2020/08/01 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」にエコーさんが現れました。
エコー > 古びたビルの地下一階。下った先にある自動ドアを開けると所せましと並べられたゲームのパッケージが視界を覆う。
主にPCゲームをベースに様々な美少女ゲームが陳列されている。
手作りのポップアップには『新作! オススメ!』だの『ハイカラな美少女と大正浪漫を!』だの様々な宣伝文句が書かれている。
店員らしき人影はなく、店内はとても静かである。

その中でも特に目を引くのは、レジ前に設置されたテレビで笑顔を浮かべている白髪銀眼の女だった。

エコー > 「私はこのゲーム部の取りまとめ役にして開発者! みんなに夢を与えるエンターテイナー! みんなどんどん見てって! 私の新作『ばんからさんといく!』もよろしくねっ」

黙々と吟味する客の一人は無言でレジへと持って行くと、テレビの前にゲームを置く。
パッケージには美少女が複数の触手と遊んでいる姿が描かれている『触手マニア』というゲームだった。

「はーいまいどー!」

快活に笑顔でレジを遠隔操作し、商品を渡す。

「買ってくれてありがとうね~大好きだよ!」

エコー > ここにあるゲーム全てはレジ係を兼任する彼女が作ったものだ。
人間の愛と恋を知る為に手っ取り早く情報を食べる為、ジャンクフード的にプレスした結果、ゲーム好きな彼女は恋愛シミュレーションゲームを愛好するに至った。
好きが嵩じてこうしてゲーム販売まで取り付けるようになったが『いや倫理的にちょっと』という苦言により審査が落ち、全年齢向けのブースでの出品を断念。
アングラな場所でなら、ということで違反部に紛れてこっそりと売り続けている。暫くしているとコアなユーザーや固定ファンが何食わぬ顔で買ってくれるようになった。生徒っぽい人も来ている気がするが……この銀の眼は無駄な情報を映さない。
共にシミュレーションゲームを愛する者同士、詮索が無ければ程々にしか突かないのである。

「いらっしゃいませー、ごゆっくりごらんくださ~い!」

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に紫陽花 剱菊さんが現れました。
紫陽花 剱菊 >  
其のビルの一角に静かな足取りで現れた一人の男。
公安委員会が所属する一振りの刃。
諜報機関である公安の人間として日夜弛まぬ島巡り。
世間の影を渡り歩き、民草の平和を陰ながら守り抜く紫電人。
壁に耳在り、此度は違反部活動の情報調査、取り締まりの為
此の地下まで罷り越した次第。何時ものように仕事をはじめ……

「…………。」

自動ドアを潜り抜けると、其処は異邦人の彼にとってザ・珍妙のオンパレード。
何だかハイカラなポップアップに目移りしながら
不愛想な仏頂面が右へ左へ。

「……何だ、此処は……?」

出ちゃったよ、死ぬ程訝しげな声が。

「…………。」

「『はいからなびしょうじょとたいしょーろまんを』」

読み上げちゃったよ、ポップ。
乱世の異邦人、紫陽花剱菊。
謎のアングラショップップに参上─────。

「……何だ、此処は……?」

二度も言ったよ。

エコー > ハイカラな美少女が目印のポップにポスターが紫陽花を出迎える。
ほんのり半脱ぎなイラストもあったりでちょっぴり煽情的である。

「……?
 いらっしゃいませ~! ここはゲーム屋さんだよ!
 ごゆっくりどうぞ~!」

RPGで『ここは〇〇村だよ』という案内人Aみたいなテンプレ台詞をすらすらと短い事実を並べる。
呆然と、そして訝し気な声を上げた生真面目そうな男を見かけて手を振ったレジ前の画面の美少女アバター。

「その『ばんからさんといく』気になる? 気になっちゃう?
 それは今日発売したばっかりなんだ~。気になるんだったら買ってみてね! 体験版もサイトにアップしてるから!
 あ、でもお兄さん、こういうゲームは遊ぶ人? あんまり遊ばなかったりする人?」

紫陽花 剱菊 >  
声を掛けられた方に振り向いた。
謎のモニターに映る美人。
普通の人間成らば、電子体のAIアバターだと分かるはずだが
生憎、科学など発展しなかった世界の異邦人。

「……どうも……。」

先ずはエコーに一礼、会釈と挨拶。
大層な生真面目さが伺える。

「……憚りながら言問うのだが……何故其の様な箱の中に……?」

そう、異邦人剱菊にとってエコーの姿は『妙な箱に閉じ込められた人』に相違なく
徐にレジへと近づけば凄いベタベタテレビを触り始めたぞ!
其れこそ子どもの様にベタベタ遠慮なく触ってる!バブちゃんかな?

「『ばんからさんといく』……。」

あの美女が描かれた謎の箱(?)だと思われる。
『ばんからさんといく』と言う魔法物なのか?
本気でそう考えている阿呆がいる。
さて、遊んでいるかどうかと問われれば一刻の間を置いた。
剱菊は大層な真面目な男だった。故に

「(遊ぶとと言う文化が無かったので私にとって)その様なものは、崇高すぎる趣味だ……。」

静かな声音で答えた阿呆がいる。
アンジャッ〇一歩手前だぞ!