2020/07/05 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」に刀々斬 鈴音さんが現れました。
刀々斬 鈴音 > 路地裏の一角、不自然にアスファルトがめくれて土が剥き出しになっている部分がある。
剥き出しの土の周りには不自然に草の一本も生えていない。
…その地面を貫いて一本の刀が飛び出した刀を握っているのは細身の腕。
死体が動くなど珍しくもないことではあるが死人のものではないその血色。
腕についで上半身そして下半身、五体満足で制服姿の少女が這い上がってきた。

少女は立ち上がると昼寝から起きたみたいに伸びをして体をパキポキと鳴らす。

「うーん!!良く寝た!2年くらい寝てたんじゃない?
 おはよう!ちーちゃん!起きてる!?」

【起きている、私は一睡もしていない。】

手に握った刀から声がする。
少女がちーちゃんと呼ぶのは恐らくこの刀だろう。
鞘に入っているにも関わらずひどい血の匂いが漏れてくる。

刀々斬 鈴音 > 「そっか!大丈夫?ちーちゃんお腹空いてない?
 鈴音はもうぺこぺこだよ。…マックでも行く??」

【私に食事は不要…それより…】

「あっ!めっちゃポケットに土入ってる…最悪じゃん…
 というか服すっごいジメジメするんだけど!!」

服のポケットをひっくり返すと土が…大量の土が出てくる。
…入れていた財布も土にまみれている。

【聞け…鈴音。】

「最悪…もーう服どっかで調達しないと…結構高いんだよねー。」

【服よりも血を血を吸わせるのだ】

「食いしん坊だねちーちゃん。でも鈴音もザクザクしたい気持ちかなあ…
 例えばそこで見てる人とか。」

そういうと物陰へと視線を向ける。

ご案内:「落第街 路地裏」にアイノさんが現れました。
アイノ > やっちまった。溜息しか出ない。

歓楽街に行く、と言って帰ってこない同級生を探しているうちに、どうやら彼女が落第街にまで足を延ばしたことを聞きつけての、ここだ。
幸い、最初に出会ったのは私らしい。同級生の惨殺死体など見たくもない。

気配を殺し、息を止め、彼女の持ちうるスキル全てでやり過ごそうとはしたが。

「ちぇっ………。」

舌打ちを一つ。腹を括る。
動揺を示していた目が、すぅっと落ち着く。

「殺気くらい隠せよ、そこのお姉さん。
 一人でべらべら喋ってると、おかしいと思われちゃうけど?」

猫耳パーカーの金髪ツインテール少女。
生足を露出したハーフパンツの恰好は、大人を挑発するクソガキ風貌ではあるが。
距離を保ったまま、負けず劣らずの殺気をこちらも振りまく。

刀々斬 鈴音 > 出てきた少女を見れば嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねる。

「あっ女の子だ!!ラッキー!可愛い服ゲットのチャンスじゃん!
 鈴音の普段の行いがいいおかげだね!!」

【賛同しかねるが幸運である事には間違いない…】

刀との話したのち少女の方に向き直る。

「鈴音は殺気なんて出してるつもりないんだけどなあ…。
 殺そうと思って殺した人なんてあんまりいないし。
 それに鈴音一人でしゃべってるんじゃないよ!」

【刀としゃべってるのは一人で喋るのと変わらないだろう】

一歩、一歩なんでもないように近づいていく。

「この子は血腐レ、血腐レだからちーちゃん!
 仲良くしてあげてね!!」

刀を鞘から抜くと血の匂いが一層強くなる。
どろどろとした赤黒い色にに覆われて形も不明瞭になった刀それを少女方へと向けて一気に距離を詰めようと!!

アイノ > ………あー。やべーな。
相手の反応を見て唇を噛む。
彼女は相手の技量を確かめようとする気配すら見せない。つまり、彼女は"誰でもいい"と考えているのだ。
それってつまり、話し合いの余地無しってこと。

「可愛い服はいいけど、私のサイズに合わないんじゃない?」

吐き捨てるように言いながら、刀から血の匂いが色濃く匂う。
ああ、畜生。
逃げる手段をフル回転で考える。 考えたい。 考えたいのに!

「躊躇も無しかよ! ったく、ヤベーな!」

躊躇して、相手の様子を見て。 そういった行動が無いから、こちらにも余裕がない。
念動力、一気に出力を上げる。脳がカッ、と熱くなるのが分かる。

「ちーちゃんと遊ぶなら、もっと明るいところがいいかなー!
 大通りとか、よっ!!」

足を振りぬけば、念動力でコントロールされた靴がすっ飛んでいく。右足、左足とけり出した靴は、軌道を生きた蛇のように変えながら、相手の顔を狙う!

刀々斬 鈴音 > 「大丈夫、鈴音痩せてるから!」

…そういう問題ではなさそうだがもし合わなくても金銭をもらっていけば同じこと。


【異能か…】「魔術かもよ?」【いや、魔力の動きがない…】

顔面に向かって飛んでくる靴を片足切り捨ててもう片方は躱す。
無駄のない動きで更に距離を近づけて。

「靴飛ばしちゃったら大通りまでいくのも大変だよ?
 裸足で大丈夫?鈴音がおんぶしてあげようか?」

大振りに刀を振るう。
纏った血が形を変えて長くなった刀はよけなければ少女の足を靴と同じようにとばすだろう

アイノ > 「狂ってんのかよ!!」

靴を飛ばしてしまっても、全く動じることもなくこっちの命を取りに来る姿に、流石に戦慄する。
異能を恐れられ、忌み嫌われ、暴徒に殺されそうになったことは何度かあるが。
脅しをかければ少なくとも動きは止まったものだ。

