2022/01/19 のログ
紅龍 >  
「単純な構造は、それはそれで頑丈で信頼できるんだけどな。
 オレはどっちかってえと、そういうシンプルな方が好みではある」

 とはいえ、ライフルの方が運用できる幅が広い。
 そうなると、やっぱり使い馴染んだこいつが、多少不便でも信頼できるってわけでな。

「お前、ほんと遠慮ねえなぁ」

 怖いもの知らずか。
 わりと好奇心そのままに触ってるような様子を見て、苦笑が漏れた。
 返された弾を受け取りながら、『ああ』と唸る。

「いや、この島ではまだ見た事ねえな。
 これはなんだ、オレの故郷で使ってた軍装なんだよ」

 軍から逃げるときに、色々とくすねて来たわけだ。
 装備がないと、オレみたいなヤツはクソの役にも立ちやしねえからな。

「異能なぁ、ありゃあよかったんだが。
 生憎無能でな。
 魔術の素質もからっきし。
 昔から、『これ』しか能がねえんだよ」

 ライフルに弾を込めなおして、肩に背負う。
 さすがにあまり遊ばせすぎるわけにもいかんだろう。
 残念ながら、玩具としてはあんまりいいもんじゃねえ。

「お前の方はどうなんだ?
 この街でそんだけ小奇麗にしてられるって事ぁ、それなりの異能でもあんだろ。
 それとも、種族からして違うタイプか?」

 雑談ついでに、ガキの方の身の上も聞いておこう。
 どうも害意があるようなタイプにゃ見えねえし、お手てを繋いでおいた方がよさそうだしな。
 

リスティ >  
「あー、道具はシンプルのほうがいいよね。剣とかわかりやすい」

シンプルで頑丈。なんとかニコフもたしかそういう銃だった。

「遠慮しても特に得られるもの無いしね」

けらけらと笑った。

「……あ、外の話なんだ。
 ここが特別ってわけじゃないんだ……」

世界自体が変わってしまったのは資料で理解していたが。
こうして話を聞けば、目分の生まれの地も無事では無さそうだな…とすこし実感する。

「へー、無能で魔術も無し。
 ん?ってことは"純"人間?」

目つきが少し変わったことに気づくかもしれない。
もう、背負われていくライフルには視界に入っていない。

「そ、私は吸血鬼。異能の類はないけど」

隠そうともしない。なぜなら。

「って聞いてさ、私が今何考えてるか、わかるかな?」

考えてることを伝えるのが簡単だから。

紅龍 >  
「そうそ、お外の話。
 まあこの島は特別に特別だけどな。
 お外も大概ってなもんよ」

 なにせ、この島と違って秩序がない。
 バケモノと人間はやりあってるし、異能者と無能者で差別しあうし、魔術が使えるかで待遇も変わる。
 世界の有り方が変わっちまった中で――まだまだ人間の精神はその変化についていけてねえわけだ。

「――ははぁん、吸血鬼」

 なるほど、そりゃあこれだけ自信満々に堂々としていられるわけだ。
 怪異と言われる存在の中でも、知名度も含めて格別の上位存在だ。
 もちろん――殺した数もその分多いが。

