2021/06/18 のログ
ご案内:「スラム」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
雨は続く。
多少は晴れ間も見える様になり始めた此の頃ではあるが、それでも例年に比べれば随分と雨の多い事。
雨が続けば、スラムでは何が起こるか。
衛生環境の悪化。舗装が不完全な道路に、不衛生な下水の水が溢れ出す。
インフラ環境の悪化は、単なる雨ですら人を衰弱させる要因となり得る。

「……それはそれで別に構わんのだが、こうも歩きにくくては溜まらんな」

傘をさして、水溜まりを避ける細やかな努力と共にスラムを進む少年。
流石の違反部活も続く大雨で活性化が鈍いのか。少なくとも、今日のスラムは幾分平和…に見えた。
とはいえ、水棲怪異の発見事案はスラムでも多発している。
『表』の生徒に手を出さなければ良いのだが。

神代理央 >  
磨き上げられた革靴も、皺一つない制服もすっかり水玉模様。
足元に付着した泥が鬱陶しい限り。
少年とスラムの住民にとって御互い幸運なのは、御互いに視線を合わせる様な天気でも無いということ。
多くの住民は身を寄せ合う為に屋内で雨が止むのをじっと待っている為、元々人通りが多いとは言えないスラムは益々閑散とした有様。

「…雨風凌ぐくらいなら、幾らでも場所はあることだしな…」

廃ビルだの、バラックだの。
文明の残骸の様な建物は、スラムにも無数に散在している。
飯は食えずとも寝床に困る事はないんだろうか、と思案顔。

ご案内:「スラム」にマディファ=オルナさんが現れました。
マディファ=オルナ > 雨の中、傘も差さずスラムを歩く幼女。
衣服や髪は濡れて張り付き、足元は泥だらけ。
だが、そんなのはお構いなしと言わんが如く歩いている。

「……おや。
 神代殿ではないか」

マディファ=オルナ。
今や風紀(正確には特務広報部だが)の傭兵になったという話は落第街の住民には広まっている。
無論、そんな彼女にも風紀に向けられる目と同じような目が向けられる。
とはいえ、マディファは特に取締を行うわけでもないので住民から投げられる視線は風紀委員よりも遥かに軽いが。

神代理央 >  
傘で狭まった視界の先から、声がする。
聞き覚えのある声に視線を向ければ、其処には傭兵として雇った少女の姿。
その姿に似合わぬ戦闘能力は、以前の違反部活との決戦でも報告を受けている。

「…オルナか。奇遇…という程でもないな。此の場所では」

落第街やスラムを活動範囲に持つ風紀委員と、その傭兵である少女。
二人がスラムで出会うのは当然と言えば当然だろうか。
平和な学生街で出会う方が、珍しいかもしれない。

「こんな天気の日に散歩かね。出歩くには、些か不向きな空模様だと思うが」

さあさあと降り注ぐ雨の中。
小さく首を傾げて、少女に視線を向けるだろうか。

マディファ=オルナ > 普段ならピクリと動こう犬耳と尻尾は、べっしょりと濡れて動く様子はない。

「うむ。
 所要があって出た当初は降ってなかったんじゃがな」

なお、マディファは基本的に傘をささない。
元々が戦闘用であるため、単純な雨で漏電するほど軟な作りはしていないのだ。
故にこの島でも珍しい、雨の中水棲種族でもないのに傘を差さない珍しい者の一人となっている。

「しかし最近はあの……護送しておった娘を奪った組織は、大々的には動いておらんようじゃの。
 今は雌伏の時、というところかのう」

マディファ自身は、遭遇すらしていない。
まあ別に、仕事以外で出くわしたところで向こうから危害を加えられない限りは手を出すつもりはないが。
それでも向こうから……特に、陰陽五行に因むと判明した魔術使いの男は避けたいのだろう。

「先日やりおうた魔術師も、何やら別口と言った感じじゃしの」

神代理央 >  
「最近の天気は読み難いからな。とはいえ天候が崩れやすいのは変わりない。基本的には、雨だと思っていて良いのではないかね」

小さく肩を竦めれば、その動きに合わせて傘も揺れる。
先端から滴り落ちる水滴が、ぽたぽたと地面に落ちていくのだろう。

「今はまだ、といったところだろう。
先日、件の捕虜の娘と再会したところだよ。
以前より随分と"元気"になっていた。与えた薬が、良く効いたと見える」

確かに、表だった動きは今のところない。
だが、動いてはいる。何かを企んではいる。
今のところ気になる事案といえば妙に件数の増えた誘拐事件ではあるが…被害者が直ぐに見つかる場合が多く、大きな事件と捉えられてはいない。

「敵も一枚岩ではない、ということだろう。
風紀憎しで同盟でも結んでいるのかも知れんな。
そうであれば、一網打尽に出来るチャンスだから楽で良いのだが」

マディファ=オルナ > 「ツユ、というのがまず馴染みがないからのう。
 ふむ、そういうものなのか」

異世界人(?)であるマディファだ。
最近はこちらの世界にも馴染んできているつもりだが、まだまだ知らないことは多い。

「まあ、先のダメージの回復と。
 おそらくは、儂や神代殿に抗するための戦力作りじゃろうな。
 ……ふむ、そうかの」

裏でなにか動いていようが、それはマディファには知ったことではない。
自分は傭兵として動くだけだ。
無論、攻略するためには情報があればいいが、裏でどんな犯罪をしているかなんて言う情報には興味がない。
マディファは傭兵であって風紀委員ではないのだ。

