2021/02/10 のログ
マディファ=オルナ > 魔術『イフリートソード』の範囲外に逃れた男への蹴りは防がれた。
このまま追撃に……とはいかず、体勢を整える。

「詠唱しておったからの。
 まあ戦闘が好きなのは否定できぬ話じゃ……む?」

周辺が闇に塗りつぶされる。
通常の人間であれば視界が塞がれるそれは、マディファには通用しない。
迷わず男の位置を温度センサーと赤外線センサーで捉え、踏み込む。
首を狙った斬撃が来るのを感知、所詮は物理攻撃と、居合への対応を捨てて大剣を突き出す。
魔力のコーティングで直撃しても貫通はしないが、強烈なダメージは間違いない……はずだったが。
居合の直撃は首に傷をつけないまでもその威力を大幅に減じるだろう。

(ぐ……甘く見たか!)

花菱刃 >  
 光で変に惑わされるよりは完全な闇の方がよほど対応はしやすいという物。
 しかも相手の得物は大型。いやでも音はする。
 対応できるかどうかは別問題だが。

「ッー! 重い早い硬い挙句タフで魔法使い! 厄介な要素モリモリじゃんか戦闘狂! それと戦闘好きはよくないぜ。もっと楽しく生きる道をみつけねぇと!」

 突き出されたそれをなんとか寸でで回避するも肩を切り裂かれる。
 対抗手段を考える。おそらくはこちらの持つ手で相手の防御を貫通できる手は少ない。
 その上その手段のいくつかは魔力の消費が多すぎる為継続戦闘は難しい。となると。
 相手の突き出したその隙に一歩踏み込む。

「火」

 居合で収めたその刀。相手の懐で再び抜き放つ。
 防御されるのなど前提だ。故に乗せるのは炎。
 命中すればその命中した地点を魔力の火が焼き続ける。一種のスリップダメージ。
 ついでとばかりに刀自体も高温となっているので生半可な物質やガードならば溶断させるだろう。

マディファ=オルナ > 「良い強さじゃ人の子!
 生憎じゃがこれでも楽しんでおるのでな、心配無用よ!」

温度センサーが男の刀の熱を伝える。
魔力も感じた辺り、魔法剣の一種か。
だがこの程度の熱で溶断されるような装甲は持っていない。
左腕で居合を受けて、その隙に大剣を振り抜く!
だがその途中、受けた腕の違和感に気づく。

(これは……なるほど、防がれる前提の魔術か!)

戦闘中にこの炎の解呪は難しいだろう。
左腕の修理が必要になるだろうことを覚悟する。

花菱刃 > 「巻き込まれるこっちはたのしくないっての!」
 
 こちらからすればいい迷惑である。強い相手はどんどん増えていく。びびってこっちは人が減っていく。減らなくても殺され捕まり消えていく。
 命中はしたものの相手の大剣には対応しきれない。

「金」

 そうつぶやくと全身が銀色に変化する。そして大剣はそのまま直撃。すさまじい金属音と共に吹き飛んでいく。
 少し飛んだ先で元の姿に戻る。

「っつー!! これ痛みは来るから使いたくないんだよなぁ」

 叩き切られるはずだった場所を撫でながらいてぇいてぇと。
 だが命中したのは行幸。常に相手の左側へと回るように移動しながらニヤリと笑う。

「そういえばよ。あんた傭兵で戦闘狂だったな。だったらよ、より高い報酬と強い相手と戦えるっつってら。こっちについたりはしねぇの? それともやっぱり権力が怖いかんじ?」

 攻撃は入れず。そう問いかける。
 痛みですぐに動けないというのもあるが……これで彼女がこっちに着くならそれはそれで儲けものだ。

マディファ=オルナ > 「人生とは儘ならぬものよ。
 ま、儂は人じゃないがの」

防御力の高さや暗黒への対応から見当がついているかもしれないが。
だが明かすのはそこまで、それ以上明かす義理は今のところ無い。

「そういう意味での戦闘狂ではないし、一度交わした契約を破るほど不義理でもない。
 権力は……まあ、風紀に楯突けば『鉄火の支配者』には相当消耗させられそうじゃし、の!」

左を取ろうとする相手の動きも察知している。
魔力の炎で焼かれているが、まだ左腕は動作する。
右手で男めがけて大剣を振り下ろし、左手で避けそうな位置にマグネシウムライトを左右それぞれ一本投擲。
焼かれつつも十分な威力を持った投擲は、今度は大剣を避けるなら当てるつもりだ。
今更外して光を利用するにも、闇で包まれている以上は効果がないだろう。

花菱刃 >  
「人じゃなくても人生っていったっていいんだぜ」

 なんて言いながらケラケラ笑っていた。実を言うと検討は全くついていないがとりあえずめっちゃ固いということと視界は無くても良いということは把握しているつもりだった。
 その後の発言を聞けばガクッとうなだれる。

「あーあ、残念。うまい事行けばスパイにでもなるかと思ったんだがなぁ……陽」

 残念残念といいながら相手の動きを見るも回避するそぶりを見せない。
 そして大剣がその身を切り裂く……が。それは直後に四散。

「もう少し遊んでいたかったけどさ。たぶんそろそろ合流した方がよさそうだし。あんまり遊んで向こうが壊滅しました。とか笑えないから」

 と立っているのは違反組織の元アジトの上。
 両手を広げる。

「鉄火の支配者には消費させられるってことはあいつの攻撃が相性良いって事だろうし……最後の大技だけぶっぱなして。逃げさせてもらうかな。金 火 陰 陽」

 彼の周りには赤熱した金属の玉。凡そ50以上。
 少しだけ汗をかきながらニヤリと笑う。

「砕け散れ!」

 火の力を込められた限界まで陰の力で収束。そして爆発する。
 結果空より降り注ぐ高熱の金属の雨。一つ一つは小さな爆弾程度の威力しかないだろうがそれも雨のように降り注げばすさまじい威力となる。

