2020/06/21 のログ
ご案内:「違反部活「陽人犯輪」」」にソレイユさんが現れました。
■若い男 > 「うっわ、マジか。やっぱボスはハンパねーな!
あっちのウブイガキどもをヤク漬けにするとかさあ!
俺らもオイシイとこもらえんだろ??」
■ソレイユ > そこは、若い男ばかりで構成される違反部活。
自身も薬を注入しながら騒いでいる。
「ああ、ボスの言うとおりにしてりゃな。
ま、表の連中なんてちょちょいっとだましゃすーぐ引っかかるぜ。
全くちょろいよなあ」
彼らの交わす会話は実に下世話であった。
■若い男 > 「うー……やっべ、ちょっと飲みすぎたわ。
しょんべんして、ついでにクスリと酒の追加でも持ってくるわ!」
男の一人がそういって部屋を離れる。
■ソレイユ > 「…………」
男はしばらく歩き、自分に与えられた部屋に入る。
「…………俺、は……」
ボソリ、とつぶやくと上半身をはだける。
そこには奇妙な模様が描かれている。
「俺……わた、しは……そう、そう、だ……私は、《無形の暴君》……」
■ソレイユ > 「……調査、結果。
麻薬の常用、販売……は、生きる糧。そこまでは、許される。
しかし、一般生徒を巻き込む……また、麻薬を知らない者たちに広く無自覚に広めようとする、計画、あり。
断罪に、値する……と、考えられる。」
ブツブツ、と小さく独り言のように男はつぶやく。
その手は、小さなメモ帳に書き取りを行っている。
■ソレイユ > そこで、ぐにゃり、と男の顔が歪む。
顔だけではない、体全体が歪んでいく。
まるで粘土細工のように。
「……さて」
しばらくすれば、先程までの軽薄な男の姿はなく、そこには金髪の女が立っていた。
「まだ、猶予はある、と考えていいか……?
お嬢への報告が先か……それとも、もう殺ってしまうか……」
■ソレイユ > 「最近、なぜか風紀の動きが活発な、気も……する。
で、あれば……やはり、早いほうが……いや。
・・
しかし……彼らはまだ、大きな計画には手を染めていない……
染めるまでは、秩序の、うち……か……?」
一人、考え始める。
あくまで、裁くべきは「一線を越えた」者だ。
その意味では、彼らは未遂である。
「……う、ぐ……」
ずきり、と頭に痛みが走る。
よくない兆候だ。
■ソレイユ > 「そう、だ……まだ、だが、奴らは薄汚い犯罪者だ。殺せ!」
「違う、それは矜持に反する」
「殺すなんて、怖い、逃げなきゃ……」
「ちがう、逃げる、など……」
意識が混ざり合い始める。
長く化けると、すぐこれだ。
いつまでもこうしているわけにもいかないというのに……
ご案内:「違反部活「陽人犯輪」」」に日ノ岡 あかねさんが現れました。
■日ノ岡 あかね > 「楽しそうね」
音もなく、女は現れた。
常世学園制服に身を包んだ……ウェーブのセミロングの女。
ほんの数年前まで、『この街』に居た女。
風紀に取り締まられ、壊滅した違反部活『トゥルーサイト』……その最後の生き残りにして、一年の『補習』から戻ってきた女。
「その御話、私も聞いていいかしら?」
日ノ岡あかね。
■ソレイユ > 「殺せ!ころせ!俺は殺したいんだ!」
「うるさい、だまれ、私は……」
「逃げよう、あたし、怖い……」
「引っ掻き回すな、邪魔だ」
「なら、いい方法じゃ。クスリをもっていけばええ。ついでに売ってしまえばよかろう?」
「違う、それは解決にならない」
乱れる……心が乱れる……
このままでは不味い……
そうだ、仮面だ……俺、いや、私を、取り戻さなければ……
「……う、く」
漆黒の仮面をその顔につけ……
その時、目の前に女が現れる。
「……何者だ?」
冷静さを取り戻した声音で、女に問い返す。
■日ノ岡 あかね > 「私はあかね。日ノ岡あかね」
くすくすと、楽しそうにあかねは笑う。
真っ黒な首輪のようなチョーカーと、黒い瞳。
周囲の喧騒を気にした様子もなく、あかねは無遠慮に歩み寄ってくる。
「アナタは?」
仮面の奥を覗き込むように……あかねは笑う。
■ソレイユ > 「……日ノ岡あかね」
記憶にはない名前だ。いや、本来知っていてしかるべきなのかもしれないが、自分の失われる記憶ではどちらとも判断がつかない。
「私は……いや、おまえのようなやつに、名乗る名前は、ない……
おまえは、こんなところに……なにをしに来た?
