2020/06/17 のログ
ご案内:「ある違反組織の拠点」にフィフティーンさんが現れました。
フィフティーン > 日が沈み、星達が輝き始めた夜空に突如蒼い光線が走る。
それは甲高くもあり鈍くもある異様な音を発しながら薙ぎ払うような軌跡を描いた。
同時に立っていた廃ビルの上部丸ごとが砕けながら下部から分離し斜めに滑り落ちていき
真隣の違反組織が活動している偽装倉庫へと真っ逆さまに突っ込んでいく。
切断面を真っ赤に変色させながら天井を押し潰して落下した巨大なコンクリートの塊に
組織の構成員達は蜘蛛の子を散らすように混乱したが
その直後に各々武器を手に取って警戒態勢を取る。

<戦術CWレーザー照射終了、冷却開始。>

「この方法は、対象を混乱させるには効果があるかもしれません。」

綺麗に斜めにスライスされ奇妙な形となった廃ビルと
現在進行形で混乱に陥っている倉庫の間に居たのは
都市迷彩で塗装された多脚型のマシン。
四つの足は地面を踏みしめその背中に背負うレーザー砲からは
焼けあがるような音が立ち、白煙が天へと立ち昇っていた。

「違法なアイテムが集められているらしいですが、
どういったものなのか興味深いですね。」

今日、与えられた任務は違法なアイテムが集められている
ある違反組織の倉庫の制圧。
与えられた任務の意義はともかく集っているらしい違法なアイテムには
機械は興味津々だ。

フィフティーン > 間もなくして武器を持った構成員が歪んで空いてしまった
倉庫の扉から数名出てくる。
手に持っていたのは何処から入手したのかわからない
7.62mm弾を使用する粗悪な模造アサルトライフル。
慣れない姿勢で1発、2発と落ち着いて強襲してきた戦車に叩き込む。

<銃撃を検知。>

「制圧開始。」

音速を超えて飛んでくる弾丸をそのボディで淡々と受けながら
先ほどまで踏みしめていた足を動かして倉庫へと歩みを進めていく。
周りの構成員達の反応を受けてマシンはパルスレーザーで制圧射撃を行う、
火花が散るような音ともに見えない光線が倉庫の壁や鋼鉄のコンテナを溶かして穴を開け
銃撃を行っている構成員達にも当たると貫通した後に、身にまとう衣服が燃え上がる。
そのような様を見て、戦意を喪失し逃げ出すものも僅かながら居た。
そんな武器を捨て逃げていく者は機械は撃たなかった。
慈悲などではなく任務において障害にならなくなった彼らはターゲットから外れただけ、
それに彼らに対して機械は好奇心など抱いておらず文字通り眼中に無くなったといえる。

「少し、急いだ方がいいかもしれません。」

今回の任務において時間という概念は重要になってくる。
主目標の薬物やアーティファクトや他の組織にとっても少なからず価値のあるものだ、
混乱に乗じてハイエナのように便乗してくる者が現れる可能性もある。
持ち去られるような事は防ぎたいと考えていた。

フィフティーン > 多脚マシンは倉庫へと入る。
落としたビルの影響で天井に大穴が開いており
倉庫の基礎部分が各所ボロボロになっていたが
組織が管理しているであろうアイテムの数々は
厳重に梱包されており無事なものが殆どであった。

<爆発物を検知。>

まだ数が少なくない構成員達はコンテナを遮蔽物として
利用しながら戦いを進めようとしていた。
その中で一人が手榴弾の安全ピンを抜き
多脚戦車の方へと放り投げると
マシンの右前足付近へと転がり落ちた直後に爆ぜる。
ただ所詮対人用の爆発物など取るに足るものではなく
投げ終えた構成員はもう武器を持っておらずそのまま逃げだす。

「どうやら異能者や魔術師はいないようですね。」

先程から手持ちの武器を撃ち尽くした者から順番に逃げ出してゆく。
超自然的な力を使う者達が必ずしも武器を使わないとは限らないが
少なくとも武器が無くなったところで継戦は可能だろう。
グレネードランチャーから煙幕弾を発射して攪乱しつつ
パルスレーザーで制圧を続けていくと
着実に倉庫内に応戦する構成員の数は減り始めていた。

フィフティーン > 「本部へ、対象地域の制圧ほぼ完了。
続いて確認に入ります。」

構成員が焼け、あるいは逃げ出し
倉庫を守る人員はほとんどいなくなった。
先程まで引っ切り無しに鳴っていた
乾いた銃声と爆発音は止み、倉庫は静けさを取り戻し始め
あとは、梱包された品の確認する段階に移っていこうとした
その時だった。

