2020/07/10 のログ
■園刃 華霧 > 「道理だネ。
それに、アタシじゃ有名人過ぎカモな」
ちょくちょく落第街で荒らしをやってたことは事実。
そんな爆弾、人質としては危険極まりないだろう
「ンー……じゃ、ココで一人反省会。
72時間ネ。オッケー、いってらっしゃい」
承知した、と受け取り。
去っていく姿を見送る。
そこには、賭け勝ちを疑う様子もなく――
「じゃ、君等。隊長が戻ってくるまで適当に交代で休んでおいてな。
ま、そんなかからん気もするけど」
そう、部隊に命令を下すと一人たたずむ。
■トゥルーバイツ隊員 > 「偉ぶってんじぇねぇ。アンタの仕事は撤退合図を出す事だけだよ」
そう、反駁するのは……隻眼の男。
元違反部活生。名はまだ華霧に名乗っていない。
『トゥルーバイツ』内では最初期に参加した男。
例の『話し合い』にも来ていた人物の一人でもある。
「お嬢にやけに気に入られてるみたいだが……俺はまだアンタを信用してねぇよ」
そう、露骨に不信の籠った目で華霧を睨む。
それとなく、他の構成員も華霧を囲んでいる。
『トゥルーバイツ』は……最初から一枚岩ではない。
思惑は各々違う。皆、「真理に挑む」という目的が同じ故に一時共闘しているだけ。
そんな寄り合い所帯なのだ、統率などあるはずもない。
「72時間……俺達を抑える器がアンタにあんのか?」
彼等は下手をすれば……すぐにでも踏み込むだろう。
あかねの為ではない、時間短縮の為だ。
相手は大規模違反部活とはいえ、戦闘専門ではない。
それなりに力のある異能者なら、『仲間の損害』を度外視すればある程度『まどろっこしいこと』はしなくて済む。
元より、彼等は「真理に挑む」ための手段として、あかねを使っているだけ。
……一秒でも早く、「真理に挑むこと」を心待ちにしている者も当然いるのだ。こんなところで時間は掛けていられない。
普段はあかねの『立場』と『責任』……そして、『経験者』という箔が彼等の『枷』になっている。
だが、今回は『人質救出』を言い訳にすればその『枷』の効果も薄れてしまう。
あかねは暗に華霧に宿題を与えたのだ。
自分が戻るまで……『後ろ』を頼むと。
■園刃 華霧 >
「ハッハッハ、いいねいいね。
活きが良いのは良いことだと思うよ。」
へらへらと笑う。
そうそう、こういう空気だ。
これがこの世界だ。
「ま、偉ぶってるつもりはないんだけど……そこはいいや。
それで? 信用ねえ……
そこんトコは多分お互い様だとは思うけど」
やれやれ、困ったもんだ、とは思う。
喧嘩して勝つだけっていう分かりやすい世界の話でもない。
「まず、どっからいこうか。
そもそも、まさかと思うけど喧嘩で強いお山の大将ならいいって話でもないだろう?
まさか、そーんなつまらない基準で此処に来たわけでもないよね?」
周りを見回して、声をかける。
一人ひとりの目をみて
■トゥルーバイツ隊員 > 「俺は妹を風紀に殺された」
隻眼の男は短く告げた。
冷たい、凍えるような声色だった。
怒りも悲しみもそこにはない……そこにあるのは、凍てついた冬の湖底のような、憎悪だけだった。
「妹は暴走異能者だった。しかも身体がバケモンに不可逆変化する類のな……リミッターつけたって学生街にはいられねぇ。いけるとしたら到底人間扱いなんてして貰えない隔離校舎だけだ……だから、仕方なく落第街にいたんだ。落第街に居た理由はそれだけだ。たった『それだけ』だったのに……『それだけ』で殺されたんだ。危険な異能者としてな」
男の声色は冷えていた。ただただ、凍てついていた。
淡々と語るその声色に色はなく、熱はなかった。
隻眼の男は……無表情のまま語る。
「この目だってその時に潰されたんだ。笑えよ、たかが片目潰されて気絶してる間に……妹を殺された、情けない男をよ……そんな男が何のために『真理に挑む』のか……まぁ、理由なんてわかってるよな?」
死者の蘇生。死体すら残っていないそれの蘇生。
そんな荒唐無稽、到底不可能な事でも……『真理』に至れば、知れるかもしれない。何とかできるかもしれない。
そんな最後の綱なのだ。最期の望みなのだ。
『それ』に縋って『妹の仇』と肩を並べているのだ。
「でも、アンタは『今より楽しくしたい』とかそれだけの理由で此処にいるんじゃないっけか?」
……隻眼の男は華霧を睨み、静かに呟く。
「……アンタ、此処にいる資格あるのかよ。他の連中はどうだかしらねぇが、少なくとも俺は遊びじゃねぇんだよ」
……悲鳴を、上げる様に。
■園刃 華霧 >
「ふぅん……そういう連中の吹き溜まりだもんな、ここは」
淡々と、男の訴えを聞く。
そうだね、そのとおりだ。
「そんで? ああ、アンタには大事な妹が居たんだ。それはそれは――
お幸せなことだ。
死んだのは確かにお気の毒さんだけどさ。
それに、笑いもしないよ。そんなのは、此処にいりゃ、誰だって経験するようなもんだ。
アンタの望みも……そうだな、凄い深刻なんだろうな」
眼を見据えて微動だにしない
「アタシか?
