2020/06/27 のログ
角鹿建悟 > 1時間どころか30分を切る程度の速度で、まるで逆回し映像のように瓦礫が元の強度を取り戻し、在りし頃の建物へと復元されていく。
とはいえ、別にこの能力が特段珍しいという事は無い。実際、似たような能力者はあちこち居るだろう。

「……もうちょっと最適化するか」

能力の出力、ではなく作用を多様化させていく。この辺りは能力制御の訓練と経験の賜物だ。
目に見えて復元速度が上がった訳ではない…が、みるみる内にただの瓦礫の山だったそれは建物の姿を取り戻し。

「――――こんなもんか」

結局、30分を切って復元作業を完全に終了させる。最後に目視や能力による直接的な”点検作業”を行い、依頼は終了だ。

(…さて、これで依頼は達成か」

とはいえ、どのみち依頼の報酬などに興味は無い。それらは親方や先輩に回すよう頼もうかと思いつつ。
右手をゆっくりと復元された建物の一部から離して一息。少し滲んでいた汗を無造作に拭って。

角鹿建悟 > 「―――む?」

汗を拭い終えた所で、前触れも無く視界が揺らいで…いや、男の体もぐらつくように斜めに傾いだ。
咄嗟に足を踏ん張って持ち直したが、体が思うように動かない気がする。

(魔力の欠乏…違う、能力の使いすぎ…でもない。…つまり、何だ?)

それが蓄積され続けた疲労やら何やら,などと彼に分かるはずも無い。
眩暈に似た状態を耐えながら、流石にしんどいのか今しがた修復したばかりの建物に背中を預ける。

「……このくらいで倒れてはいられないんだが、な」

やれやれ、と吐息を零しながら状態が回復するまでジッとしていようか。
今動くと色々とマズイ気がする…とはいえ、ここに留まって襲撃とかされたら世話が無いが。

ご案内:「違反部活跡地」に幸道 千鳥さんが現れました。
ご案内:「違反部活跡地」から幸道 千鳥さんが去りました。
ご案内:「違反部活跡地」に武楽夢 十架さんが現れました。
武楽夢 十架 > でかけ先からの帰り道で、こんな『立派な』建物がここにあっただろうかと橙色の男は感心するように建物をみつつゆっくりと進んでいた。

建物のそばで人がぐったりして寄りかかっているのを見て荷車を置いて駆け寄りつつ声をかける。

「あのー!大丈夫ですかー?!」

角鹿建悟 > 「……ああ、大丈夫だ。…少し休めば問題は無い」

無愛想な表情と淡々とした声。とはいえ、わざわざ気遣ってくれたのだから答えるのが礼儀だろう。
そちらにしんどい体の重さを堪えながら顔を向けて軽く相手を見遣る。
…面識は無いだろう、橙色のツナギと荷車が特徴的な青年だ。
そちらに銀色の瞳を向けながら、「その荷車は?」と、何となくそちらに視線を移動しながら尋ねてみようかと。

少なくとも、敵対的な反応ではないのでこちらとしてはそれだけで充分ではあるが。

武楽夢 十架 > 呼吸がやや荒く見える。
表情は読みにくいが、体全体の様子をみるに辛そうだ。
体調不良、か何か発作か。後者だと自分にはどうしようもないな、と思考を導く。

「俺は農業学科の三年でちょっと趣味の炊き出しやった帰りでね。その道具とか載せてる荷車だよ」

丁度いいか、と荷車を目の前まで引っ張ってきて比較的に綺麗で汚れてないタオルと水を取り出す。

「飲む元気はありそうかい?」

心配そうにしつつも軽く微笑みつつ問いかける。

角鹿建悟 > 男に持病や先天性の身体的ハンデなどは特に無い。能力も問題ないし魔力もまだ余裕はある。
単に、蓄積された疲労が表面化してきただけで、一時的な不調というのが正解だろうか。
勿論、彼なりにきちんと休息は取っていたが、それでも”足りない”のだろう。

「農業学科…俺は1年の角鹿建悟…生活委員会に一応属していて、修復専門のチームに在籍している」

と、簡潔に自己紹介をしつつ、今己が寄り掛かっている建物を軽く示す。
つまり、この建物は自分が直したと言いたいらしい。
と、タオルと水を差し出されれば一瞬、沈黙してそれらと彼の顔を交互に無表情で眺めるが

「…悪いな先輩、恩に着る」

と、素直に礼を述べてタオルと水を受け取ろうか。しかし、炊き出しが趣味とはボランティア精神が凄いのだろうか?