マディファ=オルナ > 手応えなし。
センサーで実在は確認できていたから、転移の魔術か。
もしくは、時間停止の可能性もあるが……己の体に異常はない。
この可能性は捨てて良さそうだ

「ま、言葉の綾ってやつじゃな。
 つか傭兵はじめ契約を舐め過ぎじゃあるまいかの、この世界の人の子は」

大剣を担ぎ、追撃を諦めながらも男の動向には警戒する。
離脱する気満々、そして頭上の赤熱した金属の球体の数々。
ブラフを掛けても無意味だと判断して。

「ま、一人二人は確保できたようじゃが致し方なし……かの」

彼の離脱も、魔術も阻止できそうにない。
寧ろ、あの魔術でこちらの追撃や応援が阻止されそうだ。

そして、金属球が炸裂。
高熱の金属片の雨に防御を固める。
熱や金属片のダメージは微々たるものだが、収まるまでは動けないだろう。

花菱刃 >  
「おいおい、契約を真面目に守るような連中がこの街にいるわけないだろ? 約束だったらなんとなくわかるけどさ」

 そもそも契約など表ですらどううまく相手を出し抜くかの結果でしかない。
 あんなもの何の意味もない事を自分は痛いほどよく知っていた。
 そしてこちらの懇親の魔術。それを受ける相手を見てうへぇと声を漏らす。

「おいおい簡便してくれよ。こっちのほぼ全力の魔力でそれかよ……はぁ。ホント面倒な敵だなぁ俺達の相手さんは……まぁいいけどさ」

 殺せるなら殺したかったが。今は情報が最優先だ。次に会った時に殺せるように情報を得て準備をしておく。
 そうしてそのままアジトの屋根を蹴ると街のそして闇の中へと消えていく事だろう。

マディファ=オルナ > 「やれやれ、信頼というものは築きにくく失いやすいのじゃがな。
 そして傭兵のような信用商売にとっては生命線のはずじゃが……
 こちらの世界では流儀が違うのかのう」

結局、離脱を阻止できず自分の情報を持っていかれてしまったのだった。
だが、明かさなかった手札もあるのだ。
尻尾を揺らしながら、左手の炎の魔力の解呪に取り掛かる。

「さて、あやつの情報が風紀にか、それとも情報屋にか有ればよいがのう」

そう独りごちて、マディファもその場を後にするのだった。

ご案内:「ある違反部活の拠点」から花菱刃さんが去りました。
ご案内:「ある違反部活の拠点」からマディファ=オルナさんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
煙草の代わりに咥えるのは、ココアシガレット。
片手でぷらぷらと揺らすのは甘ったるい缶コーヒー。
風紀委員の制服を纏った少年は、その姿だけ見れば学園から帰宅する途中の生徒といった様相。

此処が落第街の外れであり、少年の背後には無数の砲身を生やした異形が居並んでおり。
少年と対峙する3m程の巨大な化け物の姿さえなければ――の話ではあるのだが。

「……やれやれ。一体何を飲んだのか飲まされたのか。
そんな姿に成り果てて迄、此の街で成し遂げたい事があったのかね」

対峙する化け物は、先日壊滅させた違反部活の幹部。
特務広報部による殲滅の際には拠点に姿が無く、刑事部が捜索していると聞いていた。
その幹部が、警邏の風紀委員に突然襲い掛かった挙句、薬物の大量摂取と魔術によって化け物になった、と悲鳴の様な報告が上がってきたのが、先程の出来事。

「…まあ、恨みつらみは世の常。身に余る力を得てでも、晴らしたい怨嗟があるのだろう?
かかってくると良い。図体だけが取り柄ではないのだろう?」

フン、と高圧的な視線と言葉を向ければ。
激昂したかのように、化け物と成り果てた幹部だったモノは。
憤怒の形相を浮かべて、此方へ大きく跳躍した。

神代理央 >  
怪物、といっても幹部であった男の姿はシンプルなものだ。
膨れ上がった筋肉。背中から生えた三本目の腕。腹に出来上がった巨大な口。
出来損ないのB級映画のモンスターの様だな、なんて思いつつも――

「……さて。筋肉だけは鍛えられたようだが。
その躰が頑丈に出来ている事を祈るぞ?投薬と魔術で怪物化するというのは、個人的に興味深いからな」

緩く手を振ると、背後の異形達が轟音と共に砲弾を吐き出した。
最初の一発目は、耐えた。二発目も、耐えていた。
三発、四発、五発――

絶え間ない砲声と轟音と硝煙に、怪物の躰は飲み込まれていく。

神代理央 >  
――結論から言えば、男は化け物になるべきではなかった。
その皮膚は鋼鉄の様な硬さも、魔獣の様な強靭さも無く。
唯、大きさに見合っただけの、大型動物程度の硬度しか、持っていなかったのだから。
それでも、魔術によって変化した身体は宿した魔力で砲撃に耐えていたのだが。

「……拍子抜けだな。もう少しデータが欲しかったのだが」

肉片どころか炭化した塵と化した怪物の残骸を目に、小さく溜息。

「……此方ヤークトアイン。増援はいらぬ。つまらぬことに、時間を取られた」

通信機で、隊員達に指示を出せば。
少年の姿は、ゆっくりと闇の中へ消えていくのだろう。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」から神代理央さんが去りました。