないって感じに聞こえるけどさ?

――それ、前にここらを派手に戦渦に巻き込んだ”彼ら”と同類じゃないかな?」

確か、”彼ら”ですら最低限の避難勧告か誘導、もしくは猶予時間は与えていた筈で。
勿論、だからといって、先の戦火を肯定するつもりは無いが――その彼らと君は同じ所に行き着いていないか?と。

赤城ヒカリ > 「…………へえ。」

短くそう答えた。短い返事だがそこには少しの沈黙があり色々と思う事があるようだ。
相手の言葉を吟味し、かみ砕くようにそして次のように続けた。


「アンタはそこまで悪い風紀委員じゃないかもしれない。」

信じた道を突き進むといった点では評価できる。
己の信じた道を往くと決めているので少なからずそのような心意気を持っている人間にはよっぽどの極悪でない限りは認めている。

風紀委員は気に入らないのは事実だが、彼の事だけは認めた。少なくとも普通に会話できるレベルには。
道は違えど筋はしっかりしてそうだ。


「違う。俺と連中は違う。絶対に違う。一緒にすんじゃねえ。信念のない腑抜けと俺とは…違う!
 何故なら俺は勝つからだ!全員に勝つ!!勝って褒められるんだ!」

年相応以下の知能なのかそれとも正義の暴走なのか真っ当な答えにはなっていない。
しかし少年の目つきは狂気に狂っているわけでもなく、ただただ真っすぐだった。ある意味では狂っているのだろうが。

飛鷹与一 > 「…え?あ、うん、それはどうも…。」

まさかそういう評価が彼から来るとは思わなかった。
思わず会釈してしまったくらいには少し動揺した。
別に、自分が良い風紀委員だとも悪い風紀委員だとも思わない。
ただ――自分にだって、ちっぽけな信念や思いくらいはある。

少年の琴線に多少なり触れる何かがあったらしいが、こちらはサッパリ分からない。
そこまでご大層な事を言ったつもりもない。ただ、自分なりに貫くものがあると示したくらいで。

(えーと、もっと喧嘩腰で来られるものかと思ってたんだけどなぁ…。)

正直、舐められてもおかしくはないとすら思っている。
基本的に時々辛辣は混じるが物腰は穏やかで無駄な戦闘は好きじゃない。
話し合いや会話で終わるならそれが一番だとも思っているし、そうであって欲しい。

「――勝ち続けられる奴なんて居ないよ。
どんなカタチであれ、一度は負けて…そこで何かを得るんだ。
少なくとも俺はそう思っているし、負けが恥だとも思わない。勿論、ちょっと悔しいとは思うけどさ?」

と、最後は肩を竦めて僅かにおどけたように――だが、すぅ、と真顔になり。

「――ごめん、俺の事を少し認めてくれたのは嬉しいんだけど、今から一言だけ君に暴言を吐くのを許して欲しい。」

ぺこり、と先程よりも丁寧に頭を下げてから――真っ向から”ヒーロー”を見据えて。

飛鷹与一 > 「――ヒーロー様よ。テメェの”勝って褒められたい”っつー我儘に関係ない人達を巻き込むんじゃねーぞ…?」
赤城ヒカリ > 「けどやっぱ相容れねえ。ダメだ。」

それはそれとして道は別つ。決して交わることは無いと宣言する。
それを示唆するように落第街の別の場所へと視線を向けた。
俺の道はコッチでお前はそっち、と言ってるかのようだ。


「負けなんて知らない。正義は絶対に勝つ。だから俺は絶対に勝つんだ。」

もはや何も見えていない狂信者だ。
勝つと豪語し負ける可能性を微塵も考えていない。
だから彼の言い放った"暴言"にもカチンと頭にきて…いや頭にきたが彼を直接殴るような真似はしない。

代わりに問うた。

「そういえば…お前。結構いい装備してんじゃんか。例えば、だ。ボイスレコーダー…?っていうの…そういうモンも今時の風紀委員は持っているんだろうな?」

それが何を意味するか。だがボイスレコーダーのスイッチを押していないならばその猶予は与える。
猶予を与えるかのように沈黙する。
ただ、その沈黙は重く…何かとんでもない事を言いかねない危うさがあった。

赤城ヒカリ > 「なんならよ……テメエら風紀委員に全員に勝って、ぶちのめして…絶対的な正義である事を証明してやってもいいんだぜ?」

脅迫であり宣戦布告でもある。
声色は静かながらも熱は籠っており、押し殺した感情が爆発して…例えるならノリで核爆弾のスイッチを押しかねない危うさと後先の考えなさだ。

