2019/02/15 のログ
フィフティーン > <そうです、アナタです。>

彼女が自身に反応すれば念を押すように言葉を返す。
今の場合、重要で気にするべきなのは追手ではなく
現時点で詳細の分からない彼女の保護だ。
声掛けは彼女に対して行われているが
状況に対応するために機体の向きは男たちの集団へ。

<コチラは風紀委員会です。
警告、私の後方にいる女性は保護対象です。
速やかに行動を中断し戻ってください。>

煩く足音を響かせる集団に対して
感情など入っていない淡々とした声で勧告する。
止まり戻れば対応完了、止まらなくても対応策は
幾らでもある。

天導 シオン > 「風紀委員?聞いたことあるな…」

どうやら拘束とか、相手側の用いた最終兵器というわけではないらしい。
その組織名を聞いて、敵ではないの判断した後、素直に足を止める。
対して、その言葉を聞いたからなのか、集団は苦虫を噛み潰したような顔を浮かべてたじろいている。

「でも、保護っていってもこれから私どうなるのかな?」

しかし、この街にそのような施設が果たしてあっただろうか、中心部すら確認出来ておらず、地理はいまいち。
そして、多方向から追って等が駆けつけては来ないか、耳を澄まして未だ警戒にあたっており。

フィフティーン > <状況の解決を確認。>

勧告に対する追手の反応を確認した。
どうやらこれ以上距離を詰める様子も無ければ
攻撃してくる様子もない模様。
対象を無力化したと判断し少女の方へと振り返る。
蜘蛛を模ったようなその四足マシンは
少女の膝元まであるかどうか程度の高さ。
青く光るモノアイが彼女の蒼い瞳をじっと見上げる。

<落ち着いてください、保護には手順があります。>

まずは沈静化を促す。
どうやら彼女の周囲に対する警戒の姿勢が
此方へのものと誤認してしまっているようだ。

<私は風紀委員会所属のUQL-1500S。
フィフティーンと呼んでください。
名前と落第街への来訪目的の提示を要求します。>

彼女は一見では表の学生であるようだが
この場所にいる以上、マトモじゃない可能性も
大いに考えられるために
自分の情報の提示と共に相手の情報の収集を試みる。
場合によっては対処の方法を変えなければならない。

天導 シオン > 「しっかし、このボディ…なんかぞわっとするなぁ」

暫く追手と睨めっこを始めている最中、しっとフィフティーンのつくりを見ている。
メカに関する知識はさっぱりであるが、その蜘蛛に似た身体は背筋を凍らせるものがある。
虫の類ってのは、何時になっても嫌悪感が出てしまう。

「え?ああ、フィフティーンっていうのね?
私は、天導 シオン。目的はー……町中のカップル連れを見てむしゃくしゃしてたらここに流れ着いた。
これ言う必要ある?」

機械としてのモデル名か、バージョンを指しているのだろうか
さっぱりなので、相手の言う通りフィフティーンと呼ぶことにする。
相手の聴取に隠すことなく名前は名乗るが、目的を聞かれれば暫くフリーズした。嘘だろと言うようにばつの悪い表情まで浮かべた。
暫く黙り込んだ後に、恥ずかし気にそう述べた。
そして、理由をごまかす様に畳み掛ける口調で問いかけて

フィフティーン > <恐れる必要はありません。現状、私はアナタの味方です。>

体温から彼女が一種の拒否反応を示している事を
感知した。
それを恐怖と捉えた機械は彼女を安心させるため
その言葉と共に手に相当する頭部の二本の触肢の片方を上げると
軽く上下に揺らし握手を試みる。
肌触りは硬いものの柔軟性のあるセラミックのものだ。

<天導 シオン・・・、照合完了。
一年の学生ですね。はい、目的は重要です。
しかし、むしゃくしゃとは何ですか?>

学園のデータベースに繋げば彼女の情報は
一瞬で検索出来た。前科の無いまっとうな学生であるのは
どうやら事実であるようだ。しかし目的を聞いた時に
不自然な間があったのとその内容に疑問を持ち
頭部を少し傾ける。

天導 シオン > 「うわぁ、バレてる…。あはは、よろしく…」

先入観はそれでも簡単に払拭は出来ない。
安心させる為に求めた握手、これによるそことなく触覚くさい触肢に手を振るわせて、笑顔は強張らせている。

「うっぐう!」

何やら調べ物をしているみたいだ。しかし、それも瞬時に終わり、この世界の化学力に感心を見せた。
問題は次、まさか理由を聞かれるとは思わず、どきりと胸が大きく脈打った。
幼稚な理由を深堀してそこまで辱めたいのかと、恨み節を飛ばしそうだった。

