2022/09/20 のログ
ご案内:「バー『熱血格闘伝説』」にモールディングベアさんが現れました。
■モールディングベア > 夜の落第街は治安が悪い。
眼の前で不良が不良に難癖をつけたり、怖いもの知らずの一般生徒が
”本物”の不良に絡まれたり、相手の素性を知らず喧嘩をふっかけた不良生徒が
ボコボコにされたり全身をグリルされたり氷漬けにされたりしている。
そんな様子を、ベアはのんびりと眺めていた。
――ここは落第街の大通り、バー『熱血格闘伝説』の入り口である。
ネオンに彩られた夜空に、人々の喧騒。 そんなものから隔離されたかのように、
ベアはバーの入り口脇に立ち尽くしている。
この時間が好きだ。 何しろ、考え事をしているだけでお金がもらえるのである。
どんなお洋服を作ろうか、どんな素材がいるだろうか、そしてどんな子に着せようか。
そんなことを考えてながら立っているだけで、悪い客は来ず、店長はお給料をくれる。
「ネオンみたいにきらきらしたのもいいなあ」
小さくつぶやき、うなずく。 次に作るお洋服は、思いっきりキラキラしているやつがいい。
七色にきらめいて、すごくかわいくて…それを着る子も、とってもちっちゃくて可愛くしよう…。
考え事をしている間に、刻々と労働の時間は過ぎていく。
そう、ベアの仕事はバーの用心棒なのだ。
■モールディングベア > 命じられた業務内容は2つだ。
「出禁リストにない客は入店させる」
「出禁リストにある客は入店させない」
あんまり頭が良くない自分にとっては、非常にありがたかった。
出禁リストをきちんと見てチェックすればよいのである。
「いらっしゃいませー。 少し待ってね。。。えっと、はい。だいじょうぶです」
入店しようとする人を制止して、リストと照合して、大丈夫なら通す。
落第街の中でも”真面目な”店には、こういったチェックをしているところもあるのだ。
図体のでかい自分がもたつく仕草をユーモラスに感じるのか、”お客さん”が喜んでくれることもある。
あんまり自分では好きになれない体躯だが、このときだけは別だった。
「今日は平和におわりそうかな?」
出禁リストにあるお客さんはこなさそうだし、自分の仕事の時間ももうすぐ終わりつつある。
ここでこうして用心棒をしているとお金がもらえて、そのお金で服の生地を『買う』と、
色んな人に追いかけられたりしなくて済むのだ。
店長さんも、お店の人も、自分も嬉しい。 『これを三方徳という』…バーの店主の言葉を思い出す。
ご案内:「バー『熱血格闘伝説』」に麝香 廬山さんが現れました。
■麝香 廬山 >
そんなとびっきり治安の悪い時間帯でも闊歩する人影が一つ。
夜風を肩に切り、肩にかけた上着が靡く。
その街道を進むその足並みは、実に慣れた感じだった。
実に悠然と自然に、バーの入口へと歩く青年。
「やぁ、お店はやってる?」
店番であろうと思わしき女性を見上げ、青年は問いかける。
人のよさそうな気さくな笑顔。身なりの小奇麗さ。
だからこそ、この落第街においては"似つかわしくなかった"。
笑みを崩すことなく、青年は言葉を続ける。
「女の子にしては凄く大きいねぇ。店番でもやってるのかな?偉い偉い」
「どう?お口が寂しいなら飴でも持ってるんだけど、食べる?」
■モールディングベア > 店の前に立つ”用心棒”に声をかける相手を見て、不思議そうに自分を指差す。
もしかして自分とお店に対する確認なのだろうか。 嘘っぽい様子もない。
「お店、やってますよー。」
のんびりした調子で応えながら、手元の出禁リストを開く。
えらいと言われてちょっとだけ嬉しそうにするけれど、あまり多くは語らない。
「むむむ……」
眼の前の人物は、なんだか落第街ではあまり見ないタイプの人間だ。
もしかしたら出禁リストに名前があるのかもしれない。
