2020/08/10 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」にウルトールさんが現れました。
■ウルトール > 落第街の路地裏。
今日も今日とて、事前に指定された違反部活の粛清を行った。
…非異能者のみから成る、取るに足らない集団だ。
それでも、地道に成果を上げながらハードルを高くしていくことに意味があった。
「「………怒りを覚えているのか、この私が。」」
まるで憂さでも晴らすように、それは行われた。
平均心拍数と体温の上昇、アドレナリンの過剰分泌などを認められる、その戦闘データログ。
これを拠点に送付するのはやむを得ないが、何があったか問われるに違いない。
「「…戦闘前に彼の話を、迂闊にするものではないな。
どうやら、時間通りに出撃することが私にとって重要なようだ。」」
多少、遅れてから戻る。そう拠点には伝えてある。
このまますぐに戻ったところで、言い訳一つできそうにないのだから。
せめて熱された頭脳を冷やしてから戻るべきだと判断したのだ。
暗闇の落ちた落第街の裏路地に、黒い甲冑が佇んでいる…
■ウルトール > 「「さて、如何様に時間を過ごすべきか。」」
闇雲に考えても仕方ない。
…録音を切る。ここから先は、また独り言だ。
「「救えるものなど、如何に期待したところで……
お前を救えるものは、決して現れることはなかった。
そうだろう? お前の百年以上の旅路の中で、誰も現れることはなかった。
この世界でも、きっとそうだ。」」
虚空に向かって、言葉を連ねる。
「「お前を救える人は、誰もいない。
お前を受け止められる人は、誰もいない。
言葉で救いを示されたところで、それは何の意味も為さない。
…ならば、耳を閉じてでも前を向いて、生き続けるしかないだろう。」」
■ウルトール > 「「甘言など、救いになるものか。」」
まるで、何度もそれを味わってきたかのように。
「「ならば手筈を示せ、行動で為せ。
それが出来ぬなら、黙っていてくれた方が余程いい。
下手な救いをちらつかされ、僅かでも期待させられてしまう方が、より辛いのだから。」」
あの場では言わなかった、その言葉。
…言ってしまっていたら、きっとあの男はそれでも動くだろう。
だが、自分はそれを良しとしなかった。
そんなことが、できるはずもないから。
余計なことをさせたくないなら、言わない方がよいのはこちらも同じだ。
「「できもしないことを、できると期待させることは、悪辣だ。」」
■ウルトール > 「「……さて。」」
夜空を見上げる。
多少は落ち着いた、独り言の時間は終わりだ。
「「…もう少し時間を潰したところで、拠点に戻るとしようか…」」
後は、まんじりともせず過ごすことと決めた。
落第街の裏路地に、独り。その場に似つかわしくない恰好で…
■ウルトール > 「「ふむ。善き頃合いか。」」
また、ピックアップ用の車両を養成しようと考えたところで、手が止まる。
ここからなら、歩いてだって向えるだろうか。
…たまにはこの恰好で、長距離歩行と洒落込もう。
「「人のことも知らずに、救える救えるなどと…よく言えたものだ。
何事も、まずは知ることから始めねばな。」」
尤も、そんな選択肢を与えなかったのは、他ならない自分なのだけれど。
「「敵を知り、己を知れば百戦危うからず。
…知らなくてよいことも、あるとはいえ。
それは知った上で、捨てればよいことか……」」
独り言をぼそぼそと、歪な声で呟きながら、それは去っていった…―――
ご案内:「落第街 路地裏」からウルトールさんが去りました。