2019/02/04 のログ
ご案内:「路地裏」に東郷月新さんが現れました。
東郷月新 > 落第街の路地裏。学生たちの住む地区から離れた、学園の深部
少女はわざわざ落第街に来たかったわけではない。学園から落第街へと迷い込んでしまい……そして、柄の悪い連中に絡まれ、間の悪い事に奥へ奥へと迷いこんでしまった、哀れな迷子。

しかし、この男にはそんな事は関係なかった。
憐れな一般生徒の目の前で、刀を抜く男――東郷月新は、少女を見てゆっくりとため息を吐く。

「いけませんなぁ――こんな場所で、そんな無防備な姿を晒しては」

東郷が少女を狙った理由はただひとつ。

『うなじが斬りたいくらい美しかったから』

この男にとって、人を斬る理由などそれで充分だった。

ご案内:「路地裏」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
「ふぅ……これで一先ず大丈夫かな…」

そこに来ていたのは、たまたま
歓楽街でひったくりがあって、その場で盗品を取り返したはいいものの犯人は逃走
丁度その場にいた他の風紀委員と協力して、足の早い自分は逃走した犯人を追いかけ、此処落第街へ

そんなこんなで今凛霞がいるところは廃ビルの屋上である
よくこんなところまで逃げたものだと関心するけれど、彼らとてお縄になりたくはない
とりあえず無力化、拘束して、もうひとりの風紀委員へと連絡を取り、身柄の回収に来てもらおう

「あ、凛霞です。えっと、ひったくり犯は掴まえて、拘束してます。
 うん…二級学生でした。それで、えっと場所は───」

歓楽街から来るとどのへんかな、と目印になりそうなものを探しに、ビルの縁から下を覗き込む
地上の何か、目印になるものは──と探すが、それとは別のものが目に留まってしまう

「──…あれは…」

『どうしました?』

電話の向こう側…相手の風紀委員が不思議そうな声をあげる

「ごめんっ、かけ直す!」

言うが早いか携帯をポケットへとねじ込み、その場からビルを飛び降りる
まるで壁面をスライドするように落下した先───

落第街の人斬り、東郷月新とその獲物となる少女の間へ
土煙を上げながら、されと轟音は鳴らず。影が滑り込むようにして、舞い降りた

東郷月新 > ゆっくりと刀を振り下ろそうとした刹那。
東郷は一気に後方へ飛び、間合いを取る。
次の瞬間降り立った影を見て、ほぅ、と感嘆の息を漏らし。

「――これはこれは」

さて、どこかで会った事があっただろうか。
知っているようにも思えるし、初めて会ったようにも見える。
が、どのみち関係あるまい――こんな獲物を前にして、我慢など出来るわけがない。

「――スズメを斬ろうと思ったら、鷹が舞い降りてくるとは」

いやはや、などと言いながらも刀を構える。
逃げようとか、仲間が居るかも、などとは考えない。
ここは落第街。彼のテリトリー。彼にとってみれば、美しい獲物の二匹目がかかったに過ぎない――少々、じゃじゃ馬のようだが。

伊都波 凛霞 >  
はぁっ…と溜息を吐く
咄嗟に飛び込んでしまったけれど、これこそ本来は応援を待つべきことだ
…待っている間に、犠牲者が出てしまうかもしれないけれど、
それでも風紀委員として本当に冷静に判断するのなら、そうすべきだった
まあ、この少女に関してそれができる冷徹な判断は、下せるわけはない

落下運動に追随し流れるように揺らぐ長い髪を棚引かせ、立ち上がり正面を見据えた
視力には自信がある、ビルの上からでも見間違う筈はなかったけれど、改めてその顔を見れば

「雀じゃない、貴方が斬ろうとしていたのは一人の人間です。
 目にした以上は、見過ごせませんよ」

言いながら僅かにその視線を背なへと向けて、ビルの中に逃げて、と呟く
この廃ビルの中身はひったくり犯の追跡宙にチェックが完了している
おそらく迷い込んだであろう少女、更に落第街を迷わせるよりは、安全な場所に隠れているほうが良い

「逃げないんですか?あの時とは少しわけが違いますけど」

そう、この男とこうやって向かい合うのは初めてではない
あの時と変わっていること…それは自分が風紀委員の腕章をつけているということだ

東郷月新 > やはり、かつて自分が敗れた少女だったか。
だが――あの時とは、まるで別人だ。
あの時の少女は、まるで運命すべてをつかさどり、こちらをねじ伏せるが如き威圧感と圧倒的な力を持つ者の眼光を持っていたはず。
だが、今の少女は――