そんな警戒は、リストをめくっている間にかけられた問いかけであっという間に崩壊した。
「やったー!うれしい!ありがとう!」
甘いものは大好きだ。 自分で取ってもいいし、誰かにもらってもいい。
あっさりとリスト確認を諦めて、相手に阿る。
「何味ですか?」
そう聞いてはみるものの、たいていの飴は大好きだ。
発火などでなければ。 大きい体を屈めるようにして、相手に視線を合わせる。
つぶらな瞳でじっと相手を見やり、『飴がほしい!!!』と眼で強く訴えかけた。
■麝香 廬山 >
「そっか、ありがとう」
手をひらひらさせながら軽くお礼。
彼女の手に持つリストは何だろうか。
予約用のリスト、とは思えない。
自分の顔と何か照らし合わせてたみたいだし
恐らくもっと、物騒なものなのかもしれない。
思案を巡らせながらもとんできたのは無邪気な反応だ。
そんなに飴が食べたかったのかな、と思いながら青年は右手を差し出す。
「んー、そうだね。今日君と出会ったのはバーの前。
アルコールよりもカワイイ君に酔った記念に……」
パチンッ。
「ぶどう味、とかはどうかな?」
右手に握られているのは、薄紫のペロペロキャンディー。
恐らく子ども人気No.1の味。『酔いと狂気』の花言葉。
何とも歯が浮く所かそのまますっぽ抜けて月までぶっ飛んでいきそうな言葉だ。
相変わらず笑みを崩すことはなく、青年は小首を傾げる。
「それで、君は店番かな?それとも、用心棒?
何にせよ大変そうだね。足、疲れてない?」
■モールディングベア > 「ぶどうあじ…! 嬉しい! ぶどうあじ大好きです!」
眼を輝かせて飛び跳ねる。 巨体が跳ねると、
その図体に見合ったサイズの胸が揺れた。
近くでみればド迫力である。
「わたしは用心棒をしています。
出禁リストにない人ならお店に入れますよ!」
手にもった出禁リストを、相手に示しながら答える。
出禁リストは手垢がついてボロボロで、
何度もめくったであろうことを如実に示していた。
自分の仕事を伝えて誇らしげな表情を浮かべた。
「足は強いからぜんぜん大丈夫です!」
大きな図体を支える足は頑丈なのだ。
飴の人は…あまりそうは思えないように見える。
「こうして一晩立っていても、まったく疲れませんよ!」
人ならざるものが持つ、肉体の頑健さを遺憾なく発揮している。
用心棒は自分にとっても、たぶん天職だった。
■麝香 廬山 >
「うんうん、気に入ってくれたようで良かった。
……はしゃいでくれるのは嬉しいけど、君って意外と人目を気にしない方?」
青年も満足気だ。
目の前で揺れる大きなブツを見ると流石に少しだけ両親が動く。
監視対象も男の子だもん、ちょっと揺れると気になるよね。大きいし。
とは言え、幾ら落第街と言えどそういう場ではない限りこう、気にした方がいいと思うよ大きな乙女。
「成る程ね、通りでしきりに見てるわけだ。
で、どうだった?今日はヘンな人は現れたかな?」
確かにこの巨体通りのパワーを持っているなら適任かもしれない。
とは言え、そのリストとやらは随分とボロボロだ。
使い込んでいる辺り、しばらく更新がないとも読める。
もしかしたら、意外と適当な仕事なのかもしれない。
顎に指先を上げながら、リストを見ながら考える。
「へぇ、それは凄い。ところでさ、ボクの事は出禁リストに入ってた?
名前は麝香 廬山(じゃこう ろざん)って言うんだけど……どう?」
おくびに出すことなく笑顔で尋ねる。
監視対象であり、"風紀委員"。
訳があって風紀委員に首輪をつけられ、猟犬の仕事をさせられるもの。
この場においては忌み嫌われてもおかしくない
どちらの立場でもはみ出し者の抓み者。
自ら尋ねるのは当然、青年にとって"面白半分"だからだ。
■モールディングベア > 「わたし、大きくて目立つから…人目を引くのはわかってるんですけど…」
問いかけに首を傾げながら答える。 彼は何を示したいのだろうか?