武楽夢 十架 > どうやら問題なく飲めるみたいだ、と受け取ってもらえてホッとした表情を見せた。

「いいんだよ。困ってる人と危なっかしい人はなんかほっとけなくなるだろ?」

当然じゃないか、と笑い胸を張る。
そちらの自己紹介を得て、

「建悟くんか……ああ、生活委員会の修復専門チームってことは、その背中のは君が?」

尋ねたところで改めてその背にある建物をまじまじと見る。

角鹿建悟 > タオルで汗を拭き取りつつ、水をゴクリと豪快に煽っていく。
体力を使ったようには見えないが、能力の行使にはそれなりの疲労などが伴う。
まぁ、今回の場合は蓄積された疲労がちょっと溢れ出した様なものだろう。

「…先輩は、何か周りからお人好しとか言われてたりしそうだが…。」

彼の言葉に、そう小さく肩を竦めながら彼の質問に頷く。本人は一切知らないが――…
最近は落第街でも、直し屋として多少は話に上がる事もある男だった。
勿論、彼自身はそんな自覚なく、知名度なんて別にどうでもいいと思っているのだけど。

「――依頼があったからな。それなら直すのは当然だろう?俺にはそれしか出来ないし、俺が望んだ仕事だからな」

と、静かに答える。壊れた物は必ず直す――それが男の信念でもある。

武楽夢 十架 > お人好し、そう言われればそうかも知れないが、
誰に対してもってわけはないかも知れない。

「まあ、そう言われるとそうか。あんまり面と向かっては言われたことはなかったね」

仕事、出来ることをやる、望んでやってる。
それは、職人というに値する考えではないか。

「ああ、いいね。凄い―――好意に値するよ」

そう自分で呟いてから少し考えるように空を見て続けた。

「そうだね、ちょっと訂正すると、俺のお人好しも俺の趣味だよ」

炊き出しと同じで、と親指を立てつつ笑顔で答えを出した。

角鹿建悟 > 「――と、いうより趣味は人それぞれだからどうこう言うつもりはないが。
…炊き出しが趣味、というのは初めて聞いたからな…珍しいとは思う。」

少なくとも自身の周りにそういうボランティア精神?に溢れた人物は見ないけれど。
タオルは汗まみれになってしまったので、後日洗って返そうかと悩みつつ。

「―――好意?よく分からんが、俺はただ俺の出来る事を貫き通したいだけだ」

それがどれだけ難しいのか、どれだけ無謀なのか、どれだけ”意味が無いのか”は自身が一番分かっている。
――だが、”約束”もあれば己の”矜持”もある。
褒められようがぼろくそにけなされようが、角鹿建悟は直す人間――それを貫きたいのだ。

「――お人よしも趣味、というのはまた先輩も結構個性的な人物みたいだな」

勿論、彼の個性を嗤う事は無いし馬鹿にする事も無い。炊き出しとお人よしが趣味、か。

(――そういう人ほど”強い”と思うのは、俺の勝手な妄想かもしれないが)

武楽夢 十架 > 「珍しい、そうかも」

でも、数歩下がって腰に手を当てる。

「俺は農業学科で野菜育ててるワケで作ったもんをなんでも美味しそうに食べて貰えるのって嬉しいわけで、そういう『ヨロコビ』も得たくてやってるから完全に趣味ってわけだね」

別に落第街の住人にだけにやってる訳ではないがやりはじめた場所がここだっただけって話というのは今更でもある。

「その在り方が好きってことさ……後輩とか関係なく見習いたい精神だと思わされたよ」

本当に、と頷いた。

角鹿建悟 > 「…成る程、分かり易い。俺のは趣味――と、いう訳ではないが少し先輩の言いたい事は分かる気がする」

もう一口水を飲みながらそんな相槌を。汗も引いて体の調子も多少は回復してきた。
まだ本調子には遠いが、歩くくらいなら問題は無さそうである。

そして、男もそれは同じ、直す仕事は落第街だけでなく、島のあちこちにあるのだから。

「――俺を見習うというのはどうかと思うが。もっと見習うべき人物はあちこちに居るのでは?」

と、真顔で首を傾げる。在り方、と言われても自信の在り方はある意味で狂人だ。
その自覚は多少はあるし、それでも曲げないからこその狂人に至る強い思い。

「――まぁ、出来る事をやらないよりは今の自分に出来る事を全力でやりたいだけ、かもしれない」

武楽夢 十架 > でしょ、理解が得られたと人差し指立てて喋りだした。
「趣味がない人っていうのはそうそういないから、一度『そうかも』と思えば半ば趣味みたいなものだよ。好きなことに対する苦労は苦労にならない―――ってことで、これから暑くなる季節だし気をつけようという教訓を一つオチとしよう」