「――さて。かつては悪鬼とも見えたものですが、今は鳥が囀っているようにしか聞こえませんなぁ」

くつくつと笑いながら馬鹿にした事を言い、同時に地を蹴る。
風紀委員の腕章をしているという事は、ほどなく応援が来る事だろう。
腕に自信があるとはいえ、一対多数はなるべく避けたい所。ならば、一気に決着をつけた方が良い。

「――――ッ!」

大ぶりの冗談と、素早く振りぬく胴薙ぎ。二刀を使い、相手の動きを制限しながら放つ一撃。
とはいえ、本質は技ではない。東郷の武器は圧倒的な『力』。防御を上からたたき割るが如き一撃を繰り出し。

伊都波 凛霞 >  
「悪鬼だなんて、女の子にはもうちょっと気の利いた──」

軽口でも返してあげようと思ったが、そうもいかなかった

「(──いきなり?もうっ…!)」

油断していたわけではないが、それでもコンマ1ミリ、反応が遅れる
縦と横、同時に振るわれる剣閃を回避するには、後ろに下がるのが常套
──が、自分の後ろにはまだ少女がいる
ならば後ろには下がれない、回避不可? 否、縦の動きと横の動きを抑制されているだけに過ぎない、つまりは…

「(──前っ!!)」

ミドルレンジ…ショートレンジ、よりももっと前、クロスレンジ──零距離へ
跳ね馬の如き瞬発力を発揮し、剣閃が降りかかるよりも内側へ侵入する、所謂、入身

それが叶ったならば、速度と体重を乗せた肘をその水月に叩き込まんとする

東郷月新 > かわさず、こちらの懐に入ってくる少女。
――どうやら、後ろの女学生を庇ったらしい。なるほど、『らしい』と言うべきだろう。
一瞬不意をつかれ水月に衝撃を受けるが――悲しいかな、少女の体重は軽く、致命的な一撃とはならない。
そして、零距離では東郷に有利な点が一つある。彼の苦手なものは、飛び回り機動力で攪乱される事――零距離での取っ組み合い、いわゆる組打ちならば、その心配がないという事だ。

「女の細身で、その選択はいかがなものかなぁ!」

すぐさま刀を両手から手放す。零距離ならば、長い得物は逆に取り回しがきかない。水月への一撃は少々ダメージが残っているが、それでもこちらの方が有利だと判断し。
素手で少女の体を掴み、引っ張り、殴り、組み合おうとする。
力の勝負ならば、怪力の自分に有利だと判断して。まずは押し倒し、腹に一撃食らわせようとして

伊都波 凛霞 >  
「っ──!?」

飛ばない
十分に体重は乗せた筈だったのに、それどころか…

「(刀を、捨てた…!?)」

まさか、人斬りが刀を捨てるというのは完全に想像の粋を超えていた
素手での組打ち、それは凛霞自信が修める古流武術の本懐でもあるところ
しかしその僅かな心の動揺は、ほんの少しだけ、身体の反応を鈍らせる

「あ、うッ!」

腕力の差で組み伏せられ、押し倒される
背を強く打ち付け、一瞬呼吸ができなくなる、そこへ、拳が叩き込まれた

「か、はっ──…」

表情を苦悶に歪ませる
肺の中に残った空気が押し出され、びりびりと四肢が痺れるような感覚を覚える

「(…あ、もしかしてこれ…危ない…?)」

立ち上る危機感が、思考能力・判断力を正常へと戻してゆく

キッと眼光が戻り、するりとその袖口から鈍色の筒が抜け落ちるようにして滑り出し、男と自分の丁度間へと放られる
それが何か気づけるか、否か
凛霞はとっさに目を瞑り、両耳を塞ぐ──
気づいた次の瞬間には轟音と共に激しい閃光が両者の間で炸裂するだろう
フラッシュバン、閃光発音筒とも呼ばれる──スタングレネードだ

東郷月新 > 「――へ?」

組打ちで上を取り、完全に勝ったと思った刹那。
いきなり出てくる物に目を丸くする。
凛とした武術と剣術を使う少女が――スタングレネード?

