2020/08/10 のログ
■刀々斬 鈴音 > 確かに……
まあ、既に風紀委員に鈴音の名前は伝わっているだろうし…
ここで渋って変に怪しまれるのも逆に良くない。
既にだいぶ良くない印象を与えていることには気が付かずに素直に名前を伝えていく。
「……刀々斬鈴音。」
ポツリとつぶやいた。
落第街ではそれなりに広まっている名前。
路地裏の通り魔。自称美少女剣士。野生の篩。
「鈴音が名前言ったんだからあなたも名前言って顔ぐらい見せたらどう!?
鈴音だけ言うなんて不公平だよ!!!不公平!!!!」
そして、怒りながら兜を脱ぐようにせまる!!
■ウルトール > 「「刀々斬、鈴音。
少し名の知れた、通り魔のものと一致するな。」」
知らないはずはなかった。
ので、多少の揺さぶりは打っておく。
尤も、だからといって命令が下っていないのは本当なので、どうしようというわけでもないが。
「「私は、ウルトール。
風紀の牙であり、毒である。」」
所属は、言わない。
風紀委員であるとだけ、伝えておく。
「「そして、申し訳ないが兜を脱ぐことは叶わない。
秘密の塊でね。」」
迫ってきた彼女を、片手を突き出すように制しようとする。
指先がとがった籠手のようなものだ。突き刺されば痛そうな形をしている。
丁度、彼女の頭の辺りに合わせていることから、宥めようとしているようにも見えるだろうか。
■刀々斬 鈴音 > 「……びっくりする事が多いねこの街は。鈴音と同じ名前の子がいるなんて。
…その子も鈴音と同じくらい可愛いのかな?」
白々しくそんな事を言う。
やっぱり、知られてたなあ…有名人だからなあぐらいにしか思ってない。
「ウルトール…ウルトん…ウルやん…。」
何度か小さく口の中でつぶやく。
「鈴音の可愛い顔をこれだけ見といて、自分の顔は見せないなんて……。
ウルやんのケチ。」
むうっと膨れて歩いて少しずつ、離れていく。
「秘密でもなんでもいいけど……藪を突つきすぎて蛇に噛まれないようにしなよ……。
バタバタして風紀委員の人が増えると鈴音も色々やりにくくなるんだから。」
路地の手前まで来ると。
「じゃあ、そろそろ鈴音帰るね。他の風紀委員の人にもあんまりこっち来ないように言っといてね。バイバイ。」
ひらひらと手を振って暗い路地へと消えていく。
■ウルトール > 「「さて、な。
通り魔は血生臭い狂犬のようだと評価を聞いているが、
目の前の君は、今は可愛らしい子犬に映るがね。」」
これも、ジャブ。お互いに立場を知っているうえでのやり取りだ。
「「………。
まあ、私をなんと呼ぶかは、君自身の判断に委ねておくが。」」
ウルやん。
通り魔に親し気な仇名なんかつけられちゃったけど。
そこは大人の余裕というか、好きなように呼ばせてあげることに。
「「すまないね。情報は価値だ、私の場合は特にな。
このまま迫られ続けていたら、正当防衛の下に一戦交えていたかもしれないくらいだとも。」」
それくらい、兜の下は重要らしい。
尤も、彼女から離れてくれたわけだから、そんな結果にはならなかったが。
離れていく彼女を、こちらは見やる様に。
追いかけることはなかった。
「「気に病む必要はない。私は、風紀委員でも浮いた存在だ。
どうしたからといって、大々的に押し入るようなことはないだろう。」」
そして、彼女は路地の手前まで遠ざかっていく。
甲冑の風紀委員は、ずっとそこで立ち尽くしていたが。
「「それは、君が悪さをしすぎなければよいことだ。
ではな。路地裏の通り魔よ。」」
路地裏の薄暗闇に消えていく彼女を、その兜はずっと見守っていた。
ご案内:「スラム」から刀々斬 鈴音さんが去りました。
■ウルトール > 彼女と別れて、数分後。
一台の黒い幌付きトラックがやってくる。
それは、指し示したように甲冑の目の前に停車した。
「「……ふむ。いい頃合いだったな。」」
疑う余地はないと、幌の中へ…その荷台へと、乗り込んでいく。
すると、そのトラックは乗車したのを察したように、再びエンジンをふかせる―――
後に残るものは何もなく。
再び、その路地裏に静寂が訪れた。
ご案内:「スラム」からウルトールさんが去りました。