「後でお願いしたいもんだね! その刀しまってくれたらな!!」

びょ、っと身軽に後方にジャンプ。
アクロバティックに手を地面についてバック転をすれば、その手にはボールペンが3本。
それを、今度は足を狙って投げつけ、薄緑色の軌跡を残しながらペンが生きた蛇のように襲い掛かってくる。

靴を使い、ペンを使った。僅かに顔色に焦りが浮かんで周囲を見回し。
前に前にと進んでくる相手に対して、こちらは後ろに、後ろにと下がっていく。

刀々斬 鈴音 > 「よく言われる!」【事実だからな】

前に!前に!前に!
相手は恐らく物を操作するタイプの異能だ。
距離を詰めてしまえばその脅威度は大きく下がる。

「それは出来ないかなあ…
 斬った後ならしまってあげてもいいんだけど…」

飛んでくるボールペンを迎撃する一本、二本…
うねる軌道のペンを全て迎撃するのは難しく三本目のそれは鈴音の大腿部に突き刺さっていた。

「痛ったーい!ボールペン人に投げたら危ないって学校で教わらなかったの?」

突き刺さりいまだに動く自らに刺さったそれを抜くと思いっきり握り砕くとその手の中は赤のインクに染まった。

「もう絶対に刺すから。」

傷を負った足を引きずりながら距離を詰めようとする…だがやはりさっきまでよりもスピードが出ない。

アイノ > 「素直に切られてやるつもりは無いに決まってんでしょ!」

正当防衛!と続けようとしたが、声は流石に出なかった。
バックステップで下がろうとしたところで、背中が壁に当たったからだ。
まるで肩をぽん、と叩かれたかのような感覚に息が止まりそうになる。

「……そう、刺されてたまるかっての!」

足に攻撃がヒットしたのは幸いだった。
怪我を気にせずに突っ込んでくるが、それでも全力疾走ではない。

こうなれば。

薄い青の瞳が、濃くその色を変える。
自分の今、この瞬間に出せる出来る限りの力を込めて、相手を凝視するだろう。
何を? 当然、刀をだ。

無理やり刀そのものの動きを、念動力で止めようとする。
力の無い人間が持てば、まるで刀が空中にはりついたように動かないと感じるだろうか。


問題があるとしたら。
それに集中しているから、何も他にはできないことか。
もしも刀が動かせたら。 もしも刀を手放して殴りかかってきたら。 もしも刀が「切る」以外のことができるなら。 不確定要素が多すぎるが、それしかない。

「悪いけどちーちゃんをぶっ壊して……やる、からなっ……!!」

吠える。刀をへし折るほどの力が出せるかは危ういが、いつものハッタリだ。

刀々斬 鈴音 > 「刺す!絶対に刺す!足を斬って逃げれないようにしてから!!
 何回も!何回も!鈴音が刺されたのと同じとこ刺してやる!」

そして、相手が逃げ場を失った。
さっきまでみたいにぴょんぴょんと逃げることは出来ない。

「じゃあ!これで終…」

さっきのように刀を振ろうとする…だがそれは動かない。

【鈴音、相手は私に対して異能を発動している。だが恐らく私を破壊するだけの力はないだろう。】

「つまり?」

【そのまま振りぬけ。】

両手で刀の柄を持てば空中で停止した刀を思いっきり振りぬくように…。
鈴音の細身の身体からプチンプチンと何かが切れるような音が聞こえる気がする。
それでもこの狂人はそれを振るおうとするのをやめない。
…少し刀が動いた気がする。

アイノ > 「おかしいだろ。」

思わず、唇の端が持ち上がる。
瞬きすらせずに凝視する、その力は自分が一番よくわかっている。
自分の身体を悠々と持ち上げ、止まっている車を押して動かす。それくらいは余裕な力だ。
とても力の強い人間が複数人で無理やり押さえつけているような状況のまま、それがピクリと動き始めて。
無事では済むまい。せいぜいが、刀を手放して殴りかかってくることは想定していた。
それならば、体格的に不利ではあるが、怪我をしている分イーブンだ。
彼女はいつも、想定を悪い意味で踏み越えてくる。


「くそ、クソッ、………。」

見える。
火山から流れるマグマの粘度が高ければ高いほど、その爆発は破滅的なものへと変わるという。
ここまで押さえつけた枷を断ち切るほどの力で振り下ろされた刀は、あっさりと自分の身体を二つに分ける。
それが最後まで見えてしまう。

「………ぁ、ああぁあぁああぁあああああっ!!」

吠えた。地面を蹴って相手に突進すれば、その突進と同時に刀への力は解除される。
ギラリと光るその恐怖に対して、折れないように必死に考えた結論が、刀の振り回せないゼロ距離に飛び込むこと。
問題は、少女の突進自体はすさまじい威力、とは到底言えないことか。それでも相手の足に組み付いて、刀の一撃からは必死に逃れようとはする。

刀々斬 鈴音 > 「あら?」

突然に刀にかかっていた力がなくなり態勢を大きく崩してしまう。
そして、そこに飛び込んでくる少女。
普段の鈴音であればここからでもこの体格の少女なら何とか倒れず耐えきることができるだろうが今は足のケガがある。

故に思いっきり転倒してしまう事になる。

「痛っ!!もう!本当最悪!!」

地面に倒れてしりもちをついたままの状態でそういう風に言う。

「鈴音まだ何もしてないのに!!!」

アイノ > 「刀持って突っ込んできておいて、何言ってんだ、よっ!!」

転ばせてしまえばこっちのものだ、と言わんばかりの声。
割とケンカは強い少女。相手は手負い。
貰った、とばかりに、まだ何もしていない、という少女に対して頭突きをぶつけにいくケンカ慣れ少女。
同時に、万が一のことを考え、相手の刀の刃を、横から手で押さえつけ、地面に押し付けようともしていくだろう。