「のわぁぁぁぁ!!!」

慌てて目を瞑りながらごろごろと転がり距離を取る。
いや、スタングレネードはないだろう。東郷も大概手段を選ばぬ男ではあるが、まさか武術家同士の立ち合いで、女子高生古武術家がスタングレネードなんて持ち出すなんて、想像すらできなかった。

「と、とんでもない物を持ち出しますなぁ!?」

慌てて立ち上がりながら呟く。
不幸中の幸いだったのは、転がった場所が刀を捨てた位置だった事か。
慌てて刀を握り、立ち上がるが、攻勢にはとても出られず

伊都波 凛霞 >  
「けほっ、ごほっ!」

押し倒されていた状態から開放され、慌てて呼吸を整えるべく距離を取る
閃光は問題なし、耳は…多少鳴っているが使える
視界の中では…さすがというべきか、一般人なら動けなくなるところを普通に動いている
さすがに即座に反撃、とまではいかなさそうではあったが……おかげで、こちらも準備ができる

「いたた…、格好つけずに最初から準備しとくんだった…」

ひゅぱっ
ばしんっ

轟音の反響収まらぬ路地裏で、風を切る音が鳴り響く

「緊急回避用にはいい玩具でしょ、特に人間相手には」

慌てて刀を手に取る男の視線の先
どこから取り出したやら長得物、一振りの薙刀を手に佇む凛霞の姿

「退くつもりがないならもっと色々味わってもらうことになるんですけ…どっ!!」

薙刀を片手に、逆手を振りかざせば数本の苦無が飛翔する
その苦無もまた火薬が仕込まれた危険物だ

東郷月新 > 「普通の人間だったら失明してますなぁ、いやはや――」

古武術とはなんだったのか。
とりあえず、刀で豪風を巻き起こし、苦無を弾き飛ばす――と同時に、爆発するそれら。なんだこれは、古武術の古って字の意味を分かっているのか。

「なんでもありですな、本当!?」

呆れたように言いながらも、なんとか態勢を立て直す事は出来た。
しかし、なんでもありならばこちらの十八番。ましてやここは落第街、東郷のテリトリーだ。
手近な物――まずは、あれでいいか。

「とはいえ――」

狙うのは、彼女の横にある給水塔。刀を一閃させ、その給水塔を彼女に向けて倒れさせるように切り倒す。
この手は、前の立ち合いで使ったのと同じものだ。落第街の地形そのものを利用し攻撃手段とする手。前回と違うのは――

「――こちらも手段を選ぶと思っては困りますなぁ」

その給水塔の倒れる先に。
腰を抜かし怯える女生徒が取り残されている事。

ご案内:「路地裏」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 > 「お姉ちゃん!!」

見ていた。ずっと、見ていた。
風紀委員の人から、聞いた。電話を、自分も聞いていた。
だから、走った。走った。
報告中に――そんなふうに慌てるなんて――
絶対何かあったはずだと。姉なら、風紀委員としてのことをするはずだと
優先するなにかがあったのだと、そう、信じた

だから――ひたすらに走った。走って、転んで――
足を擦りむいて、途中誰かに話しかけられても、見向きもせず。
ただ、ひたすらに走った――

だから。間に合う。そう、釣り合いを、今ここで――

「負けるなっ」

否――とらせない。一方的な押しつけ、重荷を、押し付ける
見てる、じっと。見てる。自分が、妹が――

あぁ――なんて身勝手な視線、期待――

でも――”自分”が来たから負けるなど――そんな”釣り合い取らせてたまるか”と

自分がきたから、勝ったのだと、言わせてみせる

だから――

「来たよっ、だからっ」

勝ってと、祈るような――叫びとともに。給水塔の下の少女に飛び込んで

伊都波 凛霞 >  
そう、なんでもありだ
いざ尋常に勝負…なんて生温い流派ではない
戦いになる前に殺す、仕合う前に無力化する
勝利ではなく、制圧を前提に古くは戦国時代から組み上げられた戦闘術だ
故に古流、時代は変われとその宗は変わらず───

「手段を選んで負けたらそれで終わり、つまりは死、でしょ!」

何を言われようが気にすることはない
この距離から攻撃しているうちには相手の得物では何もできないのだ

しかし…そこで妙な行動をとる

「(…? 何処を狙って──)」

甲高い金属音と共に、給水塔が切断され倒れかかる。その先には、まだ逃げ遅れていた少女の姿
しまった──と思うと同時、聞き慣れた声

「っ悠薇…!? ───…その子任せるっ!!」

突然現れた、我が妹。それに驚きはしない
いつだって隣に、と、そう言っていたのだから
危ない、かもしれない…けれど今は、妹を信じるのだ

「──ふっ!!」

再び薙刀を振り翳す、石突きからしなり飛ぶ細鎖
それは東郷月新の周囲を囲むように、逃げ場をなくすように投射される

東郷月新 > 「なぁっ!?」

ここで新手!?
いやいや、手段を選ばないどころか、こちらの埒外の事ばかり起こるとは! しかも、相手は振り返りもせず、連携するようにこちらに攻撃を仕掛けてくる――まさか、逆に奇襲を受ける形になるとは!
そしてよりにもよって飛んでくるのは鎖分銅。捕縛の為の道具――これはまずい!

