2021/02/28 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に角鹿建悟さんが現れました。
角鹿建悟 > 「―――こんな所、か。納得の行く修復具合、とは言い難いが…。」

風紀の摘発か、最近派手にやっている特務広報課達の行為かは分からないが。
瓦礫と化した建物の修復を終えてそれを見上げる。所々に粗があるが…まぁ、こんなものだろう。
――こんな街だ。幾ら直した所で直ぐにまた壊されるだろうし、無意味で酔狂な行為かもしれない。

だが、直す事が自分の唯一の取り柄であり、とある少女との約束もある。
落第街に関する修復・修繕の依頼はほぼ個人で受けている…流石に生活委員の一員として受けるには中々厳しい。
表の依頼なら、それこそ幾らでも生活委員会の一員としてインフラ整備の一環という事で受けられはすれど。

そして、正式に依頼をされたなら表も裏も関係ない。グレーゾーンだろうが真っ黒だろうが。
己が納得して受けた依頼はきっちりと完遂する。だからこうして直している。

「……とはいえ、抑制された状態でも能力制御は大分慣れてはきた、か。」

右手首に嵌められた黒いバンド型の異能抑制装置を緩い無表情で一瞥しつつ呟く。

角鹿建悟 > 能力の抑制措置を受けてから持ち歩くようになった工具箱の扱いも大分手馴れてきた。
いや、元より工具の扱いは出来たが以前はほぼ能力で何とかしていた気がする。

軽く修復した建物の壁をコンコンと拳で叩く。強度、材質、共に問題無し。
まぁ、自分の能力は復元――物体の時間遡行による巻き戻しなので、少なくとも以前と同じ状態には戻せただろう。

(正直な所、以前のように完全に能力が使えたらとは思うが今の俺の精神状態ではな…。)

大分落ち着いたし、何人かの知人友人との対話で彼なりに多少立ち直った。
仕事もこうして再開しているけれど、矢張り完全に戻ったとは言い難い状況だ。

――そもそも、完全に元に戻ったら、また周囲や自分自身を省みない自滅の道しかない訳で。

「……自分自身を見つめ直す……って、難しいんだな。」

ぽつり、と呟いてから軽く頭を掻いた。それを怠っていた自分が何を今更。

角鹿建悟 > 「……しかし……うん…。」

携帯を取り出せば、今後の依頼のリストをざっと確認してみるけれど。
…おかしいな、落第街やスラム方面の依頼の方が多くなっている気がする。
まぁ、別に法外な報酬とか要求するつもりもないし、約束もあるので苦にもならない。

「…一応、生活委員会の末端としてはこれでいいのか?という気にはなるが。」

まぁ、少なくともリハビリにはなっているし、何もしていないと落ち着かないのもある。
ゆっくり考える時間は幾らでもあったのだが、矢張り何もしない、というのはどうにも慣れない。
この辺り、我武者羅に直し続けてきた長年の生活習慣の悪影響だろうな、とは思う。

「…英治にシエル、ひぐれ師匠に華霧先輩、龍の姐さんやシスターは元気にしてるだろうか…。」

夜空を見上げる。一度挫折した直し屋は、まぁ不器用ながらこうして片隅で足掻いている。

角鹿建悟 > あと、まぁ心を一度圧し折ってくれた某先輩は…いや、また圧し折られそうだな。
まぁ、いずれ立ち直れたら改めてもう一度会ってみたいとは思う。

(…まぁ、正直ちょっとトラウマになってるのは否めないが)

一番気付きたくなかった所を見事に抉られたのだからそうもなろう。直し屋だって人間だ。
今、思い返してみると…ああ、よくもまぁ自分は自滅必至の道を進んでいたものだ。

「……いや、まぁまた同じ轍を踏まないという保証もないんだけどな…。」

心境の変化はあったし、自分を省みる事も覚えた。周りの言葉に耳を傾ける事も。
ただ、結局の所、その根っこが変わった訳でもないので自分の事ながら”再発”が少々怖くもある。

角鹿建悟 > さて、依頼はきっちり済ませた。また何処ぞの違反組織だか部活がここを使う事になるんだろう。

「――直しては壊され、壊されては直し、の繰り返しか。」

まぁ、それはとっくに承知している事だ。大事なのは直す事を止めない、諦めない事。
――そして約束を守り通す事。落第街を直す――どんなに気が遠くとも無意味でも。

「…と、格好つけた所で、今の俺の中途半端さじゃ失望されてもおかしくないが。」

夜空から視線を下へと戻す。元よりここいらは人気があまり無い一帯で静かなものだ。
既に仕事は終わったし、何時までもここに居る理由も無いのだが、何となくまだここに留まり続けている。

まぁ、そういう気分みたいなものだ。場所が場所だけに危険なのは勿論承知なのだけど。

角鹿建悟 > 「……流石に長居しすぎか。そろそろ戻ろう。」

気分で暫しこの場に佇んではいたが、何時までもずっとこうしている訳にもいかない。
依頼主への報告をメールで済ませつつ、そのまま踵を返せばゆっくりと歩き出す。

そうして、今日も地道に『直し屋』は己の仕事を終えて帰路へと就くのだろう。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」から角鹿建悟さんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に羅刹さんが現れました。
羅刹 > 「おう、済まなかったな、妙なのの相手させてよ」

奪還作戦後。
蛇はまだ動かせないものの、それで止まる蜥蜴ではなく。
蜂、蜘蛛は未だに動きを止めていない。
ただ、労いは必要だ。

盃ではなく、直接蜂の拠点へ赴き…妙なのに食料を与えるという意味不明な命令を聞いてくれた部下。
何の疑問も無く、緊急時に動いてくれる部下は貴重かつ、頼りになる。
労いとしていい酒を女主人に渡すと、女主人は呆れながらも受け取り。

『また、減った分の食料おねがいねぇ…。あと生理用品も。蟻に頼んでおくから決済してくださいな』

戦場的なドレスを着た…元教師だという女。
何があったのか深くまでは踏み込んでいないが…経営者として優秀なのは確かだ
与えられた資金でやりくりし、こうして借りはしっかり請求してくる。
無欲で従う奴より、こういう相手の方がやりやすい。

「ああ。どうせ薬がまだまだ要るからな。そのついでに入れておく」

しかし、今回はイレギュラーが多かった。
1つ。護送車襲撃後、予想以上に相手の動きが速かったこと。
骸はよく耐えてくれた。
今後は、対応がこれ以上になることも想定して動く必要がある。

骸は無事だし、焔も依存の気は薄まってきているところだ。
様子が少しおかしかったが…少しの間は様子見。何かがあったのか、あるいはSpiderが抜けていないだけなのかが判別できないためだ。

「まだバレちゃいねえようだが、あんまり手を広げるなよ。
大事な資金源だ」

羅刹 > 『はいはい。大丈夫よお。…他はまだしも、ここは…会員制だし』

「その会員から漏れることもあるだろ。とにかく要人しろ。梟は付けておく」

軽口を言い合いながら、羅刹は外に出る。
散らかり、更に淀んだ空気。
膨らんだ風船の中身のように、それは徐々に表に影響を与えるだろう。

だが、爪痕を残すとはそんな程度では足りない。
…阻止されるであろうとはいえ…男の目的は『合一』

善悪などという意識の壁を取り払い、落第街と表側を溶け合わせること。
それが成ってこそ、復讐となる。
あの時、羅刹から全てを奪っていった表側への。


「―――――…」

懐から煙草を取りだし、一つ紫煙をくゆらせながら歩く。
今日も、落第街の空は狭い。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」から羅刹さんが去りました。