ここは、ロクデナシの巣窟、だぞ」
名乗るとしてもヴィランコードまで、ではあるがそれすらもためらわれる。
目の前の人物にはそうした怪しさを感じた。
言外に、おまえも疑わしい存在だ、と匂わせつつ、さらに問う。
■日ノ岡 あかね > 「賑やかだから見に来ただけよ。野次馬ってところかしら?」
おどける様にそう笑って、あかねは両手を顔の前で合わせる。
名も無き仮面に視線を向けて、ただただ笑う。
「そういう名無しのアナタこそ、此処で何をしているの? ここはどんな部活? 見学希望くらいは受け付けてくれるかしら?」
まるで軽音部か何かにでも顔を出すかのように、あかねは小首を傾げてそう尋ねる。
夜闇を吸う黒い瞳が、猫のように細まった。
■ソレイユ > 「賑やかだから、か……この辺りは大体賑やかだろう。
わざわざ此処を選ぶ理由にはならない」
まだ相手の真意は読めない。ただの愉快犯的な存在かもしれない。
仮面の下の顔は警戒の色を浮かべるが、どう扱っていいか判断しかねる微妙な表情になっている。
「私は……ふん、色々と使い走りをしているだけだ
……違反部活に興味があるのか? そうだな。
おまえがもし、乱交だの薬物だのが好きならオススメかもしれない。
きっと喜んで受け入れてくれるぞ」
気軽に問いかける女に、更に胡散臭さを感じる。
そうであれば、と、あえてそっけない答えを返す。
どうせ動じることもないのだろうが。
■日ノ岡 あかね > 「でも、此処を選ばない理由にもならないわ。ふふ」
楽しそうに笑いながら、話を聞く。
視線を逸らさず、最後まで。
そして、簡単な概要を説明されると……小さく頷いて。
「ありがと。今風に言うなら、パリピさん向けの部活なのかしら?」
そう、また小首を傾げた。
微かな月明かりが……その横顔を照らす。
「アナタは入部希望?」
楽しそうに、あかねは続けて尋ねる。
■ソレイユ > 「おまえがたまたま選んで、たまたま私に会った。
そう言いたいのか。まあ、いい」
楽しそうに笑う女に、違反部活よりもよほど厄介さを感じる。
これは、本気で対峙しないといけないかもしれない。
だから、こういうのは私の本分ではないというのに……
「そう、だな。だいぶ上級者なパリピだとは思うが。」
パリピ。かろうじて記憶の片隅に残っていた。潜入時の記憶だから、そのうち消える気もする。
まあ、別にどうでもいい情報だ。
「見学希望してみたのだがな。どうにも肌には合わなかったから、どうしようか考えていたところだ。
おまえは、どうなんだ。 パリピの仲間入りでもするか?
