2023/06/28 のログ
■挟道 明臣 >
「あっ、おい……」
去るスティールバイソンの一味に向けて、声が洩れる。
正しくはその背に這い迫る散った枝葉の群れ。
感じた闘争の気配に踊り狂うソレに、強く意思を向けて留める。
ある種の防衛本能として働いたそれらの不服そうなざわめきを抑えこんで、一息。
後回しにしたものが、追い迫る。
「っ痛ってぇぇ……!」
どこが、とかではない。
受け止めた衝撃、破砕された左腕。
痛みに対する全身の訴えが、噛みしめて耐えた奥歯から漏れてきた。
「ふざけろアイツ、ダンプカーに轢かれるほうがまだマシだぞ!」
引いてくれた事に感謝する他ない、ただ口からは恨み言が溢れる。
吐き出して、痛みを堪え、そうして数分――
ようやく、怯えに怯えた少年と目があった。
「あー……」
放り投げられたままの金の入ったバッグと少年を交互に見やって。
生身の右手でその脳天に拳骨を落とす。
死なないだろうが、死ぬほど痛い程度に力を込めて。
私情で庇ったが、全面的に悪いのは眼前の少年に他ならないのだから。
■少年 >
「いっっってぇ……!!」
頭を抱えて悶絶する。
痛い、痛い痛い痛い!!
「なんなんだよぉ……」
■挟道 明臣 >
「なんだじゃねぇ」
「この街でどっちが悪いだとかンな話はねぇが、
相手が誰だろうとお前がやったのは褒められる事じゃねぇ」
悶絶する胸倉を掴んで、額を叩きつけんばかりに引き寄せて。
「言ったろ、お前を買うってな」
「お前の姉さんの治療に必要な金を出してはやるが、全額前借りでタダ働きだ」
彼の行いには負うべき咎がある。
それを無かったことには、してやれない。
■少年 >
「う………」
彼がいなければ、ボコられてさらなる犯罪の片棒を担ぐことになっていた。
それは間違いのないことで。
「姉さんを治すなら、なんだってやるよ」
そう言って服の埃を叩いて。
「異能は……爪を刃物や鍵にする程度だけど…」
と言って彼についていった。
■挟道 明臣 >
「異能? ぬるい事言ってんなよ。
んなもん使って楽できるような事させる訳ねぇだろ。
肉体労働だ肉体労働」
後ろを付いて歩く少年に振り返りもせず言い放つ。
んなもんが役立つような事をさせれば、結局死なせるハメになるだろうが。
「なんでもやるっつったんだろ。覚悟決めて静かにしてろ」
後ろで聞こえる悲鳴じみた声を無視して端末を指先で叩く。
懐かしい番号、数年ぶりにかけた電話は変わらず数コールの内にはい、と言葉を返して来た。
「あー、久しぶりだな『アンティーク』」
「ちょいと金庫を見繕って欲しくてな。
とびきり頑丈で、そんでもって洒落た奴を頼みたい」
――プレゼントなんだ、良いのを頼むよ。
盗られた金を納めた金庫が、あのガタイの良い男に届くのは数日後になるだろうか。
ご案内:「落第街 路地裏」からスティールバイソンさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」から挟道 明臣さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」に寝刀シロさんが現れました。
■寝刀シロ >
「……ヨシ、ここまで問題なく踏破」
追跡もなし」
一昨日夜。落第街とスラムの詳細なマップを手に入れる為
落第街へ赴いたものの、望まぬ遭遇戦が発生
結果として目的のものは得られないまま退却
今日はその再トライというわけで
(……あれは数字“キルスコア”に入るか
微妙かな。一回殺したと判定して初スコア扱いか
完全に殺したわけではないからノーカンか)
さすがに昨日の今日で再び遭遇はないだろう多分
万が一会ったら、さっさと逃げようと方針を固めておく
現状の戦術で殺し切れるか怪しいし
目的の地図屋はもうすぐだ。
■寝刀シロ >
かくして寝刀シロは目的の売人が潜む路地裏に到着
件の人物は確かに赤、緑、黄色、青の帽子を被っている
窓というのも情報通り
……ただ何より目を引いたのは四色のカラフルな“G”
私にはそれが、とても
実にとても見覚えのあるマークのオブジェで
なんでか知らないが其れは其処にあって
Gの字を視界に収めた私は自分でも想像できない様な表情に為った気がした
ついでに酷い脱力感も沸いてきた
誰かに攻撃されたとか術を掛けられたとかではなく
こう、これはいわば自分の心の問題というか
自らの知識に起因するとも言うべきもので
『……“神に質問を、信徒のみが知る呪文を唱えよ”』
「…………… おーけーぐぅぐる」
『……ブツはこっちだ、こっちへ来な。』
イヤ、合言葉Go〇gleかよ
なんで合言葉をソレにした?まさか売人全員、音声入力式か?
この分だと次の暗号は『HeySi〇i!』だのになってそうで
そんなのいやだなーおい、不意打ちで耳に入ろうものなら
噴き出しかねない、勘弁してほしい。
嗚呼、声に出してツッコミたい。なんでその暗号にしたと
それはもう腹の底から思い切り高らかに響く程に
だが今私が飛び込んでいる、今生きるこの世界は異能と魔術が交差する
明日も我が身の存在が確かかもわからぬ大分末法な現代ファンタジー。
ハジけてボケてツッコミで回せる不条理ギャグワールドではない故
独り心の中で其れを押し殺すしかないのであった。嗚呼ストレスが
この気持ちを共有できる人間は恐らく此の常世にはいない
売人の様子からしてフザけてるわけでも茶化してるようでも一切なく
大真面目にその暗号なんだろう。
売人氏と私の温度差がひどくて風邪を引きそうだ。
マスクしていてよかった。おかげで引き攣ってる表情がほとんど見られず済む。
(…誰に共有しようもない心理的なダメージこそ負いましたけど
これで目標は一つ達成、ですかね。)
■寝刀シロ >
売人氏との交渉は特に問題も無く終わった
異空間から取り出し対価として差し出した金品に一体どこから出した?と
怪訝そうな視線こそ受けたような気がする
特に詮索をされるわけでもなく、地図のデータを渡される
端末を起動して確認……偽りなく目的のものであることを確認
特にその後は特筆するようなやり取りもないまま
取引場を後にする。
……次はGのオブジェが青い球体に狐っぽいのがまとわりついてるのに
変わってたりして。
( 目的は達成。例の機械人形の気配もなし
……と為れば一旦帰還するのがベスト )
ただし来た道をそのまま戻るのではなく
途中まで別の道を歩く方針
まるっきり同じ道戻ろうものなら
その道にて再度自分を見た人間が
怪しみ因縁をつけるのではないか
自意識過剰、被害妄想めいた警戒心
■寝刀シロ > (にしても、あの機械人形は一体
考えられる線として。研究区に手掛かりとか──)
説1:常世島で開発されていた戦闘マシン。其れが逃げ出した(有力:研究区)
説2:常世島の外界から流れ込んだ、或いは送り込まれた?
説3:そもそもこの世界の存在ではない。自分と同じ異世界由来。
(…何所から来たかより、どうやって完全無力化までもっていくか
それが問題ですけれど。それを探ると出所から漁るのが有効そうで
ああ会いたくないというのに備えなければならない
二律背反というものですか)
間違ってなければ