2021/12/15 のログ
紅龍 >  
 存在しない事にされていても。
 危険な超常犯罪の温床になっていても。

 ここに住む、ここで生きるしかないやつらは、それでもこうして『生きている』

「――ほんと、逞しいもんで」

 その気になれば、どこででも生きられる。
 そんな気分にさせてくれるこの街は、さほど嫌いじゃない。

 ――結局。
 なんだかんだ、目当てのもんは見つからねえし、ますます冷えて耳がいてえが。
 この日もこの街はこの街なりの、『日常』を送ってくれるのだった。
 

ご案内:「落第街大通り」から紅龍さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に角鹿建悟さんが現れました。
角鹿建悟 > ――気が付いたら既に夜の帳はすっかり落ちて良い時間になっていた。
…仕事柄、集中し過ぎて時間間隔が曖昧になる事は決して珍しくはないけれど。

「……今日中にあと3件くらいはこなしておきたかったが…。」

そうなると、下手すれば帰りが深夜どころか朝方近くになってしまうか。
やろうと思えば出来ない事は無いが…また倒れたら、今度こそ異能に再度の制限が掛けられる。

(…工具もあるから、仕事は幾らでもあるが効率が落ちるからな…。)

依頼があれば、出来る限り迅速に確実に直すのが理想でありそう努力しているが、人間限界はある。
仕方無しに、一息零してから生活委員会へと軽く一報を入れてから、直したばかりの店舗を見上げる。
顔馴染みの店主から頼まれて建物全体の修繕をしていたが、それも今しがた終わったばかりだ。

店先に出てきた店主に、「終わりました」と簡潔に報告して出来栄え、というか直し栄えを確認して貰う。
どうやら満足してくれたようで、『仕事が早いねー、直し屋さん』と、笑って礼を述べられた。

「……まぁ、これが俺の仕事なので。」

と、何時もの無表情で答えつつ軽く礼をしてからその場を辞そうと。
『あ、代金は?』と口にする店主に振り返りつつ、「別に金銭目的ではないので」と、返してそのまま店を後にする。

「……何か、『直し屋』という呼ばれ方が多くなったな。」

生活委員会でも、落第街の住民たちにもそうよく言われている気がした。
別に有名になりたくて仕事をしている訳でもないし、目立つのは好きではないのだが。
嘆息を緩く零すが、それはどちらかというと「困った」という感じのニュアンスで。