・・・・・・
アタシには……何もなかった。
親も、兄弟も、頼れるやつも、家も、何もなかった。
いつ誰が産んだんだか知らんけど、気がつきゃ最初っから落第街だ」
憎悪も何もない
ただ、事実を淡々と述べていくだけだ
そこには何の感情もないのだから
「笑えよ、か……
はん、じゃあアンタも笑えよ、アタシをさ。
最初から、何もなかった哀れな憐れなクソガキをさ?」
みじめなみじめな子どもだ
あわれなあわれな子どもだ
いずれどうせくたばるガキだ
だれにものぞまれないガキだ
そうかよ、勝手にしろ
「じゃ、そんな何もなかったやつが何のために『真理に挑む』のか。
なんで『今より楽しくしたい』なのか、わかるか?」
あいも変わらず感情を込めずにしゃべる。
「失えるモンなんて、最初っから無いんだよ。
だからアタシは、『全部』を手に入れるんだ。
これまで、そうしてきた。
アタシは、このクソッタレな人生を蹴倒して『全部』を手に入れるんだ。
そうすりゃ『今より楽しい』だろう?」
眼に鈍い光が宿る
生きていた今までを全てひっくり返す
それが生きているのぞみ
■トゥルーバイツ隊員 > 華霧の言葉に……隻眼の男は押し黙る。
『全部』。
あまりに欲張りな言葉。
あまりに弁えていない言葉。
あまりに具体性のない言葉。
そう聞こえるかもしれない。
そう聞こえてもおかしくない。
だが、しかし。
「……なら、俺はアンタを信用する」
男はそれで、踵を返す。
周囲の隊員が騒めく、男の行動を叱責する隊員もいたが。
「……コイツにとってはそれは『凄い深刻』な事なんだ。俺達と同じだ」
隻眼の男は、ハッキリと告げた。
「本気で願ってるなら、『望み』に貴賤なんてない」
何もなかったと語った少女に。
それを蹴倒すと語った少女に。
男からすれば、それは。
「……日ノ岡あかねとコイツは同じだ」
『納得』するには、十分だった。
■日ノ岡 あかね > そして、直後。
時間にして数十分程度で、あかねは戻ってきた。
「はい、ただいま。話済んだわよ」
あっけらかんと、それだけ言って。
■園刃 華霧 > 「……いヤ、あかねちんサ。
早いトは思ってたケド、早すギない?」
呆れたような顔で主を迎える。
いやほんと早いな……
「早すぎて、アタシの仕事無かったンだけどサー。
ま、楽でキていいケど」
へらへらと、何事もなかったように笑う
■日ノ岡 あかね > 隊員達も何事もなかったかのように撤収作業をこなしている。
あかねはそれを知ってか知らずか、静かに微笑み。
「簡単なことよ。一回『ライムライト』は解散してもらって、衛生的に問題のある食糧の流通だけ辞めてもらうことにしたから」
そう、しれっと言った。
中で具体的に何が『話し合われた』のかは定かではない。
だが……それは確かに折衷案ではあった。
無論、流通上、経済上の問題はまだ残っている。
だが、最大懸念事項は衛生的に問題がある食材の流通によって、疫病などが蔓延する心配である。
それが一度蔓延すれば、落第街だけで堰き止める事はほぼ不可能だ。
だからこそ……生活委員会からも要請が出ていたのだから。
なら、そこだけは譲ってもらい、他はこちらが譲歩すればそれで済む可能性は……最初からあった。
「もしかしたら、新しい違反部活を旗上げされるかもしれないけど……それは私達の知ったことじゃないしね?」
くすくすと、あかねは笑う。
■園刃 華霧 >
「交渉さエ出来れバ、可能性はアったってヤツね。
なるホどなー」
そういう政治的駆け引き、とかなると流石に頭が回りきらない。
ン―、勉強したほうが良いのかなあ、などとチョット思ったり。
まあ、ただ。
それが事実としても……
普通は、簡単に飲ませることなどデキないだろう。
やっぱあかねちん怖いわー