この発言がどんな影響が出るか、カチンときたせいで深く考えてはいなかった。

飛鷹与一 > 「――そうとも限らないよ。道なんて何処でまた交差するか分かったもんじゃないんだし。」

彼がきっぱりと決別宣言をする。その視線が向けられる意味は勿論分かるけれど。
――相容れなかろうが何だろうが、交わる時は交わるものだ。…そう、思いたい。

「”正義”……”正義か。」

その二文字は色々な在り方を生む。風紀には風紀の、彼には彼の。自分は――…

「…一応持ってるけど…。」

ごく自然な動作でスイッチをオンにするのは、職業柄というかそういうものだ。
ただ、次に彼が宣言する言葉はそれなりの爆弾という気もする。嫌な予感しかしないが。

そして、その宣言――…成程、中々に爆弾発言だった。
その台詞を録音し終えてからスイッチを静かに切って。

「――これまた大きく出たなぁ。風紀全体を一人で壊滅させるって事かな?」

赤城ヒカリ > 「正義…やっぱり俺が思った正義が一番だぜ。」

独善的でやっぱり周りの人間の事なんか考えていない。
結局は正義の二文字に酔っ払っている。


「俺一人で100人いそうな風紀を…あ、やっべちょっと大きく出過ぎた…、けどまあいいや!男に二言はねえ。おじいちゃんも男に二言はカッコ悪いって言ってたし。」

あまり考えず感情のままに突っ走り口を滑らすものだから後でちょっと言い過ぎたと思う場面はある。
だがそれを訂正するつもりはなくむしろ開き直ろう。


「とにかく気に入らねえのはぶっ潰す!それが風紀全体であろうともだ。
 正義を示す為ならなんだってやってやるぜ。」


直感的にこれが彼に対する直接的な宣戦布告であることも感じた。
いつでも動ける体制。彼が動いたら動く。後の先。

横目で通路を見る。
しかしながら今日の所は…退路確保が、先決。

飛鷹与一 > 「…いや、100人どころじゃないからね?その程度でこの島の治安維持活動とか出来ないでしょ…。」

と、思わず苦笑いで少年の発言に突っ込みを入れてしまうが、一息零して。
――うん、この一度の会話で相手の性格も信念も――己の正義への酔いも理解した。

「―――つまり、民間人も平然と己の正義に巻き込むクソ野郎って事でいいんだね?」

笑顔のまま淡々と再度確認を取る。気のせいか少年の傍を通り過ぎた人達が青ざめて距離を取った程度には怖気を感じたようで。
今にもその銃口が彼目掛けて飛んでもおかしくない程度の鬼気――だが、それは静かに抑えたまま。

「いいよ、別にここで戦うつもりは無いから――まだ人が多いしね。君と違って俺は関係ない人を巻き込む趣味は無いから。
――ただ、君じゃ俺一人程度でも倒せない――いや”殺せない”かな。」

『死神』はそんなに生易しくは無い。そんな簡単に死なせてくれはしない。
――だから、生き地獄を味わう羽目になる…もうこりごりだけれど。

「まぁ、仮に俺みたいなよわーい風紀委員を倒した程度じゃ、他の皆には土台勝てないよ?
君が信じる正義がどういうものか聞かないけど――物事はそんな単純じゃないし…俺達だって舐められて終わるほど甘くもないんだ。」

手は出さない――あくまで会話に徹する。彼が仕掛けてくるならそれはそれ。
さりげなく退路を確保しようとしているのは”見えた”。それを阻止する気は無い。

薄っすらと黒い瞳を金色に輝かせながら嗤う。

「――飛鷹与一。君がその狂気を振り翳すなら好きにしなよ。……ただ、あまり舐められても困るけど。」

赤城ヒカリ > 「数百…ひょっとしたら千…?まあ、大体わかった。とにかく全員ぶっ潰すなら一話につき10人とかそこら倒せばいいんだな?」


余談ではあるが特撮は一作品につきおおよそ45~50話ほど。
つまりヒカリは風紀の組織全体を400、500人と過程した上で特撮の話数に準えて倒す想定をしている。
現実と空想の違いの区別が曖昧なのはまだ13歳なのと特撮好きからでもある。