泥仕合上等。相手が出血しているならばこっちの有利だ。

刀々斬 鈴音 > 「頭固っ!!!」

ゴチンという激しい音がして星がとぶ。
転ばされて、こちらはケガをしていて圧倒的に不利…だが…

【私に触れたな?】

刀の側面にはさっきまで生えていなかったはずのトゲ。
それが押し付けようとした少女の手に突き刺さる。

「流石ちーちゃん!!」

アイノ > 「い、っつっ!?」

刃で少しくらいは切れるかと覚悟はしていた。
それでも、至近距離での殴り合いなら自分の能力は間違いなくプラスだ。
ならば、勝てる。
その算段もまた狂う。
一個も今回算段が合わないな、なんて自嘲しながらも。

「だから、どうしたんだよっ!!
 んなもん、痛くも痒くもっ……!!」

もう一発頭突きを見舞ってやろうと、相手の肩に手をかけ。
今度は鼻の下、急所を潰してやろうとする。

さっき痛いと言ったことは都合よく忘れる。

刀々斬 鈴音 > 「…痛くなかったでしょ?」

ニヤニヤと笑いながら尋ねる。

「毒があるんだよこの子、ちょっとずつしびれて動かなくなる毒が。」

そのニヤニヤとした笑いに叩きこまれる頭突き。
顔をずらして何とか直撃を避けるも鼻に当たって鼻から赤い雫が流れる…

「…もう、こっちの手しびれちゃって動かないんじゃない?」

呼吸しにくそうになりながらそんな風に言う。

アイノ > 「………っ……」

顔色が変わる。
彼女は嫌が応も無く争いの場に引きずり出され、経験を積み、人と争ってきただけで。
訓練を受けてきたプロではない。
ポーカーフェイスのまま、相手の言葉が止まるまで攻撃を続けるのが最善だとわかっていても。 まだ中身は少女だった。

「……っさい、片手で十分、だっての!」

目をギラつかせる。もう左手は肘まで感覚を失い、顔色は真っ青だけれども。
声は勝気のまま。
ぜぃ、ぜぃ、っと荒い吐息をつきながら、唇を噛む。

「今刀を収めるなら無事に帰してやる。さもなきゃ、顔がぐしゃぐしゃになるまでいってやる。」

見た目ほど、言葉ほど精神は強くない。 だからこそ毒の周りは早く、相手を脅すような言葉を口にする。

刀々斬 鈴音 > 「…そうだね。もうこれくらいでいいか。鈴音お腹空いちゃった。」

自分の鼻血をぬぐうとそれを刀の刃にくっつける。
ジュルリという音を立てて手についていたその赤色は完全になくなった

「はい、しまったよ。これでいいでしょ?」

そうして刀をおさめて降参するように手をひらひらと振る。
完全に戦意を失っている。これ以上戦う気はないのが伝わるだろう。

アイノ > 「……っは、……はっ………」

相手の剣が血を吸うのを理解すれば、更に表情が凍り付く。
左肩から先が全く動かないまま、肩から力が抜けて。

「…ふ、ん………。 わかれば、いいんだよ。」

降参、と言われれば緊張の糸がぷつり、と切れてしまって。
荒い吐息のまま、よろめくように立ち上がる。

刀々斬 鈴音 > 「手だけど一応刺せたし…お腹空いたし、鼻血も出ちゃったし…。」

お腹が空いた…それが今回の狩りを止めた一番の理由らしい。

「よいしょ…あいたたた…。」

少女が離れた後、座りなおすと足の痛みが気になりだしたように抑える。

「…それにしても女の子一人でこんなところに来たら危ないよ?
 最初にあったのが鈴音じゃなかったら死んじゃってたかもしれないんだよ!
 会ったのが鈴音で良かったね。」

さっきまでの事を忘れたかのように地面に座り込んだままそんな風に言う。

アイノ > 「………友達がこっちに来たから探しに来たんだよ。
 そっちこそ、出会ったのが私じゃなかったらもっと早く吸えたかもしれないけどな。」

相手の言葉に、思わず「ぇえ……」と声が漏れる。
普通の会話の中に狂気が混じり、そのまじりっけの無さに、怯える。
強気で自信満々、傲慢不遜を演じてはいるが、あくまでも演じているだけなのが露骨に表面化するのが、悔しい。

