2020/06/26 のログ
ご案内:「違反部活跡地」に角鹿建悟さんが現れました。
角鹿建悟 > 「―――『親方』、こちら角鹿…現場に到着しました。取り敢えずこの跡地の修繕をすればいいんですね?」

小型の無線機で上司でもあり、所属する修復専門のチームのリーダーでもある男に確認を取る。
ややノイズ交じりに聞こえてきた、何時もの親方の端的な言葉に了解、と男も短く答えれば交信終了。

「さて――じゃあ、やるとするか」

何時ものように直し、何時ものようにきっちりやる。ただそれだけでいい。
何処かの違反部活の拠点だったと思しき建物だが既に瓦礫の山で元の建物の面影すら殆ど無い。

瓦礫の山を前にして、まずは己が使える唯一の魔術により元の建物の姿を仮想再現。
繊細な魔力操作が求められるが、既に何百、何千回と繰り返してきたものだ。
澱み無く無駄無く遊びも無く、あっという間にホログラフ映像のように建物の状態が目の前に再現される。

「――――構造自体はシンプルだが、特殊な仕掛けも幾つかあるな…そこは省いて直すしか無いか…」

壊れた物は必ず直す、が信条だが今回は依頼内容に余計な仕掛けの類は治さない様に、という注釈も添えられている。
彼個人としては直さないのは我慢なら無い部分もあるのだが、依頼は依頼。
オーダーはきっちりとこなさなければならないだろう。魔術で構造を把握すれば、術を解除して一息。

(――1時間は掛からないな。ただ、特定の破損はそのままにというのは逆に難易度が高いな)

と、心の中で呟きながらも、何時もの仏頂面で作業を開始する。右手を瓦礫の山の一つに触れさせて――

「再構成――逆算、…ポイント3,8,2は一部省略…と。」

呟きながら復元能力にて、まるで巻き戻しされるかのように瓦礫の山が少しずつ元の建物の形を取り戻し始める。