少しずつ会話もスムーズになってきたのを見て最低限の回復は出来てるみたいだとうなずいた。

「ま、そう言わずに―――君の活躍は炊き出しで落第街(ここ)の人たちから聞いているからこそ尊さ/恩を感じてるんだ」

ふふ、と笑いを零しつつ続ける。

「そう言えば、未だちゃんと名乗ってなかったね。
俺は武楽夢 十架、これからの君の働きも応援しているよ」

角鹿建悟 > 「…好き、とかそういう理由では無いかもしれないな」

ぽつり、と呟くように口にする。理由がない訳でもないが、結局最後はどううするかは自分次第。
取り敢えず、肉体が回復したのなら一度報告も兼ねて親方への報告やらなにやらもしなければいけない。

「―――待ってくれ、活躍は別にしていないんだが」

ただ、依頼を受けてあちこち直しているだけなのだけれども。
落第街に限ったことではないし、尊さや恩を感じられても正直困る。
ただ、やらなければならないから、自身の為にやっているだけのようなもの。
彼の感想を素直に受け取れないのはどうかと思うが、活躍なんて大それた事はしたつもりはない。

「――そうか、改めてよろしく頼む十架先輩。…それと、水とタオルは改めてありがとう、助かった」

そう、律儀に礼を述べながらタオルは折り畳んで返そうかと。
水は…全部飲み干してしまった。正直すまないと思ってはいるのだ。

「――先輩がどういう人間なのか、多少気にはなるが俺はそろそろ行かないと。
上司への仕事の報告などもあるんでな…先輩も、あまり長居せずに離れたほうがいい」

と、肩を竦めて口にする。落第街がどういう所なのかは、彼なりにではあるが知っている。
彼に緩く会釈をしてから、男は改めて礼を述べてから先にこの場を辞そうと歩き出して。

武楽夢 十架 > 「ははは、彼らには君か君たちの仕事はたまに理不尽に住処を奪われる人たちには救いなんだよ」

ただそういう感謝が一部の人たちにはあるのだ、と。

「つまり、そういう風に思われる仕事が出来ていると知ったなら『良かった』と仕事を誇ればいいじゃん。謙遜は勿体なくない」

俺は承認欲求が高いから、と茶化した。

彼からの礼を受ければ、
「ほら、俺のこれこそ礼を言われるほどじゃないものってなるから。
タオルは目的地に付くまで持っていきなよ、水分補給したばかりは汗が出るしね」

さっきまで倒れそうだった相手に心配されるとは、この後輩はお人好しだな、と笑って

「ここで君に出会えたのは僥倖だった。少し回復したからって無茶はしないようにね。
俺も無駄に長いはしないさ」

角鹿建悟 > 「―――そういうものか」

と、彼の言葉には頷くけれど、納得したかどうかはその無表情では読み取り辛いだろう。

どのみち、感謝されようがされまいがやる事は昔から一貫して変わらないのだから。
承認欲求は欠片も無いのだから、ただ己の道を貫き通すべく日々精進するだけだ。
謙遜と彼は言ったが、そも謙遜以前に直す事は彼にとっての人生の全てでもある。

「――分かった、そうさせて貰う――無茶はしていないつもりだが。」

ただ、直す事に全力なだけだ。学生らしいあれこれも彼には無縁といえるほどに。

「僥倖――まぁ、ともあれ助かった。礼は今度必ずさせてもらう」

と、律儀にそう口にしてから会釈を一つ。一足先にこの場を後にするのだろう。

武楽夢 十架 > 「オーケー、また会おう。飲み物の一つでもお礼してくれたら嬉しいね」

そちらが立ち去ろうとしたときの会釈に合わせて胸元で小さく手を振った。

さて自分も荷車を引いて帰るかー、と意気込んだ。

ご案内:「違反部活跡地」から角鹿建悟さんが去りました。
ご案内:「違反部活跡地」から武楽夢 十架さんが去りました。