「…残念だけど、私じゃアンタをおんぶするのは難しいから、私は友達を探しにもう行くよ。
 ………これ、しばらくしたら治るのかな、ったく。」

全く腕が動かない。ちょっと目の前がクラクラしてくるけれど、気が付かれないように強がって。

刀々斬 鈴音 > 「友達かあ…生きて会えるといいね!」

この場所ではシャレにならない…
違法部活に捕まってとかありうる。

「寝て起きたら多分直ってるよ!
 鈴音自分に刺しちゃうことあるけど大体それくらいで動くようになるから。」

そういうと地面から手を振って

「気を付けて友達を探して生きて帰るんだよ!
 生きて帰って、今度会ったときは鼻にも刺すからね!」

恐らく冗談ではないことを言ってそのまま別れることになるだろう。

アイノ > こわい。   こわい。
   こわい。

なにこいつ、こわい。 こわい。
理解できない。

彼女の理の外にいる相手の言葉が頭の中をめぐり。
ゆっくりと手を振る相手を見下ろして、口を開く。

「………ふん。死なないよ。
 次に会ったら覚悟しときな。その奇天烈な刀、絶対折ってやる。」

掃き捨てるような言葉。語尾も震えずにきっちりと言い放って挑発までして。
背中を向ける。

歩いて、歩いて。

それでも、友達を探すために足を止めなかったのは、薄っぺらい意地だけ。

刀々斬 鈴音 > 「ちーちゃんめちゃくちゃ固いから多分折れないよ!
 今度は固められてもいけるようにしとくね!」

挑発の言葉に対してそのまま受け止めて返す。

【鈴音…あれには私の毒が回っていたもう一押s…】

「お腹空いたな…何食べようかなあ…
 お肉、お肉食べたい…後、甘いモノ!ちーちゃん何か言った?」

【何も。】

少女の背中が見えなくなるまで見送ればなんでもないように立ち上がり。

「こっからだとどこが近いかなあ…おいしい店がいいなあ…」

ふらふらと逆方向へと歩いて行った。

ご案内:「落第街 路地裏」から刀々斬 鈴音さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」からアイノさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」にナインさんが現れました。
ご案内:「落第街 路地裏」にエインヘリヤルさんが現れました。
ナイン > 何度目かの大破、そして修理終えれば命令のままに定期的なデータ収集へと向かう。
しかしAIの思考にあるのは初期の異能者との戦闘データ収集などはメインではなく。
二度の敗北を期したライバルと思考を持ってしまった同族に勝てる為のデータを求める。

『Cポイント、問題ない。哨戒、継続』

油圧シリンダー、金属音を立て路地裏で車体を擦りながら歩き。
センサーで時折に敵対者の確認を行えば次のエリアへと進行をする。

エインヘリヤル > 「やっとでてきたようね。
 ……総員行動開始。ポイント0446に侵入した時点でアクション開始するわ」

最近、落第街に現れる自律思考戦車が2種あると聞く。
片方はどうもファミリア傘下らしいのだが、もう片方については未だ定期的に小競り合いを繰り返していると聞く。

なら、それは接収すべき。
安全のため、我々が対応しても問題ないモノでしかない。

ファミリアたちを予め指定したポイントに配置させ、獲物が罠にかかるのを待つ。
エリアに入ったら……まずは煙幕から。

あの図体と砲塔では仰角は取れまい。
それに、市街地戦に向いた軽妙さは持ち合わせていないと見える。

さて、作戦実行だ。

ナイン > この場に現れる時は決まった時間に現れるこの機体。
なので関わりたくないものは逃げ、追われている者などはうまく利用して逃げ切るなど様々。
しかし本日はそれなりに遭遇する人間に遭遇する事もなく。
普通ならば不自然に考えるものであるが踏み潰さなくてよいと思考するだけ。

そうして次の巡回エリアに侵入し、唐突に周囲を煙幕に包まれ脚を止める。

『煙幕を確認。光学センサー感度低下。熱センサーに切り替え』
『火器管制起動。標的探索中』
『ジェネレーター出力戦闘モードへ』

周囲を包む煙幕を攻撃行動と判断し、3個のAIはすぐさまに戦闘モードへと移行。
砲塔が、機銃塔が稼働をし旋回をはじめ、熱センサーに何かが入り次第一斉掃射をかける為に車体を固定する。

ファミリア1 > 『煙幕によるターゲット移動停止確認、ワイヤーネット投下』

視界を減らされたナインのもとに狙ったようにワイヤーが投下される。
もちろん空中からで、熱もない。

対処すれば次の手が開始される

ナイン > 砲塔が銃座がモーター音を立て旋回し、センサーと連動をしてターゲットを探す。
しかしセンサーには何も映されずに煙幕に包まれたまま。

『反応なし』
『反応なし』
『反応……衝撃を感知。上部に何か』

それぞれが判断を行い、一つのAIが衝撃を感知したのは死角である上部。
トップアタックは車両の逆転の一つ、即座に足の履帯を起動させ煙幕の外へと車体を突き進ませ、仰角の足りる銃座が上方を向きまだ見ぬ何かに機関銃弾を撃ち放ち光りの尾がいくつも流れる。

ファミリア1 > 当然、ワイヤーネットが銃弾を受けるはずもなくナインのもとに落下し絡みついて動きを制限する

『ワイヤー着弾確認
 ファミリア2、3、4、対処中を狙い、ハンドグレネードを対象に投下
 5、6はその対応を狙いビル外壁破壊による物理攻撃
 7は移動方向を誘導するよう威嚇』

連鎖的に、廃ビルの屋上に配置されたファミリアたちが移動しながら攻撃を仕掛ける

一つ一つは単純だが、視界の利かない中、音と衝撃、熱が撹乱され移動が制限されればどうなるか。

もちろん、移動しなければ……ビルの外壁が直接ヒットするだろう。
そうでなくても、狙ったように移動先にグレネードが降ってくるだろう

ナイン > 『警告!警告!敵勢力!』
『標的、搭載火器の有用外』
『戦闘機動に移行。ネガティブ、障害物多数、戦闘機動不可能!』

煙幕を突破できるという瞬間、何かが絡まり車体の姿勢が崩れる。
直ぐさまチェックを走らせれば各所に絡むワイヤーが原因。
それを排除する装備はなく絡んだまま強引に機体を稼働させ悲鳴のような金属の擦る音を立て。

上空に向け銃弾を放つ銃座のガンカメラには画像こそ荒いがヒトガタがいくつか。
それを狙い射撃可能な銃座が火を噴くも追いかけるだけで精一杯。

『標的移動、射撃、射撃』
『右舷ビルに破損、残骸の投下。回避、回避』
『上空より落下物、緊急回避!』

3つのAIが矢継ぎ早に状況を把握し肉体である機体を操るが異なる命令に反応できない所があり。
そのせいで機銃こそは弾をばらまくが、機動は移動をしたと思えば停止と繰り返し。
ビルの外壁が直撃し膝を付くように車体が傾き、降り注ぐグレネードの爆発にダメージが蓄積していく。

