2022/09/17 のログ
ご案内:「スラム」にエインヘリヤルさんが現れました。
エインヘリヤル > 「メインメモリ破損……サブメモリ破損……OK、データ修復開始します」
ラボ。

破損した素体のまま、ケーブルに繋がれ、修復されている。
なにせ2年以上も転がされたままになっていた機体でもある、保存状態もそれほど良かったわけでもない。
だが、全てが壊れたわけでもなく、一部は回復可能なようだ。

「………………チェック完了、一部機能不全、22%使用可能、OK………………起動します」

少なくとも、AIの意識くらいは回復することが可能なようではあった。

エインヘリヤル > 「……ここ、は?」

見慣れない場所。
そもそも、何をしていたか記憶もない。

「わたし、は、何をして……?」

第一……自分が誰かもよくわかっていなかった。

「それよりも……わたし、わたしは……?」

戸惑うも、答えをくれる人はいない。

エインヘリヤル > 「わた……OK、シャットダウンします……

彼女の機能が、「とりあえず」一通り無事なことだけ確認されると、電源を落とされる。
元のボディそのままでは、すでにジャンクであり、満足にに機能しないからだ。

その後、新しいボディに移し替えられると、再起動させられる。
少なくとも、一般行動が出来る程度のボディに。

「OK………………チェック終了、エインヘリヤル……起動します」

彼女のAIは名前自体もよく覚えていなかったのだが、固有名はメモリにあるらしかった。
まにあわせのボディが与えられ、最低限の行動はできるようだった。

エインヘリヤル > 「……ええと」

そんなわけで、一応、直りはした……のだが。

当時のメモリもなければ、自分が何者だったかもよくわからない。
別に、ラボは面倒を見てくれるところでもない。

正体不明の残骸を直すのはともかく、居候を増やすところではない。
と言われれば確かにそのとおりでしかない。

そのまま、適当な服だけ与えられ、スラムに放り出された。

だが、ここがどこかもわからないし、どうしていいかもわからない。
代金分のメンテナンスはしてやる、とは言われたが、メンテナンスと言われてもよくわからない。

自分は人間のはず。
……少なくとも、エインヘリヤルの意識ではそうプログラムされている。

エインヘリヤル > 左目に眼帯をしたままの少女は、とりあえずスラムをふらふらと歩いている。
記憶もない以上、ここがどこかもよくわからない。