「んだよ、腹減ってんのか?
 あんまり節制してっと、吸血鬼ったって弱るだろうに」

 言いながら、少し考える。
 さて、ただ献血してやってもいいんだが――。
 

リスティ > 「……んー、そっか」

故郷を尋ねるのは、当分先の話になりそうだ。
もう少し色々と知らねばなるまい。
昔ほど特別ではなくなってしまっているのだ。

「それも結構高位の方」

それにしては、かなりフレンドリーである。自称なので聞き流して良い。
ただ、風格はあるように見えるかもしれない。

「んー、まぁ少し減ってるかな。
 結構燃費はいいんだけどね、2ヶ月近くは……ちょっときつい」

正直に言う。視線も正直に首筋を見ている。
多分脅すとかよりも、こうしたほうがいいと理解しているのだろう。

「あ、眷属化とか感染とかそういう心配はないよ。
 むしろちょっと心地いいぐらいあると思う」

紅龍 >  
「――おう、食う気満々だな?」

 今まで殺してきた吸血鬼に比べて、随分と親し気だ。
 まあ友好的でいてくれる分には大層ありがたい話なんだが。

「別にその辺心配はしてねえよ。
 それなり以上の吸血鬼ならその辺のコントロールは出来るもんだ。
 血を吸われるのも――まあ、経験はそこそこあるしな」

 なんせ、吸血鬼を半年かけて篭絡させられた事もある。
 最後は――まあ殺したんだが。

「んー、食わしてやるのは構わねえが。
 オレがここで血をやっても、お前、また腹減るんじゃねえか?」

 落第街でうろうろしてるって事は、残念ながら財団による支援も受けられてないだろう。
 となれば――無差別に襲うでもなけりゃ、また飢えるのが目に見えてる。
 

リスティ >  
「まあね」

けらけらと笑う。
共存を考えられない吸血鬼は、20世紀でかなり淘汰されてきた。
と、リスティは考えている。

「知ってるなら話は早いね。
 ……そりゃまあ、お腹は減るものだよ。
 不死とはいえ、生きてるわけだし」

指を口に添えて考える。

「その時はまた人から貰えばいいし、問題ないんじゃない?
 最悪普通に食事とってもいいし。効率悪いけど」

紅龍 >  
「まあ――それでも何とかなるんだろうけどよ。
 どうせなら、保険とかかけておきたくねえか?」

 防護スーツの襟を緩めて、首筋を出す。
 どうやら御多分に漏れず、首筋からの吸血が好みなんだろう。
 まあ視線が飛んできてたからってだけで、別にどこでもいいのかもしれんが。

「献血するのは構わねえよ。
 まあ貧血にならん程度にしてほしいが」

 健康に関しちゃ、妹のおかげでかなり管理されている。
 血液の状態も、栄養状態も悪くはないはずだ。
 それに、『タバコ』吸ってたからな。
 オレの血液は、吸血鬼に取っちゃかなり美味いらしい――まあこれは昔の経験からの推測だが。

「お前、オレの手伝いしねえか?
 そしたら寝床と――定期的にオレの血を分けてやるぜ」

 懐から鍵を一つ取り出して、提案をしてみる、が。
 さて、なんて答えてくれるかね。
 

リスティ >  
「貧血は多分大丈夫だよ。"普通の"人間の程度はわかってるから」

ここまでそれが通用しなかったのだから困った。
特別飢えているわけではないので、顕になった首筋に視線が釘付けになったりはしない。

「それで……それはつまり、私を……吸血鬼を飼おうって事?
 ふふ、残念だけど、そうはいかないよ」

にやりと笑う。怒ってはいない。
掴みをするりと躱すような感じだ。

「ま、お手伝いするのはいいんだけど。
 血の対価にお金になる物は渡すつもりだったし、どうせ暇だし、ね」

紅龍 >  
「くく、飼おうなんざ、大それた事考えてねえよ。
 単純にさ、お前さんをほっぽり出すのも気が引けたって話だ」

 ぽい、と鍵を投げ渡す。
 鍵に記されているのは、落第街の中でもまともに運営されてる、上等なホテルの部屋番号だ。

「別に使っても使わなくても構わねえよ。
 手伝いをしてくれるってんなら、それだけでオレは十分だ」

 ほらよ、と首筋を指先で叩く。

「安心しろ、吸った後で無理難題を頼むなんてことはしねえからよ。
 本当に、ちょっとした手伝いをしてもらう程度だからよ」

 好きに吸いな、と首筋を見せる。
 さて、オレの血はお気に召してもらえるかね。
 

リスティ >  
「別に心配されるような存在でもないでしょ」

そういう子供の外見に威厳はあんまりないが。

「おっと……まぁ、それじゃ預かってる」

放られたらキャッチせざるを得ない、片手でパシっと受け取った。
現状、学生証がないのだから、大体のところは利用も出来ないか、あるいは変な所かだ。
後日部屋に入った形跡はあることだろう。

「……それじゃ、いただきます」

すうっと滑るように近寄ってきて、首筋に手を添え、優しく口付けの感触。
実際は牙が突き立てられているが、痛みはないだろう。
あるとすれば、血の抜ける感覚と、嚥下に伴う振動だ。

紅龍 >  
「おう、貰えるもんは、貰っときな」

 そして、首に感じる柔らかな感触。
 痛みがないどころか、確かにこれは――ちょいと心地いいな。
 自分で高位の吸血鬼を名乗るだけあって、食事の仕方も上品なもんだ。

「――しかし、小せえ体だな」

 体格差の関係で、少しばかり背伸びさせる事になっちまうか。
 背中に手を回して、抱き寄せる。
 これで少しは飲みやすくなんだろう。
 

リスティ >  
「んく……んん……」

少しずつ飲み下しながら、時折手や視線が動いて、体調の変化を伺っている。
過去に吸血経験があるのなら、これはかなり丁寧なものであると感じることだろう。

回された腕に驚くこともなく、軽く体重を預けた。
といっても浮遊可能な身、重さは殆どないようなものだが。

「ぷは……これぐらいで、大丈夫」

しばらくして、口が離れる。
抱き寄せられた格好のまま、首に腕を回した。

燃費がいいと自負するだけ有り、控えめの量だ。
牙による傷跡は、すでに塞がっているだろう。

紅龍 >  
「――んぁ、なんだ、もういいのか?」

 一応自分のバイタルはモニターしてたが、それにしても控えめだ。
 たしかに燃費がよさそうだ。

「よしよし、お上品なお嬢さんだな」

 抱き寄せた腕で、背中を撫でる。
 悪くない抱き心地だな。

「そんで、どうだったよおにーさんのお味は。
 これでも健康にはかなり気を使ってるんだぜ」

 小さな背中を、とんとんと撫でながら聞いてみる。
 が。
 こんな事してたら、プライドの高いやつだったら殺されてるなオレ。

 