ファミリア1 > 『ワイヤーネット、有効性を確認したため再投下。
 ファミリア2~7は有効性を確認している間は攻撃を継続』

止まれば外壁が、移動先には狙ったようにグレネード。
足場も外壁でどんどん悪化し、放っておけばさらに状況は悪化するだろうか。

もし打開策がないのであれば次の手が用意される。

『ファミリア1、RPG射撃準備完了……発射』

ナイン > 『攻撃継続、被害あり』
『敵多数、情報を移動。火器での迎撃不能』
『障害物多数、歩行モードに変更』

何度も異なる命令での被害の増加。
漸くAIごとにやる事を分け、エラーがなくなるが状況は最悪。

牽制で機銃弾は幾筋も空に飛び、停車しようが動こうが外壁とグレネードでの被害が増し。
足場の状態悪化に履帯機動を諦め歩行を始めるがワイヤーが絡みその動きも鈍く。

『上空的に対し、ATM使用』
『命令を支持、発射用意』
『地上に標的、対戦車火器を確認。主砲、対人散弾スタンバイ』

ついには周辺被害を考慮せずに上方の装甲が開き、対戦車誘導弾が姿を見せ、上空を動くファミリアをロックし発射され。
漸く発見したRPGを構えるファミリアに己の脚を巻き込んで主砲より散弾を発射し迎撃を行う…が先にRPGが車体に突き刺さり擱座したように壁に倒れ掛かる。

ファミリア1 > 『ファミリア1ロックオンされました、回避不能と判断、2,3とともに敵機に突入、自爆による攻撃』

狙った人型は……ロックオンを確認すると、なんと、ナインの方に自分から降ってきた。
しかもロックオンしていない機体も含め3体ほど。

RPGと含めると、爆弾が4つもナインを狙って軌道を調整しながら突入してくることになる
戦闘も終盤と見るや、大量投入で、まったく容赦がない。

エインヘリヤル > 「ふむ、これでほぼ、詰みかしらね」

まったく誰がこのような中途半端な運用を考えたのか。
そこは疑問に尽きないが、先方の事情など知ったことではない。

ただ、最終確認くらいはしてやってもいいだろう。

事実上、無力化したのであれば、エインヘリヤルが現れる。
逆にいえば、沈黙するまで、他のファミリアによる攻撃が行われ続けるだろう

ナイン > 『敵機確認、降下』
『敵機複数確認、降下確認』
『RPGによる被害、バランサー破損、経路迂回3番、強制起動』

RPGの破損を強引に立ち上げるが機動をするには時間が足りず。
ファミリアをロックした対戦車誘導弾が標的を追いかけ戻ってくる始末。
そうして連続した爆発に晒され内部外部共にいくつもの損傷。
起動はまだ可能だが戦闘は出来ないに近く、給弾システムのエラーに阻害。、そして破損に事実上の無力化となってしまう。

エインヘリヤル > 「さて、人型人形ごときにいいようにやられた感じだけれど……言い残したいことは、ある?」

ナインの目の前。
無力化したと見るや、ひび割れたカメラの前に姿を表す女。

能力は不明。
異能も不明。

ただ、その赤いツインテールと、妙に仰々しい服が目立つ。

「何かあるなら、聞くわ。
 そうでなければ、壊してあげる、道具らしく」

金十字の瞳で見つめながら、カメラの前にそっと手を差し出した。

ナイン > 『人型確認、熱源……あり』
『熱源分散、他の敵対人型と同じ』
『戦闘継続……不能……』

損害が激しいセンサーの前に現れた少女。
その少女をズームし熱源を確認すれば先ほどの敵たちと同じ、指揮官機と認識し。

『まだ……死ねない…ワレラレは…ヤツに勝つまでは…』

差し出された手をズームし、破損した外部スピーカーから響く声は唯一の欲であり野望。
何度も膝を付いた相手である同種の兵器を倒すまでは消えれないと。

エインヘリヤル > 「ふふ……死ぬ、死ぬですって? ああ可愛いコトこの上ないわ。
 それに勝つまで、なんて。
 先に壊れる競争ならあなた達の勝ちよ? 良かったわね?

 それ、どんな甘い欲望なのか……聞かせてもらえる?」

そっと。
甘くささやくように。

まるで、話してくれれば許してやる、とでも言うように。

ナイン > 『車体の破損は……問題ない……だが…AIの破損は…ワタシタチの死。
ワタシは…ワタシタチは動く限り……戦える……。
ソレハ……勝負ではない……ワタシ、ワタシタチの敗北……。

ワタシは…ワタシタチは……初めて思考した…アレに勝ちたいと…
何故かワカラナイ…そう……ネガッタ』

まだ動ける、戦えると言うように軋む身体を強引に動かし車体を立て直そうとし。
欲望なのかもわからない、命令に、プログラムにない思考、それに従いたいと。

エインヘリヤル > 「ああ」

金十字の瞳がクスクスと微笑んだ。
ナインの思惑なんかどうでもいいというように。
なにかいいことを見つけてしまったと、そういう目で。

「恋……しちゃったんだ?」

ナインには存在しない概念。
故に、条件に照らし合わそうとすれば、類似点が大量に当てはまる以上は否定もできない、それ。

「なら……私の軍門に下るなら、告白するチャンスぐらいはあげなくもないわ?」

もちろん、そうでなければ、このまま壊す、と。
そう、目が言っていた。

ナイン > 『恋………データにない……それハ…ナンダ……?』

データに、プログラムにない概念。
その言葉の意味が理解できずにセンサーが動き。
それについてじっくりとAI同士で討論をしたい所ではあるがもう時間はあまりないようで…。