倉庫内に肉同士が擦れ合うような音が僅かに響く。
そして少なくとも人間のものとは思えない、
猛獣のような不気味な呼吸音。
間髪開けずにカタンカタンと凄まじいペースで
鉄板を叩くような音が鳴り、
それが足音だと理解するのは次の瞬間であった。

コンテナを吹き飛ばして出現したのは人型の生命体で
少なくとも、人間ではない。
体長は約3mはあるかもしれないほどの大柄な身体で
その外観はまるで筋肉の塊と形容しても差し支えないようなもの。
裂けたような口から腐臭の吐息を吐き
鎌状に変異している腕部を振り上げながら先程と同じ勢いへ戦車に突っ込んでくる。

「奇妙ですね...超自然反応は無かったはずなんですが。」

機械は恐怖も焦りも知らない。
ただ冷静にパルスレーザーの照準を付けその怪物と相対する。

ご案内:「ある違反組織の拠点」にソレイユさんが現れました。
ソレイユ > メモ「今夜 別作戦同時進行 拷悶の霧姫他一名 別組織へ
   私 違反組織 集積違法アイテム調査 状況次第で 対処
   目標地点 ×■@%」

「……読み間違い、じゃない……な」
目の前の惨状を眺めながら、仮面のソレはつぶやく。
組織が偽装していたとされる場所はすでに壊滅に近い状態に追いやられている。
どころか、すでに建物自体が跡形もないような有様だ。
どこかの馬鹿が無茶をやらかしたのか。
とすれば、今度はそちらを標的にしなければならないか……

「どうしたものか……ん」
眺める視線の先には、多脚マシンと、謎の生命体。

「……事情は、アレらが知ってそうだな」
音もなく、そちらに近づいていく。

フィフティーン > 走ってきた怪物にパルスレーザーを撃ち続け、
表面を溶かすもその勢いは止まらない。

「グレネード射出。」

さっきは煙幕弾を発射していたグレネードランチャーは
今度は炸裂する榴弾を発射する。
発射された40mmのグレネードは回転しながら
その筋肉の塊のような皮膚に刺さり爆発する。
爆風で怪物の身体は真っ二つに裂け、
走ってきた勢いを保持したままコンテナ類に突っ込む、
破損した梱包からは何やら賽子のようなものが転がった。
組織が管理していた違法なアーティファクトのひとつだろうか。

<不明な反応を探知。>

そうして平穏が訪れたのも束の間、
量子レーダーが何やら不可解な反応を捉えた。
さっきの化け物とは違う、構成員が残っていたのだろうか?
いや、姿も見えずさらに僅かな音も拾う音響センサーが反応しないのはおかしい。
空間には確かに存在するが気配は全く感じない謎の存在に戦車は警戒を強める。

ソレイユ > 「……決着、か」
たどり着いた頃には、謎の生命体は無惨に吹き飛んでいた。
異常な生命力でもあれば別だが、あれでは普通は助かるまい。
しかし、万が一、があるのがこの世界だ。警戒は怠らない。

「賽子……? ん、賽子、と言ったのか、私は……」
ふと転がりでた賽子を見ながらつぶやく。
なにか、引っかかる。また、消えているのか。確かめる必要はありそうだ。

「それは、それとして……さて、どうしたものか。
 アレが、なにか……メモには、ないぞ」
ややシュールな光景だが、漆黒のソレは手元のメモ帳を必死で漁っていたが目の前の機械の情報は未だヒットしなかった。

フィフティーン > 先程の化け物の残骸は急激に腐食を始めた、
徐々に質量が縮み、人間のようなものにまで委縮していく。
その過程で肉の間から梱包から零れ落ちたものと同じ
賽子が地面に転がる、恐らく何らかのアーティファクトなのは確定だろう。
この詳細を確かめたいという考えは山々ではあるが
優先順位的に不明な存在の対処が先であった。

「ワタシは風紀委員会所属のUQL-1500S、
コードは"フィフティーン"。
勧告、速やかに視認できる範囲へ姿を見せてください。」

レーダーによると反応はすぐ近くだったが、
大まかな相対的位置しかわからない。
細かい位置は視覚や音、熱源等で判断するわけだが
それらの情報が今は抜け落ちている。
何処にいるのかは分からないが存在のみを探知できているその対象へ
無機質で少しざらついているような合成音声で
そのような勧告を告げる。

<至近距離大気のイオン化を開始。>

勧告と同時に戦車の機体からバチバチと電気が流れているような音と
何やら甲高い音。万が一の事態に備える。

ソレイユ > 「……なるほど、アレが違法アイテム、とやらか。
 大量にあるところを見ると、早々に処理をする、というおじょ……
 いや、メイデンの判断は誤りではなかったようだ。」
消えゆく残骸を見つめながら考察をする。
しかし、そんな暇は今のところなさそうである。
目の前には、おそらくこの惨状を作り出したであろう存在。