自分が人目を引くのはわかっている。 とにかく背丈がデカいからだ。
それにしては、なんだか相手が嬉しそうというか気まずそうというか、
何とも言えない表情なのが気になる。
「うーん、昨日はいたよ。 ”可愛く”したから、しばらくはこないと思う。
だから安心してお店に入って!」
誇らしげな顔で、自分の胸をどんと叩く。 大きな膨らみがだぷんと揺れた。
用心棒としての職務を全うしている…そんな矜持に満ちた笑顔で、
お店の安全性をアピールしてみせる。
「うーん、出禁リストに……? はいってたかなあ…。
じゃこー、ろざん……。 じゃ、じゃ………」
名前まで名乗って確認を求める相手に素直に応じる。
ぺらぺらとページを捲っては見るものの、結局眉間にシワを寄せるだけに終わった。
「出禁リストに名前はないよ。 飴もくれるし、大丈夫な人ってこと!」
ばんざい!両手を上げてから拍手して見せる。
飴もくれてクリーンなお客さんだなんて、嬉しいことこの上ないといった仕草だ。
■麝香 廬山 >
成る程、思ったより自覚はないらしい。
それは困った。青年の眉も下がって苦笑い。
とは言え、直接指摘するのも憚られる。
こう見えて女性の扱いには注意をする方だ。ある程度はね。
「キミがチャーミングすぎるから、派手に動くと男は困るって事さ」
とりあえず歯が地中に突っ込むくらいの台詞で遠回しだ。
「"可愛く"、ねぇ……」
敢えて問うまい。
被害者がどうなったかなんて興味はない。
「まぁ、或いは"新しい人生"を謳歌してるかもね。
……へぇー、そうなんだ。ボクの名前はないんだ」
ほんの少し口角が吊り上がる。
思ったのは"不用心"だな、と言う事。
とは言え、監視対象以外風紀委員会全体から見てもアングラなのは違いない。
落第街の一バーに求めるのも酷か。そう思うとふぅ、と思わずため息が漏れた。
「ボクって、思ったより無名だなぁ。
やっぱりもう少し、派手な事した方が皆驚いてくれるかな?」
実に残念、と青年は言う。
彼女の拍手をまるで無下にするような不穏な言い草だった。
■モールディングベア > 「わたしは……。 チャーミングじゃないよ。 大きいし、あんまりかわいくないし。」
ちっちゃくて、ふわふわで、きらきらなものが”可愛い”ものだ。
自分はその反対で、でっかくてガタイがよくてきらきらしていない。
相手の言葉を慰めだと解釈して、ちょっとだけ悲しげに笑って答える。
「うん、あなたの名前はない。お客さんです!」
なんだか”お客様”であることに何らかの意見がありそうな態度に、
不思議そうに首を傾げて見せる。
残念そうに付け加えられた言葉に、さらに首をひねった。
「みんな驚いてくれることをしたいの?