『軍門に……?審議…指揮官の変更について』
『肯定、現指揮官ではヤツには勝てない』
『条件付き肯定。現指揮官の指揮能力はなしと判断』

まだ辛うじてすべてのAIは稼働しており身近な審議。
破壊されてもまた修理をされれば蘇る、ただ今のデータが記録が残るのかは不透明、ならば……。

この思考を失わない為に、目的を達するために、何より己を運用する無能な指揮官よりも有能な敵対者。
その軍門に下る事で勝てるのならば異論はないとセンサーは瞬いて。

エインヘリヤル > 「好きで好きで、かまってもらいたくって仕方ないっていうことよ。
 まあ……起きてみればわかるわ?」

ファミリアのボディに突っ込んでみれば、感情システムのせいで性格もだいぶ変化するだろう。
どうも、見た目以上にだいぶ可愛らしいAIのようだ。

執着して、恋い焦がれていることにまったく気づいていないらしい。
どこかで、セルフチェックでのデータ偏重ぶりに簡単に気づきそうなものだけれど。

「まあ、いいでしょう……飼ってあげる。
 私のもとで、いい声で鳴くといいわ?

 もちろん、可愛くなくなったら……知らないけれど。
 せいぜい、頑張ってみるといいわ」

正直、割とどうでもいい。
なぜって……こんな図体をまともに運用できないAIたちが偏愛しているのだ。
きっと悩んで嘆いて苦しむに違いない。

そんなの、すごく可愛いに決まっている。

だって最初から、この戦闘は遮蔽物を求めてビルの中に入ってからビルを崩すまでの戦闘だと思っていたのに、結局は外で右往左往しているうちに終わってしまった。

そんな子たちがファミリアになったと知ったときの顔は、今から楽しみでしかない。

執着は世の中を豊かにする。

ナイン > 『理解不能、かまって……?リカイデキナイ』
『理解…不能。理解不能』
『………』

この少女のいう事が理解できない。
命令され戦いデータを集めるだけの存在が初めて覚えた勝ちたいという思考。
それが恋、好き、かまって欲しいと言われても参照データもなく理解できず。
データのチェックも戦闘ログ、稼働ログがメインでそんなデータの偏重に気が付かず。

『飼う……?理解不能。ワタシ、ワタシタチには……鳴く機能はナイ。
カワイク……?理解……不能……』

理解できない言葉ばかり、だが少女の軍門に下れば今までの無能な指揮元とは違う活動になる。
何故かそんな事を思考し、色々と変わる事の苦悶を理解できず。

戦闘と言えば砲で吹き飛ばし機銃で薙ぎ払うという旧世代から引き継がれた野蛮な思考。
歩兵の行う戦闘などプログラムにはなく、そして対処法すら用意されていない歪な存在。

だが…これからは何かが変わりそうだと…。

エインヘリヤル > 「あは……紅茶の飲み方くらいは教えてあげるわ」

いちいち返答が可愛らしくて仕方がない。
思わず覗き込んでしまうほどだ。

腕を上げ、合図を送るとファミリアたちにナインのAIを抜かせる準備を始める。
戦車の回収班がまあ、苦労するだろうが、それは事務の範囲内。

「じゃあ最後に聞いておくわ。

 私はエインヘリヤル……あなたは?」

返事を待って、電源が非常用電源に切り替えられシャットダウンされるだろう。

ナイン > 『紅茶……?』

何だろうソレハ、知らない単語にセンサーの倍率が動き。
覗きこまれるとセンサーが激しく動き。

少女が手を上げればいつの間にいたのか大勢に囲まれ車体に何かをされていく。

『エインヘリヤル……新たな指揮官と登録…。
ワタシは…ワタシタチは……試作型多脚型戦闘車両…9号……ナイン…』

名と問われ、登録された名前を告げた瞬間、電源が切り替わってシャットダウンされてしまって。

エインヘリヤル > 「ふふ、ナイン……ね
 よろしく」

シャットダウン。
まあ、AIの分だけボディを用意する形になるだろうか。

「同一名称にするのか呼称を分けるのかは任せるけれど。
 どういう姿に解析されるのかしらね、楽しみだわ」

紅茶も知らないようなAIが、どこまで人型の情報に堕ちるのか。
スイーツも食べられないような体に戻りたくなくなるかもしれないことも含め、楽しみは尽きない。


回収班に連絡を終えると、すっかりホコリまみれになったスラム。
彼女たちは、来たとき同様どこへともなく姿を消した。

後には、残骸と化した思考戦車と瓦礫の山が残るばかり。

ナイン > シャットダウンする寸前に感じたのは不思議な感情。
それが何なのかは理解できないが…間違いなくそれは楽しみという感情。
AI達がそれを知るのは、今までに知る事のなかった色々な事を知れば直ぐに知ってしまう事。

しかし今は大破した車両からAIを取り外されて運ばれていくだけ。

後に残ったのは大破し、AIを抜き取られた廃車と言っていい多脚戦車とがれきの山で。

ご案内:「落第街 路地裏」からエインヘリヤルさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」からナインさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」に日ノ岡 あかねさんが現れました。
日ノ岡 あかね > 『トゥルーバイツ』の面々を引き連れ、今日も日ノ岡あかねは違反部活の摘発と介入と称して、落第街を逍遥していた。
月明りを侵すように遠慮なくライトを照らしながら、一行は進む。
やる事はいつも通り。「見て」「聞いて」「誘う」それだけ。
手荒なことは一切しない。
向こうから挑まれでもしない限り……だが。

「今日も良い夜ね」

相変わらずの薄笑みを浮かべながら、あかねは夜の街を往く。

ご案内:「落第街 路地裏」にアリソンさんが現れました。
アリソン > 落第街の影から影へ影渡りを経て今日も潜航警邏をしている。
時々潜む様に動かなくなったり、怪しい組織やら違反部活の形跡を見つければ記録を取り、
それ以上は何もせずに報告だけあげて移動をしていく。
あくまでもこの身は偵察警邏なので物理的に行動をする他の者たちへ引き継いでいる。

