2020/08/09 のログ
ご案内:「スラム」に日下 葵さんが現れました。
日下 葵 > 「はい。日下葵、20時00分よりスラム街の見回りを始めます。
 ええ、いつもと大して変わりはないと思います。妙な情報とかも入ってませんし。
 いつも通り、何かあれば連絡します。よろしくお願いします」

スラム街の入り口。
ちょうど表と裏の境界に位置する場所で、インカム越しに報告を行う。
左耳から聞こえてくるオペレーターといつも通りのやり取りを済ませ、
不規則に明暗を繰り返す蛍光灯が立ち並ぶ路地を進んでいく。

半ば廃墟と化した建物ばかりのこの区域。
そんな場所でもそれなりに人はいるようで、何とも言い難いアングラな形相である。
法に触れるような薬物や、どこから流れたのかわからない武器、
それらには一切構わず、ひたすらに歩みを進めていく。
そんな”日常”には構っていられない>

日下 葵 > 「はーい、こんにちは。調子はいかがです?
 変わりはありませんか?なら良かったです」

それなりに進んでいくと、出店が道の両サイドに立ち並ぶ通りに出た。
一部の者たちはこちらの服装――つまり風紀委員の制服をみてそそくさと店を畳んでいくが、
また違う者たちは気さくに挨拶をしてくる。
ぶっちゃけてしまえば、顔見知りだ。
この店に並んでいるモノもおよそ表では扱えないものばかりだが、
それをいちいち取り締まったりはしない。

軽く雑談して、次の店へ。
つまるところ、こうやって情報収集をしているのだ。
浅瀬の犯罪を取り締まるのではなく、適当に泳がせてより重大な犯罪を防ぐ。
私はこうして情報を集めるのが仕事の一つでもある。
情報さえ渡せば大目に見てくれる。
そういう意識をスラム全体に根付かせるための広告塔のようなものである>

日下 葵 > 「なるほど。ええ、ええ。ありがとうございます。いやー、いつも助かりますよ。
 お礼といっては何ですが、明日ここの見回りに来る風紀委員はちょっとお堅いので、
 あまり派手にお店をやっていると面倒かもしれません」

こんな具合で情報を一つ一つ聞きだして、最後に見返りとしてこちらも情報を流す。
本当ならあまり良いことではないが、
こういうアンダーグラウンドな連中を手中に収めるには多少黙認されている部分がある。
真面目になりすぎて大切なことを見失ってはいけない。

そうやって歩いていくと、やがて出店が少なくなり、いよいよ人影もないような場所にでる。
ここまでくるといよいよスラムの中でも身の安全が脅かされるような治安の場所だ。

もうそろそろ引き返すべきか……そんなことを考え始める。

これ以上先に進んでも、情報を提供してくれる顔見知りはいない。
むしろ面倒ごとに巻き込まれることの方が可能性としてはあるだろう。
端末に表示される地図をみるために、一度その場にたちどまった>

日下 葵 > 「帰りますか。面倒に巻き込まれて報告書に書くことが増えても困りますし」

決断は早かった。こういう時に迷うと大抵命とりになる。
  ――最も、私の場合は死んだりすることは殆どありえないが。

踵を返して、来た道を戻る。
途中順路を変更して違う露店を回ったりしながら、今日もスラムの巡回を終えるのであった>

ご案内:「スラム」から日下 葵さんが去りました。
ご案内:「スラム」にウルトールさんが現れました。
ウルトール > 彼にとって、最初の一日が完遂した。
卒なく、無駄なく、完璧に。
異能者を含まない違反部活或いは造反組織に対する鎮圧活動は、
およそシミュレーションによる想定範囲内での結果に収まったのだ。

黒い甲冑が、独り、スラムの路地裏を歩いている。
捕縛した者どもを連行するためのピックアップを待たずに、自分独りだけで別行動を取っていた。
それは、まるでスタートダッシュの成功を噛み締めるように、地面を踏みしめながら。

ウルトール > 無線機とでも繋いでいるのだろうか、その兜から言葉だけは聞こえる。
男女の声を二重に合わせたような、抑揚のない歪な声によるものだが。

「「……はい。
 ええ、実践演習は成功です。損害は認められていません。」」

どこにかけているのか、それは分からない。
だが、色々な想定はしているのだろう。話す内容に隙はない。

「「捕縛した彼らは時機にそちらへ到着するでしょう。
 折を見て、風紀委員に引き渡す手筈になっているはずです。」」

流暢な言葉遣いだが、そこには感情が籠っていない。
まるで機械と喋っているような、そんな印象さえ持たれかねないだろう。

「「勿論、生体情報の欺瞞化は常に。
 この作戦において、私が私であることは、誰にも。」」

ウルトール > 「「実戦闘データのログは既に送信済みです。
 帰投し次第装備品と…彼らの調整を実施しなければなりません。

 あと、私だけ彼らとの帰還を別にしたく…後程、足の手配をお願いします。
 詳細な座標は先ほどログと共に送っています。そちらのタイミングで結構です。」」

どうやら、拠点に戻るまで時間を敢えて作ったようだ。
いつ来るか分からない迎えを、ここで待つことになる。

「「……いえ。
 初めての実戦ですから、感慨深いものがあるだけです。
 少し遅れての帰投になりますが、ご理解ください。」」

ウルトール > 「「詳細な報告は戻り次第ということで。
 ……では、後程。」」

通信を切ったのだろう、そこから先は何も言うことはなかった。
路地裏で、独り、星空を眺めるように見上げる。
…人間であれば眼のあるところに穴が開いていないその兜からは、何が映るのだろうか。