「風紀……だと……?」
不味い、厄介なのに当たった。
彼らと事を起こすのは自分たち組織の本分ではない。
そんな事をすれば怒られてしまう。いや、怒られるどころではない。
かといって、このまま逃げる、という選択肢もまずかろう。
どう考えても不審人物だ。
いや、不審人物……むしろ悪は自認するところではあるのだが、そういう問題ではない。


「……わかった。そちらに行く。」
やむをえまい。敵意がないことを見せれば穏便に済むかもしれない。
すまなければ、そのときはその時だ。
素直に、漆黒のその姿を晒す。

フィフティーン > 此方の勧告に応じたのか、黒い仮面とコートを装着した謎の人物が
多脚マシンの前へ姿を現す。

<スキャン開始...異能パターン検出。>

前もって与えられた任務の情報に目の前の存在について記録はない。
風紀のデータベースに存在するだろうか?
さらに目の前の存在からは異能反応が検出された。
どういうものなのかは全く分からないが
超自然的に作用する何かを持っているという事、
好奇心は刺激されるものの状況から同時に警戒を強める。

「この場所は風紀委員会による摘発エリアです。
来訪した目的と名前、所属組織を提示してください。」

武装へのエネルギー供給は続けたまま勧告を続ける。
そもそもこちら側の人間ではない以上
この場所に来たという事は、組織の人間かハイエナ、
もしくは第三勢力という可能性もある。

ソレイユ > 流石、機械だ。
通り一遍の質問を投げつけてくる。
さて、ことは荒立てたくないが何処まで言ったものか。
そもそも人間と違う、コレは何処まで融通が効くのか。
まったく、変に頭を使わせてほしくないものだ。
私のような存在は歯車でいれば丁度いいと言うのに……

「……来訪、目的は……
 ここの組織の、調査だ。名前は……」
敵意はない、という証拠に両手を上げながら答えるものの、
やはり何処までしゃべるかは悩む。
組織を隠そうとしても、名前を言えばまずバレるだろう。
それがどう作用するかはちょっと、この相手では読めない。

「いや、まった。摘発エリアだって?
 いくらなんでもちょっと手が早くないか。それに、ちょっとやりすぎだ」

フィフティーン > 機械の質問に目の前の存在は言葉を濁す。
どうやら調査に来たらしいが...。
目の前の存在は少なくとも風紀委員会ではない。
となると公安委員会か他の違反組織の構成員ということになるのだが
公安なら風紀側で何らかの情報の動きがあるだろう。
という事はやはりというわけだが

「コチラから任務対象以外の組織への積極的なアプローチは許可されていません。
アナタがコチラに不利益を与えなければコチラも行動する権限はありません。」

任務で必要となる行動は細かく決められそれ以外の行動には制限が掛けられている、
特に公安に目を付けられやすい物騒な戦車ならなおさらだ。
扱いやすい特攻課の機甲戦力である故に扱いは慎重であるといったところ。

「既にこのエリアは風紀委員会が制圧したと見なし摘発エリアとして扱っています。
警告、このエリアの物品への干渉は行わないようにしてください。
やりすぎ...?一体なんの事でしょうか?」

目の前の存在に対してこのエリアの扱いに一報入れておくことにした。
今回の任務は当該エリアの制圧。目の前の存在は違反組織の構成員かもしれないが
このエリアに悪影響を与えない限り敵性存在とは認められない。
あと、少女のやりすぎという言葉に興味を持ち疑問のイントネーションを持った合成音声を。

ソレイユ > 「………なるほど。ある意味、まさに機械的、というやつか。
 命令をこなす機械、という意味ではご同類だな。」
目の前の機械の思考パターンをようやく把握した。
……まずはメモだな。報告しないとダメだ、これは。
思わず上げていた両手を下ろして、メモ帳を取り出して走り書きを始める。
こういう時、記憶力の欠如が恨めしい。

「こちらはもちろん、風紀の仕事を邪魔する意図はない。
 できれば友好的に行きたいと考えている。
 だから、物品に関しては了解した。そちらで適正に扱ってもらえるなら私も文句はない。
 元々その処理が目的だったからな」
刺激しない言葉を選びながら機械に語りかける。
今更だが、これはだいぶ間の抜けた光景だろうか。
まあいい、明日には多分忘れている。

「で、だ……確かに、この落第街にいる連中の多くは悪党だ。
 当然、ここにいた奴らも。だが、だからといってこんな、建物が使い物にならないくらいまで壊さないでもいいだろう。
 そちらにしてみればクズ同然かもしれないが、私たちだって生きてるんでね」
なんだろう、この会話。
この機械は子供みたいなものだろうか。
と思いながらも、組織としての譲れない一線は示しておきたい。