2020/08/02 のログ
エコー > 「わお、初手で驚かれなかった。落ち着いてる~おっとな~」

自分が自発的に動くのみに飽き足らず、対象に話しかけたりすると大抵びっくりされるのだが、彼は異様に落ち着いていた。
竹刀を帯刀していることから『その手』の所属者であるという予測はついていたが、敵意はない。ただし警戒心は見て取れる。
それよりも困惑が見て取れた。

「え、二世代くらい前みたいな人の反応だ~。もう漫画でも見なくなったのにって手、手ぇ!
 あんまりべたべた触らないでね~私そっちが見えなくなるから~」

画面越しに己は見ているのだと訴えかけながら両腕を上げる。

「私はAI……って分かるかな。こういう電子機器の中に住んでいるの。妖精とかゴーレムとか、……人造の生命体? みたいなやつ」

 己もまた異邦人だが少々特殊な事情を持つ生命体だ。人間に似せた姿を持つ何か、ということだけ分かれば良いのだが。

「え、……あぁ、なるほど。こういう経験少なそうだもんね。っていうかパソコン持って無さそう」

 己にべたべたと触れたリアクションを思い返しながら苦笑いを浮かべる。

「でもこういうの(※ジャンル)が崇高なんてことないよっ。誰でも手軽に遊べるんだからっ。
 こうして私みたいな感じにお喋りをしていくだけだよ、簡単でしょ?」

紫陽花 剱菊 >  
「充分驚いてはいるが……む、失礼……閉じ込められている訳では無いのか……。」

如何にもそう言うものでは無いらしい。
そっと手をモニターから離した。
だが、摩訶不思議な女性だ。
剱菊は未だに訝しげである。

「まんが……私はまだ齢は二十と四年だ……。」

なんだか古い人と言われたからちょっとムキに答えたぞ。
世間様から見れば戦国価値観なんて古だって事がわからない?わかんないかぁ。
エコーの説明を聞けば何となくだが、彼女が如何なる存在かはわかってきた。
即ち……

「木霊か……其れにしては随分と麗しい見た目をしていらっしゃる……。」

……彼の中じゃ近かったんだ、木霊。
悪意はないよ。当人は木霊みたいに首傾けてるけど。
勿論カラカラとはならない。

「ぱそこん……。」

お察しの通り、電子機器の扱いは下手糞も良い所である。
少しばかり、申し訳なさそうに頬を掻いた。

「……ふむ……。」

実際そう言われると興味がわいてくる。
因みに騙されてツボを買うタイプだ。

「……宜しければ、これ等が如何なるものか教えては頂けないだろうか……?」

エコー > 「顔に出にくいんだねぇ、じゃあ内心ばっくばくかもだ!」

ころころと表情と動きは変化し、まるでそこに人がいるかのようにコミュニケーションを取る。
彼女は顎に手を載せながら、指で頬を叩く。

「24歳なんだ~、え、喋りが硬いし老け顔って言われない?」

彼女は正直者だった。見たままの感想を雑感を一言で纏めると、控えめに言っても失礼過ぎる言動である。

「木霊~。そういう表現もあるのか……。
 木霊ってやまびこだよね。近いけど~。付喪神って言われた方がなんかカッコイイ感あった。でも綺麗って言われちゃった~きゃ~☆」

ファンタジーとも近未来とも現代世界ともズレた価値観の顕れ。
己を評するその言葉は耳慣れぬもので。自分の知識と照らし合わせながらそんな風に口にする。
ともあれ容姿を褒められて悪い気はしないので、エコーは舞い上がっていた。画面の右上にハートのアイコンがチカチカと輝いて20くらい何かのパラメーターが上がった。
これは美少女ゲームの画面である。

「よーしきた! じゃあざっくり説明して行こう!」

ぴこん、と画面からポップ音が鳴り響く。
『ばんからさんといく』を含むここで売られているのはシミュレーションゲームというジャンルであること。
概ねパソコンという通信端末を使って遊ぶ電子ゲームであること。
『主に』恋愛方面の仮想的な対話を楽しむ目的であること。

……などといったほんのざっくりとした説明を適度にかみ砕いて説明をしていく。

紫陽花 剱菊 > 「…………。」

「『ばんから』だけに、『ばっくばく』と……?」

仏頂面のままなんか言うとるぞコイツ。

「……顔が良いとは言われたが……?」

なんか張り合い始めたぞ。
実際24日如何かって言われたら確かに喋り方のせいで更けてみる。
指を顎に添えて、見事なシンキングフェイスを披露する剱菊。
ついでに画面になんか謎パラメータが上がったら頭に『!?』と浮かんで目をしろくろさせていた。
一体何なのだこれは、と興味津々である。

「……お願いしよう……。」

そのままエコーの説明を聞いていく。
成る程、其の弊衣破帽な主人公の視点に成り切り
多くのヒロインを会話していくものらしい。
成る程、此れが現代の娯楽か。
『ばんからさんといく』の説明を見ながら、す、と手を上げる。
質問だ!

