2021/03/10 のログ
ご案内:「違反組織群」に【虚無】さんが現れました。
【虚無】 >  
 売れると思ったか、もしくは保身の為か。その組織には莫大な数の食料や医薬品が運び込まれていた。
 だが、それらを管理していたはずの組織は残す所一人しかいない。 
 
「よくもまぁ、これだけ集めた物だな」

 書類をパシンと叩いて足元の男―ここのアジトの最後の一人―を見下ろす。
 その男は怪我があるわけではないがすでに戦意喪失しているといった様相。それもそのはず。

「次はどうする。また能力者をぶつけるか……?」

 ここの最高戦力は5秒持たず。というより能力をそのまま跳ね返されて逆に蒸発してしまった。
 他のメンバーもそうだ。銃弾を放ては弾き返され接近戦では肉弾戦で全て封じ込められる。
 
「さっさと答えた方が良い……俺も拷問は趣味じゃない。この書類に記載された物で全てだな?」

 表情など変わらない。ガクガクと震える男。その通りだと答えると命乞いの言葉を口にしようとした所で。

「ああ、助かった」

 指をはじく。ただそれだけ。だが自身の能力は範囲を小さくすれば小さくするほど拒絶する力が上がる。即ち指先に込めたそれの破壊力は甚大で。

「せめての情けだ、痛み無く逝け」

 大気をはじき出した弾丸はその男に命中。人という重いはずの物質は紙くずのようにあっさりと吹き飛び壁にぶつかるとその動きを止めた。

ご案内:「違反組織群」にマディファ=オルナさんが現れました。
ご案内:「違反組織群」からマディファ=オルナさんが去りました。
ご案内:「違反組織群」にマディファ=オルナさんが現れました。
【虚無】 >  
「……これで多少は流通もマシになるか」

 簡単に言ってしまえば風紀が絞ってしまった川の水。その途中に不当に建設されたダムの一つを破壊したような物。
 これで少しはスラムなどへの流通も増えるだろう。ここにあった荷物は……適当にスラムなどにバラまけば後は勝手に向こうが処理してくれるだろう。

「他にもいくつかあるんだろうが……はぁ」

 思わず漏れる溜息。実際こんな組織ひとつやふたつではないはずだ。全部は無理でも大きな所は破壊しないと街の秩序も何もないわけで。

マディファ=オルナ > メンテナンスが終わり、慣らし運転がてら違反部活をいくらか潰しておこうかとやってきたマディファ。
しかし、其処はタイミング悪く先客が壊滅させたところのようだ。

「……む、先客か。
 風紀……ではあるまいな」

センサーへの阻害がひどい。
彼が何らかの異能か機械を使ってセンサーを阻害していることは間違いないだろう。
とはいえ違反組織をこうやって潰している以上、先に二度戦い、二度とも出し抜かれたあの男の仲間とは考えにくい。

(……まあ、鉄壁の防御力じゃ。
 敵ならば明白に敵対してから反撃すればよかろう)

「のう、其処のお主。
 お主は風紀の敵か味方か、どちらじゃ?」

【虚無】 >  
「さぁどちらだろうな」

 聞こえた声に対してこちらもまた全くの無防備を見せる。
 対するこちらとて鉄壁。正面から打ち合うのであれば防げない道理などない。

「もし風紀がこの街を不当に破壊するのならば俺は敵だ、逆に不当に乱す組織をつぶすなら味方だ……ここがまさに証拠だろう」

 と先ほど紙屑のように吹き飛ばした男を顎で指す。
 間違いなく本来であれば風紀が潰すべき存在。違法組織の男だ。もしデータベースなどを見たことがあるのなら犯罪者として顔写真位は見たことがあるかもしれない。

「さて、それを踏まえた上で答えてもらう……敵か?」

 相手の質問を更に省略した質問。敵か違うか。味方だとは答えないだろうことはわかっているからこそのこの質問であった。

マディファ=オルナ > 「ならば敵ではないな。
 儂は違反部活を殲滅しに来ただけじゃ」

顎で指された男を見る。
潰そうと思っていた違反部活の男だ。
風紀委員ではないが、許可を得てデータベースを閲覧している。

「ではお主を信頼してこちらの身の上を明かそう。
 儂はマディファ=オルナ。
 今は特務広報部に雇われておる傭兵じゃよ。
 ……えーと、なんと呼べばよいかの、お主」

十中八九敵ではない。
マディファに無闇に落第街を壊す気はない。
流石に戦闘の余波まではどうしようもないが。
そのうえで、相手は自分の正体を明かしたくないことも察して名前ではなく呼び名を尋ねる。

【虚無】 >  
「そうか、ならこちらからも攻撃する理由はない……元々風紀とやりあうのは俺からしても不本意だ」

 風紀とやりあうのは場合によっては必要だが、基本一切得がないのだ。だから引いてくれたのにこちらから攻撃をする理由などどこにもない。
 何と呼べば良いと言われれば少し考えてから。

「そのままお主で構わない。それとお前もこの街で不用意に名乗らない方が良い。どんな悪用をされるか分かったものじゃないぞ。広報部なら猶更だ」

 余計な敵を招きかねない。だが、彼女の場合むしろそれはそれでと思っているのかもしれないが。
 それにしても相手も広報課。そうとわかれば聞いておかなければならない事がある。

