2019/02/14 のログ
ご案内:「スラム」に天導 シオンさんが現れました。
天導 シオン > 街はバレンタインで大賑わいだった。
大きな木が聳え立つその下のベンチには、なんともお熱いカップルがいた。公園に行けばそこも同じ。
どうやら、どの世界でもこの行事においてやっている事は変わらないらしい。
そんな二人組の熱気と、独り身宛て無しの自身との温暖差が激しく、避難して来たように流れ込んでは来たのだが

「いや、ここまで寂れた場所に来るつもりは無かったんだって…!」

次第に人気が少なくなってきた、そこから奥へ進んでみれば、今までの華やかさからかけ離れた寂れた場所へ。
赤子の悲痛な泣き声。酒に酔った男の野太い声、鬱陶しそうに片耳を押さえて突っ立っていた。

天導 シオン > とん、と腰あたりに何かぶつかってきた様に感じた。
そそくさと去ろうとするのは、10にも満たなそうな子供か。果たして何をしようとしていたのか理解出来たみたいで、その子供の後ろ襟を掴んで軽々と引き寄せた。

「バレバレだっての」

はじめは酷く叱り付ける予定だったが、顔色がよろしくない。やむを得ず悪事に走ったのであろうか、言及しても聞き取れない声で頷くばかり、ため息を吐けば

「二度目は無いからね。というか。ここに寄る用事が無いし…」

上着の内ポケットから長財布を取り出して、それでこつんとその子供の頭を叩いて、それから中身を開いた。
結局用件は分からず終いだが、適当に小銭を取り出してその子の手を無理に開けば、握り締めさせて。
それから手で追い払いはしたが、何やかんや言って姿が消えるまでは見守った。

天導 シオン > しまった財布は再度内ポケットに直すが、ぎゅっと腕で引き締めるように大切に保管している。
引き返そうとその場から背を向けた瞬間。直ぐ近くで今度は破裂音が聞こえた。
中身の入った割れた酒瓶、そして怒号が響き渡っていれば民家の前であるにも関わらず、泥酔したチンピラ同士の喧嘩か。
胸倉を掴み合って、忽ち殴り合いに。
それを観て愉しむ者もいれば、静止出来る怯え留まっている住民もいる。

お互い酔いが回り、感覚器全てが大分麻痺しているのか、出血しても平行線だ。やがて、片方がするりと取り出したのは…間違いない、ナイフである。

天導 シオン > 流石に悲鳴が響き、気分良く傍観していた野次馬も興奮した男を宥め始めている。
そんな軽いパニックに紛れ込んで、野次馬を描き分けるようにして自身が移動する先は、ナイフを持ったチンピラの傍。一般人に紛れ込んで野次馬を装っている。
止めるなと言わんばかりに、そのチンピラは先端を周囲に向けて威嚇した後、腕を引いて対面した相手に向かって、真っ直ぐ突き刺そうとした。
その瞬間を見計らったかのように、その裾を思いっきり引いて阻止し、それでも凶器を落とさないのならば、手刀で叩き落す。
相手の口が動く前に棍の如く振った拳を硬く握って首元へ。鈍い音と共に、平衡感覚を失って倒れたチンピラ。
対面している男にも、有無を言う暇も与えず同じ手法で殴り倒した。

「静かに!」
野次馬も纏めて睨みつけて一喝。不意を突かれて周囲がしんと静まれば、ずるずると気絶したチンピラ二人を引き摺って進路の邪魔にならぬように、適当な施設の陰で眠らせておくことにした。

ご案内:「スラム」にフィフティーンさんが現れました。
天導 シオン > この短時間で酷い事に足を突っ込んでしまった。そう後悔している頃には力づくで収束間近。ふうっと額に手を当てて嫌な汗を拭う。
そして顔を上げてふと横を見れば

「あっ、あ~…こんばんは」

恐らくお仲間だろうという厳つい男が複数名。拭ったはずの汗がまた一瞬にして噴き出した気がした。
今足下にいるのは、気絶した男の一人。弁解の余地が無いのは明らかである。
暫くその場で硬直したのち、不自然な笑顔とたどたどしい挨拶。会釈と同タイミングで足を後ろに引いた後、直ぐに背を向けて全速力で走り去った。

フィフティーン > バラックの屋根からバラックの屋根へ。
やや鋭角的であるものの蜘蛛と形容できる形の
小型マシンが独特の駆動音を奏でながら宙を飛ぶ。
いつも通りの監視任務だ、
落第街のバランスを乱すものが無いか監視する。
モノアイが捉えられる視界の範囲は広く、
高速で移ろいゆく景色を一コマ見逃すことなく認識する。

するとその中で気になるものを見つけた、誰かが誰かに追いかけられている。
それだけならば、スラム街では良くあること。
一々確認するまでも無いが、
今回に限っては追いかけられている対象がどうも不自然だ。
捉えた姿からしてまず落第街の住人ではない。
それが追いかけられ捕えられようとしている事は
落第街のバランス保持に関わる問題だ。

そう結論付けたロボットはジャンプの踏み台にする
バラックを修正しその少女の逃走劇へと近づいていき
最終的に少女と追手の中に割り込む形で着地する。
追手をせき止める形になるが逃げる少女にも
無機質な男性のものと認識できる合成音声でこう声を掛ける。

<逃亡する対象へ通達します、止まってください。>

天導 シオン > 「ええっ?つまり…、私?」

集団からすれば一人の女学生。この大人数からは逃げられないと踏んでるのか、自身のスタートにワンテンポ遅れる様な形で、全速力で追ってきた。
止まれという怒号に、一切聞く耳は持たず軽やかな足音とそれに続く乱暴に地を蹴る音がスラム街に響き渡る。
逃走劇を始めて5分程度だろうか、相変わらずしつこく追い回されてはいるが集団は数人欠けてる様にも見えるし、息が上がっているのが表情から確認出来る。
振り払えると余裕の表情を見せた矢先に、今度は何か鉄塊の様な物が降り、自身と集団を遮るように着地した。
騒然とする中、聞き慣れない機械音に自身を指さしながら首を傾げた。