「マ、いいンじゃ無い? もし新しいノ作るンだったラ……
逆に、お零レもらっテいけるカモしらンしネ」
どうせ、違反部活なんて残党さえいればいくらでも出てくるし
そうでなくても芽はあるものだ。
一々気にしても仕方ない。
それに、たしかにそれは仕事ではない
■日ノ岡 あかね > 「どうかしら、逆に私たちの炊き出しの仕事が増えるかもね?」
二ヤりとあかねは笑う。
猫のように。
「もし『下請け』がいるなら任せるのも手だし」
そういって、歩いていく、
仕事は終わった。次の相手は報告書だ。
「それじゃあ、私はこれから庁舎の方行かなきゃだからこれで……またね、カギリちゃん、現場は任せたわ……もう、『此処』は任せて大丈夫でしょ?」
最後に華霧の顔を見ながらそう言って、何処へなりと消えていく。
何処か、『安心』したような様子で。
■トゥルーバイツ隊員 > 「……だ、そうだ。『代行』、指示をくれよ」
隻眼の男がそう声をなげる。
彼も仕事をしながらだ。
「出来るんだろ?」
軽く、笑みだけを浮かべて。
■園刃 華霧 >
「ま、イいんじゃナい?
つマんない雑務振らレるより、少しデも足しニなる仕事にナればサ」
先は長いようで短い。
であれば、お得な仕事だけが回ってくるほうがありがたいに決まってる。
こんなん一人で回してたとか、マジで怖いな
「指示……ねぇ。
正直、ガラじゃナいけど。ま、ソうも言ってラれんネ。」
ひひ、と少しだけ照れたような笑い。
「はいはい、そんじゃ諸君!
我らがあかねちんが無事仕事を終え、『ライムライト』の問題は解決!
喧嘩もなしってことだ。
ということで、さっさと撤収して次に備えよう!
1班、3班中心でよろしく。
これから、まだまだ忙しいし、体には気をつけてネ」
に、と笑い返して指示を出す。
どこか間の抜けた感じではあるが、高圧でもなく
ゆる過ぎもしない程度で。
■トゥルーバイツ隊員 > 「アンタもな、『代行』……オラ、3班! やるぞ! 仕事の時間だ! 1班は『代行』の手伝いをしろ!」
隻眼の男は軽口を叩きながらも、華霧を補佐するようにそう声をあげて、仕事に戻っていった。
その後については、余り語ることもない。
強いて語ることがあるとすれば……『代行』の活躍により、残された現場仕事は恙無く終わったという事。
せいぜい、それだけだ。
ご案内:「落第街 路地裏」から日ノ岡 あかねさんが去りました。
■園刃 華霧 >
「……代行、ネ。
やレやれ……やっぱ……錆……
いヤ、くっツいてルもんは……落とサないトな……」
ポツリ、とつぶやき
仕事に移ったのだった。
ご案内:「落第街 路地裏」から園刃 華霧さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」にエインヘリヤルさんが現れました。
■エインヘリヤル > なぜこんな立地にカフェを出したのかわからないが。
おそらくはあまり表沙汰に出来ない理由があるのだろう。
だが、店が実際にあるのだから仕方ない。
自然とそこに足が向いてしまうのも仕方ない。
というのに、だ。
どうして公も未だに絡まれるのか。
ライオンのたてがみを見れば、それだけでわかりそうなものだが。
■チンピラリアン > 「ずいぶんといい身なりじゃねえか、嬢ちゃん、ああ?
悪いがココは通行料ってもんがあってさーあ」
下卑た笑いを浮かべつつ、エインヘリヤルの雰囲気も理解できず、情報もない、哀れな男は凄んで挑発してみせる
■エインヘリヤル > 「……そうね、まあ今のうちなら見逃してあげなくもないわ」
こんなクズが出てしまっては、カフェの売上に影響が出そうな時点で許せない。
ただ、今なら腕の一本や二本で勘弁してやらなくもない。
まだ、足が残っているうちに許される範囲が安全だと。