「傭兵に聞いても無駄かもしれないが……広報課の者なら尋ねたい事がある。広報課として今のこの方針……物資の締め上げ。これの理由はなんだ? 違反組織への攻撃だろうとは思っているが。こんなことをしたところで真っ先に被害が集まるのはスラムで、むしろ大きな違反組織は肥える場合もあるとわからないほど愚かな組織ではないと思っていたが?」

 と先ほど読んでいた書類を投げ渡す。
 そこには食料品や医薬品。それらを買い占め更に高額で売買していた証拠が残っている。
 そしてそれもひとつやふたつではない。いくつもの組織がだ。

マディファ=オルナ > 「確かにの、誰が聞いておるかも分からぬし。
 恨みつらみを押し付けられることもあるか」

相手の言葉には納得。
だがまあ、信頼した相手に名乗るのは癖のようなものだ。

「じゃが、二人称だけでは不都合あるんじゃが……まあよいわ。
 して、物資の締め上げの目的かや。
 そこら辺は確認しておらんかったが、それでも違反部活よりも無関係な民に影響が及ぶのは想像しておったようじゃ。
 だもんで、その理由は違反部活の締め上げ、というよりは外側じゃろうな」

投げ渡された書類を取り、眺める。

「……人の子は、どの世でも愚かなことをするものじゃな。
 己さえ良ければ、と規範を破ろうとする。
 嘆かわしいことじゃ」

【虚無】 >  
「ハッ、風紀が見てもいないのに風紀の味方をするか。洗脳でもされたのか? ……この組織がここまで大きくなったのは風紀委員が原因だ」

 人の子はとこの組織を悪と断ずるような言い分に対して少しの怒りを混ぜそう切り返す。実際風紀が締め上げなどしなければここまで大きくもならず、ここの物資があれば多くの人がすくえただろう。

「想像していたか……少し広報課を買いかぶっていたか」

 想像していてそれかと言わんばかりに溜息を吐き出して。
 それから相手を見据える。

「……傭兵ということはいくつもの戦場を歩いてきたと解釈する。その上で聞く」

 と崩れた家具の上に腰を下ろす。
 その目はまるで何かを試すような目をしている。

「お前が鉄火の支配者の立場なら……どんな方法で違反組織を攻撃する?」

 実際自分の中で風紀が取った方が良いであろう正解は思いついている。だがそれを外部、しかも違反組織側である自分が言ったところで説得力などない。だからそれを相手に見つけてもらおうとしていた。

マディファ=オルナ > 「そのつもりはなかった……とはいえ雇い主じゃし、無意識にかばっておるのやもな。
 ま、検問が問題の根底にあるのは間違いなかろう」

常世学園に入学したときに、この落第街の有り様は聞いている。
存在していないことになっている区域。
大手を振ってこの島に住めない者たちが住み着く区域。
其処に物資を運ぶには、まともじゃないやり方をせざるを得ないことは想像に難くない。
慈善事業としても限度がある。

「儂が理央殿の立場なら。
 んー……」

多分これは試されてる。
だが、マディファには良い答えが思いつかない。
内心冷や汗まみれである。

「……そもそも儂は外様じゃ。
 正式な部員でも委員でもない。
 其上で、風紀委員として一番手っ取り早いのは……丸ごと潰すことじゃろうな。
 無論、人道的に大問題……罪なき人の子を巻き込む時点で、最終手段。
 況してお主が聞きたいのはこういう、住民を見殺す術ではなかろうな」

明白に彼は落第街の一般住民の味方の立場だろうことは想像に難くない。
これを結論にすれば間違いなく敵対は不可避だろう。

【虚無】 >  
「律儀な傭兵だ……きっと、優秀なんだろうな。戦わなくて正解だ」

 この場でも無意識的にかばえるというのはそれだけしっかりと忠義を持った傭兵ということ。それは金だけで動くような、つまりは雑な傭兵ではないということ。
 戦わなくて正解だったというのはある意味賞賛であった。

「ああ、よくわかっているな。その通りだ、俺が聞きたいのはそういう手じゃない。……人をほぼ殺す事なく、違反組織の戦力を削り広報課の戦力を上げられる。そんな方法だ」

 もちろんこれは机上の空論でしかない。
 その辺に転がっている死体を見る。

「こいつらに風紀委員が取って代わればいい……ただ締め上げるわけじゃない。違反組織には流さずスラムや街には普通に流す。そうすればスラムや街の住人からすれば風紀のイメージは上がり違反組織は乱暴者というイメージだけになる」

 そうして目線を相手に移す。

「結局違反組織とて人的資源が無限にあるわけじゃない。そしてその仕入れ先は……住人。特にスラム街だ。今の方針では物資を求めて違反組織にスラムから人が流入し金も人的資源も全てを違反組織が手にする状態……風紀としてもそれは良い状態とは言えないはずだが?」

 そしてそれはこちらとしても不味いなんてものではない。スラムがそのまま違反組織になるなど秩序を守るという所ではない。
 そして仮にここに風紀が取って代わった所で違反組織は別口で物資を入手してくるだろう。つまりこの方針を話しても全く困らない。
 まぁこっちがそれをいって信じてもらえるかは別だが。