「クソ野郎共はアンタらだろうが」

元より自分が死ぬとは思っていない。
故に通行人が青ざめようとも平然と答える。
相手の射程圏内、キルゾーンにズカズカと無造作に入るような不用心さだ。


「だろうな。今はまだその時じゃない。…殺せない?ああ、そうかよ。じゃあこれも録音しとけ」

またもやカチンと来たのか感情の赴くままに言葉が漏れる。
その言葉はもはや正義の味方ではなく悪魔のように醜悪で。


「だったら、その"弱い連中"をぶっ倒して経験値にしてやるぜ。経験値貯めまくってボス戦だ。」

特撮、ついでゲームと現実と空想の区別がつかない。
さながら特撮とゲーム感覚で殺人を冒し悦に浸りかねない。

真っすぐと目を見据える。相手の金と自身の紅がぶつかりながら

赤城ヒカリ > 「赤城ヒカリ。本当は名乗りたくはねえけど…おじいちゃんが『自己紹介と攻撃はされたらお返しなさい』って言ってたしなぁ…」

と渋々と名乗りを上げる。
度々祖父の名が上がりそれに従ってるようだ。


「あばよ。俺の邪魔をするなら容赦なく潰す、それだけだ。」


バックステップを踏む。
一瞬のうちに10mは飛んで距離を取った。距離を取ってそのまま路地裏に曲がりくねって細くて小さい身体を利用して色んな所に入っていって追跡を切るように走る。
ただ走ってるだけだが4足歩行の動物並には速度が出てた。

ご案内:「落第街大通り」から赤城ヒカリさんが去りました。
飛鷹与一 > 「喧嘩を売るなら相手の数とか戦力をきちんと把握しなよ。…はぁ。」

さて。この正義を圧し折るのは誰になるだろうか。
風紀が全滅するのはまず無いのは前提として、だ。
…うちの委員会、単純に強さ弱さじゃなくて癖の強い人も多いからなぁ、と少し遠い目になりつつ。

(――それに、彼は公安委員会とかその辺りも眼中に無いんだろうなぁ。)

まぁ、彼らも少年に気付かれる愚は犯さないだろうけれど。
風紀より、場合によっては公安の方が恐ろしいんだけど――そこまで教えるほど親切でもない。

「――自分の正義に酔って、見境無く悪を潰して、誰も彼も信用しない孤高”気取り”よりはマシかなぁ。」

射程圏内、と言えば少年が近づかなくても既に入っているのだが、それはそれ。

「――あぁ、うん。…それヒーローどころか君こそ悪人になるけど、まぁ好きにしたら?」

勝って褒められるどころかその逆にしかならない。
ゲームか空想の世界を生きているような先を考えもしない無鉄砲さ。

「ヒーローどころか、弱いもの虐めの趣味に目覚めた?まだ悪人を潰したい、っていう最初の主張の方が全然マシだね。

――ああ、今のは録音してないよ――そんな価値も無いしさ。

…ああ、遠慮なく邪魔するよ。それも仕事に入ってるし。
…”ヒーローの皮を被った怪人”に無関係の人を殺されるのは勘弁だ。」

ヒーローを否定はしない。それは憧れでカッコよくて正義の象徴だ。
――だけど、彼のそれはヒーローからは程遠い。ただの愉快犯と何が違うのか?

一瞬で距離を取り、小柄な体を生かした敏捷性で獣のように走り去る少年を見送り。

「赤城ヒカリ、ね。…名前と外見特徴、あと例の変身ヒーローと同一人物なのも報告かな。」

先の録音――風紀全員を潰す宣言もついでに証拠品として提出しておこう。
さて、風紀か公安か、それとも”この街”か。誰に分からせられるのやら。

「――あーくっそ、もうちょっと穏便に話すはずだったんだけどなぁ!!」

と、頭を抱えて唸る。もうちょっと怒りの感情は抑えて冷静にならないと。

飛鷹与一 > 「…色々反省点多いなぁ。後方からちまちま支援してる方が俺には向いてるのかも…。」

溜息。誰かを諭すのも説教するのも喧嘩を買うのもあまりガラじゃないし苦手だ。
――勿論、自分は兎も角として同僚たちを舐められるのは流石に看過出来ない。
…もちろん、無関係の民間人も平然と巻き込む宣言をしたなら尚更だ。

「――俺たちが気に入らないだけなら、それはそれで構わないんだけどね…。」

あの狂気じみた、自分の正義しか見えていないのはタチが悪い。おそらく強さもあるだろう。
――”その程度”で折れるなら、とっくに島の治安維持機構なんて崩壊しているだろうが。

「…取り敢えず、帰って報告書纏めよう――」

そのまま、巡回ルートを辿って風紀の本部へと足を運ぼうか。

変身ヒーロー、赤城ヒカリの情報は具体的な戦闘能力以外は、概ね風紀などに情報共有される事となろうか。

ご案内:「落第街大通り」から飛鷹与一さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に紅龍さんが現れました。
紅龍 >  

【前回までの紅龍おじさん!】

 違反部活『蟠桃会』に妹を人質に取られ、用心棒をさせられている、元軍人の紅龍!
 『蟠桃会』の非人道的な研究を嫌悪しながらも、軍時代に比べてずっと自由な生活を、それなりに受け入れていた。

 そんなある日、妹への差し入れを買って行く途中、『斬奪怪盗ダスクスレイ』を目撃してしまう!
 今まさに斬られようとしている一般生徒を放っておけず、思わず横やりを入れてしまった!
 恐るべき強敵を辛うじてしのぎ、見逃してもらった紅龍だったが、『ダスクスレイ』に目をつけられてしまうのだった!