ひとまず、ここで時間を過ごすことにしたようだ。

ご案内:「スラム」に刀々斬 鈴音さんが現れました。
刀々斬 鈴音 > 夜中のスラムをまるで安全な表の道を歩くように堂々と歩く女子生徒。
その恰好はこの場所をあるくにはあまりにも綺麗で着ている制服も明らかに良く手入れがされている。

「…ねえねえそこのあなた?こんな時間にこんなところでそんな恰好して…何してる人?」

ニコニコと鎧の相手に話しかける。

「わざわざ暑い中そんな恰好でこんなところに来るなんて普通の人じゃないよね?」

…わざわざこんな真夏に甲冑を着込んでスラム街に来るなんてまあ『普通の人』じゃあない。

ウルトール > その場でまんじりともせず過ごしていると、
ここの雰囲気には似つかわしい恰好の、育ちのよさそうな女生徒に声を掛けられる。
見上げていた状態だったが、そっと前を向く。しかし、そちらを向くことはなかった。

「「風紀治安維持活動が終了したため、その撤退中だ。」」

不思議な声色で、自分のやっていたことを、端的にありのままに告げる。
だが、その見た目はあまりにも、物騒に映るかもしれない。

「「君こそ、こんな時間にこの場所で散歩は感心しないな。
 暴漢に襲われる前に、早く帰宅することを勧めるがね。」」

刀々斬 鈴音 > 風紀委員だと言われれば露骨に嫌そうな顔になる。

「ふうきちあんいじかつどう?…何?最近の風紀委員顔隠して落第街来るの流行ってるの?」

報復がある事なんかを考えたら顔も名前も隠して行動するのは割と正しい事のようにも思う…。
中身は分からなくとも風紀委員がいるというだけで小悪党は動きにくくなる。

「…鈴音、あんまり風紀委員がこっちに来るの良くないと思うけどなあ…色々しずらくなっちゃうし、
 そんな締め付けてばっかりだと皆生きにくくなっちゃうよ。」

帰宅を勧められてもまるで帰る様子無くぶつぶつと文句を言う。
完全に犯罪者側の立場の文句。

ウルトール > 「「ふむ。」」

始めて、彼女の方へと向き直る。
黒くくすんだ色の甲冑は、夜の闇によく紛れている。
穴の開いていない兜は、何を捉えているのだろうか。

「「何事も、やり過ぎれば噂になり、我々の耳にも入るようになる。」」

撤退中といっても、まだ時間はあるようだ。
帰宅を勧めた身分だが、彼女の話に答えるように。

「「君の言うしずらいことについては、必要悪として暗黙の内に認めよう。
 清水では魚が生きられないことも、重々に承知している。」」

それが、犯罪者の考え方であっても。
それまで引き締めるとどうなるか、分かっているのだろう。

「「だから、やり過ぎないことだ。
 私に君を捕縛しろという命が、下らないようにな。」」

刀々斬 鈴音 > 「……まあ、そんな命令出ても鈴音はあなたなんかには捕まらないけどね。
 だって、あなたの格好すごく、重そうだし。その頭も何も見えてないんじゃない?」

そう、穴も開いてないのに前が見えるわけがない。
そんな、鎧を着ている相手に鈴音は負けないと鈴音は思っている。

「それに鈴音悪い事なんて何もしないしー。鈴音はただの可愛い女の子だよ!ほら!」

きゃぴーんという擬音と星とハートが出そうな可愛いポーズ。
まるで人斬りには見えない。

ウルトール > 「「そうだな。どうにも鈍重で、何も見えない見た目になっているだろう?」」

その言葉は、事実の肯定ではない。
彼女の言葉を、ただ反芻しただけだ。
だが、彼女のその思い込みの下では、どう聞こえるのやら。

「「当の本人に悪意がなくても、その行為は社会的に問題だったりすることも多いのだが。
 まあ、君に対する捕縛命令が出ていない以上は、信じるしかないだろう。」」

とにかく動じない。
目の前の彼女の、悩殺を招きそうなそのポージングにも、一切。
男じゃないんじゃないかと、疑われるかもしれないくらいに。
声だって男だか女だか二重に響いて聞こえるし。

「「ところで。名前は、鈴音というのだな?」」

そして、名前をどうやら喋っているようだったから、確認を込めて。

刀々斬 鈴音 > 「うん。凄い重くて暑そうだし、ほとんど前見えてなさそう!」

鈴音の可愛いポーズに反応がなかったのも恐らくそれが原因だろう。
そう、見えていなかったのだ。なら仕方ない。

「えっ……。」

名前を確認されれば一瞬固まってしまう。
風紀委員に名前を知られるのはあまりよろしくないのでは?

「え、えーと、どうだろう?鈴音は鈴音じゃないかもしれない…。
 鈴音の名前はねー…えーと…ひ、秘密!!」

今更無理のある誤魔化し方をし始める。
それで良く鈴音じゃあないと言える。

ウルトール > 「「………。」」

さて、このいかにもな少女をどう扱ったものか。
慌てふためく様を、じーっと眺めているようにも。

「「名前を覚えられると、困ることがあるかね?」」

なので、直接それを聞くことにする。
彼女が名前を言わない、その理由を。

「「先も言ったが、私に対して君への捕縛命令は下っていない。
 そういう場合は、名前だけでなく顔写真などからも対象を特定するものだ。
 或いは目を付けられるのが怖いのだと察するが、私にとって名前程度は瑣末な情報だぞ?」」