2022/09/16 のログ
ご案内:「スラム」にエインヘリヤルさんが現れました。
■エインヘリヤル > スラム……倒壊した建物の瓦礫の下。
上半身だけになり、片腕のもげたアンドロイドの残骸が転がっている。
■エインヘリヤル > かつて、エインヘリヤルとしてこの地域で幅を利かせていたモノの、成れの果て。
すでに機能を停止しており、動くこともない。
運良く、もしくは運悪く誰にも見つかることのないまま。
だいぶ長いこと放置されている模様。
修復なり何なりすれば動くかもしれないが、定かではない。
■エインヘリヤル > 何をどうしてこうなっているのかわからない。
ただ、わかっているのは彼女が音沙汰なくなって久しく。
人間ではなく、その正体は機械人形であり。
現在は、残骸となってここに転がっているという事実だけだ。
かつての様子は見る影もない。
左腕は肩からなくなっていて、右腕も肘から先がない。
顔は左目周りが半壊しているし、胸から下は無くなっている。
■エインヘリヤル > 少なくとも、彼女が自力で動くことはない。
どういった理由かはともかく、今は、残骸として転がっているだけのモノでしかない。
ご案内:「スラム」に狭間在処さんが現れました。
■狭間在処 > ――青年がそこを通り掛かったのは本当にただの偶然で…だからこそ、普段見る事の無いソレに足を止めた。
「……?」
スラムの一角。倒壊した家屋や建築物などさして珍しい事も無く、瓦礫の山も至る所にある。
ただ、そのありふれた光景に唐突に混ざる違和感に青年は目を細め…緩く首を傾げた。
…少し遠目から見れば、それは一言で言うなら『死体』…倒壊した家屋に潰された哀れな骸でしかない。
だが、死体とは微妙に違うような何かを感じれば、自然と足はそちらへと向かい。
(……何だこれは……機械仕掛けの人間…?アンドロイドやサイボーグといったものか?)
そして、直ぐ傍まで歩み寄れば、それは矢張り『死体』には非ず。強いて言うならば『残骸』とでも見るべきか。
普段御目に掛かる事の無いソレを見下ろしながら、些か困惑するのも無理も無いだろう。
(…死んでいる…いや、この場合は機能停止している、が正しいのか?)
見た感じ、左腕は肩口から先が無く、右腕も肘先から喪失しているようだ。
顔も左眼の周囲が半壊している有様で、トドメに瓦礫に潰されて胸元から下は無くなっているか粉微塵か。
さて、どうしたものか。発見した以上、そのまま捨て置くのも忍びないが機械方面の知識に聡いとは言えず。
■エインヘリヤル > 残骸は残骸でしかない。
特に見つかったからといって何をするわけではない。
アンドロイドだけに、もともとの見目は悪くないようだったが、現状では人工皮膚もずいぶんと荒れてしまっている
ただ、破れた服の身なりからすると、それなりに良い誂えの服を着ていたようではある。
でなければ、もっと生地はぼろぼろになってるだろう。
■狭間在処 > さて、そもそもこの『残骸』を見つけたはいいが己にどうこう出来るとは思えない。
このまま立ち去るか、一先ず持ち帰ってジャンク品として売り飛ばすのが妥当な所か。
「………。」
少し思案するような空気の後、小さな吐息と共に右手を翳す…残骸にではなくその上に折り重なる瓦礫の山に、だ。
(――出ろ【饕餮】。取り敢えずこの瓦礫”だけ”を喰らい尽くせ)
念じれば音も気配も無く、青年の傍らに禍々しい仮面で顔を覆い隠した四足歩行の黒い大型獣が出現する。
低い唸りと共に、仮面の獣の顎が大きく開けば、瓦礫の山が不自然に圧壊するように粉微塵になり――…
獣の口内へと塵一つ残らず吸い込まれて消えて行く。…青年の命令どおり、残骸だけがその場に残る形だ。
「………。」
軽く右手を挙げて「そこまで」と合図すれば、獣は口を閉じて青年の影に溶け込むように消えていく。
改めて、残骸の傍らに座り込めばその損傷具合をざっと確認する。
(…見目は悪くないし、服も破れてはいるが元々の質が上等そうだ…ただの機械人形とは違う気がする)
もっとも、『彼女』にどういう背景があったにしろ、今は目の前に残骸として在るだけだが。
せめて、機能が少しでも生きていればこちらとしても手の打ちようもあるのだけど…。
そのまま青年は右手を伸ばし、残骸のあちこちに軽く触れて状態などを改めて確認してみる事に。
■エインヘリヤル > 見たところ、胴体部はともかく、頭部は破壊されているわけではないらしい。
もっとも、この状態ではボディは動力も使い物にならないだろう。
瓦礫をどけたところで下半身はどこへ行ったかわからない。
顔も皮膜が破れているところを見ると、頭部についても、検査してみないことにはどの程度無事なのかはわからない。
状態はともかく、残骸となって何ヶ月も経過しているだけあって、その辺は専門家の領域だろう。
■狭間在処 > (…俺はこういう方面の専門家という訳でもないし、何が出来るとは思えないが…。)
『修復』…は、応急処置的な意味になるが出来ない事は無い、が。
それはあくまで見た目を多少マシにする程度で、機能回復なんて土台無理な話だ。
一先ず、頭部に関しては左眼周りが損傷してはいるが完全に破壊されている訳でも無さそう。
専門家ならば、まだ何とか機能回復には漕ぎ着けられるだろうか…と、思い乍。
先程の仮面の大型獣をもう一度己の傍へと召喚する。
この獣は食ったモノを保管・合成・排出する事が一応は可能だ。
それを利用して、『応急処置』をする事にした。何もしないよりはまぁマシであろう程度。
(一先ず、両腕の欠損部分は…【饕餮】の力で、代わりのパーツを合成して付けておくとして。
下半身は……そもそも無いからどうしようもないな。断面だけ覆って塞いでおくか。
頭部は…まだ機能回復する可能性がゼロではないし、左眼周りを繕う感じがいいか?)