紫陽花 剱菊 > 「……波打った艶やかな黒髪を以てさながら猫の様な魔性な齢十八程のひ↑ろ↑い↓ん→はいないのか?」
紫陽花 剱菊 >  
はい、恋愛方面の仮想的な会話って言うからそう言うのと勘違いしたぞ!
自分の好きな人と似たようなヒロインを探そうとするんじゃないよ。
傍から見て気持ち悪い行為だとは気づかない。
凄い真面目な顔して真面目に聞いてる。

エコー > 「これは爆(笑)だね!
 ……お兄さん案外おちゃめだよね。ノリ良いよね。顔も良いのは事実だし。
 こう、大人大人している人ってここじゃあ少ないからレアだよ、モテるよきっと」

 意地の悪い友人キャラのように『にしし』と笑った。

「あ、こういうのは私なりのリアクションだから驚いていると身が持たないよ」

 無駄にチカチカ発光させたり数字が変動したり、もっと色々なことが出来るのだ。
 コミュニケーションの方法は無限大。『優しみ』というパラメーターに振られた数字は彼との対話の証である。

「それで、今みたいにパラメーター……数字を上げて経験(フラグ)を積んで……」

はいどうぞ。教師としてのいつもの調子でそこのキミ、と指差して質問を許諾した。

「……うん?」

 ヘロインと間違えそうなイントネーションはともかくとして。

「……え、い……いる、かな……。確かいた、と思う?
 んーっと、その裏に黒髪のヒロインがいると思う。……真っ黒なセーラーと赤リボンの女の子」

 やけにピンポイントというか、具体的な好みを告げてきたのでこちらも面くらった。真顔で何言ってるんだろうこの大人。
 恐る恐るといった様子で裏のパッケに誘導すると、くしくも紫陽花の要望に沿った女性ヒロインがそこには描かれていた。

紫陽花 剱菊 >  
「…………。」

「……今のは少々、忘れて頂きたい……。」

割と場任せの発言だった故に、指摘されて恥ずかしくなってきた。
ちょっと目元を手で覆って、首を振る。

「人に好かれるのは悪くは無いが……そうか……。」

此れがエーアイ、というものらしい。
経験を積んでパラメーター成るものを積み重ねる。
即ち、此れは人で言う成長では無いだろうかと思考に至った。
ともすれば此れも、生命と相違無く、興味深そうにエコーを見ていた。

さて、それはそれとしていたと言われれば裏パッケージをみる。
成る程、確かに似ている。じーっと、其のヒロインを見ていると……。

「……些か、胸が大きく見えるようだが……。」

なんか急に文句付け始めたぞ。
傍から見れば面倒くさい客だし
事情が分かる人からみればただの気持ち悪い奴だ!

エコー > 「私のログには何もなかった。記憶から消しておくね。あとは普通に接してあげる」

己の体は便利なものだ。客自体が少ないこともあり、この発言はほぼ門外不出のものとなる。
彼が何を言おうと拡散する可能性は極めて低い。目元を覆うその姿が何となく痛々しく見えて、忘れてほしいという言葉に頷いてみせた。
……よもや本当に忘れることが出来ると相手は思うこともないだろうけれど。

