2020/09/01 のログ
燈上 蛍 >  
『火』とは、人類にもたらされた文明の象徴。同時に、文明を焼き尽くす災禍。

火を扱う事の出来る異能者は多い。
故に様々な形態が存在し、体系化が成されている。

アンデッドを焼き尽くした焔そっくりの瞳を携えた長身の青年。

「……存じております。神代さん。僕は同年の風紀委員で、燈上 蛍(とうじょう ほたる)です。
 そちらの方…アーヴァリティさん。お二人とも初めまして。
 お知り合いのように見えますが、保護対象ですか?」

少女から一瞬感じた殺気に似た気配に眉をひそめるが、
この戦闘状況にも拘わらず、余裕を残した名乗りを聞きながらも理央にそう問う。

臨戦体勢が取れるほどならば危機感は相応に備えているようには見えるが…。

「僕の異能は御覧の通り、炎です。
 ある程度は……範囲性を持って操れます。

 こういう状況には貴方の方が慣れているように見えますから、指揮はお任せしますよ。」

現場経験は間違いなく『鉄火の支配者』である理央の方が上だ。
アーヴァリティの戦闘力が分からない以上、彼に任せるのが適格だろうと。

アーヴァリティ > 「僕が保護対象?うーんそっかそう見えるかあ、そう見えるよねえ」

妙に嬉しそうな怪異。
普通の女の子っぽく見えると解釈したようで、即ち体を作る時イメージを間違っていなかったと言われてると思ったわけで。

「へー炎の異能者なんだぁ
じゃあ風の魔術と相性良さそうだね
あ、僕も神代君の指揮に従うーよろしくね神代君」

燈上に便乗して神代に丸投げして。

神代理央 >  
「私に気軽に話しかけるの者は多少いるが、毎回姿形が異なるのは貴様くらいだからな。
おかげさまで壮健だよ。こうして、危険地域の調査に駆り出されるくらいにはな」

と、忌々し気な声色で言葉を返しながらも、邪見にする事は無い。
何度も遭遇する内に、少なくとも彼女に対して直接的な敵意を見せる事は無くなったのだろう。

「大変、というか面倒だな。此方に脅威が迫る事は無いが、敵の数が減る様子も無い。持久戦になれば、此方が不利になるやもしれん」

と、小さく溜息。確かに、こういった手合いの敵には己の異能は恐ろしい程に噛み合っている。
とはいえ、こういった場所で補給も休息もなく戦い続けるのは厳しいものがある。今はまだ余裕があるが、此れが延々と続けば、戦況は怪しくなるかもしれない。


「燈上、か。改めて宜しく頼む。
ああ、コイツはな…保護対象と言うか…」

彼の言葉に、アーヴァリティの事をどう紹介したものかと少し悩む。保護対象どころか、対処すべき怪異であるのだが――

「……彼女は、まあ、その。或る程度此方との対話に応じるタイプの怪異だ。今は味方……いや、敵ではないと認識して貰って構わない」

「…分かった。では、一時的に指揮を預かろう。
今から、少し大掛かりな攻撃を行う為に準備がしたい。私の異形は砲撃を続けるが、細やかな砲撃が行えなくなってしまう。
その間、彼女と協力して撃ち漏らしたアンデッドが此方に接近するのを止めて欲しい。……二人とも、それで構わないか?」

二人の言葉を聞いて、異形に指示を飛ばしながら対策を伝える。
『大技を仕掛けるから、その準備時間を稼いで欲しい』
単純ではあるが、大挙して迫りくるアンデッド相手には、それ相応の戦闘力が求められる。
怪異である彼女と、初対面の同僚である彼を信頼した上で――そう指示を伝えると、静かに目を閉じて『何か』に集中し始めるだろうか。

燈上 蛍 >  
こんな状況下で嬉しそうにされると困ってしまう。
少女が足場の悪い所、しかも黄泉の穴が近い所で、裸足でいるのだ。
己と『同じヒトであるならば』と、自分たち風紀のように戦えないと見てしまう。