やれる事は少ないが、やらないよりはマシであろう。
まず、右腕の肘から先…獣が体内に蓄えた機械や金属を使って『型』を作り腕の形に。
左腕も同様だが、こちらは肩口から先が無いので更に大変だ。
さすがに人工皮膚は無理なので、剥き出しの機械の腕のパーツを何とか作り出して。
接合に関しては、あくまで応急処置だから『手作業』…要するに外科手術の真似事だ。
過去に人体実験を受けて手術なども散々されたから、ある程度真似事は出来る。
我ながら何をやっているんだか、と思いつつ…相応の時間を掛けて、一先ずは両腕に関してはそんな所。
あくまで見た目をマシにした程度であるが、しないよりは幾分かこっちの気分が楽になる。
(頭部は――下手にどうこうしたらそれこそ取り返しが付かないな。とはいえ、剥き出しは気分が悪い。)
なので、獣に頼んで即席の大きな眼帯じみた黒い革製の布を合成し、左眼周辺を覆うように装着させていく。
そして、最後―下半身は作りようが無いので、断面を包帯のような布で覆い隠すくらいしか出来ない。
「………。」
ふぅ、と一息。現状自分に出来るのはこのくらいか。
一先ず、その残骸をひょいっと抱き上げてみようとする。
下半身が無いとは言え、機械仕掛けなら矢張り重いのだろうか…?
■エインヘリヤル > 重量はさほどでもない。
機械とは言え、重量ですぐ正体がわかるようなものでもないようだ。
どういった仕掛けなのかはともかく、重量は問題になるはずもない。
ただし、応急処置はともかく、機能回復となると簡単には行かないようだ。
そもそもかなり特殊なようでもあり、一般的な製品ではなさそうな部分もある。
なにより、時間がたちすぎている。
直すのであれば、どこか専門的なところへ持っていく必要はありそうだ。
■狭間在処 > (…取り敢えず何とかなりそうだな…持ち運ぶのは、だが)
元々、普通の人間よりも筋力などは優れているので多少重くてもどうにかするつもりではあったが。
重量は想定していたよりは軽い。まぁ、しかし…。
(この状態で放置されてから結構時間が経過しているように思えるし…。
矢張り専門家の所に運び込まないと『修復』はまず無理だろうな。
そもそも、素人目の俺から見ても…そこらの機械人形とは何か違う気もするし…。)
具体的に何が、とは上手く言えない。専門家でも何でもないのだから当然だ。
ただ、直感というか何かしら引っ掛かりを覚えたに過ぎないのだ。
一先ず、そのまま残骸を抱えて歩き出しつつこれからの事を考える。とんでもない拾い物だ、まったく。
(――一番は『表』側の専門家なんだろうが、そっちへのツテは無いからな…。
…と、なると落第街に住んでる腕の良い技師に頼むしかない、か)
一応、心当たりはあるが直るかどうかはそれこそその技師次第だろう。
仮に引き受けて貰ったとして、この残骸の特殊?性を考えるとかなり値段を吹っ掛けられそうだが。
(…まぁ、乗り掛かった船…みたいなものか。)
小さく嘆息を零して腕の中の残骸を一瞥する。しかし『彼女』は何も語らない。
そのまま、青年は残骸を抱えてとある偏屈な老技師――元々は『表』で機械工学や人工技師などを研究していた男の元へと『彼女』を運ぶ事に。
■エインヘリヤル > 残骸であるがゆえに、彼女は何も語ることはない。
ただ、運がいいことなのか悪いことなのかは分からないが。
……拾い主は、彼女の素性に思いあたりがなかった。
もし思いあたっていれば。
拾い主の素性からして、残骸を利用するか腹いせに壊すことはあっても、持ち帰ろうなどとは思わなかった可能性が高いのだが。
残念ながら。
拾ってしまったし、直す気になってしまった。
そこからどうなるかはこれから次第ということだろう。
■狭間在処 > 幸か不幸か青年は何も知らない。それが吉凶どちらに傾くかは誰にも分からない、当の彼自身にも。
今宵、ここを通り掛からなければ…残骸は朽ち果てて崩れていただろうか?
それとも、別の誰かが発見してまた別の道を辿る事になっていただろうか?
青年は何も知らない――彼女の素性がどういったものなのか。
自分のような、実験の果ての”失敗作(せいこうれい)”にとってどういうものなのか。
少なくとも――残骸が残骸のまま朽ち果てる、という末路だけは…皮肉にも回避される事と相成っただろうか。
そして、青年はとある技師に『彼女』の身柄と相応の前金を支払って一先ずは立ち去る事だろう。
ご案内:「スラム」から狭間在処さんが去りました。
ご案内:「スラム」からエインヘリヤルさんが去りました。