「あ、控えめか普乳がお好み? メインヒロインが金髪巨乳だったからバランスをよくするために幾らか盛ったんだけど」

当然、こちらは誰某の事を指しているのか事情を知らないので何とも言い難い。黒髪は普通か貧乳ってそれ典型的なタイプや。

「でももう発売しちゃってるから胸の修正は出来ないんだ~。
 だけど首から上は好みなんでしょ? もしかして好きな人とかっ」

 こういうジャンルに詳しくなさそうな彼が興味を持つ者と言えばリアルであり知人か何かであろう、と判断した。

「でもちょっと妥協して、ね? キミの好きそうな声で喋ってくれるから! フルボイスで色々言ってくれるから!」

紫陽花 剱菊 >  
「……うむ……。」

うむではないが。
とりあえず事なきを得て安心している。ちょろい。

「……余り外見で忖度を推しはかろうとはしないが……。」

「まぁ……。」

女の子は肉付きがいい方がいいのだ。
乱世の世もモテるのは何時もソッチだった。
自信満々に頷いてやった。残念度がどんどん加速する。

「…………。」

さて、そう言えばパッケージにひ↑ろ↑い→ん↓が盛りだくさんであったな。
ともすれば確か、彼女の説明通り成らばきっと全員攻略対象。
……此の金糸のめ→い↓ん↑ひ→ろ↑い↑ん→とやらは
何処となく顔立ちが凛霞に似ている……。
此方の左側の前髪……さながら、睡蓮か……
なんだ、やたら胸部が大きいな……本物もこんなものなのか?
ともすれば此方の狐耳などは完全に紅映様ではないか……。
左にいる銀髪の幼子には227の……あえかな感じがまさに……
……此方の巫女服は心湊……だな……なんだかちょっと私に対して目つきがきつくないか?
そもそも、ばんからとは一体……む……。
此方のやさぐれた感じは華奈に似て……否、やはり盛りすぎではないか?
其処まで大きな胸ばかりだと、胸だけに胸やけをしてしまいそ……む……
此の双子めいたひ↓ろ→い↓ん→は沙羅と……理央……?
理央……?『男の娘』とは一体……つまり同性愛では……?
なんと、其処まで範囲が広いのか……
此方の明るき雰囲気を持つ少女は確かに幸子のようだが、耳がないぞ……。
……青髪の彼女はスノーウィー……?どれだけ範囲が広いのだ、このゲーム。
……しかし、主人公殿の親友のこのあ↑ふ↑ろ→、やはりどこからどう見ても英治……
隣にいる農夫の青年は十架では……?目が赤いし……
何故……否、やはり私的にはあかねを推し……、……。


<もしかして好きな人とかっ


「…………!?」

パッケージガン見しながら物思いに更け(この間10秒)てる最中に言われたものだから、思わずガバッと顔を上げ

紫陽花 剱菊 > 「……違うが!?愛しき其方に加えてやけに知り合いが多いと思っただけだが!?」
紫陽花 剱菊 >  
なんか真顔で言い放ったぞ。
そりゃもう店内の空気ヒエッヒエッよ。
知り合いがいたら即死(社会的に)と言うの知らず?

エコー > ――常世学園に在籍する生徒の誰かに似ている問題。
曲がりなりにもアングラな場所で流通しているので、関係者にバレたらバレたらでかなり不味いことになるのだけれど。
彼が嫌にじっくりと吟味しているので少々不安になってくる。沈黙が辛い。10秒ほど穴が開くほど見られている現状、にぎやかしのエコーと言えど固唾を飲んで見守るしかなく。

こっそりとモデルになる人物を真似て描いて貰ったことがバレたか……!?

厳かな雰囲気と共にその様子を見守る。
が、すぐ茶化した言動を返したらどちゃくそ秒で返ってきた。フットワーク軽いね。

「あーあー……あぁ……はい」

 人があまりいない場所で良かった。個人経営の同人ショップ、とりわけ人を選ぶ美少女ゲー専門店だ。物色していた他の客がビクつかせて彼に眼をやっていたが、それ以上特に何もないならまたパッケージや予約の札を目の前に見る作業に戻って行く。

「……い、愛しきっていうのはともかく、ともかくね!」

 手をバタバタ振りながら咳払いを一つ。

「人のデザインっていうのはゼロから生み出せるものじゃあないから、少しくらい誰かに似ているのも仕様がないの。
 このゲーム、私一人で作ってるんだけど~、髪色に眼、顔の形や雰囲気は少しずつ誰かから貰って編纂して組み合わせているから、だからぐーぜん『愛しき誰か』に似たのもいたかもっ」

手を合わせながらにこやかに首を傾げた。

紫陽花 剱菊 >  
「…………些か微妙な返事では無かったか?」

剱菊は首を傾けた。
大よそお前のせいだよ。

「……然れど、言い分には一理在る……。」

確かの、物を作ると言うのは途方も無い労力を使う。
其れにこの手のゲームは実在する人物を使うのが早いのもわかる。
其れで良いのかはともかくとして、ゲームの説明を聞く限り
そう言うものだと言うものは理解しているので
曲がりなりにも、其れが正解(正解ではない)だと言う事にしておこう。

「……然るに、興味自体は沸いてきた。折角の縁も在る。一つ購入……」

購入を考えた矢先、目じりについたのは……そう、"CGシーンのサンプル"である。

「……ブッ!?」

思わずなんか噴出したぞ。
よりにもよって、『愛しき誰か』に似た時のシーンだからそりゃもうびっくり。
普段不愛想な男も顔を真っ赤にしてエコーへ向き直る。

「こ、此の何だ……!?此れは何だ!?」

吃驚しすぎて語彙力どっかいっちゃった…。

エコー > 「え、だって素直に気持ち悪いこと言ってくれるんだもん。
 たぶん真面目に返してるって言うのが分かるからなお気持ち悪いなって」

半眼で乾いた笑みを零した。
経験上、こういう無垢な手合いは沼にハマらせればがっつり堕とせるタイプなのだけど。
――いやあれ無垢か? 感情表現が不得手なお茶目兄さんでは?