 落第街を闊歩する恐ろしい存在たちを思い浮かべ、平時も軽装ではいられないと判断した紅龍。
 普段からごついライフルを持ち歩くようにしたのだが、いくら落第街でも目立って仕方ない!
 何事かと向けられる視線に頭を掻きながら、今日も平穏無事に過ごせるよう願う紅龍であった。
 

紅龍 >  
「――だからやめとけ、って言ったじゃねえか」

 落第街の表通り。
 通りに呻きながら転がるのは、三人のチンピラ風の男たち。
 それを屈んで見下ろすオレと、顔を隠した『取引先』の男。
 オレが『取引先』を連れて、表まで送ろうとしていたところに、オレの一見過剰にも見える装備を揶揄して、絡んできたのだ。
 相手をするつもりはなかったが、適当にあしらっていたら逆上して襲ってきたってわけだ。

 一応平和主義のつもりだが、『取引先』に怪我をさせるわけにもいかない。
 仕方なく、ささっと制圧して転がってもらったところだ。

『流石は元『超常狩猟者』ですね。
 では、私はこれで失礼しますよ』

「昔の話だ。
 なんだ、ここまででいいのか」

『ええ、あなたといる方が目立ちそうですしね。
 それでは、取引の件、期待していますよ』

 そう言って、男は堂々と通りを歩いて去っていく。
 見送りつつ、ついついため息が漏れた。
 

紅龍 >  
「成果を持ってこい、ってか。
 簡単に言ってくれるぜ、なあ?」

 転がってるチンピラ共に声を掛けてみるが、帰ってくるのは呻き声だけだ。
 少しばかり、お灸が効きすぎたか。

「――ま、これに懲りたら、絡む相手はよく選ぶこったな。
 超常能力者ってのは、血の気が多くていけねえ」

 よ、と腰を上げる。
 さて――見送りも終わったし、適当に飯でも食うかな。
 表通りは、落第街とはいえそれなりに賑わいがある。
 適当にぶらついて、なにか腹に入れるとするか。
 

ご案内:「落第街大通り」にノアさんが現れました。
ノア > 落第街の大通り
喧嘩、事件も日常茶飯事のこの街でも、異質なモノはとにかく目につく。
仮面の怪盗ことダスクスレイしかり、だ。

「――あ?」

熊撃ちにでも使われそうな銃を背負った長身の男。
カタギや風紀の連中とは明らかに毛色の違う姿を見かけて、目を疑う。

(またぞろ戦争でも起きるってのか?)

紅龍 >  
「――あ?」

 適当な店を探してるうちに、また鬱陶しい視線を感じた。
 見て見りゃぁ、まーたチンピラのようなヤツがこっちを眺めてやがる。

「んだよ、ガキ。
 喧嘩の買い取りはやってねーぞ」

 しっし、と手を払うようにジェスチャー。
 懐から『タバコ』を取り出して口に咥えた。
 

ノア >  
「残念ながら売り物は情報くらいのもんでさ、
 随分な恰好してっから気になっただけだよ
 
 神経質だと女にモテねぇぞ、おっさん」

ガキ扱いされるというのもこっちに来てからは久しくなかった。
珍しい事もあるもんだと笑い、若葉マークの箱を指先で叩いて一本取り出し咥え、
オイルライターの蓋をはじいて火を灯す。

対面の男の口にある物を見やると笑い、ひとこと。

「随分なモン吸ってんね、身体壊すぜ」

紅龍 >  
「んだよ、情報屋か。
 見た目はオレも気にしてんだよ、おっさんは無神経なガキと違ってナイーブなんだよ、気ぃ使え。
 というか、おっさんじゃねえよ、オニイサンと呼べ」

 元気がいい若造だ。
 十代――いや、ガキっぽいが二十かそこらか。

「――ふぅー。
 っせえな、こいつは特別製なんだよ。
 お前が吸ってるもんに比べりゃ、万倍健康的だっつーの。
 肺はなあ、やられるとしんどいぞ」

 煙を吐きながら、口角を釣り上げてやる。
 健康を損なうと取り戻すのは大変だと思い知れ。

「お前、情報売ってんなら、知ってんだろ。
 最近威勢のいい、怪盗野郎。
 アレに目をつけられてんだ、オレみてえな凡人はフル装備でもなきゃ即死もんなんだよ」