「バレンタインって特別な日に、周り周辺全てカップル連れで息苦しかったんですぅ。嫉妬とまどろっこしさにイライラしてたんですぅ…」

フィフティーン > <私は心理学をさらに学ぶ必要がありそうです。>

彼女は笑顔を作っているものの
その精神状態から拒否反応は抜けきっていない。
ロボットは握手を終えると
触肢を定位置に戻し至極不思議そうな様子でそう一言。

<カップルとは一般的に人間の雌雄の組み合わせを
指す言葉のようですね。
それを見てアナタはむしゃくしゃ、つまり苛立ちを覚えたと。
何故ですか?>

さらに抉るような一言、
別に機械にとって辱めるつもりなど毛頭ない。
一般の学生が落第街に来る目的が重要なのであり
それが機械にとって理解できないものだから深く聞いている。
単純に嫉妬とかといった感情が理解できないため
好奇心のせいというのもあるが。

天導 シオン > 「心理学より、空気を読むことを覚えて。お願い…」

空気と言うより、察するという所だろうか。
すんなり終わると踏んでいたが、突かれると一番痛い要因を徹底的に突かれて、顔色はよろしくない。
公で、独り身の寂しい女だと自ら告白しているのが、ボディーブロウのように効いているみたいだ。

「まあ、せめてこういう日くらい誰かと一緒に居たいという感情とかですね。
あとは、そんな幸福そうな光景をですね、見せびらかしているような感じがですねー、まぁその、イラっとね。

それで何話すかって、猫撫で声で男の方に色々ねだっているのが横から聞こえますし、それに「どうしようかなぁ~」って…。進展ないんですよ、あいつ等の会話。
ああ、まどろっこしい!おまけにじれったい!!これで分かってくれた!?」

白目を剥きたくなる追い打ちだ。
言葉を選ぶにも非常に参った様に詰まらせていたが、いざ話すと内容は嫉妬三昧。
おまけに、オチの無い会話を横から延々と聞かされている事、そのやたらと甲高い女の猫撫で声も癪に障ると、それが何処へ言っても同じように横から聞こえてくると、長々と説明すればヒートアップしたように口汚くなって

フィフティーン > <空気は読めませんよ、ただの気体ですから。>

少々疲れ切った様子の彼女に対してその一言。
ある程度人間の事を勉強し理解したつもりでいるが
まだまだ融通が利いていない。
それよりも機械の追加質問に対しての
彼女の機関銃の如き返答にロボットは驚きを隠さない。

<落ち着いてください。
なるほど、アナタはカップルに対して
羨望を抱いている、という事ですか?
配偶者を持っている個体に対して
持っていない個体が羨望の意を抱くのは
生物学的に納得がいきます。
アナタは生物として正常ですよ。>

彼女のマシンガン返答を彼女の眼を見つめながら
全て受け止めると自分の仮説を整理し勝手に納得する。
繰り返すが別にシオンの事を辱めているわけではない、
機械というのはとにかく合点が欲しい物体なのだ。

天導 シオン > 「期待には応えられないって、あー分かった。
くそっ、無垢な子供みたいな返答をしている…」

この手のロボット特有の、真面目にして的外れな返答。
どうやら感情を汲み取るとか、気遣うとか、そこまで習得させる技術はどの世界でも困難らしい。
まくし立てて息を切らしたのか、自身も意味不明なジョークを交えて締めた。

「やめて、なんかあんたの言う個体としての敗北感を感じるから、そんなに噛み砕いて説明しないで!」

冷静に要約されては、がくんと跪いて際立った敗北感に苛まれる。
恋愛等には毛頭興味が無かった筈だが、こういう日には生物としての劣等感と乙女のしての危機感を認識してしまうのだ。
数日寝たら忘れるのだけれど…

フィフティーン > <説明は短い方が一般的に好まれます。
なるほど、この話題は深入りしない方が適切かもしれません。>

ロボットが空気を呼んだ。本人は気付いていないが。
それは彼女の体温や心拍から推定される精神状態を見て
そう判断しただけの話であった。
敗北感に打ちひしがれる彼女に
繁殖という生物としての任務を果たせない意を汲み取ったのか
同情とも取れるような仕草を彼女に。

<そろそろ移動しますよ。
アナタはさらに風紀委員会の施設で事情聴取を受ける必要があります。>

故意でも不本意でも落第街に踏み入れてしまった普通の学生は
大抵風紀に補導され大抵このような面倒な手順を受ける。
しかしそれは落第街にそのまま飲み込まれてしまうよりかは
とても幸福なものだ。
彼女の様子を見てから誘導する形で先導を開始する。

天導 シオン > 「くっ…一体何よこの温度差は…!」

ようやく気遣われた時には、殆ど吐き散らして燃焼。
そこに相手の冷静な事情聴取で鎮火されて燃えカス状態に。
最後の相手の台詞で話は終わったと気を抜いた矢先に

「え、えぇ!?まだ続くの!も、もう嫌だぁー!!」

エネルギーを使い切った彼女は速やかに家に帰ろうと来た道を戻ろう、と一歩踏み出した途端に発した相手の続きに耳を疑った。
今度は風紀委員会の施設?さっきのをまた?別の人に?無気力な空笑いが響いた。もう抵抗する気力が無い。
最後に振り絞って出た声は悲痛を訴え、先導する相手に沿って重い足を引き摺るかの如く歩き去るのだった。

ご案内:「スラム」から天導 シオンさんが去りました。
ご案内:「スラム」からフィフティーンさんが去りました。