「自分でお絵描き出来たら良いんだけど、まだ丸とか三角とか記号しか描けないんだ~」

万能だが全能に非ず。己は電子の海を生きる存在。計算や処理速度は速いが、芸術の手合いはからっきしだ。
人を惹きつける恋愛シミュレーションゲームにおいて容姿は重要だが、記号的に理解してもアウトプットするのは至難の業だ。
他人から間借りするしかない現状に、ほうとやおら息を吐いた。

「あ、あ~……大事な事を言ってなかったんだけど~」

眼を逸らしながら頬を掻く。ややこしくなるから敢えて言わなかったのに。
とはいえ『それ』はパッケージに描かれているとおり、肌色満載の光景がきっちり描かれていた。

「恋愛のシミュレーションなんだから、好きな人同士することもあるんでしょう?
 ちゅーとか手をつなぐとかタッチとか。甘酸っぱいものも取り扱ってるんだけど~これはもっと先の事もするタイプでねぇ。
 平たく言うと、上手いことヒロインを口説き落としたらデキるの! そういうコトが!」

 くっつく前段階で出来るのもデフォなのだけど。

「童貞でもノーマルでも安心して遊べるよ! あ、でも双子ヒロインの男の娘も混ざって3人対戦するし、それぞれ固有のシーンもあるから苦手な人はちょっと抵抗があるかもだけど」

紫陽花 剱菊 >  
「…………。」

まじかぁ……と言いたげな虚無の表情。
自覚無かったようです。阿呆だ。

「…………。」

そして今度はまじかぁ~~~と言いたげな吃驚顔。
さっきとあんまり表情変わってないって?
感情表現は実際不得手、しょうがない。
だがしかし、エコーの言う事は一理ある(ない)。
最終的に男女が行きつく先は即ちそう言う事なのも理解出来るが。

「…………。」

そう考えると実はこれ色々拙いのではないか?
普通に考えて似て非なる人物に恋愛シミュレーションする時点で普通の気持ち悪いが
流石にそう言う事まで出来るのは拙いのではないか?
よく見ると、全ヒロイン対応どころか、隠しヒロインまであるらしい、そういうの。
……此の隠しヒロイン、華霧とありすに何処となく似ているような……。
ともかく、此れは幾らなんでも拙いのではないか???
だが……。

「…………。」

凄く、"興味がある"。
紫陽花 剱菊も男の子(24)
童貞では無いが、性欲が一切無い訳では無い。
おまけに未知なるゲームとやら。
シミュレーションとは一体何処まで……三人対戦とはなんだ?
もしかして、ス〇ブラか?大乱闘をするのか?
私が大乱闘出たら厨キャラって言われそうだな。
ともかくとして、公安委員会として、此れは見逃すのは拙いのではないか?
ある意味此れ違法ゲームでは無いだろうか。
だが……。

「…………。」

チラッ。

「…………。」

チラッ。

「…………。」

チラッ。
迫真三度見。
如何する、如何する……!!
男紫陽花 剱菊。脳内ぐるぐるの据えに出した結論は…………。

紫陽花 剱菊 > 「……某、公安委員会の者なのだが、組織解散権を使わない代わりに『証拠品押収』して良いか?」

────脅したァ!!しかも割と最低な職権乱用だぁ!!口調もなんかおかしいぞ!!

エコー > 「……」

相手が何をどのように考えているかは分からない。
果たしてドン引いたのだろうか。一般人たる彼にとって、この薄氷の上でワルツを踊るが如く危うき存在はどのように映っているのか。
その割には丁寧にパッケの説明書を読み込んでいる気がする。以降に表返しする様子もないし。
このように熱心な熱に当てられたら、何となく嬉しくなるというもの。

だったのに。

エコー > 「御控えなすって!! 『証拠品押収』の程承知いたしましたぁ!
 こちら供物としてお納めください、お許しください!」

 美少女ゲーム画面越しに頭を下げた。
 権力には屈するしかないのである。……己はホントは教師なのだけど。

紫陽花 剱菊 >  
「……うむ……。」

押収に成功した品を腕に抱え、剱菊は頷いた。うむではないが?
つい、興味に負けてなんかこう、買(勝)ってしまった。
めっちゃ頭下げてるじゃん。

「…………。」

あ、なんかこの異邦人スゲェ申し訳なさそうな顔してる。
此れは付け入るチャンスだ!