しかし、続いた理央の説明に、オウム返しをせざるを得なかった。

「怪異…ですか?」

怪異。不可思議なモノ。全容が明らかにならないモノ。
こうして意志を持ち、会話を可能にするのは高位の存在だろうとは推するが、
それにしたって自分たちと同じ"ヒト"の姿を持っているのに怪異だと言われれば、
アーヴァリティと親し気に会話する理央に対して、何かしら思う所はある。

しかし、それを口にしている暇は無いのだ。
こうしている間にも、屍者の群れは迫って来るのだから。

「……いえ、戦力になるならば、僕から今は問わないでおきます。
 貴方がそう言われるのでしたら、片翼を任せても問題が無いのでしょう。」

そう言ってアーヴァリティの方を見てから、手に持っている紅い装丁の本を広げる。
近くで見るならば──その本は、白紙の本だ。

同時に、屍者の彼らには無いはずの鮮血のごとき『赤』が、地面に点々と広がる。
生命を象徴する色が、広がる。


それは花。

それは彼岸に咲く不吉の象徴。


真っ赤な"彼岸花"がアンデッド達の足元に点々と生成され、
彼らがそれを踏みつけた瞬間…青年は本の頁を捲る。

その瞬間、彼岸花を起点に、焔がアンデッドを包んだ!

アーヴァリティ > 「神代君さー別にばらさなくてもいいと思うよ僕は

そう、僕は怪異、と言っても最近は怪異らしいことあんまりしてないんだけどね」

速攻でこいつは怪異だ、とばらされてしまえば拗ねたように口を尖らせて。
下手するとアンデッドを片付けた後に二人がかりで僕も片付けられかねないじゃないか。
まあ、そうなるようなら逃げるけど

何か言いたそうな表情をしている燈上に苦笑をもってそう応えて。

「うーんこれは僕が出る必要もあんまりなさそうな気がするけど
こうしてるとやっぱ風紀って強い人多いんだなーって思うよねー」

燃え上がるアンデッドを眺めながら悠長に思った事を告げてー

「ー範囲攻撃型の欠点はこれだよね」

なんて、一体全身を燃え上がらせながらも炎を抜け出したアンデッドを持ち上げた右手から放った風で炎の中に戻してやる。
アンデッドは風にあおられ再び炎の中へ...

抜け出したアンデッドに対しては炎の中に押し戻すようにして対応していく。

神代理央 >  
「対話が可能、という時点で無益な戦闘を行わずに済むという利点がある。当然、対処すべき案件であれば対処しなければならないが――戦闘ばかりが、風紀の仕事でもあるまい?」

「取り敢えず、今はその認識で構わない。戦力足り得る怪異である、程度のな」

もの言いたげな彼の言葉に小さく苦笑いを浮かべながらも。
アンデッドを包む焔には、感心した様に瞳を細める。
此れなら、彼の方は心配する事はあるまい。


「虚偽の報告を同僚にする訳にはいかぬ故な。……ほう?何か、心変わりする事でもあったのかね」

あまり怪異らしい事をしていない、と告げる彼女に意外そうな表情を浮かべた後。へえ、と言わんばかりに笑みを浮かべるだろう。
彼女の攻撃は、正しくサポートに徹したモノ。
範囲攻撃を軸にする燈上と、それをサポートするアーヴァリティの能力があれば。そして、それらの援護を受け、十二分に指揮と異能、魔術の行使に集中出来る状況であれば――


『――Gutsherrschaft、起動。同時展開術式により、該当する異形へ魔術砲身を付与。魔力の異能同調を完了。
Gutsherrschaftによる収奪範囲を、『黄泉の穴』全域へ指定」