それなら、絶対派手なことしたほうがいいよ。
たとえば…貴重なものを持っていくとか。
そしたら、みんなすごい勢いで追いかけてくるよ」
貴重な素材や布地を”もらいに”言ったときは、
歓楽街をさんざん追いかけ回された挙げ句麻酔銃を撃たれたのだ。
その時のことをお思い出し、元気づけるようにことばを続けた。
「わたしみたいにでっかくなくても、異能とか…魔法でいろいろできるよ。
注目してもらうための行動が大事だよ!」
頑張って!と腕を振り上げて精一杯応援。 相手は相手なりに
悩みを抱えているのだろうと判断しての行動だった。
■麝香 廬山 >
「……へぇ、コンプレックスなんだ。キミ」
大きな体に似合わない幼い精神。
彼女は正反対のものが可愛いと言う。
何処なく悲しそうな笑顔に一つ頷いた。
「ボクはお世辞無しに言ったつもりだけどね。
大きさとかじゃなくて、キミの乙女チックな所。
頑張り屋な所とか、無邪気な所。とても好きだよ?」
「そう言うのは"カワイイ"とは思わない?ボクは思うけどね」
確かにそう言ったものをファンシーとして可愛いのは確かな事だ。
ただ別に、小さいから、ふわふわだから、きらきらしてるから
青年にとってそれらが可愛さとイコールと言われれば"ノー"だ。
見た目的な可愛さと、内面的な可愛さ。彼女の場合は後者。
伝わるかはともかく、キミは十分カワイイよ、と青年は指先を伸ばす。
特に何もしなければ顎先を軽くなぞるだろう。
「そう、ボクは驚くようなことがしたい」
徐に踵を返せば、夜風に髪と上着が揺れる。
「皆の驚くような顔が見たい。
皆がひきつった笑みが見たい。
……とにかくさ、"嫌な顔"されるの好きなんだよね」
「どうしようもなく、捻くれてるけど」
驚き、悲しみ、怒り。
人が押し隠す生の感情がダイレクトに出る瞬間。
それを見る時は、"渇き"に潤いを与えてくれる。
どうしようもなく歪んだ最悪な感情だということは重々承知している。
「……けどねぇー、こう見えてボクは"万能"なんだけどさ。
そういうのは世間じゃ許されなくてね。当たり前なんだけど」
「だから、縛られて生活してるんだ。キミと違ってね?」
それを止めることが出来ないからこそつけられた枷。
人間社会で生きるには余りにも不釣り合いな悪辣の心。
青年は悪びれるそぶりは一切なく、振り返り至極残念そうにはにかんだ。
■モールディングベア > 「うーん? うーん…」
相手の言葉に渋々といった調子でうなずいて見せる。
自分を励まそうという気持ちはよくわかるし、
美点があると言われれば頭ごなしに拒否できるほど人でなしでもない。
「わたしは…ちっちゃいのがいいな~…」
大人しく、顎を撫でられるに任せる。
自分の膂力も、背丈も、あんまり”かわいく”はない。
可愛いものを愛するスタンスそのものが可愛いということも、わからなくはない。
けれど、自分が目指す…なりたい”可愛い”とは方向が違うのだ。
「驚くようなこと…いやなかお……。」
うーんと一声唸って考える。 あまりにとんでもないことをすれば、
”嫌な顔”では済まず、さりとて生半可なレベルでは”いたずら”で終わってしまうだろう。
相手の考える目標は極めて難しいものではないか、そう考えながら、
腕を組んでうんうんとお鳴りながら、相手の言葉にうなずいた。
「……そうだ!!お酒をすごい飲もう!!
みんなが驚くぐらいお酒を飲んで、お店でよいつぶれる!
嫌な顔されるよ、絶対!!」
酒を飲みすぎて、いびきをかいて爆睡する客を思い出す。
店長なり他の客なり、みんな『めんどくせえ!』という顔をしていたはずだ。
ひらめいたとばかりに瞳を輝かせながら、ぐっと顔を近づけた。
ふすふすと荒く鼻を鳴らしながら、相手の答えを待つ。
■麝香 廬山 >
「(ちょっと失敗だったかなぁ~……)」
思ったよりも自分に自信がないタイプではないらしい。
成る程、憧れ。それなら彼女の異能は"憧れ"からくるのかな。
さして珍しいわけでもない。頭の中にあるファイルケースがパラパラとめくれている。
こういう時に風紀委員と言う立場は何かと便利なものだ。
"脅かしがいのある"連中がごまんといるのだから。
「そう、ボクはこう見えて凄いんだ。
本当なら、君をちっちゃくするのもわけないんだけどぉー、っと……」
ずぃ、と近づく彼女の顔。
ちょっと驚いたけど近くで見ると可愛い顔。
なんだかクマと言うよりは大型犬みたいだ。
んー、と何かを考えるような仕草と共に後ろを一瞥。
遥か向こうに並ぶ廃ビルを見て思案する事数秒。
「まぁいいや」
この際だし、面倒な事は"下"にぜーんぶ投げちゃえ。頑張れ二級♪
「そうだね。キミが話し相手になってくれるなら飲んであげてもいいかな。どう?」