2021/10/26 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」にエボルバーさんが現れました。
■エボルバー > 銃声が響く。サイレンのような警報が鳴り響く。
月を隠す雲から小雨が降りしきる夜、
その舞台は落第街でも有名な違反部活が所有する所謂アジト。
様々な犯罪行動の拠点が何者かに襲撃されているようであった。
一人、また一人と構成員が空へと打ち上げられる。
鋼鉄で補強されている豪勢な拠点は不気味な漆黒の砂漠に支配され
そこから延びる幾つもの触手と砂上に支配者の如く歩みを進める一人の男。
黒いスーツを身に纏い蒼白な顔色の男は
虚ろな翡翠の瞳で攻撃してくる違反部活生を品定めするように見渡す。
<既に学習した攻撃だ。>
取り囲んで短機関銃を連射する構成員達、
拳銃弾の集中豪雨が佇む男へと襲い掛かる。
しかし、拳銃弾が男に風穴を開けることは無かった。
男の右腕が盾の様な形状に変化しており
向かってくる弾丸を火花を散らしながら弾く。
<君達も学ぶべきだ。>
構成員達の足元にまで及んでいる黒い砂から
目に留まらぬ速度で伸びてくる無機的な触手。
反応する間もなく薙ぎ払われ
床に転がり、壁に打ち飛ばされる。
放たれる銃弾の数が減ってゆく。
■エボルバー > 短機関銃を構える構成員達が突如その射撃を止めた、
奥へと退避する者も居ればその場で隠れる者も居る。
大きな鋼鉄のシャッター奥から何かが迫ってくる気配。
<興味深い。>
次の瞬間にシャッターを破って突っ込むように出現したのは
術式が印字された堅牢な装甲を纏う四輪駆動の車両、
人呼んで”魔導装甲車”。
V8エンジンを唸らし、巨大な車輪で黒い砂を巻き込みながら
砂上で佇む男へとまっすぐ突っ込んでくる。
合金で構成される車体と時速100キロ手前のスピードは
轢いた男の身体を無残に引き裂き
黒粉をまき散らしながら四肢を辺りに散乱させた。
男を引き潰した後に魔導装甲車は急ブレーキをかけて停止する。
■エボルバー > つい先程まで転がっていた筈の男の残骸が姿を消す。
黒い砂漠がやや波打つ。
<見た事のない兵器だ。
これは新しい経験に繋がるかもしれない。>
少し離れた場所に立っていたのは先程轢かれたはずのスーツ男。
傷や汚れさえも見当たらない姿で佇み、魔導装甲車をじっと見つめる。
男と相対する装甲車の上部には、何やら駆動し始める無人の砲塔。
アンテナのように先端が尖っているその奇妙な砲身に
空気中のマナが集合し始める。マナは魔術師が魔法を行使するためのリソースの一つだ。
つまり、装甲車自体が強力な魔術師と言い換えられる。
<なるほどこれは、前例がない。>
マナ凝集砲から圧縮された魔術的エネルギーが発射される。
空気を焼きながら並みの魔術師では実現できない威力の弾が
再構成された男へと飛んで行く。
■エボルバー > 飛翔するマナ弾を変化させた右腕の盾で受ける男、
しかし、銃弾を受ける事とは訳が違う。
<やはり、物理的な物とは性質が異なるようだ。>
魔術エネルギーは銃弾を防ぐ男の盾を容易く破り
男の身体を溶かしながら空中で炸裂する。
激しい熱が地面に広がる黒い砂をも焼き付ける。
<まだまだ、僕には経験が必要だ。>
だが依然として変わらない。魔法で溶かした筈の男は
またもや、漆黒の砂上に立つ。
貫いても潰しても焼いても何事もなかったように
出現しその場に佇む男は普通の人間の目には
怪異として映る他ない。
■エボルバー > 奇妙な怪異を前に装甲車が動きを見せる、
魔導装甲車の砲塔付近が青白く輝き始める。
その光は魔術エネルギーが電気エネルギーに変化した証、
電子妨害を目論む強力な電磁パルスが周辺へ撒き散らされる。
目の前の怪異が魔法や呪いといった超自然的なものでは無く、
人間の良く知る科学の産物だったとしたら?
<あああ。>
黒い砂漠が異常なほどに脈動を始める。
>Error
発生した電磁波に呼応するように、暴れる様に。
>Error
>Error
砂を踏みつける魔導装甲車をも激しく揺らしてゆく。
先程から攻撃を受けても何事も無く復活していた男にも異変が訪れる。
<ばばば。>
>Error
関節が異様な方向に曲がる。声とも思えない奇妙なノイズを口走る。
>Error
二足で立ちながらのたうち回るように。
>Error
>Error
生える触手が暴走するように鋼鉄の壁を貫き
数十トンのコンテナを薙ぎ払い吹き飛ばす。
■エボルバー > <..........。>
項垂れる男の虚ろで鋭い瞳が装甲車を捉える。
>Eliminate threats
漆黒の砂漠から無数の触手が一斉に生成され
おぞましい速度のソレは一瞬で装甲車を掴んで空中へと持ち上げる。
時を経たずして軋むような音。今までにないほどの力で触手が
装甲車を締め付ける。魔術合金でできているはずの車体が潰れてゆく。
やがて絞られた雑巾のように装甲車は形すら失ってひしゃげ
歪んで耐えきれなくなった部品が破裂するように撒き散らされる。
<............。>
>Reproduction
黒い砂が暴れる様に広がってゆく。
拠点の壁や構造物に覆い被されば侵食してどんどん削ってゆく。
何かを焦がすような音と共に、
有機物と無機物の区別なく変色させては構成要素として変換してゆく。
<課題だ、乗り越えるべき課題だ。>
先程まで異常音を発していた男が顔を上げる。
暴走していた砂群が静寂を取り戻す。
その時には鋼鉄で護られたアジトはほぼ全て喰いつくされ
僅かな基礎と喰い残しのみが残る土地となっていた。
降りしきる小雨のみが音を立てる。
やがて不気味な残骸だけを残し黒い怪異は忽然と姿を消していた。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」からエボルバーさんが去りました。