エコー > 綺麗なポーズで頭を下げていたが、更に沈黙が続いて恐る恐る顔を上げた。
どうにも申し訳なさそうな顔をしているのである。あちらが提示したというのに。
よもや権力者であることが嘘というわけでもあるまい。立ち振る舞いからしてそれは疑いようもない。
あるいは権力を振り翳して押収したことを――。

「……お兄さん、ポイントカードはおつくりになられますか?
 私のお店で商品を買って頂いてポイントをためると、好きなポスターやタペストリ……掛け軸なんかが貰えるんだけどね。
 『愛しの』黒髪ヒロインのリアル等身のグッズとかも貰えるしぃ、作って貰うことも出来るんだけどね~。
 また来て次は何か買ってくれたらそういうの作っても良いんだけど~。
 どうかな?」

紫陽花 剱菊 >  
何と言うか其の、混乱して勢いで言ったから割とどうしようと思っている。
いや、しかし実際違反物であるなら見逃す事も許されないし
とりあえず、中身を確認し……。

「……!?」

今何か妙な言葉が聞こえたぞ。
いや、まて、そもそも……。

「……ぽ↑い↑ん↓と→か↑あ→ど→とは……?いや、しかし、掛け軸……。
 …………其れはつまり…………部屋に飾れると言うことか…………?」

つまりそう言う事なんだろう。
つまり、此処で買い物すればそう言うものがもらえる。
部屋に飾る……其れは大丈夫なのか???

「……よもや、此の世界ではそう言う事も"普通"なのか……?」

異邦人故の常識知らず。沼に叩き落すチャンス!!

エコー > 「えーっとスタンプ、ログインボーナス……じゃなくて。
 何回ここでお買い物しましたっていう証明みたいなの。オトナミソフトはカード形式だけど」
 
自分のいるレジの横、受け渡し口の近く(※画面の右上方面)をエコーが指さすと、山積みにされた黒色をベースにした『オトナミS』と印字されているカードを示す。
裏面にバーコードがあり、読み取れる仕組みになっているが、それはさておき。
彼は食らいついてくれた。好機を逃してはならない。

「うんうん、普通だよ! ここはエンターティメントで溢れてる世界なんだから」

アングラな趣味の界隈を普通と言ってのけた!

「(美少女ゲーム愛好家の中でも更にコアなユーザー)みんなが茶室に飾るように掛け軸を飾っているよ!
 『この女の子はどういう子?』みたいな会話からウキウキに盛り上がること間違いなし! これもコミュニケーションの円滑化の賜物だね!」

紫陽花 剱菊 >  
「ふむ……此れか……。」

手に取ってみる謎のカード。
此れが噂のポイントカード。
カード自体は無料の様だし、折角だし頂くのも悪くはない。

「……そうか、(此の世界では)普通か……。」

ほっと胸を撫でおろした。
撫でおろしてる場合じゃないが???

「では、是非とも頂こうか……ポ→イ↑ン→ト↓カ→ア↑ド→」

はい食いついたー!!
しかもどことなくうきうきしてるぞ!!

エコー > 「是非お納めください」

ははぁー。深々と頭を下げた。手に取ったポイントカードをそのままどうぞ懐へ、とばかりにジェスチャーをしていた。
気分は小悪党の三下。腰を低くしながら手を揉む。

「そうそう(この世界では)普通普通!」

普通じゃあないが。紫陽花剱菊の社会的な死は何度訪れるのか。彼が生きる道はあるのか。

「じゃあ、またのご来店をお待ちしておりまぁす。
 ……次は黒髪ウェーブで胸が控えめな、猫みたいな魔性の子をメインヒロインにするからね」

紫陽花 剱菊 >  
「…………うむ。」

かつて、己の世界にいた上流階級の人間の気分ってこんな感じなのか。
凄いあの格好で媚びうってるぞ、あのAI。
小悪党パラメータでも上がったんだろうか。
何だか申し訳ない事をした。

「……あ、ああ……。」

意外とこうなんか、ストレートに言われると何とも言えない返事になった。
ともかく、後は押収した証拠品を確認せねば。

「では、また……。」

剱菊は一礼し、踵を返す。






もしかしたら、遠い未来。
惨状と化した部屋を本人に見られて引かれるような事態があるのかもしれない……。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」から紫陽花 剱菊さんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」からエコーさんが去りました。