周囲のエネルギーを『収奪』し、魔力へ変換する魔術。
黄泉の穴は、元々濃厚な魔力に満ちた空間。従って、少年の元に集まる魔力は、膨大なモノとなる。

「収奪魔力を魔術砲身へ『施す』。全魔力を魔導粒子砲へ。目標、前方の敵性集団」

そして、集められた膨大な魔力は、少年から流れ込む魔力を撃ちだす砲身を得た異形へと集約し――

「――Beschiesung!」

鋭く放った一声と共に、光が奔る。
膨大な魔力は、その全てが迸る魔力の奔流となり、アンデッドの群れへ放たれる『光』となって薙ぎ払う。
無尽蔵かと思われたアンデッドの群れは、地平の彼方まで奔る光の奔流によって、文字通り『消し飛んだ』

一人では決して、此処迄集中して魔力の砲撃を行う事は出来ない。
二人の援護と協力あってこそ放たれた、一撃必殺の全てを飲み込む光。

燈上 蛍 >  
怪異と異邦人は違う。
だからこそ無意識に警戒を抱いてしまったのだ。
それが"ヒトではない"という事実は、人間を簡単に畏怖させてしまう。

「…それは…、…すみません、偏見で見てしまって。
 僕は普段は、貴方のような方に逢う機会はそう無いので…。」

戦っている故に頭を下げる事は出来ないが、
傍らのアーヴァリティにそう謝る。

青年の異能の炎は、ある程度強弱が操れるようではあるが、
十全に操れるという程ではなく、広範囲になればなるほど漏れは発生する。
そこを少女の補助を受け、理央に近づけないように、
夏の終わりを告げ始める空気を熱が焦がす。

傍らで理央が魔力を練り上げる。
異能寄りで魔力に疎い青年でも、何かしらの"力"がここに収束していることは分かった。

彼を見ている余裕は無い。

だからこそ、紡がれた言葉に、
集まった力が放つ眩い光に、思わずその瞳の炎を閉じた。


「――凄い、ですね……。」

光が消えた後に眼を開ければ、青年はそう呟いて本を閉じる。
同時に地面を焦がしていた残り火が消え、熱は無くなる。

…これが、噂に聞く『鉄火の支配者』の力か。

アンデッドを余すことなく全て消し飛ばした光の奔流をその瞳に焼き付け、
風紀委員とはいえ一端に過ぎなかった青年は、ただ立ち尽くしていた。

アーヴァリティ > 「いやーちょっとね。
僕もいろいろあったんだよ、いろいろねー」

大まかにであっても説明するのは気が引ける為雑極まりない言葉で濁して笑みを浮かべる神代から目を逸らす。
流石に殺すのが怖くなったなんて神代の前で言うのは少し情けないように感じる。

「いやー?別に構わないよー
僕が人っぽくなってるだけだからわかる方が不思議なくらいだね」

燈上の謝罪に対してそう応えて。
神代の方をわざとらしくチラ見しながらー

「え?え?」

神代に向けて集まる膨大な力に戸惑いを隠せない声を溢す。


「うわー...すっごいね
魔力を集めて一気に放出した感じかな?
真円の斉射の何十倍?これ」

神代によって放たれた魔力の奔流に驚愕して目を丸くして無意識に腕を下ろす怪異。
これほどの威力には概念シールドでも耐え切れる気がしない。
魔力で押し切られてしまいそうだ...

神代理央 >  
「――ふむ?まあ、話すつもりがあるのなら、また茶菓子でも摘みながら聴こうじゃないか。此処は世間話をするには、些か趣が無い」

目を逸らせる彼女に少し不思議そうな表情を浮かべながらも、此処を突破した後、また話をしようと言葉を投げかけつつ。
燈上に答えながらわざとらしい視線を此方に向ける事には、素知らぬ顔をする事に成る。流石に、同僚の前で彼女とのあれこれを話す訳にもいかないし。



――そんな会話の後。薙ぎ払われた死者の群れ。
後に残ったのは、穿たれた大地と、そこから漂う肉の焦げた匂いだけ。

「……援護があってこその一撃だ。私一人では、此処迄集中して練り上げる事は出来なかったよ。それに、私が異形への指示に集中出来ない間、アンデッドの群れを抑えてくれた燈上の異能も十分に強力なものだった。助かったよ」