口利きくらいならできるぞ」
愉快犯の可能性が高くなってきた。
こんな相手と話している場合ではない、が。しかし、迂闊にこの場を離れればなにをするかわからない不気味さもある。仮面の下の顔がやや渋面になる。
■日ノ岡 あかね > 「遠慮しておくわ。私、これでも貞淑な方なの。そういう人たちとは少しノリが合わないわ。アナタと御揃いね」
嬉しそうに仮面を覗き込んで、あかねは笑う。
やや遠い違反部活の喧騒を他所に……二人の周囲だけが、少しだけ静かだった。
目抜き通りから、一本外れた小さな通りの静けさ。
それに似ていた。
「なら、これから帰るの? ああ、でも口利きくらいできるってことは……中に誰かお知り合いでもいるのかしら?」
■ソレイユ > 「お揃い、ね……まあ、それならそれで、いいんだろう。」
得体のしれない人物とお揃い、というのもゾッとしない話ではあるが。
まあ、得体のしれないという意味では自分も大差ない。
確かに、お揃いなのかもしれない。
二人の間に流れる静けさは、なんともいえない空気を漂わせている。
「そう……だな。帰ろうか、思案していたところ、だ。
おまえが来なければ、とっくに帰っていたかもな。
ああ、一応見学希望した手前、話くらいした相手がいる、という程度だ。」
正直、興味のない相手だ。もはや半分くらい記憶から消えている。
が、その辺りを説明するギリもない。
■日ノ岡 あかね > 「そう、なら……お邪魔をして悪かったわね? 実はね、最近、このあたりガラが悪いって聞いたから……ちょっとだけ心配したのよ。間違って入り込んじゃったなら可哀想だし」
そう、悪戯がバレた少女のように笑う。
ウェーブの黒髪を緩やかに揺らして、コロコロと。
そして、軽く肩を竦めながら。
「最近……違反部活を潰して回る違反部活があるって聞いたしね?」
日ノ岡あかねは……目を細めた。
■ソレイユ > 「ガラが悪い、なんて今更だろう? この辺りは違反部活だらけだ。
ガラが悪くないところを探す方が大変だろう」
漆黒の仮面は全く揺らがない。
その顔の一切を隠蔽し、表情すらも伺えない。
そして、実直に、笑うことすら無い。
「だから、心配など無意味だろう? みんな知っていることを今更心配しても……
……なに? ……それは、初耳、だな。そんな違反部活がある、と?」
自分たちの活動は出来得る限り闇から闇へ……では、あるが。
流石に全てを隠蔽することは出来ない。
少しずつ、人の口の端に上がっていることは認識している。
しかし、此処まで明確に目の前で言われるとは……
動揺は、ある。あるが、努めて冷静に対処をする。
■日ノ岡 あかね > 「ふふ、元々悪かったのがもっと悪くなったのよ。だって、『抗争』が起きているんですもの。違反部活と違反部活が争い合うのはある意味で日常だけど……『潰す事そのもの』が目的となると、『争いそのもの』を目的にしているのとほとんど同じ……そんな人達が暴れまわっているんですもの。それは……少し勝手が違うでしょう?」
普通の違反部活同士の対立はだいたいの場合、利害の対立でしかない。
故に、話し合いで終わることもよくある。
必要以上に血を流しても公安や風紀の介入を招くだけ。
百害あって一利なし。
そして、やりすぎれば勝手に公安と風紀が取り締まる。
それが今まで。
だが、今は……少しだけ違う。
「みんな浮足立っているわ……そういうガラの悪さは、普通のガラの悪さとは違う……そう思わない?」
漆黒の仮面をあかねが見る。
黒い視線が注がれる。
たただだ、じっと……注がれる。
■ソレイユ > 「そう、か? ただの諍いだろうと、潰すことが目的だろうと……結局のところ、どれもこれもガラの悪い連中同士が争うことには何の違いもありはしないだろう?」
悪を重ねるだけなら良しとしよう。だが、悪の世界にも仁義はある。
その一線を踏み越えてしまえば、それは悪ですら無い。
それを摘み取るのが自分たちの仕事。
それを正義だなどとは言わない。
あくまで、悪の持つ、悪の矜持だ。
それは、表の連中に任せるものではない。
だから、自分は顔を上げ続ける。
「浮足立つほどのことか? それはまあ、潰されるのは御免こうむるだろうが。
どうせ違反なんてやっていれば大なり小なり、暴力でも、資金ででも争うことはあるだろう。そして、一方的に潰されることなども。
そうやって私たちは生きてきた。いいか悪いか、みたいな話でもないだろう?」
下手に擁護するのは、よくなかったか……?