「いや、あやつは儂を単純な驚異としか見ておらんかった気がするのう。
 風紀だから、ではなく……まあ、儂の所感でしか無いんじゃが。
 まあ最近流行りの新種の『麻薬』を持っていたがの、儂は風紀絡みとは言っておらんし」

神代理央 >  
「……ふむ。確かに、お前は風紀の腕章を付けている訳でも無い。
特務広報部の面々に関しては、或る程度顔が割れている可能性もある。
その魔術師そのものも、単なる雇われだった可能性もあるしな」

風紀委員会へ敵意を持たずに攻撃を仕掛けてくる。
様々な可能性はあるが、どちらにしよ敵である事には変わりない。

「何にせよ、刃向かってくるのであれば殲滅するだけだ。
我々の行動指針に何も変わりはない。
従って、お前に対する契約も今暫く解除するつもりはない。それに…」

其処で一度、言葉を区切る。

「麻薬を含めて、薬物や精神耐性を持つ、というのは有用だ。
人は、意外と弱い生き物だからな」

と、小さく笑みを零すのだろうか。

マディファ=オルナ > 「雇われ……雇われじゃったのかのう。
 どうにもそんな印象はなかったんじゃが」

風紀委員と敵対していようが別に仕事中、もしくは私的に敵対してこなければ自分は敵対する気はない。
まあ、大抵は風紀と同一視されて攻撃されることはままあるが。

「うむうむ、こちらとしても契約継続は助かる。
 確かに人の子は脆い……否、頑丈な儂からすれば概ね脆いが、元々が兵器じゃし。
 ま、うまく運用してくりゃれ」

にひひ、と笑顔を返す。
その表情は見た目相応。
これが銃弾どころか砲弾も通さない鋼鉄の竜だとは誰も思うまい。

神代理央 >  
「彼方は情報を持っているが、此方の情報は薄い。
情報戦にて後手に回っているのは些か厄介な事だな。
せめて、敵の素性なり構成組織の情報なりが欲しいところではあるが…」

己の異能も魔術も戦術論も、圧倒的な戦力と火力で押し潰すのが基本。
それ故に、こういう水面下で動く組織との戦いは本来不得手。
落第街全て焼き尽くす方が、まだ簡単なのだが。

「お前の事は基本的には戦術兵器として運用を予定している。
つまらない戦いに出すつもりは無いが、温存するつもりもない。
悪いが、払っている契約金分は使い潰させて貰おう。
その時は、宜しく頼む」

そんな幼気な少女に対して、物騒な言葉を並べ立てる少年。
傍から見れば人でなしであることこの上ないのだが、これでも彼女の"性能"を信頼しているからこそ。
信頼していなければ、ここまではっきりと物を言う事も無い。
言わば対等な関係なのだ、と言わんばかりの――相変わらず、尊大な口調だった。

マディファ=オルナ > 「こうも見事な情報社会、地の利は敵方にありじゃな。
 情報線に強い機体なら、とは思うが儂の世界では必要がなかったしのう。
 こちらからもなにか情報があれば提出しよう」

そう言いつつも、期待薄だなとは思いつつ。
今使っている情報屋はそちらの方向にはなかなか動けない立ち位置である。

「うむ、うむ。
 存分に使い倒しておくれ。
 もらっている金の分、働かねば立つ瀬がないしの」

彼の人でなしと謀りを免れなさそうな発言も、また自分への信頼だ。
無論、こちらもその性能を売り込んだのだ。
存分に"性能"を示し、その信頼に応える必要もそのつもりもある。
尊大な口調は気にならない。
知った上で売り込んだし、今ではそれが彼の個性であることも理解している。

神代理央 >  
「風紀委員会内部にもそういった部署が無い訳ではないが…そこはやはり公安の仕事だろうな。
とはいえ、公安は風紀程武力を持たない。我々が暴れ過ぎているだけかもしれんがね」

小さく苦笑い。
とはいえ、情報収集については何かしら手を打ちたいところではあるのだが。

「先日、歓楽街に事務所を構える女にも情報収集の依頼はした。
とはいえ、落第街は危険なエリアだ。早々、人を送り込む訳にもいかん。
そう考えれば、大規模に事を起こしてくれた方が楽なのだが…」

或いは、此方から事を起こすか。
しかし、今のところ平穏を保っている此の島では、そんな作戦の認可が下りるとも思えない。

「……まあ、今は機会を待つだけだ。
お前も、使い倒される前に此の島を楽しむと良い。
あと1か月ほどで夏季休暇も来るしな。
尤も、その前に試験が訪れるが」

試験対策はしているか?と、クスリと笑みを浮かべながら首を傾げてみせようか。