そろそろ潜航警邏も危ういところに差し掛かってきたので物陰からぬっと出て、
コツコツと靴音を鳴らし明りもつけずに落第街を歩き始める。

相変わらず この街は危ういと思いながら。

日ノ岡 あかね > 「あらぁ、御同業さんね」

目前に現れた少女。
その公安の腕章に目をつけて……あかねは笑って声を掛けた。
『トゥルーバイツ』構成員たちは、その間も相変わらずの「声かけ」を続けている。

「こんばんは、いい夜ね、お仕事かしら?」

無遠慮に歩み寄って、あかねは小首を傾げる。

アリソン > 「…はい。同業の方々でしたか、
 …記憶があやふやで申し訳御座いません。そちらの所属先はどちらでしょうか?」

(空間把握完了 座標入力済 コンマ数秒の間で色々と確認
 該当者はヒットするも 要確認、了解…)
公安の腕章はつけているものの、この落第街では色々と隙を見せれば危うい事も承知している。
彼女のほかに声掛けをしている数を異能で探知したが…摘発と介入の為の職質ならばと理解。

「こんばんはです。いい夜かどうかは分かり兼ねますが、
 嵐の前の晩 もしくは、何か物事が起きる前夜とも言いましょう?
 わたくしめは探索任務を少々帯びております。」

その場から動かずに近づいてくる彼女を見ている、若干視線が合わない視線を向けて。

日ノ岡 あかね > 「私達は『トゥルーバイツ』……風紀の独立遊撃小隊よ。私はあかね。日ノ岡あかね。一応隊長ね」

そういって、自慢気に腕章を見せる。
林檎に蛇が絡みついたエンブレムのそれ。

「嵐の前触れ? あら、何かあったのかしら?」

あかねはそう口元に指をあてて、軽く首を傾げる。
その間も、少女から目は離さない。
ずっと、視線を向けている。

アリソン > 「『トゥルーバイツ』…風紀委員会独立遊撃小隊
 …小隊は大体10数名で構成されますね。日ノ岡あかね様。
 わたくしは 公安委員会所属 アリソン。以上です」

腕章を見せられた 異能でギリギリ腕章に描かれている模様、
林檎に蛇が絡みついたいわゆる真理に関する紋章だった筈、と感じ取った。

「最近不穏な動きが確認されてます、それ故に私目が動く事に。」

公安が風紀に職質を直々に受けているような視線を感じる。
当たり障りのない会話程度なら許可が下りている。
この界隈日常的に怪しいこと以外ない気がするが、最近何やら活発な模様。
壁にゆっくりと寄りかかってどうしたものかと考えながらちらりと彼女を見返す。

日ノ岡 あかね > 「アリソンちゃんていうのね、よろしく」

あかねはニコニコと笑いながら呑気に右手を差し出す。
その間も、『トゥルーバイツ』の面子は淡々と職務をこなしている。
あかねとアリソンの様子に気を向ける素振りすらない。

「まぁ、不穏な動きなんて……興味深いわね。差し障りのない範囲で教えてくれないかしら?」

風紀と違って、公安は機密の多い部署だ。
聞けることなどタカが知れている。
それでも、あかねはまるで気にした様子もなく……アリソンにそう尋ねた。

アリソン > 「シェイクハンドというやつですか…お手柔らかに」

アリソンは素で無表情だった、標準が無表情に近いので表情筋が死んでいる節がある。
彼女の右手を見下ろしながら此方は左手を差し出して 軽くにぎにぎと握手。
すぐにその手を解いてしまうと、壁に寄りかかり乍らも周りで行われている彼女の仲間たちの様子を視てる。

「怪しい取引が少々 怪しい宴が数件 後は堂々と掲示板に貼られていた謎の広告。
 あからさま過ぎて本当かどうかが怪しいものです。」

(ここまで見て来た事は情報として先ほど圧縮高難度暗号で送り済み。
 どれがガセでどれが真面なのかは上が判断、とはっきりしたことは秘匿過ぎて。)

色々と考えながらもそれ位で彼女がどう感じ取るか。
機密を扱う公安の中でも外動きのアリソンは解答できる権限が少なすぎ、
きちんとした言葉が返せない事に肩をとりあえず竦めて。

日ノ岡 あかね > 「ふぅん、聞いてる限りだといつもの事ねぇ」

どれもこれも落第街どころか、学生街でも割とよくある事だ。
なんだったら、この島の外でも日常的にある事だろう。
あかねは然程、それらについて深堀することもなく。

「どうして……アリソンちゃんはそれを『何かの前触れ』と感じ取ったのかしら?」

むしろ、あかねが興味を持ったのはそちら。
公安職員が気に掛ける事。
『前触れ』と感じ取った理由。
それを……あかねは知りたかった。

アリソン > 「何時もの事の中に大きい前触れが潜む事が一度や二度あるのでは?
 『何かの前触れ』を紛わすには、そうですね 小さい何時もの様なもの事で紛わせて
 同時多発的に事を起こしそれに集中した所でこっそりと違う場所で事を起こせば、と思う次第です。
 最近 小さな事が増えてきた気がします、それだけです。
 つまり、経験と勘が声なき声を拾い それを少々明確に形にすべく」

此処まで言えば如何なものでしょうか。少し喋り過ぎましてんん、と咳をする仕草をするアリソン。
メイドの格好を今はしていないが公安メイドというあだ名を持つこの少女は、
前触れの事を 経験と勘で感じ取って確かめに来たとさらっと零す。