本を閉じて言葉を紡ぐ彼に、小さく笑いながら肩を竦める。
実際、此処迄巨大な魔力を制御して操るのは、一人では相当に難しい事だっただろうし。

「……単純な威力だけで言えば、真円の斉射とは比べ物にならんだろう。魔力に溢れた此の空間だからこそ、とも言えるだろうが」

「此の場所であれば、恐らく魔力が尽きぬ限り威力は無限に上がり続けるだろうが――まあ、此の場所限定やも知れぬ。此処まで大量の魔力に満ちた空間は、早々無いからな」

目を丸くする彼女に、ちょっと自慢気な尊大さと共に言葉を返す。
援護ありきの攻撃だったとはいえ、少しばかり自信に満ちた声であっただろうか。



「――さて。此れにて取り敢えず調査は終了しよう。
仮ではあるが、現場指揮官として燈上には『穴』から帰還するまで私と共に行動する事を命じる」

「アーヴァリティに対しての手出しは厳禁だ。無論、彼女が此方に手を出さなければ、ではあるが」

「……という訳だ。貴様とはまた何れ。落ち着いた場所で話をしようじゃないか。こんな場所で、積もる話をするのも如何なものかと思うしな」


戦闘終了後、場を纏める様に軽く掌を叩く。
燈上には、己と共に帰還する事を。
アーヴァリティには、『互いに手出ししなければ見逃す』と告げて。
その提案を二人が飲んでくれれば、三人それぞれが、黄泉の穴からの帰還につく事になるのだろうか――

燈上 蛍 >  
二人のやりとりは本当に友人同士の会話に思える。
怪異とヒトが、これほどまでに仲良くなることも出来るのだなと、そう思う。
とはいえ、互いに力を持っているからこそ均衡がとれているのかも、しれないが。

青年は理央の異能の詳細を知っている訳ではない。
ただ『鉄火の支配者』という噂は一人歩きをしているし、
現場に出る故に、そうして二つ名を持つほどの同僚が居る、という程度だった。

「…命令、了解しました。通信機は…拾っておられますね。
 地面に落ちた音が聞こえたからとオペレーターに伺っていましたので、
 回収できていれば、僕は異論は言いませんよ。」

広範囲に異能を展開させた分、
直接的な被害は無かったとはいえ、疲弊はしている。

無暗な戦闘はしたくないと考えれば、理央の命を素直に聞くだろう。
年下であり同年ではあるが、現場を多く渡り歩いている彼を上司と見るのは当然だ。

それに、少女には怪異とはいえ戦闘の穴を埋めてもらったのも確かなのだ。
現状は利のある関係となれば、
それが壊れない限り戦う道理は今ここに存在はしない。


「アーヴァリティさん、今回は助かりました。ありがとうございます。」

青年はそう言って軽く頭を下げると、
紅い装丁の本を手にしたまま、理央に従い帰路についた。

アーヴァリティ > 「この穴の魔力を...そりゃあ強いわけだ
納得だなあ...」

自慢気な神代を横目に自分なりに何かしらで似たような活用が可能かどうかを思案する怪異。
積極的に戦いを挑むことこそなくなれど戦い自体はこれからも続けたい、つまり自らの強化は怠らないで行きたい。

「気にしなくていいよ〜僕はただ気分で手伝っただけだから
まあまた会う時があったらその時はよろしくね」

戦いになるかもしれないけどね。
なんて言ったらどうなるかわからないから言わないけど。
気軽に。

「またカフェでパフェをアーンしてあげるよ
何を話すかはその時の気分次第ってことで〜」

以前カフェで出会ったときの出来事を思い出して口元に手を当てながらコケにするような微笑みを向けて。

そのまま二人を見送れば、しばらく穴を探索したのち、転移で穴を去った。

ご案内:「黄泉の穴」からアーヴァリティさんが去りました。
ご案内:「黄泉の穴」から燈上 蛍さんが去りました。
ご案内:「黄泉の穴」から神代理央さんが去りました。