2019/06/23 のログ
ご案内:「とある違反組織の跡地」にクローデットさんが現れました。
クローデット > 黄昏時。もぬけの殻となった部屋に足を踏み入れる一人の女性。

(…まあ、勘づくでしょうね)

想定された事態、顔の下半分を羽根扇子で隠した女性の瞳には表面上落胆の色はない。
壁に手を伸ばし、ついている傷跡を優しく撫で…そこで、秀麗な眉間にしわを寄せた。

クローデット > 探査魔術で、その傷がつけられた時期と、経緯を読み取ったのだ。
鱗が剥がされて身体中から血を流す爬虫類系の亜人が、やっと生えた鱗をまた引きちぎられ…痛みに悶絶し、暴れた際に壁をこすって出来た傷。まだ新しいようだ。

(「用途」が「用途」ですから、すぐに処分されはしないでしょうが…体力がもつかどうか…)

目を伏せて、溜息をつく。
…再び目を開いて視線を上げた時、その瞳から感情は伺えなくなっている。

(…隠蔽をおろそかに移動したのは拙速でしたわね?)

これだけ「痕跡」が残っていれば、無茶な探査術式は必要ない。確かな根拠を元に、それを辿れば事足りる。
女性…クローデットは、痕跡を元に追うべき対象を絞り込んで、探査術式に痕跡の移動経路を辿らせる。

余裕があるから、前回と同じ失敗は犯さない。いつもより丁寧に、術式の気配を隠蔽する。

クローデット > (………捉えた)

たとえ実際に歩かなくとも、魔術がその軌跡を、距離を正確に記録してくれる。

(…あとは、出来るだけ早くこの情報を然るべき委員会に委ねて処分を待てれば良いのですが…
「然るべき」委員会、どこが適切かしら…)

再び視線を落とし、静かながらも重い息を吐く。

クローデットは自らがかつて委員会に所属していたからこそ、委員会を…その根幹である常世財団を、あまり信じていなかった。

クローデット > (…出来るだけ早く、情報を整理致しましょう。
あそこまで傷ついている者がいるのならば、もたつきたくはありませんし)

すっと、静かに目を伏せる。
次の瞬間、クローデットはがらんどうの部屋から姿を消した。

ご案内:「とある違反組織の跡地」からクローデットさんが去りました。