2021/03/11 のログ
■マディファ=オルナ > 「傭兵は信用仕事じゃしな。
目の前の金に目を眩ませればすぐに干されるしの」
自分で仕事を探さなければならない以上、その仕事を齎してくれるのは信用だ。
信じられない相手に重要な仕事を任せられはしないのだから。
「ふむ、理に適っておる。
住民の味方であれば違反部活の情報も入りやすくもなる。
問題は、風紀の手が足りぬところか。
先の大きな戦いで、儂らは人手不足を痛感したからのう……まあ、其処は儂が頭を悩ませることではないか」
だが、それよりも何よりも。
落第街は、「公的に存在しない」のが問題ではないだろうか。
果たして、組織の上層はそんなところに物資を供給する許可を出すのか。
まあ、それもマディファが考えることではない。
「これについては献策してみるとしよう」
実際のところ、マディファは彼を正しく認識できていない。
だから彼が単なる一般住民ではないことだけは分かる。
だが、その上で他の一般住民を守ろうとしている以上……仮に違反部活生だからといって。
取り締まる権限を持たないマディファには関係のないことである。
■【虚無】 >
「ああ、だが傭兵というのはそういうのも大勢いる。あまり本人を前にいうのもなんだが……盗賊を少しマシにした程度の存在。そんなのもゴロゴロいる世界だ」
実際略奪だとかといった事を行う傭兵の話はよく聞くし難癖をつけて報酬を上げようとしたり裏切ったり。そんな話に事欠かない。
「ああ、ぜひ進言してくれ……とはいってもこれとて確実に成功する補償なんてものはない。それこそ今お前が言ったみたいに手その物の問題もあるし。そのスラムから違反組織に物資が流れる事もあるだろうし、そもそもスラム側もスラム側で両方から物資を貰おうとするなんて事もある……」
それは実際にあるだろう。というより可能性としては非常に高い。
だから成功する補償などないしむしろ低いとまで言える。
しかし
「まぁ、だがそのアイデアを出すにせよ出さないにせよ……このまま締め上げは早めに解除した方が良い。違反組織もどんどんと大きくなるしなにより」
と目の色が変化する。
今までの対話の空気ではない。まさしく明確な戦意を込めた目線。
「……風紀とて、野良犬にかみ殺されたくはないだろう。さっき伝えた通り俺は今は敵じゃない。だがこれ以上締め上げを続けたり強化しこの街の秩序を乱すなら。俺は風紀を再度敵としてみなす」
あえて自身が広報課、そのトップとの間でだけ通じるコードである野良犬を混ぜそう傭兵に告げる。
彼女に戦意があるわけではない。彼女には空気を含め伝えてほしかった。これは警告ではないと。
「俺はそろそろ帰らせてもらう……ここの物資。スラムに流させてもらう。報告したければ好きにしろ。野良犬が漁っていたとな」
と言うと家具から立ち上がり部屋を後にする。
そうして外からは金属音のような音が響いたことだろう。もし追いかけるのであれば……はるか上空。飛行機雲のように雲を切り裂いた後だけが残っていた。
■マディファ=オルナ > 「確かにの。
こちらで戦った男が居るが、金ですぐ転ぶ傭兵が基準だったようじゃし」
そうでなくとも、敵地で略奪する兵というのはよくあること。
そして元の世界の冒険者生活でも、似たような話は見聞きしてきた。
「あり得るのう。
平和な表でも転売屋なるものが幅を利かせ、恨まれてるともよく聞くしのう。
じゃが、締め上げは果たして理央殿が止めるかどうか」
空気と、こちらを見る目線の質が変わったことを察する。
警告……いや。
「うむ、その覚悟も含めて伝えておこう。
どうにも、お主は敵に回すと厄介そうじゃ。
物資については構わぬよ、好きにしておくれ……摘発ではなく殲滅にきたわけじゃしの」
そうして、彼を見送る。
部屋から出た彼が、何らかの方法で飛んでいったのだろうことは、センサーが拾っていた。
「……割りを食うのは無辜の民。
やるせないのう」
そう言い残して、次の違反部活の殲滅に向けて部屋を出る。
このことは後に神代理央に報告を上げるのだが、それはまた別の話。
ご案内:「違反組織群」から【虚無】さんが去りました。
ご案内:「違反組織群」からマディファ=オルナさんが去りました。