「えぇい、なんという豪運! 小生が二度までも敗北するとは!」

きっちりと敗北宣言をしてから、鎖を巻き付けたまま、手近な水路に飛び込む――ヘドロと堆積した泥だらけの水に飛び込むのなぞできれば後免だが、そうも言ってられない。深追いして来ない可能性にかけるしかない!

「おのれぇぇぇ!!!」

悔しそうな負け惜しみの声を上げながら、人斬りはボチャン、という重い音とともにヘドロの中へと消える

伊都波 凛霞 >  
「武術家同士の勝負がしたければ別の人とどうぞ…って、あっ!」

なんという引き際の良さ
不利と見るや即座に撤退、腕の立つ剣術家にはそう出来ない芸当である
詰めが甘すぎたと見るか、退かせたのだからこれで良しと見るか……
伊都波の流儀としては、失格だろう
けれど風紀委員としては…まぁ、及第点だろうか

にしてもまさかあんな汚いヘドロだらけの水路に飛び込むとは…病気とか怖くないのだろうか
二つ折りの薙刀をパチンとたたみ、ふぅ…と深く一息をつけば…

「……悠薇っ」

倒れ崩れた給水塔へと、走ってゆく

伊都波 悠薇 > 「……あいたたた……」

給水塔。足をくじいたのと――あと、気を失っている女性とが腕の中

「――こ、こわかったぁ……」

全力で息を吐いた

東郷月新 > 後日、ヘドロまみれの東郷がくしゃみをしながら売春宿へと赴き顰蹙を買ったが。
それはまた別の話である。

ご案内:「路地裏」から東郷月新さんが去りました。
伊都波 凛霞 >  
………無事な妹と、女生徒の姿を見て、へなりと座り込む
実のところ、かなり心配だったのは間違いない……
最悪の事態だって、十分にあり得たのだから

「無茶するんだから…でも……よく来てくれたね、ありがとう、悠薇。助かっちゃった」

とはいえ、自分も無傷というわけではない
伏せられた時に擦りむいた傷や、殴られたお腹も正直まだ痛む

伊都波 悠薇 >  
「えへへ……お姉ちゃんがいるから、これないっていうのは――もう、なくなったからね」

そういうモノは、もう、ない

「助かったのは私の方――さ、お姉ちゃん。帰ろう」

――と口にするけれど。立とうと、するけれど

「――ありゃ?」

腰が抜けて、立ち上がれない

伊都波 凛霞 >  
「……腰、抜けちゃった?」

無理したんだなあ、と内心思いながら、手を差し伸べて

「大丈夫、悠薇がここに来たってことは…」

やがて応援の風紀委員達が到着して、気を失っている女生徒と、ビルの上でのびている窃盗犯を確保
二人は応援の乗ってきた車に乗って…一応、ということで病院で診察なぞを受けたりして

そんなこんなで、ちょっとした一騒動は幕を閉じたのでした

伊都波 悠薇 > 「……うん」

手をに握った後、そっと身体を預けて――

一緒に帰っていきました

ご案内:「路地裏」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「路地裏」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「路地裏」に織機雪兎さんが現れました。
織機雪兎 >  
(殺人鬼が脱獄したとの知らせを受け、落第街の巡回が強化された。
 パンデミックとか言うのも未だ動きが活発だし。
 とにかくそれで落第街の巡回要員に颯爽と手を挙げたわけだ。
 理由はかっこいいところを女の子に見せてモテるため。)

せせせせんぱぁ~い……?
風紀委員が迷子だなんて、シャレになってないんじゃないかなぁ~……?

(迷子になっているのは自分だし、シャレになってないのも自分である。
 落第街に初めて入った自分を含む新人数人と先輩とで落第街の大通りを歩いていたはずが、気が付けば一人で路地裏をうろうろしていた。
 途中で怪しいおくすりの取引現場を目撃したり、ゾンビの群を見付けたり、赤に沈む動かない人の姿を見たような気をしたりしたが、奇跡的にすべて見付からずにやり過ごせた。
 そうして迷いに迷って――ここはどこだ。)

ふ、風紀委員ともあろうものが、新人連れて迷子って、だだだだめだよぉ……。
ぼ、僕が探して、み、見付けないと――っひぃ!?

(突然響くガランガランと言う大きな音。
 悲鳴を上げてそちらに懐中電灯の光を向ければ、猫が一斗缶を倒した音だったらしい。
 ちなみに迷子になっているのは自分であることはあえてわかっていないふりをしているだけだ。)

ご案内:「路地裏」にパンデミック(シャドウファング)さんが現れました。