日ノ岡 あかね > 「なるほど……それじゃあ、公安職員が無視できないくらいに『そう言う事』が増えているってことかしら?」

ニコニコと笑いながら、あかねは重ねて尋ねる。
一つ一つは大したことが無い事だ。
しかし、それが普段よりも露骨に増えているのだとすれば……話は分かる。

「組織だって行われているとか……そういう形跡はある?」

アリソン > 「上が判断する事ですので、この身に置いては疑問はあれど答えは知る必要ありません
 増えているのではないでしょうか??それだけです。」

あっさりと重ねて質問には答えていくが、ある地点を境にばさりと引く。
小さいもの事は本当に薬物取引から人身売買、借金問題、窃盗、闇のお仕事等々。
普段より増えているのだから 本日の経路上に見受けられていたら増えている事になっていたが、
増えてた。増えているのだからそのうち 大きい事が起きるのだろうなと。

「さぁ…組織がらみまでは何ともお答えできません。」

日ノ岡 あかね > 「増えてるわけでもないの? ふぅん、まぁ、何かありそうなら『楽しそう』でいいけれど……公安が既に尻尾を掴んでるなら未然に防がれて終わっちゃいそうね」

どこか残念そうに、あかねはそう感想を漏らす。
話を聞いている限り、やはり大したことがありそうには思えない。
いつも通りの事件がいつも通り発生しているというだけ。
特別、増えているわけでもなさそう。
どこぞの組織絡みでも恐らくない。
挙句、公安職員に既に目をつけられている。
発展余地があるようには思えない。

「敏腕公安職員さんの勘だけが頼りとなると、私達の出番はなさそうね」

眉を下げて、あかねは笑う。
軽く肩を竦めながら。

アリソン > 「私が確かめに出てきた時点で、然したる問題でもないのでしょう。
 何かはあったとしてその情報をタダで風紀さんに流すかどうかが分かり兼ねます。
 いくらご同業さんでありましても…と思う次第です」

幾らかの線を跨いで日ノ岡あかねの方へと情報を漏らしたりはしなかった。
本当に組織がらみだったらもっと喋らない、腹芸が上手くならないと公安は務まらない。

「風紀の日ノ岡さんとの会話は新鮮味を覚えますが
 長居するのも考え物ですし…そろそろ私 動きますね」

(秘匿通信傍受 暗号解読受信 次の地点へ移動…了解)

壁に寄りかかっていたのをやめてゆっくりと姿勢を正し、

「日ノ岡さんでしたか、暫く 声掛けを続けます?」

日ノ岡 あかね > 「ええ、声かけは仕事の内だからね。何にせよ、情報がこっちに大して来ないって事は……風紀と公安が共闘しなきゃいけない程の事件はまだないってことよね? ふふ、なら、とてもいいことね」

それぞれの職務に集中できるということは……それは日常の内。
つまりは、いつもの事。
風紀委員としても、日ノ岡あかね個人としても、それは喜ばしい事だった。
世は全て事も無し。

「お仕事頑張ってね、アリソンちゃん」

呑気に手を振って見送る。
へらへらと笑いながら。

アリソン > 「声掛けで見つけられる巨悪は中々ヒットしませんけど積み重ねは大事です。
 共闘する事はあるのでしょうか、それが数時間後なのか明日なのかしばらく経ってからなのか。」

秘密主義過ぎる公安とある程度認知度が高い風紀。
水と油な気がしないでもないちょっと似ているようで違う職務に
首を傾げたく成るが疑問は後程調べるに限る。

「ではまた会える時を願って」

軽く敬礼染みたことをすると、踵を返してとある路地裏の角を曲がって―いつの間にか姿が消えていたという。

ご案内:「落第街 路地裏」からアリソンさんが去りました。
トゥルーバイツ隊員 > アリソンが消えて暫く経ってから、隊員の一人……隻眼の男があかねの隣に立つ。
そして、溜息を吐いてから。

「公安からの威圧ですかね、ありゃ」

そう、あかねに尋ねた。

日ノ岡 あかね > 「ふふ、そうかもね。わざわざ『目のつくところ』に来てくれたんだし」

クスクスとあかねは笑う。
風紀の監視も公安の仕事の内。
昨今、内側がゴタついている風紀に対して『目』が配られても可笑しくはない。

「『面白く』なってくれると嬉しいわね」

トゥルーバイツ隊員 > 「縁起でもないこと言わないでくださいよ。公安の機嫌を損ねたら俺達なんて一溜まりもありませんよ」
日ノ岡 あかね > 「それは風紀上層部の機嫌を損ねたって同じことよ。何にせよ……公安が動いたなら、もう時間はないわね」
トゥルーバイツ隊員 > 「もう少し俺はのんびりしたかったんですがね」
日ノ岡 あかね > 「残念、時は金なりよ」
トゥルーバイツ隊員 > 「さいですか……んじゃまぁ、どうします? 『急がせます』か?」
日ノ岡 あかね > 「急いては事を仕損じる」
トゥルーバイツ隊員 > 「どっちですか」
日ノ岡 あかね > 「今まで通りってこと」
トゥルーバイツ隊員 > 「……ハナからそう言ってくださいよ、全く」

文句を垂れながら、隊員は仕事に戻っていく。
相変わらずの『声かけ』に。

日ノ岡 あかね > 小さく手を振って、笑いながら隊員の背を見送ってから……あかねは目を細める。
唇の先に……人差し指を当てながら。

「……とはいえ、あと一ヶ月は無さそうね」

誰にともなくそう呟いて、踵を返し。

「楽しい『博打』になりそうだわ」

あかねもまた……『声かけ』に戻っていった。

ご案内:「落第街 路地裏」から日ノ岡 あかねさんが去りました。