2021/10/20 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」に柊さんが現れました。
■柊 > 路地裏の、壁。そこに背を預けているのはニコニコとした男。
「はい、柊です。ああ、タカハシさんですか
取り立てご苦労さまです。……はい、ウリに回して構いません」
携帯を耳元に当てながら楽しげに会話をしているが、内容は少々物騒。
携帯の向こうからは悲痛な叫び声や、助けを求める声も響いてくる。
「母親は……そうですね。見た目はどうです?」
どうやら、タカハシという男の目には魅力的に映ったようだ。
容姿を褒める内容が聞こえてくる。
「あはは、タカハシさんがそういうならウリに回してください
ええ、ええ。父親の方は斡旋所でいいでしょう」
ニコニコとした笑顔は変わらないが、機嫌が良さそうだ。
だが、ふと笑顔が消える。
「風紀委員のネズミ共には気をつけてくださいね
あいつらは小さな事でも嗅ぎつけてきますので」
「後は任せました」そうタカハシに言った後、通話終了の文字を押し
笑顔を戻してため息のような、深い深い息を。
■柊 >
「金、金……世の中は結局金ですよ」
そう、結局の所全てを牛耳るのは金なのだと、そう確信した呟き。
恨まれようが知ったことか、罵詈雑言なんぞは当たり前だ。
そんなことはどうでもいい、一番に気をつけるべきは風紀委員のネズミ共。
あのネズミ共はいつもいつも、邪魔をする。
「いつか、金で駆逐してみますかねぇ」
そんな野望を、一言。
いつか、裏が表を食う時が来る。
そう信じる男は路地裏から、姿を消した。
ご案内:「落第街 路地裏」から柊さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」に角鹿建悟さんが現れました。
■角鹿建悟 > 落第街に自ら好んで足を踏み入れる者は少なくない…多くもないだろうが。
かくいう男も、自ら足を踏み入れている一人だがそれはれっきとした『仕事』でありとある『約束』を守り続ける為に。
生活委員会の一般委員――そして、表裏問わず直す物があらば何処にでも出向く『直し屋』。
真っ当な人達から見れば、わざわざ落第街やスラムにまで修理修繕に出向く命知らずの変人。
そういう目で見られるのは承知しているし慣れ切っている。己はただ直し続けるだけ。
この街は――あちら側よりも直す事に事欠かない。
例え直してもあっさり台無しにされる事も少なくない。
ましてや、建物など仮に直しても”諸々の理由で”破壊されるのがオチだ。
それでも、無駄と徒労と分かっていても止める事だけは無い――足は止めたくないから。
(……そこそこ立ち直ってきたとは思ってたんだが。)
過去の苦い挫折の一幕が脳裏を掠める。落第街のありふれた路地裏の一つを工具箱片手に進む。
地味に律儀にこつこつと。毎日毎日こんな事をしていれば、多少は名前も知れてくる。
別に名声に興味は無いし、そもそも多少知る人が知るだけで有名人とは程遠い。
既にもう何件か依頼や個人的な修理修繕は終えている。多少疲労感はあるがそれも慣れている。
勿論、場所が場所だ――戦闘能力は大した事が無い男だが、自衛の手札くらいは幾つか持っている。
それでも、…だからこそ油断は出来ない。常に気を張り詰めていなければならない。
■角鹿建悟 > そもそも、やっている事はただの徒労だ。
どれだけ直しても、どれだけ優れた修繕能力を持ってしてもあくまで個人の力。
広いこの街を隅々まで直す事は絶対に無理で、何か自分に得がある訳でも無い。
ただの自己満足…なのだろう、おそらくは。それも流石に分かっている。
「……次の十字路を左…そこから、直進して三叉路を右、か。」
流石に毎日足を運んでいれば、土地勘も少なからず養われてくるものだ。
それでも、昔から住んでいる者やこの街で生まれ育った者に比べればまだまだだが。
次のルートを独り言のように呟きながら、ロクに明かりも無い路地裏を歩きつつ。
「………ああ、今夜は満月か。」
ふと空を見上げた。狭い狭い路地裏から見える夜空。煌々と輝くまぁるい月が見える。
…前と違って周りや自分を省みない行いは減った…と、思う。
休める時はきちんと休んでいる…偶に無性に何かを直したくなる衝動はあるが。
「……大丈夫…多分、以前よりはマシにはなってる筈なんだ…。」
その呟きは何処か己自身に言い聞かせるかのような、少々心許ないもので。
■角鹿建悟 > 人を”大将”と呼ぶ風紀の女に諭された事がある。誰かと向き合うよりまず自分と向き合えと。
…その通りだ。けれど自分自身との向き合い方が未だによく分からない。
目を逸らし続けてきて、我武者羅に直す事ばかりを優先して、避け続けてきた。
「……向き合って、そこに”何も無かったら”…正直怖いな。」
十字路に到達…迷わず左に曲がる。後はこのまま三叉路までは一本道。
周りに誰も居ないせいか、つい独り言や普段口にしない事をつい漏らしてしまう。
それは弱さであり、辛さであり、当たり前に皆が持っているものを吐き出すように。
それすら、少し前までの自分は出来ていなかったのだろう。
どれだけ歪だったのかをまざまざと見せ付けられている気分にもなる。
だが、それと向きあって自分なりに納得する答えを得なければきっとこのまま変わらない。
何処かのシスターはゆっくりでいい、とアドバイスをしてくれた。
でも、ゆっくりと…マイペースに、というのが自分は中々出来ないらしい。
ご案内:「落第街 路地裏」に角鹿建悟さんが現れました。
■角鹿建悟 > 今の所は何事も無くルートは順調に進んではいる。
気を抜く事はしないが、自然と吐息を一つ密やかに漏らして。
幾ら自衛手段がある程度あろうと、そもそも角鹿建悟という男は戦いには”向いていない”。
明かりが無い路地裏も、満月故か僅かながら月光が照らして進む先を示す。
もう少し歩けば三叉路…あとはその三叉路の右側を進めば次の依頼場所だ。
「……変わり者の生活委員も、少しは受け入れられているのか。」
はたまた、体よく扱き使おうとしているか無駄な事をやっている男を嘲笑う為か。
思う事が無い訳ではない…が、結局の所。男が出来る事もやる事も一つしか無い。
三叉路に到達すれば、そのまま右へ…ここからまた直進すれば、後は一本道で開けた場所に出る筈だ。
右手に提げた工具箱を一度持ち直す。能力だけでなく最近はこういう工具もちゃんと使っている。
■角鹿建悟 > そのまま何事も無く、路地裏を抜けて――次の現場に何時ものように向かうのだろう。
ご案内:「落第街 路地裏」から角鹿建悟さんが去りました。