だが、此処は譲れない一線。それが悪の矜持。
じっと見つめてくる視線に、仮面の下から視線を返す。
■日ノ岡 あかね > 「ええ、結果として無くなるのは当然のこと。人は誰もが生きる以上……争いとは無縁ではいられない。何処に居たってそれは同じ……だから、それは普通の事。争う事は普通のこと。ただの必然。そこには、善も悪もないわ……そう、言うなれば、争いは起こるもの。生きる限り、誰でも、何処でも」
楽しそうに、あかねは笑う。
仮面の奥を覗き込んで。
名も無き闇をただただ見つめて。
「だけど……『起こってしまった争い』と、『意図的に起こす争い』は……全然違うものでしょう?」
あかねは……笑う。
「互いに拳を収める努力をした果てに……互いに拳を収められないのなら、それは仕方がない事。だけど、片方だけが一方的に決めつけて振るう拳は……本当に『矜持ある拳』かしら?」
楽しそうに。面白そうに。可笑しそうに。
あかねは笑う。
まるで流行歌の話でもするかのように。
まるで週刊誌の話でもするかのように。
「私、そう言う事する人たちの事、よく知ってるわ」
日ノ岡あかねは……ただただ、笑う。
「公安委員会っていうんだけどね」
猫のように目を細めながら。
猫のように擦り寄りながら。
「アナタは……どう思う? 公安委員会は一応ルールがあるわ。生徒会とか風紀委員会みたいな監査組織もある。だけど、その『趣味で違反部活を潰し回ってる人達』って……『その人たちの趣味』以外で何か決められるのかしら?」
日ノ岡あかねは……心底、楽しそうに笑った。
■ソレイユ > 「面白いことを言うな。 それこそ、自分でいったとおり、じゃないのか?
人は争う生き物だ。生きるかぎり。いや、生きるために、と言ってもいい。
それならば、『起こってしまった争い』も『意図的に起こす争い』も、結局は、生きるための争い、という同じものではないか?」
仮面は笑わない。
ただただ、静かに。冷徹に。
己の矜持を守ろうとする。
当然のように、当たり前のように。
ずきり、と……どこかで頭痛が走る。
「公安委員会ときたか。まさか違反部活と公安を比べる人間が居るとは。
流石にそれは、違反部活を持ち上げ過ぎじゃないか?
それとも、実はおまえがその部活の一員だったりするか? まさか、公安、ということはあるまいな」
ずきりずきり、と痛む頭を振り切る。
ルール? ルールと言ったか。それに、意図的に争いを起こす、と。
まったく。私たちのことを知らないやつが、好き放題に言ってくれる。
すっと、仮面の下の目が細くなる。
意識が臨戦モードに切り替わってきた。
擦り寄ってくるのならば、流れるように受け入れて横に並ぼう。
「しょせん、正義も正気も、誰も知ったことではない。今の公安やら風紀やらが本当に正しいのか、実は違反部活たちのほうが正しいのか。それとも、どちらも正しいのか。」
一つ一つ、確かめるように言葉にする。
こう口にしている時点で、相手の思うつぼにハマってしまっているのかもしれない……
だが、引き下がるのも、違う気がする。
自分の正気すら、自分で保証できない。他のメンバーだったら、なんと答えていただろうか……
「まあ、そも……おまえも私もがいったとおり、この話は正しいとか正しくない、とかいう話でもないな。
戻そう。
その『違反部活を潰している人たち』とやらがいるとして。その取り決めがわからなければなんとも言えない話だな。しかし、だ。確かに、その取り決めは『趣味』かもしれないな。だが、『趣味』が高じれば、立派な『矜持』にもなりえるのではないか。
これは何も違反部活の話だけではない。世の中、そういうものだろう?」
こちらは、とても平坦に答えた。
なけなしの答え。
うつろな自分には、虚ろな信念しか無い。
それでも、その信念は尊いものだと、信じるしか無い。