リスティ >  
「体小さいしね」

飲みすぎよりはよほどいい。

「こうみえて200歳なんだけどね」

少し紅潮した表情で見上げる少女は、子供扱いされても怒る気配はない。
見た目は子供なので仕方ないし、自身もそれを利用しているフシがある。

「ん?うん。美味しかったよ。
 申し分なし。確かに健康的な血だったかな?
 これからも健康維持を続けるよーに。

 ドロドロの血も別に嫌いじゃないけどね。あっちは欲に生きてる味って感じ」

急に上から目線。

紅龍 >  
「まじかよ、流石は吸血鬼。
 見た目じゃやっぱわかんねえなぁ」

 なんて言いながらも、子ども扱いして撫でてるんだからオレも大概だな。
 まあまあ、庇護欲ってやつを擽られんだから仕方ねえだろ。
 オレに娘がいりゃあ、これくらいの年恰好でもおかしくねえんだしさ。

「りょーかい。
 はは、さしずめ、ジャンクフードって感じだな」

 となると、オレは健康食か?
 いや、美味いって事だし、それなりのコース料理くらいではあんのかね。

「よし、そんじゃ、口約束だが成立って事で。
 オレは紅龍《ホンロン》、用心棒をやってるよ。
 お前さんは?」

 ひょい、と抱き上げて、膝の上に座らせる。
 怒られないのをいいことに、我ながらやりたい放題だな。

 

リスティ >  
「ま、これぐらいのほうが警戒されにくしい便利ってもの」

存分に利用していく。
不老である故に、精神性も子供寄りの気がするが、きっと気の所為。

「ジャンクフード……ああ、たしかにそうかも。脂っこいし。
 人間ってそういうの好きなんでしょ」

けらけらと笑う。ほんのり上から目線。

「ん、まあ出来る範囲で応えるよ。
 ホンロン……中華系っぽい響き。私は…リスティ。フルネームは秘密。
 教えない理由はなんとなく察しがつくと思う」

されるがまま、膝に座った。腕は回したままだ。
子供の容姿じゃなかったら、傍目から見れば勘違いされかねない。
落第街という場の都合上、子供でも勘違いされそうな気もするが。

紅龍 >  
「たしかに警戒はしねえなぁ」

 まあ見た目以上に、多分性格がデカい気がするが。

「オレは苦手だけどな。
 脂っこいと腹壊すんだよなぁ」

 人間って括られると、ちょいと困る所だ。
 まあオレが特別虚弱ってのはあるんだが。

「おう、必要な時は力を貸してくれ。
 まあしばらくは頼む事もねえとは思うが――」

 まあそれも、この後オレが失敗しなければの話だからな。

「ご明察、中国産まれだよ。
 リスティね――ああ、構わねえよ。
 呼び名が分かれば十分だ」

 この状態、知り合いに見られたらなんて言われるかねえ。
 子供とじゃれてるように見えるならいいが――まあ、妙な勘違いされても困りはしねえけど。

「よし、そんじゃあリスティ。
 どうせ暇なら、このまま買い物にでも付き合えよ。
 闇市とか、なかなか面白いもんが転がってて、いい暇つぶしになるぜ?」

 そう、腕を回されたままなら、そのまま膝裏に手を回して、片手で抱き上げ立ち上がる。
 

リスティ >  
「まぁ、みんながみんなそうじゃないことは知ってる」

吸血鬼にもいろいろ居るし。

「中国かぁ……ふむ」

先程聞いた話を思い出しながら、記憶の地理と照らし合わせたりした。
考えるのは生まれ故郷のことである。

「ん、私は構わないけど。そっち休憩戻りとか大丈夫なの?」

一応心配しておく。
なお、抱き上げられるのには抵抗しないし、
腕も解かないのでそのまま連れていけるだろう。

紅龍 >  
「ん、なんだ?
 外の事に興味があんなら、知ってる事なら話せるぜ」

 抵抗されねえし、このまま連れてくか。

「おう、今日の仕事は終わってるからな。
 あとは、今日の食いもん買って帰るだけだからよ」

 せいぜい、妹への差し入れでも探すくらいだ。
 暇なのはオレも同じ。
 まあ、その暇がオレには嬉しいもんなんだが。

「そんじゃ、改めてよろしくな、リスティ」

 出来れば、長い付き合いにしたいもんだ。
 

ご案内:「落第街 路地裏」から紅龍さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」からリスティさんが去りました。